「こっ、ちぃッ!!」
「「「が―――」」」
「悟飯!!そっち三体いったぞッ!!」
「っこっちのオレ、合わせてくれ!魔閃―――」
「「光ッッ!!!」」
メタルクウラと俺たちの戦いはセルゲームのあった場所以上に広がった。一人に複数のメタルクウラが襲い掛かり、一撃で破壊していく光景が常に続いた。
クリリン、ヤムチャ、天津飯の三人で固まってる組は界王拳を纏いながらメタルクウラを消し炭にしているし、じっ様と鶴仙人、桃白白は戦闘力の差を無視して行使可能な魔封波を三人で同時に発動することで一体一体確実に封じている。
この六人と16号は今も気絶中の17号・18号を守るように動いているから、誰かが攻撃を受けてもすぐさまフォローに入れる。
サイヤ人組は基本一人でメタルクウラを相手にしているため、どこに見方がいるかを認識しつつメタルクウラを攻撃しないといけないため、かなり精神が削られる作業だ。
そう、作業だ。はっきり言って今のメタルクウラと俺たちの力にはかなりの差がある。ただの気功波だけで簡単に倒しきることが可能なほど。
しかし倒すこと自体は苦ではなかった。一番つらいのは、終わりが見えないことだ。どこからやってきているのか、瞬間移動のような音と共にすぐそばに新しいメタルクウラが現れるため、いつメタルクウラを倒しきれるか不明な状態。
少しずつ、少しずつ攻撃が鈍くなっていくのを感じる。
「ハァ…ハァ…!き、切りがねぇ!」
「ナッパ、お前のジャイアントストームで一気に片付けちまえ!」
「おうよぉッ!」
意図を察して、メタルクウラを一か所に吹っ飛ばしていく。瞬間移動で向かってくる個体はこちらも瞬間移動で迎い入れ、足を掴んで地面に引き倒していく。
悟空とベジータも理解したようで、二人で気を纏いながら突進し、逃れようとするメタルクウラ達を粉々に粉砕していった。
そして限界まで気を振り絞り、ナッパがメタルクウラ達が集まっていた地面ごと消失させる大爆発を巻き起こし、その数を激減させることに成功した。
何故か現れなくなったメタルクウラに疑問を抱きながら、残党を処理していく。
そして残りの一体を未来の悟飯が破壊し、この場にいたメタルクウラは消え去った。
「…一旦、終わりか?」
「いや、まだだ。まだあいつの本体を始末していない」
「だけど、どうやって向かえばいいんでしょうか…ブルマさんに頼んで宇宙船を作ってもらおうにも、またメタルクウラが来るでしょうし…」
「返り討ちにしてやればいいだけのことだ!俺はまだ、トランクスを殺された怒りを忘れてはいない…!!」
「…トランクス…っ」
未来の悟飯が悔しさを滲ませ、俯いて顔を曇らせる。トランクスの死体は人造人間たちのもとに寄せているから、クリリンたちのおかげで死体を壊されることはなかった。
だけどクウラにトランクスが殺されたことは確かで、その本人は今もこっちを捕まえるために用意をしているんだろう。だから悟飯の怒りは限界の一歩手前で止まっている。
…とにかく今はあいつをなんとかしないと、セルの地球みたいにこの地球のエネルギーを吸収されちまう。
だけどどうしたもんかな…。あいつは人造人間みたく気が感じられないから、瞬間移動で移動も難しいしな。どうしたもんか…。
―――ピシュン!!
…?今何か、瞬間移動した気が…!?
