「は……?」
漏れた声は誰のものだったか。しかし誰もトランクスの質問に答えられるものはいなかった。俺もてっきりセルが開けて吸収したものかと思っていたのに、そのセル本人が知らないといったのだから。
「おい待てよセル!?ラディッツのやつと俺も確かに地下室で変なポッドがあったのは見てたぞ!お前じゃなかったら誰が穴を開けたって言うんだよ!」
「貴様、本当のことを言ってるんだろうな…」
「何故私が嘘をつくんだ…」
ベジータが念を押して確認したけど、逆にセルは困惑するばかりだ。
え?でも五人とも同じこと言ってたから本当に三人分のポッドはあったはず…。で、もし人造人間に用があるとしたらセル程度だから俺達が何かする理由もない。
…え、まじで誰が人造人間のポッドをこじ開けたんだよ!?
「なんだったらそこにいる亀仙人に記憶を読み取ってもらってもいいぞ?私は本当に知らない」
「…いや、せんでもいいじゃろう。本当に嘘を言っておらんようじゃ」
「じゃあいったい誰が地下室に…」
未来の悟飯がそういった瞬間、セルが呻き声をあげて蹲った。全員が驚き、悟飯が心配して近づいた瞬間にその体が一気に膨張した。
「―――う、おおぉ…!?」
「せ、セルさん!?」
「なんだ急に!?セルの体が…!」
「っそういえば16号、お前の中に爆弾があっただろう!今はないけど、セルにもあったんじゃ…!」
「なんだと…」
「わ、私に爆弾は無い!だがこの感覚、1分もしないうちに爆発する…!」
「そんな…!?」
セルの顔には戦っていた時の余裕が無く、完全に想定外であることがわかる。さらにわかるのは…、もしこのまま爆発させてしまうと、ここにいるみんなはおろか、地球もやばい!!
「悟空!!」
「ッ!!わかった!!」
俺が悟空に呼びかけてセルに突撃すると、意図をくみ取ってくれた悟空も同じようにセルに向かっていった。ワンテンポ遅れたがベジータも俺たちの狙いに気づいたようで、ハッとした顔をしていた。
「ラディッツ、ナッパ!お前たちはバリアーを作ることはできるか!?」
「えっ!?い、いや…」
「俺も、出来んな…」
「あっ、俺ならできるぞ!」
「オレも、なんとか…」
「ならばラディッツとナッパのようにバリアを作ることができない者は俺について来い!バリアを作れるものは、カカロット達の元へ急げ!!時間は無い、早くしろッ!!」
俺と悟空がセルのもとにたどり着いたとき、ベジータの号令によってバリアを作れる存在と作れない存在に分かれてまとまることができた。おかげで俺と悟空が気を裂かなくて済む!
「みんな、オラと兄ちゃんたちでバリアを維持するからセルごと空にぶっ飛ばしてくれ!これなら爆発もバリアの中で済む!!」
「俺が声掛けをして投げるから、そのタイミングで撃ってくれ!!」
「となると、少しでもタイミングがずれるとどの方向に飛ぶかわかんねぇ、ってことか…!」
全員の気が解放され、サイヤ人すべては超サイヤ人になり、クリリンたちは界王拳を発動し、じっ様は合流した二人に事情を説明していた。
あと数秒後に投げると決めたとき、セルが苦し気な声を出しながら悟飯に喋りかけていた。
「ぐ、おお…!そ、孫悟飯…お前には、私と孫悟空たちを凌駕する、力があった…!見ていて、それに気づいたとき、私は歓喜したよ…今の彼なら、完全生命体の私に勝利し、メタルクウラにも打ち勝てると…!」
「ぼ、僕が…!?」
「そうだ…望むことなら、一度は手合わせを、願いたかった…!ッ孫悟空、孫海!頼んだぞ!!」
「っセル、すまねぇ…っ!」
「お前の仇は、絶対にとってみせる!―――行くぞみんな!せー…のっ!!」
俺と悟空、未来の悟飯にクリリンの四人で作ったセル入りバリアを空中へ放り投げた瞬間、他の面々からのかめはめ波や気功砲、ファイナルフラッシュといった気功波が殺到し、バリアは頭上へと飛び上がった。
そして一際強い光が輝き…バリアを砕かんばかりの爆発が起きた。
目を開け、空へ気を張り巡らしてもすでにセルの気は感じられなくて。セルゲームが終わったことを直感させた。
