ドラゴンボール ~もう一人の兄~   作:龍玉

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ほのぼの

 

『俺の息子!』

 

 セルゲームが終わり、いつもの日常が帰ってきた今日この頃。

 いつもなら畑で仕事をしている時間帯の俺は今、病院でウロウロしていた。

 

「……………」

 

「兄ちゃん落ち着かねぇな~」

 

「おじさんでも静かに焦ることがあるんですね!」

 

「それもそうだろう。兄貴の息子が生まれるってなったら絶対に焦るのが兄貴だ」

 

「俺はそんなに落ち着きの無いやつじゃない」

 

「「嘘つけ」」

 

 実を言うと今日の朝ごろのことだ。パンジの様子がおかしかったため先生に診てもらったところ、なんともうそろそろで生まれる状態だった。

 すぐさま貴重品を回収して瞬間移動で産婦人科に駆け込み、女医の方に任せてこちらで待つこととなったため、ここでウロウロしていた。

待っている間に悟空や悟飯、ラディッツも駆けつけてくれたため、連絡をする必要がなかったのは助かったな。ほんと。

 

「けどさぁ兄ちゃん、焦りまくってたからかわかんねぇけど、兄ちゃんの慌てた声はオラたちの方には丸聞こえだったぞ?」

 

「え」

 

「僕も聞こえましたね。お母さんも多分知っているかと…」

 

「やっぱり焦ってるじゃないか」

 

「……」

 

………。

 

……俺焦ってんのかぁ…。悟空の横に座って少し落ち着くか…。

 

「ははっ。兄ちゃんがそうなんのもオラわかるなー!悟飯が生まれるときはオラがめちゃくちゃ焦ってたもんな」

 

「…そういやそうだったな。立場が逆転しちまったや」

 

「お父さんもですか?」

 

「その時はどうしてたんだ、兄貴」

 

「あんときは―――」

 

 ラディッツ達と話している間に落ち着いてきたのか、周りがよくわかるようになってきた。さっきまでとは視野の広さが全然違うな、気付かないだけで本当に焦ってたみたいだ。パンジは大丈夫かな…。

 

 数十分後、パンジのいる病室に案内されたので入室すると、そこには赤ん坊を抱いたパンジがいた。

 

「あっ海さん!それに悟空さんたちも!」

 

「オッス!」

 

「…どうも」

 

「こんにちは!その子が海おじさんのお子さんですか…!」

 

「うん。えへへ、やっと会うことが出来たの…。海さん、抱いてあげて?」

 

「ん、あ、あぁ…」

 

 パンジから受け取った赤ん坊の体温を感じながら、優しく抱き上げる。…なんか、ポカポカするな。そうか、俺が父親になったから感じるものなのかな、これが…。

…なんか、言葉にしづらいけど…すっごく嬉しいな。

 

「リン、リン。…へへ」

 

 

名前を呼ぶと、少しだけ笑ったような気がした。

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

『結婚と増える会社員』

 

 

 子供も生まれ、セルゲームも終わって時間に余裕ができたころ。パンジとの結婚式を開いた。会場はグルメス王国のすぐそばの花畑。大人になってからパンジと再会した場所だ。

悟空の時と似た形式の結婚式になったが、あの時以上に人は多い。まぁあの時から色々とあったから当然っちゃ当然か。

 あの時はいなかったラディッツ達とかピッコロとか、人造人間たちも来てくれてた。珍しいことにベジータも出席してくれててめちゃくちゃびっくりしたなぁ。ベジータ曰く「滅んだとしても王子であるならば祝福しない選択肢は無い」という理由で来てくれたらしい。…なんか、いつもよりベジータが凛々しく見えた。

 そうそう、折角瞬間移動が使えるんだから遠くにいる知り合いも呼ぼうと考えて、ジングル村のみんなやナムさんとかも呼んだりした。

 呼んでから気づいたけど、スノーとパンジってすっごく似てんだよな…。いつも帽子を被ってるのとスタイルが違うってぐらいしか違いがない。出会って早々に仲良くなってたけど。

 あとはあれだ、ハッチャンだ。時々野菜は送ったりしてたけど、これだけ長い時間を会えることもなかったから悟空と一緒に抱きしめられたっけ。それに新しい人造人間の16号達とも出会って交流を深めてたな。

