瞬間移動したら目の前にピッコロと天津飯とクリリンの石像があった件について。
…え、どゆこと?
「!?貴様どこからッ!?」
「は?」
後ろを振り向いた瞬間、目の前に広がる光。耐え切れず、後ろにいた誰かと共に吹き飛んでいく。
「兄ちゃん!?」
「兄貴の馬鹿野郎!?なんであんなタイミングで来やがった!」
「ラディッツ、テメェがあいつの邪魔しちまったからじゃねぇか!?先に撃たしときゃ赤いやつはともかく、カイだって無事だったはずだ!」
「…予定外だったが、羽虫を一匹追加で殺せたか。ふははははは……!さっさと帰るんだな!バビディ様には誰も勝てんのだ!」
………あの、野郎…。咄嗟に超サイヤ人になって防御したからよかったものの、人のことぶっ飛ばして何様だ…!
「ぬがあああああッ!!絶対許さん!!」
「あ、全然元気だ」
「ふん。カイの心配など無駄だとわかっていたはずだ。さっさと行くぞ」
「ま、待ちなさい!わざわざ誘うようなことをするなんて罠に決まってます!ここは一度退いて…!」
「んなこと知るか!俺は待てねぇぜ!」
「な、ナッパさん!?っあぁもう!」
埃を払って悟空たちの後を追うと、扉が一つしかないさっぱりとした内装の部屋に着いた。どうやらここがバビディとかいうやつの根城らしい。しかもシン曰く、一度入ったらバビディを殺すまでは出られないんだとか。
…フルパワーじゃないんだったら別に叩き起こしてもいいんじゃないかって思ったけど、やろうとした瞬間にすっごい睨まれた。どんだけ嫌がるんだよ…。
すると、一つしかない扉から変な頭をした宇宙人が出てきた。案の定その額にはМが書かれており、バビディの支配下であることが見て取れる。
「バビディ様は一番下のフロアだ…。残念ながら、この俺を倒さなければ下には行けなくなってかぺっ!?」
「うっさい」
少しイライラしてたので首をねじって息の根を止める。そうするとこいつの言ってたことは本当だったらしく、さっき降りてきたところに穴ができた。よし、さっさとバビディとかいうやつの配下全員皆殺しにしてあの髭親父ぶっ殺してやる…ついでにバビディも。
「…だ、ダメージを負うと、エネルギーが取られてしまう仕掛けのようなんですが…」
「兄貴、相当キレてんな…」
「カイのやつこっわ」
「兄ちゃんがあんなにキレてるの、久しぶりに見たな~…」
「おじさん、修行してた時に天下一武道会が凄く楽しみだって言ってたんです…。あれだけ楽しみにしてた天下一武道会ができなくなって、しかも急いで来たら不意打ちされたのが頭に来たんじゃないでしょうか…」
「…まぁいい。すでに順番は決めてある。カイ、次は俺がやるぞ。異論はないな」
「別に構わんけど、さっさと倒せよ」
「言われなくとも…」
…ふー。ちょっと落ち着いた気がする。ということで次の部屋にいくと、今度は緑色の化け物が出てきた。シン曰く、魔獣ヤコンという存在らしい。
「ゴホホホホ…どいつから食ってやろうかな…」
「テメェが食えるのは0だろうな。このオレに殺されるんだから…」
「デへへへ!ほら吹きなやつだ!」
「っ!」
ヤコンが飛びかかった瞬間、あたり一帯が闇で覆われる。光一つ刺さない空間の中で、何かの斬撃音らしきものと誰かが避ける音が聞こえる。
「バビディの仕業です!おそらくこの空間が相手のテリトリーなのだと思われます…!」
「へー、部屋丸ごと異空間みたいに変えちまうのか…。全然意味なさそうだけどな」
「え?」
「ぐふうぅ!?」
「ちっ。たかが暗闇でも見える程度の目がお前の武器か。とんだ期待外れだ!死ねェッ!!」
「ま、待ってくれ―――!?」
何も見えない状態の中で一際目立つ光が発生したかと思うと、部屋がもとに戻って下に行けるようになった。さっきの爆発一発で止めを刺したのか。ベジータのやつちゃんと鍛えてんなぁ。
「よっと。さぁてと、今度はオレ様の番だが…どこのどいつが相手をしてくれんだ?」
「オレだ…」
「…!さっき武舞台で見た、スラッグとかいうやつ…」
下に降りてみたところ、今度はあの変わったナメック星人が相手のようだ。こっちはナッパが相手のため、図体がデカいもん同士の対決だな。…それにしてもあのスラッグとかいうやつ、普通のナメック星人とは全然違うんだよな…ナメック星人にあんな悪いやつはいないだろうし、そもそもナメック星に居た人たちとピッコロしか生き残ってなかったはず。
「あれはまさか、超ナメック星人!」
「超ナメック星人?」
「はい。ナメック星人は生まれたときから善人なんですが、極稀に突然変異のナメック星人が生まれるんです。それが邪悪な心を持った超ナメック星人というわけです…!あのスラッグという超ナメック星人は銀河を荒らしまわった存在だったようですので、バビディに目をつけられたのかと…」
「ふーん…」
「むぅん!!」