「みんな、気ぃ抜くな!また新しいやつが来た!」
『ッ!!』
悟空の言葉と共に気を張りなおす。そして周囲を索敵すると、メタルクウラの大群がいた岩山に新たな人影が見えた。
そこにいたのは、メタルクウラではあった。だけど、その両腕が青く、膨張した姿をしていた。
その後ろに見たことのない男が三人連れ添っており、一人は桃白白のような髪形をした男、もう一人は大きな帽子を身に着けたサングラスの男、最後の一人は筋骨隆々で、逆立った髪をした男だった。
新たな増援。俺もみんなも構えを取り直し、あいつらを破壊しようと気を取り直したときに気づいた。あの後ろの三人の胸にある、見覚えのあるマーク。
おそらく、メタリックになる前は赤色をしていたであろう【RR】とかかれたシンボルを。
「――あの後ろにいる奴ら、レッドリボン軍だ!!」
「なんだとっ!?孫、本当か!?」
「あ、あぁ…!確かにレッドリボンのマークをしてる…!」
「じゃあ三人の人造人間を起こしたのは、クウラ…!?」
「ほう…もうわかったのか。そうだ、俺があのポッドをこじ開け、中にいたこいつらを回収したのだ。お前たちが人造人間と遣り合っている間にな…」
「クウラ…ッ!ッ死ねええええええッ!!」
「ベジータッ!?」
また現れたクウラに怒りがぶり返したベジータのビッグバンアタックがすぐ横を通り、クウラめがけて飛んでいった。それは現時点でベジータが放てる最大の気弾で、さっきまでの通常のメタルクウラなら一撃で消し飛ぶ威力だった。
だというのに一切の動揺を見せないクウラ。瞬間移動で避けられるから余裕なのか?と思っていると、腕を一振りしてベジータの気弾をかき消した。
は?という声が漏れたと思えば、また瞬間移動の音が聞こえてベジータが吹っ飛んだ。
「ッベジータ!?」
「…通常の俺でどこまでお前たちがやれるかを試させてもらった。まさか重傷者を一人も出さずに倒しきるとはな…。さすがはサイヤ人と褒めてやりたいくらいだ。
―――だが、
「はッ――――!?」
「おじさん―――ッ!!」
クウラに注目している間に、三人の人造人間によって悟空、悟飯、ピッコロが攻撃を受けていた。悟空たちの元へ向かおうとした瞬間、目の前にクウラが現れて顎を蹴り飛ばされる。反射で尻尾をクウラに絡ませて体が飛ばされないように固定し、止まった瞬間に尻尾でクウラまで体を引っ張って頭突きを放つ。
響く鉄と鉄がぶつかったような音。跡すら残っていないクウラの頭と、赤く滲んだのがわかる痛みのある俺の頭。さっきまでのクウラと、まるっきり違う。まるで雑兵とだけ戦っていたような気分だった。
悟飯もまたクウラに蹴りを入れることでダメージを与えようとするものの、蹴りの入った頭が少し傾いた程度で済まされ、目が光ったかと思うと悟飯が爆発した。
すぐさま悟飯の元へ向かおうと瞬間移動を使った瞬間、足首を誰かに掴まれて地面へと叩きつけられた。
「いっ…てぇ…っ!?」
「くっくっく…。俺があの人造人間どもを回収したのは、ビッグゲテスターの科学力を用いてゲロの技術を組み込むことが目的だったのだ」
「ゲロの技術を、組み込む…!?」
地面から起き上がり、人造人間たちの方を見る。逆立った男を悟空とベジータ、悟飯の三人で対処しているけどパンチがまるで効いておらず、一人一人赤い気弾に飲み込まれていった。
大きい帽子をかぶった人造人間はラディッツ、ナッパ、ピッコロの三人で相手をしていた。そちらはまだ戦況が拮抗しているようで、顔の一部をピッコロの魔貫光殺砲が貫き、ナッパとラディッツの気功波が跡形もなく消し飛ばした。
最後の一人はクリリン、ヤムチャ、天津飯、16号が前線を張って攻撃が周りに飛ばないように戦い、一瞬の隙をついてじっ様たちの魔封波が飲み込んだのが見えた。
「あの人造人間どもは二体の記憶チップと動力源を13号と呼ばれる人造人間に組み込ませ、相手の行動を予測するのと同時にパワーアップをすることを想定して製造されたものだ。俺はそのパワーアップに目を付けた。偉大なビッグゲテスターの科学力によって作られたこのメタルクウラの体にゲロの科学力によって作られた動力源を組み込ませ、さらなるパワーアップを果たすことを…!」
「…それが、今のお前ってことか」
「青く変色している腕がその証拠ってことだな…」