 17号達が「8号…旧式の人造人間か」「人間ベースなんだね。わたし達みたいに目的重視じゃないんだ」って言ってたのが印象的だったな。

 そのハッチャンは16号と「オレ 人造人間8号。だけど名前は ハッチャン」「ハッチャン…ふっ、いい名前だな。俺は人造人間16号だ」と喋りながら動物とかのことを話してたな~。

 後はそうだな、予定が入ってたから来れなかったサタンからは祝言をもらった。祝いの言葉の後に、天下一大武道大会が開かれるので是非観戦しに来ませんか?というお誘いがあった。

……せっかくだからドッキリ目的で参加するか!悟空もやる気だし。

 そんで結婚式が始まったんだけど…やっぱりあの服苦手だな…窮屈で仕方ない。悟空が着づらそうにしてたのもわかる。…パンジがかっこいいって言ってくれたから嬉しかったけど。パンジのウェディングドレスも、すごく綺麗だった。似合ってるって言ったら、パンジも嬉しそうだった。

 

 皆に祝われて指輪を交換したあとはパーティー会場に移って結構騒いだなぁ。みんなで後片付けしたから締めるのはスムーズにできたけど。

 

そして現在。今は企業面接をしている。ちなみに指輪は大事なものカプセルに入れて保管してあるから今は付けてない。

 で、何故面接をしているかというと…ちょっと厄介な人が雇ってほしいと頼んできたのだ。

 件の人物は短く刈り込んだ紫髪の女性で、名前はバイオレットというらしい。この人の何が厄介かというと、多分レッドリボン軍の幹部の人なんだよな。

 何故分かったのかというと、つい最近家の近くにある森林の管理とかを16号にバイトのような形で頼みに行ったときに、こんな人が働きたいって言ってんだよな~って感じで世間話をしたんだよな。そんで16号から「この女性…レッドリボン軍の幹部のようだ」って言われて発覚。そんな人物が会社に来ているので復讐か?と疑っている状況だ。

 そんでまぁ特技とか経歴とかを聞いてるんだけど…やっぱレッドリボン軍なだけあってかなりできそうなんだよな。事務も出来そうだし、教えれば畑弄りもできそうなんだよなぁ…。…面倒くさいしストレートに聞くか。

 

「…えーと、バイオレットさん」

 

「はい」

 

「うちに来たのは、レッドリボン軍の復讐ですか?」

 

「………いいえ、違います。レッドリボン軍が解散し、私も足を洗いました。その為、安定した職に就くために方々を旅していた際にここの話を耳に入れ、ここで働きたいと思ったんです」

 

「……うーん」

 

…少し冷や汗かいてんな。でも嘘がバレそうだからって感じじゃない。急に昔のことを言い当てられてびっくりしたのと、大丈夫かどうか不安だからって感じだな…。そもそも嘘は言ってなさそう。…なんかあったときは不味いから、ナッパの部下って感じなら大丈夫、かな?ラディッツに付けないのは、あいつには別のことしてもらう予定だし。

 

「…はい、分かりました。上司をつけるので、そこから始めてもらおうと思います。それでは今後ともよろしくお願いしますね」

 

「っ!よろしくお願いします!」

 

…社員がまた一人増えたな。給料の割り振りとかまた考えないとなぁ。

 

 

 そのあとナッパに部下ができたことを伝えると、「ぎひひひひ!おいラディッツ、お前より先に部下ができたぜ!どうだ、羨ましいだろ!」と煽り散らかしてた。ラディッツは青筋立ててサタデークラッシュの構えを取り始めたから焦った。

 

 

◇◆◇◆◇

 

『未来の世界では』

 

 

 荒廃した都市が多数存在する地球に、タイムマシンが降り立った。中から出てきた二人の青年は、久しぶりに見る自分たちの世界に思いを馳せる。今日ここで、地獄を終わらせると。

 

 そんな二人に少し年の行った女性が近づいた。女性は青年の片割れ、トランクスの母ブルマだった。

 

「二人とも、おかえり!ちょっと背が伸びたんじゃない?」

 

「ただいま、母さん!ちょっとね」

 

「ただいま帰りました、ブルマさん。向こうで色々あったんですよ」

 

