ドラゴンボール ~もう一人の兄~   作:龍玉

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交わった現代と未来の結末

 

 

 ビッグゲテスターにセルが出現する直前のこと。地上は混乱に満ちていた。

 それもそうだろう。さっきまで倒すのではなく封印という手段しか取れなかった相手が一気に消し飛んだのだ。唯一意識のある四人は呆然とし、メタルクウラは破壊した犯人を捜していた。

 

 されど見つかることはなく、さらに人造人間も破壊されていく。その第二波が終わり、ついに犯人を見つけた。上空から放たれていた光線を辿った先にいた者。

 それは、クウラによって爆破されてしまい死んだと思われていたセルだった。しかも一人ではない。その周りには、彼によく似ているセルジュニアとも言い表せれる子供も浮いていた。

 

「セル!?貴様、生きていたのか!!」

 

「やぁメタルクウラ。借りを返しに来たよ」

 

「せ、セル!?お前さん、どうやって…!それにその子供たちは…」

 

「私の子供達さ。セルジュニアと呼んでもらおうかな?…さて、どうやらクウラも気になっているようだな、どうやって私が生き延びたのかを…」

 

「当たり前だ!貴様は腹の中から爆発を起こし、そのまま木っ端みじんになったはずだ!例えピッコロの細胞があったとしても、核ごと吹っ飛んでしまえば再生も出来ん!!」

 

「確かに私の核も吹き飛んださ。だが嬉しい誤算が発生してね、完全に消し飛んだわけではなかった。ギリギリの状態で核は残り、地上に落下した。…といっても傷ついた核で復活できるはずもなく、本来ならそこで死を迎えるはずだった。だが気絶していた世界チャンピオンの助けを借りることが出来てね。この身をさらなるパワーアップと共に再生することが出来たのだ」

 

「世界チャンピオン…!?まさか…」

 

「フッフッフ…私の恩人さ。さて、長話もここまでだ。貴様らをただのガラクタにして、さっさと空に連れ去られた者たちを助けねばな」

 

「っやれるものなら、やってみろォ!!」

 

「セルジュニアよ!倒れた者たちを護衛し、私の攻撃の余波がいかないようにしろ!!」

 

『はーい!』

 

 

「おじいちゃんこっちこっち!」

 

「はーやーく!」

 

「お、おぉ?セルの子供に助けられるとは、長生きしてもわからんもんじゃのう…」

 

 倒れ伏した者たちがセルジュニアによって救出され、セルの本領が発揮される。その力は圧倒的で、まだまだやる気満々だったメタルクウラ達を全滅させるほどだった。

 

そして、現在に戻る。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「―――さ、て……。孫悟空、孫海、ベジータ。私の気だ、これでまともに動けるだろう」

 

「っ!―――あぁ、サンキューな、セル!」

 

「ははは、まさかセルに助けられるとはな…」

 

「くそ…この俺が施しを受けるなど…!」

 

「そういうなベジータ。それと孫悟飯、お前たちもだ」

 

「あ、ありがとうございます…」

 

「助かりました。これでもう、負けることはありません…!」

 

 全員が立ち上がり、クウラにその翡翠の目を向ける。しかして相手はクウラ、その存在感に気圧されることなくエネルギーをチャージしていく。

 

―――舐めるなよ…!セルが来た程度で、貴様らに負ける気概など持ち合わせてはいない!今度こそ消し炭にしてくれる!!

 

「そう簡単に行くと思うなよ?クウラ。私が来たことを後悔させてやろう…」

 

先ほどと同じ構えを取る悟飯。その後ろからフォローするように悟空が立った。

 

「!お父さん…!」

 

「任せちまって、すまなかったな。ここからはオラも一緒に戦う!あいつに見せてやろうぜ、オラ達二人で作った力を!」

 

「っ!はい!」

 

 その横には、未来の悟飯に肩を回された状態の海がいた。相手の片手と自分の片手を合わせ、かめはめ波の形を作っている。

 

「すまねぇな悟飯、こんな不格好な姿で…」

 

「仕方ありませんよ、立てないんじゃ。…それに、オレもこっちのオレみたいに、力を合わせて撃てるから、嬉しいですし」

 