「フッフッフ…そうだ。さらに貴様らがセルゲームとやらの準備をしている間に、俺はさらなる領域に達した…。そこで眠っている人造人間どもと同じ、無限に生成される動力源だ…!ゲロの科学力を解析したことで、俺は無限に動くことのできる力を手に入れたのだ!そして記憶チップを使うことで貴様らのパワーを記憶、解析し、貴様らが将来達するパワーに耐えれる装甲を作ることを可能としたのだ!!」
「…っ。セルの言っていた状況よりも、さらに悪化してんな…」
「セルと、オレたちが来てしまったことによる、バタフライエフェクトですね…。はは…」
悟飯から、さっきまでの怒りが一切感じられない笑いが聞こえた。その感情は、後悔と反省が滲んでいるものだった。
…そうか、本来クウラが来るのは、もっともっと未来のこと。だけどセルにトランクス達が来たことによって時期がずれ、しかもゲロの科学力を解析してパワーアップした化け物が生まれちまったって思えなくもないのか…。
…………。
「悟飯」
「…っ」
「俺はさ、悟飯たちが来てくれて感謝してるよ」
「…え」
「だってさ、二人が来てくれなかったら悟空は病気で死んでたし、俺もみんなも、力不足で死んじまってたんだもん」
そうだ。そうなんだよ。悟飯とトランクスが来てくれなかったら、すべてが滅んだ未来につながっていたかもしれないんだ。悟空も、ベジータも、俺も、ピッコロも、みんなも…そして、地球も無くなる未来が。
確かに二人が来たことによって歴史が変わったかもしれない。繋がるべき歴史が無くなったかもしれない。本来ならもっと弱くなったかもしれない脅威が馬鹿みたいに強くなっているかもしれない。
けど、そんなん今を生きる俺たちの知ったことではない。
やっぱり全員が生きている未来の方が、幸せだと思うから。母さんに託されたものも、悟空か俺が寿命で死ぬまでは守り切りたいし。
二人が来てくれなかったら、守り切ることができなかった。超えるべき壁がいることを知れた。
それは、セルにも言えることだ。一つの大目標をあいつは作ってくれた。そして、悟飯たちのように未来の脅威を伝えてくれた。
だからさ、悟飯。
「俺達が生きているのは、二人のおかげなんだぜ?」
「―――っ」
「ほら、来たぞ!いいな、今出せるフルパワーで行くんだッ!!」
「っハイッ!!」
「遺言は、それで終いか!?」
「「違う!」」
一歩一歩大地を踏みしめて近づくクウラへ、悟飯ととともに突撃していく。通った地面が抉れていくのを横目に見ながら、体中の気を制御し、増幅していく。そして俺の体が真っ赤に染めあがった。
「界イイイイ王ウウウウウ拳ッ!!!」
「行くぞクウラアアアァァァァッ!!」
「なにぃっ―――!?」
気圧されたクウラに衝突し、さっきまで傷一つ付かなった装甲をぶち破って悟飯と地面に転がり込む。
辺りの光景が一転二転しながらも受け身を無理やり取り、後ろから聞こえる異音めがけて体をひねり両手を正面へと突き出した。
「「かめはめッッ!!波アアアアアアッッ!!!」」
「ぬうおおおおおおッッ!!?」
かめはめ波がクウラを飲み込み、空で大爆発を起こした瞬間に違う方向でも爆発が起きた。おそらく悟空たちだ。向こうは大丈夫かな…。
◇◆◇◆◇
海と未来の悟飯がメタルクウラと対峙している時、悟空とベジータ、悟飯の三人はメタリックな姿をした人造人間13号と戦っていた。
三人の攻撃が何度も13号へ放たれるも、そのすべてが弾かれるとまでいかなくともめぼしい一撃を与えられずにいた。
肩で息をするようになり、傷だらけの三人と対照的に傷一つ無い13号。しかし三人に絶望の表情は見えず、常に勝機を狙った目をしていた。
悟空が瞬間移動で背後に回り、正面から悟飯とベジータが拳を握りしめて接近する。
対する13号はエネルギーを集中させ、赤黒く見えるほどに禍々しい気弾を放とうと胸で力を込めていた。しかし、背後から近づいた悟空のパンチによって集中を中断せざるを得なかった。苛立たし気に悟空を睨んだと思えば、悟空の首を掴んで地面へ引き倒して気弾を連射しようと構える。が、今度は正面から来ていたベジータと悟飯のコンビネーション攻撃を受ける羽目になりこちらもまた中断することとなった。
苛立ちが募る。まったくダメージを負うこともなければ気にすることもない虫のさざめき程度だと考え、避けることもしなければ防御することもなかった。
だがここまで妨害されれば話が違う。初手でS.Sデッドリィボンバーを一人一人丁寧にぶつけることで自身がイニシアチブを取った。その後は常に攻撃を受けながら何度も地面に叩きつけ、何度も岩山に顔を押し付けて引きずり回した。何度も何度も打ちのめしたというのに、目の前の三人は立ち上がっては何度も向かってくる。