「…セル…」
「…くそったれ、最後の最後に消えちまいやがって…!俺は貴様に負けたままなんだぞ、今すぐ地獄から蘇ってこい馬鹿野郎…!」
「父さん…」
「…だけど、誰がセルに爆弾なんか――」
―――俺がヤツを爆発させたのさ、サイヤ人ども…
全員が空を眺めて呆然としている空気を切り裂くように、紫の光線が目の前を横切った。
その一撃は、トランクスの胸に吸い込まれるように進んでいき…撃ち抜いた。
「が…がはっ…!?」
「トランクスッ!!??」
「―――はっはっは…どうやらトランクスに命中したようだな」
「はっ…!?な、なんで、お前が…!?」
ヤムチャの目線の先に居たのは、ここにいるはずのない存在。セルの言うことが本当なら、もっと先の未来に襲来する存在。
「…なんでお前がここに居やがるんだ、クウラッ!!!」
「久しいなぁ、孫海…地獄から帰ってきてやったぞ」
◇◆◇◆◇
「俺は全て見ていた…。お前たちが人造人間という存在と戦っていた姿を。銀河を移動し、悪魔のような存在に打ち勝つところも」
「…お前、どうやって蘇った。あの時俺が確実に太陽までぶっ飛ばしたはずだ!」
「ならば教えてやろう。俺がどうやってここに帰ってきたのかを…」
――その昔、捨てられた宇宙船や人工衛星が漂う宇宙の墓場に一つのコンピュータチップがあった。やつは、その自らの能力で長い時間を掛け、増殖していった。それは、宇宙空間のあらゆるエネルギーを吸いつくすことで成長する。今では惑星をも食いつくすほどの惑星が、俺を蘇らせることを可能とした機械、ビッグゲテスターなのだ。
俺の脳は運よくこの惑星に流れ着き、メインコンピューターと融合し、コアとなってビッグゲテスターを支配した。そして貴様と太陽によって消し飛んだ体のほとんどを、今の俺であるメタルクウラとして再生させたのだ。
「ビッグ、ゲテスター…?」
「おいラディッツ、聞いたことあるか?俺はなかったぞ…!」
「…親父から、都市伝説として聞かされたことが一度ある。だが本当に存在していたとは…!」
クウラの話が終わり、全員がクウラに意識を向けたときに気づく。あいつの後ろに、凄まじい数のメタルクウラがいる。その数は、両手で数えても足りないぐらいの膨大な人数。セルの世界の悟飯とトランクスが、持久戦に持ち込まれて負けたという事実に確信を持てる光景だった。
「さて…。これで俺の紹介は終わりだ。セルを爆破した方法は貴様らを倒した後に教えてやろう。だが、今の俺に用があるのは孫悟空、孫海、そしてベジータ!貴様らだ!貴様らを捕えてエネルギーを吸いつくし、メタル超サイヤ人へと変えて宇宙を支配してやる!この、メタル軍団によって!」
「っやれるもんなら、やってみやがれ!!」
「行くぞみんな!絶対にあいつを生かしちゃなんねぇ…!」
「構えろクリリン、ヤムチャ!武天老師様たちも、俺達と共に!」
「「おうっ!」」
「よし、鶴の!桃白白!三人で固まり、一体ずつ封印してゆくぞ!」
「合流して早々にこうなるとはな…!」
「仕方なかろう兄者!もともと備えていたことが今来たというだけだ!」
「おいラディッツ、どっちが多くあいつらを鉄くずにするか競争しようじゃねぇか」
「単細胞が…。あいつを殺すには本体のコアとやらをやらないと意味がないだろう。俺はパスするぞ」
「わかってんよそのぐらい!なぁベジータ!…ベジータ?」
「…っ。トランクス…!」
「…ベジータさん。今はあいつらを倒して、ビッグゲテスターを破壊することに専念しましょう」
「…ぐ、ううぅ…!」
ベジータを抑えたのは未来の悟飯だった。だがその顔にはいつもの優しい表情はなく、今にもはち切れんばかりの怒りが現れていた。それは、こっちの悟飯も同様で、些細なきっかけで爆発する火山のようだった。たとえドラゴンボールで蘇るとしても、その怒りは確かに二人の仲に芽生えていたのだろう。
二人が爆発するか、それともあいつが俺たちを捕えるか。戦いの火蓋が切って落とされた。