「!……そうか。ならよかった、かな」

 

 その反対側には、ベジータとセルが互いに押しのけ合いながらその手に気を集中させていた。

 

「邪魔だベジータ私が前に出る!」

 

「うるさい!貴様が俺の後ろに居ろ!!」

 

 約一組だけ喧嘩をしているが、周りは一切気にせずエネルギーを高めていく。

 

『かぁ…めぇ…!はぁ…めぇ…!!』

 

「ファイナル―――」

 

 クウラと孫たち、双方ともに準備が整った。

 合図はなく、どちらともなく放たれた。

 

 

―――消し飛べエエエエエエェェェェェッッ!

 

 

 

波アアァァァァァァッッ!!!

 

フラアアアアアッシュッ!!!

 

 

 赤い破壊光線と三本の光。親子のかめはめ波と師弟のかめはめ波、そして敵だったもの同士の光線が合わさった極光となって赤い閃光を打ち破り、その先にいたクウラを飲み込んだ。

 

 

―――うおおおおおおああああぁぁぁぁぁぁ―――……

 

 

 断末魔が響き渡り、地面が崩れ去る。そしてその身が空中に投げ出され――

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 瞬間移動で動く感覚によって目を覚ます。なぜか目の前に死屍累々なみんなが倒れていた。そしてその周りには、セルの子供みたいなのが走り回って看病していた。

 

 俺はというと何故かセルの尻尾に巻かれており、身動き取れない状態にあった。そして目の前で未来の悟飯が気絶した状態でセルに持たれてるのが見えることから、これ俺の反対側に悟飯がいるな?

 というかさっきまでビッグゲテスターの中にいなかったっけ…。セルが助けてくれたんかね。

 

「セル!助かった、ありがとな!悪ぃけど下ろしてほしいや…」

 

「ん?あぁおはよう孫海、そしてどういたしまして。もう立てるようだな」

 

 地面に下ろしてもらったので、そのまま周りを見渡す。セルゲームの舞台は跡形もないし、近場の山は全部吹っ飛んでる。多分向こう側まで消し飛んでるからこの後直すデンデが怒りそうで怖いな。

 

「……あれ?セル、悟空とベジータは?みんなここにいるのに二人だけ…」

 

「上を見ろ」

 

「上?………」

 

「あの二人なら大丈夫だろうと放っておいた」

 

 目をやった先に見えたのは、自由落下をしながらこっちに向かってくる悟空とベジータだった。ベジータに関しては背中から落ちてる。……あれ本当に大丈夫か?一応受け止めるか…。

 

「悟飯、起きてくれ悟飯!」

 

「ん、んぅ…い?海さん…?あれ、ここは…」

 

「地球だよ。セルが運んでくれたんだ。そんで起きて早々にすまん、空から悟空が落ちてくるから受け止めてやって」

 

「…………はい?えっ、えっちょっ本当に落ちてきてる!?」

 

「―――ごはあああぁぁぁああああんッ!受け止めてくれええええええっ!!」

 

 慌てた様子の悟飯によって悟空が受け止められ、俺はベジータを掴んだ。空中で掴んだせいですっごい重力がかかったけど、なんとか助けられたな…。

 そしてそのまま地面へと下ろし、全員でセルジュニア(セルの分身みたいな子供らしい)に治療を受けることとなった。何体かがナース服着てたけどどっから持ってきた?というか女の子とか男の子とかセルにあんの?

 

 

「……まぁ、とりあえず。お疲れ様、悟飯」

 

「あ、あははは…。はい、みなさんも、お疲れ様でした…!」

 

「へへへ、オラの言った通りだったな!やっぱ悟飯ん中にはすっげぇパワーがあったな~。負けてらんねぇや!」

 

「ちっ…もう次のことを考えてやがるのか。呑気なことだ…」

 

「なんだベジータ?孫悟空に勝てないと考えたのか?」

 

「黙れセル!俺はそんな惰弱な男ではない!貴様もカカロットも、カイも悟飯も俺は超えてやるぞ!!」

 

「変わりませんね、ベジータさん」

 