人造人間であり、クウラによって改造され感情が浮かびやすくなる13号にとってこれほど苛立つことはなかった。しかもそのうちの一人が元々自身に課せられた目的である抹殺対象なのも相まって、その動きに粗雑さが見えるようになった。
そしてそれを見逃すほど、何度も立ち上がった三人は鈍くはなかった。二人は鍛え続けたことにより培った経験、一人は天性の戦闘の才能によって勝機を見出した。
「っカカロット、悟飯!時間を稼げ!俺が一撃で消し飛ばす…ッ!!」
「よし、頼むぜベジータ!悟飯、一緒に行くか!!」
「は、はい!頑張ります…!」
「ソン、ゴクウ…!!」
怒りによって抹殺対象しか見えていない13号はベジータの異変に気付かない。その手に集まるエネルギーが自身を消し去るに十分なほどに強力なものであることに。
対する孫親子は自分たち二人で倒すのではなく、ベジータにフィニッシュを任せて自分たちは攻撃を誘発させることで時間稼ぐことに集中していた。
13号と親子の意識の差は明確に表れ、13号は周りを飛び交う二人に攻撃をしようと必死になるも、すでに回避の姿勢に徹している二人を捉えることが出来ずにいた。
そして二人の飛び蹴りをくらい、仰け反ったときに13号はやっと気づくことが出来た。ベジータが自身を狙っていることに。
「喰らえええええッ!!人造人間ッ!!ファイナル―――フラアアアアッシュッッ!!!」
「な、に―――」
光が目の前を覆いつくし、己の体がねじ一つも残さず消えていくのを13号は感じ―――ついにその意識を途絶えさせた。
◇◆◇◆◇
ベジータのファイナルフラッシュによって13号が消えていくのを確認し、一息つく。なんとか危機を逃れられた。
「げほっ、げほ…悟空、お疲れ。悟飯もよく頑張ったな…」
「へへ、兄ちゃんもな…」
「おじさんも、お疲れ様です…」
「…ふん」
こちらに寄ってきた悟飯と、悟空に肩を貸しているベジータと共に座り込む。他のみんなも同様に座り込み、しばしの休憩となった。
ここにきたメタルクウラは倒した。あとは、空にいるであろう本体のみとなった。だけど少しでいいから休憩がしたい…!
横になって界王拳併用後の反動を和らげていく…。あ~疲れた~…。
―――――ガラッ………
「…?なぁ兄ちゃん、今なにか…は、ぁっ」
「なんだ悟空、俺今動きたくないんだけど…………」
悟空が固まり、他のみんなも動かなくなった。不思議に思い、振り向いたその先に居るものを見て、絶句する。
そこにあったのは、先ほど未来の悟飯と俺の2人がかりで破壊した強化メタルクウラ、そして悟空たちをたった一体で翻弄したメタル13号、メタル14号、メタル15号の軍団が視界の端まで続いて立つ光景だった。
―――忘れたか?メタルクウラはビッグゲテスターの科学力によって作られた体だ。ゲロの科学力を組み込んだメタルクウラだろうと、増産は容易いものだ…
「……は、はは…ホント、やばいやつに出会ったよなぁ…」
「ははは…やっぱやるしかねぇんかな…」
「くそったれ、頭がクラクラしてきやがるぜ…」
「こっちのオレ、もうひと踏ん張り行けそうか…?」
「なんとか、行けそうだよ…」
位置的に俺達五人があいつらと一番距離が近い。つまり、どれだけこの五人で食い止められるかで後ろのみんなの未来が決まる…と、思いたいな…。
岩山から滑る降りてくるメタルクウラの軍団を見据えながら、残った気を振り絞る。
「っ行くぞみんなァッ!!はああああああああッ!!!」
「「「うああああああああああッ!!!」」」
「くそったれええええええええッ!!!」
勝てるはずのない戦いに、挑む時間がやってきた。
◇◆◇◆◇
「…う、う~ん‥はっ!ここは!?せ、セルは…!?」
「って、ひいいいいッ!?じ、地震か―――ぶへっ!?」
「…へ?な、なんだこの肉片は…?い、生きているぞ…!?というか、なにか聞こえるような…」
「――た、助けて、くれ…」
「し、喋ったあああああ……。…た、助けて、くれ?」
「核が傷つき、再生出来ないんだ…。た、頼む…まだ、死ねないのだ…!」
「そ、そんなこと言われてもな……あ!た、確かここに…あった!」
―――仙豆エキス。瀕死になったら飲むといいよ
「海さんがああいうから持っていたが…こ、この肉片に与えていいものか…?」
「…ええい!悩んでる暇などない!そら、これを飲むんだ!」