「こなくそォ!!」
超サイヤ人へと変化し、ナッパと取っ組み合いをしているスラッグに目を向ける。あの時受けた感触を思い出すに、あいつもかなりの実力者だ。ナッパといい勝負するかもな…。
ナッパとスラッグは共に防御無しの状態で殴り合い続けた。頭突きを放てば頭突きが返され、パンチを叩き込むと同じ個所に同じパンチが放たれる。向こうもナッパもタフさを武器に戦っていた。
だけどナッパとスラッグの姿には大きな違いがあった。それはナッパの傷はほぼ無いに等しいのに、スラッグはすでに満身創痍の状態なことだ。
「ぐうっ……!ば、バビディ様によって俺のパワーは限界を超えた!老いもあの方の魔法によって無くなった!なのに、何故だ!何故貴様に傷一つ与えられない!!」
「へっ!簡単なことだ。超サイヤ人の壁を越えてさらに強くなった俺とお前じゃ、格の違いが大きすぎたってだけだ!くたばれ、デラックスボンバーッ!!」
「ぐ、うおおおおおおぉぉぉぉ―――!??」
魔術によって変化し、廃墟となった部屋の中にスラッグの断末魔が響き渡る。これで三人目も終了か。なら次は、あの髭のおっさんというわけか…。
「…次は悟飯がやるということは、俺の番は無いようだな…何故俺はじゃんけんに負けた…!」
「そんなんオラもだよ~!ちぇ!」
「…いや、すまんかった。先に戦っちまって…。来て早々に不意打ち喰らって煽られたせいで頭に来てさ。マークに天下一武道会を中止するよう頼んだから試合はまだできるってわかってたけど、それでも耐えれんかった」
「武道会を中止って、兄貴そんなことしてたのか」
「待てカイ、つまりカカロットのやつとまだ戦えるということか」
「え?うーんどうだろ…選手の何人かは辞めちまうだろうし、同じ形式でやるのかどうか…。でもまぁ戦える可能性はあると思うぞ?」
「―――悟飯!さっさとダーブラとかいうやつを消し去ってこい!貴様ともまだ戦ってないんだ、こんなこと早く終わらせてしまうぞ!」
「ベジータのやつ、急にやる気満々になったな…」
「魔人ブウが復活するかもしれない危機をこ、こんなこと呼ばわり…」
開いた部屋の中心から降りた先にいたのは、やはりトリを飾るダーブラだった。すでに戦闘の準備は整っているようで、見たことのない星の丘に立ってこちらを見ていた。
「ヤコンを倒し、スラッグを倒して最後のフロアに来るとは中々にやるようだな。賞賛に値する…だがそれもおしまいだ。この私、ダーブラが相手をするのだから」
「ふん。もうナンバー1のお出ましか。思っていたよりも、バビディとやらの部下たちは雑魚しかいなかったようだな」
「ふん、無駄口をたたく暇があるのならさっさとかかってこい。貴様らまとめてな…」
「ダメダメ!今度は僕の番なんだ!」
「…なんだと」
…少し苛立った様子のダーブラだけど、多分勝てないと思うなぁ。セルレベルのダーブラじゃ今の悟飯に負けるだろう。勉強の合間に悟空とかラディッツとかと一緒に鍛錬に付き合ってもらってたし、前よりも強くなってるだろうからな…。
◇◆◇◆◇
魔法によって生み出された炎があたりを飛び交い、砕かれた剣が破片となって悟飯に殺到する。さらに空からは隕石のような火球が雨のように降り注いだ。
しかしその標的となった悟飯は一切焦ることなく、そのすべてに対応していた。炎を吹き消し、剣を原子レベルまで砕き、火球をサッカーボールのようにダーブラへ蹴り飛ばす。
対するダーブラは飛んできた火球を同じ火球で相殺し、悟飯の傍に現れ唾を吐きつけた。だけどそれも小さな小さな気のバリアで防ぎ、気合砲をダーブラに放って岩山へ叩きつけた。
「悟飯のやつ、しっかり鍛えてやがったな!クウラの野郎と戦った時とおんなじくらいじゃねぇか?」
「いんや、パワーだけだな。キレの良さはあんときの方が上だと思う」
「どうやらサボっていたわけではないようだな。だが修行が足りてないとしか言えないぞ」
「まー悟飯は学者になりたがってたからな。オラは仕方ねぇと思う」
「それがあいつの選んだ道ということだ。俺は良いと思うがな」
「…あの才を腐らせるのに腹を立てているだけだ」
「へへへ、ベジータも甘くなったんじゃねぇか?言っちゃあなんだが俺も変わったきがすんだよなあがっ!?」
「黙れナッパ!舐めた口をききやがって…!」
横でナッパがベジータにどつかれてら。結構イイ音したからめちゃくちゃ痛そう…。
…そろそろ悟飯も終わりそうだなって、ん?ダーブラが帰っていく…。それに景色ももとに戻った。
「おいお前、負けそうになったから逃げるのか!」
「逃げる?ふっふっふ…違う。私が戦うよりもうってつけの戦士が見つかったのだ」
うってつけの戦士が見つかった?どういうことだ。ここには俺達しかいないぞ…。もしかして、外の方で誰かを洗脳しようとしてやがるのか!?