 ブルマが出してくれたコーヒーを交えながら、過去での出来事を話す二人。悟空だけでなく、全員が生き残ったことやまったく知らなかったことがわんさか出てきて驚くブルマに、楽し気な二人。

 するとラジオからニュースが流れ始めた。それは、人造人間が暴れているものだった。

 

「よし、行こうトランクス!」

 

「はい、悟飯さん!」

 

「二人とも、気を付けてね!」

 

「「はい、行ってきます!」」

 

 飛び出した二人が向かった先に居たのは、街を破壊して楽しむ二人の人造人間。過去に出会ったときとは大きく違った二人の様子を確認し、地面に降り立つ。

 

二人に気づいた人造人間は嘲笑し、暴力的な悪意を向ける。

 

「トランクスに悟飯じゃないか。まだ生きていたのか?無駄な努力を…」

 

「…お前たちを、倒しに来た」

 

「これ以上、この世界で好き勝手させない…!」

 

「倒す?アハハハハハ!…鬱陶しいやつらだねっ!!」

 

「ッ!!」

 

 過去に向かう前ならば、致命傷にもなりうる気功波が悟飯を狙う。されどそこに立つ戦士は、さらなる壁を越えた覚醒せしサイヤ人。容易く気功波を弾き飛ばし、その胴体に拳を叩き込む。

 貫かず、しかし立つことも意識を保つことも不可能な一撃に18号が気絶する。

 動揺する17号。狙いも定まらない腕で悟飯を攻撃しようとした瞬間、その顎に回し蹴りが命中し、こちらも気絶した。

 

 共に人造人間が無力化できたことを確認し、頷き合う二人。今ここで殺すことは簡単だ。だがここで殺してしまうと不味い。3年後まで、何もできないようにする必要がある。

 

 3年後。タイムマシンが動かせるように準備を終え、精神を統一する二人。そこに駆け寄ってきたブルマが、ある機械を悟飯に渡した。人造人間を無力化した後に頼んだものだ。

 

「ちゃんとできたわよ!二人とも、頼むわね!」

 

「ありがとうございます!これでなんとかなります…!」

 

「母さん。ちょっとの間だけど、待っててくださいね。…行ってきます!」

 

 機械を服の中に入れ、宇宙へ飛び出す二人。その姿は宇宙服を着た宇宙飛行士のようでありながら、ロケット以上のスピードで暗い宙を駆け抜けていた。

 進み続ける悟飯の服の内側からレーダーの反応を示す音が鳴り、その存在を知らせる。ブルマから受け取った機械は、あるものを見つけるためのレーダーだった。

 

 トランクスがその体を輝かせ、見えつつあった星に気功波を放ち穴を開ける。その穴をさらに開ける勢いで悟飯が突入し、中枢部らしき場所ごと破壊するべく察知した邪悪めがけて全力のかめはめ波を放つ。

 

―――貴様ら、ここへどうやって――――ッ!!?

 

 何かが聞こえたその時、木星すら凌ぐ大きさを持った機械の惑星を極光が貫いた。

 刹那、星一つが爆発したかと思える光が炸裂する。すでに過去で情報を受け取った二人によって、メタルクウラは打ち取られたのだった。

 

 そして地上に降り立った二人は、宇宙服を脱いであたりを捜索する。気絶した人造人間を吊り下げながら。

 

 数分後、岩山に立ち尽くすある人物の姿をトランクスが発見した。悟飯も合流したその場所には、この世界のセルがいた。

 どこか、遠い目を二人に向けながら。

 

「……お前たち、過去に行っていたんだな?あまりにも鮮やかすぎる討伐に何も言えなかったよ……。それで、なにか御用かな。私としては、17号と18号が泡を吹いている状態で私に突き出されているこの状況について説明してほしいんだが…」

 

「「セル、食え」」

 

「?????」

 

 宇宙を背負ったセルが復帰し、言われた通りに人造人間を吸収して完全生命体となった後。

 セルはその完全生命体となった嬉しさよりも先に、憎かった人造人間を早く殺したかったのと自分にドッキリをしたかったらしい二人にキレた。

なにかあったんだろうけど、まず事情を説明してくれ…と。

 

 そんなセルを見る二人の目は、絶望に抗う覚悟を決めた戦士の目ではなく、平穏な世界に喜ぶ青年の目をしていた。

 

 




次回は天下一大武道会です。ボージャックどうしようかな…。
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