 戦いの後の空気が流れ、少しずつ、少しずつ気が緩んでいく。

 

セルゲームの閉幕の時が来たのだ。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「本当にいいんか?セル。神殿だったら地球に居れるってのに…」

 

「心配には及ばん。私は死んだことになっているのだから、地球から離れた方がいい。そもそも私も瞬間移動は使えるのだから、いつでも帰ってこれる」

 

「あ!それもそっか!」

 

「…じゃあセルさんとは、ここでお別れですね」

 

「ありがとうセル。セルが居なかったら地球はメタルクウラに支配されていたし、オレも生き返ることが出来なかった」

 

「礼には及ばん。私のやりたいことをやっただけだ。…そちらの世界でも、元気でな」

 

「…あぁ。こっちのセルとも仲良くするよ」

 

 ドラゴンボールに『セルとクウラによって殺された人々を生き返らせてほしい』と願い、トランクスが生き返った次の日。ブルマさんに頼んでいた宇宙船が完成したことで、セルの旅立ちの日が来た。

 

 なんでセルが死んだことになっているのかについてだが、なんでもセル本人がサタンに頼んだらしいのだ。助けてもらって悪いが、サタンがセルを倒したことにしてほしいと。そしてセルゲームが終わったことも世界に伝えてほしいと。結果無事にセルゲームが終わったことが世界に伝えられ、平穏が訪れた。

 

 これにより、もしセルが生きていることが世間にバレてしまったらサタンがまずいことになるため、それを避けるべくセルは宇宙に旅立つことにしたのだとか。そして今日、その日が来た。

 

 見送り人は俺、悟空、悟飯×2、トランクス、ブルマ、ピッコロ…といった風にセルゲームにいたメンバー+αが集合していた。ベジータは中心には来ず、神殿の柱に体を預けながら見送っていた。

 

「セルさん、本当にありがとうございました!宇宙でもお元気で!」

 

「うちで作った宇宙船だから安心して飛び立ってちょうだい!」

 

「これ、うちで取れた野菜!あんま食わんかもだけど、折角だし食ってくれ!」

 

「俺からは自慢のたくあんだ!カイのやつをイメージして作ってあるからな、自信作だ!」

 

「俺からは米だ。宇宙でもちゃんと食えよ」

 

「ラディッツだけお母さんのようじゃな…」

 

「これはいい作物だな…ありがたく頂くとしよう」

 

 作物を詰め込んだカプセルを持ったセルが宇宙船に乗り込み、クリリン達とまた雑談に興じた後。

 とうとうセルが飛び立った。

 

 

「さらばだ、戦士たちよ。またどこかで会うことを祈る」

 

 

別れの言葉を言ったり、手を振ったりするみんなに見送られながらセルが宇宙へ消えていった。もし会うとしても、こっちが呼んだりしない限りは滅多に会うことはないだろうな。

 それでも会えないってわけじゃない。だから寂しくはない、かな。

 

 それから数時間後。トランクスと未来の悟飯が未来に帰る時間が来た。

 タイムマシンに乗り込んだ二人を見送り、解散する。

 

「…なぁ兄ちゃん、悟飯たち大丈夫なんかなぁ」

 

「なんだ悟空、不安なのか?」

 

「未来の僕たちなら、あっちの人造人間には負けないと思いますけど…」

 

「そっちじゃなくてさ、ちゃんと食べていけんのかなぁって」

 

「あー…。野菜は渡してあるから、それをもとに作ってって貰えれば…」

 

「とりあえず、未来の僕たちに任せましょうか」

 

「そうだな、そうするしかねぇか…彼奴等の報告待ちだなぁ」

 

「まぁでも、あの二人のことだ。絶対になんとかできるだろうさ。ほら、早く帰るぞ!」

 

 

 俺に関しては子供がそろそろ生まれるしな、まじで早く帰んないと!

 

 

 

 

――――トランクスたちの世界を案じながら、俺たちは家に帰っていく。これから先のことを少し楽しみにしながら。

 

 




セル編、完結です。ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
今後はまた閑話を挟んだり大天下一武闘会描いたりしてブウ編に突入すると思います。
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