「はっ!!まずい!!」
「ッッ!?うおおおあああ…!?」
「やはりそうかっ!ベジータさん、あなたの心が利用されようとしているのです!無心になって…!」
「う、うるせぇっ!!すでにやってる…!!だが効果が無い…!」
「なんですって!?」
「ベジータさん頑張って!あいつに負けないで!」
「ベジータ…!!」
くっそ!ベジータが標的かよ!だけどベジータは耐えれてる、さっさと下のバビディを殺しに行けば間に合う!
「悟空!さっさとバビディを―――!?」
「っここは、武舞台…!?」
「あー!孫さん達どこに行ってたんですか!武道会は中止になったので別日に回されましたよ!観客の皆さんもすでに帰ってもらいましたし…?」
「あれ、孫たちじゃないか!?なんで急にあそこに!?」
「…ベジータ?様子が…」
観客のいない武舞台の上で、ベジータが苦しみ続けていた。助けたいけど今の俺達で何ができるかわからない。ほんとならバビディを殺しに行きたいけど、なんだか今のベジータを放ったら不味い気がする…。
「っっぐおあああああッッ!!!はーッ!はーッ!」
「おいベジータ、大丈夫っぐほお!?」
「ナッパ!?」
ナッパが近づいた瞬間、ベジータがナッパを殴り飛ばした。けれどそこに、いつものベジータのパンチの良さが見られない。乱雑さと苛立ちしかそこにないものの、威力だけはある攻撃だった。
「―――そうか!ベジータさんの耐えようとする魂とバビディの魔術が対立し続けたことで、体が暴走を始めているんだ…!」
「じゃあ今のベジータは、なりふり構わず暴れる可能性が…!?」
「……っ」
「ッバビデイイイイ!!誰もいない場所に変えろおおおお!!オラはベジータと戦うことにしたッ!!」
「悟空さん!?しかし…いえ、それしかないですね…」
「大丈夫だ、俺も行く!そっちはバビディを!」
「お父さん、海おじさん、僕とラディッツおじさんはバビディのもとに行きます!ベジータさんを、お願いします…!」
「頼んだ!!」
開いた入り口を通って悟飯たちが向かうのを確認し、悟空と共にベジータと向き合う。シンの言う通り、ベジータは暴走しているみたいだ。さっき以上に膨張した筋肉に、網膜が点滅するように白と黒を行き来している。今でも時々頭を抱えている様子を見るに、まだベジータが中で抗っているのがわかる。
「悟空、攻撃を貰ったらエネルギーが奪われちまう!さっさとベジータを正気に戻すぞ!!ガアァッ!」
「わかってる!だけどこれは、早めに終わりそうにねぇな…!ハアァッ!」
「ぐうぅぅぅううおおおッ!!」
多分だけど、今のベジータは超サイヤ人3に近い…!限界をバビディの魔術で引き揚げられたから、超サイヤ人2の姿でもかなり強いはずだ。かといってこっちが超サイヤ人3になったら溢れたエネルギーでブウが復活しちまうかもしれないから、今は超サイヤ人2で戦うしかない。
とにかくベジータを気絶させるなりして正気に戻すしかない!負けるなよベジータ…!
◇◆◇◆◇
三人のサイヤ人による死闘が始まったその時のことだった。ある地域のある池の底。そこに一つの氷塊が沈んでいた。
その氷塊が沈む池の傍には一つの
遠い荒野で響く衝撃と、大気を震わせるほどに放たれるエネルギーの波が水面を揺らす。静かに、とても静かに揺らした…。
それは、氷塊の中に眠る存在に届いた。届いてしまった。
「カカ、ロットォ……!!」
◇◆◇◆◇
ある地獄の一区画にて、一人の鬼が自身のヘッドホンから流れる音楽に合わせてダンスをしていた。先ほど先輩の鬼に叱られたというのに、呑気なものとしか言えない態度。
そんな鬼の傍に、どす黒い煙を内側にため込み続ける何かの機械があった。周りには同じような煙を限界までため込んだカプセルが置いており、その機械がどれだけの期間稼働し続けていたかを示していた。
その機械の名は、スピリッツ・ロンダリング装置。地獄行を命じられたものが輪廻転生をするとき、魂に内在されている罪や悪意などを流しだすことで、綺麗にして無垢な魂にするための重要装置だった。海が地獄に修行をしに来ていた時、見学していた装置がこれである。
その装置に繋げられていたカプセルの一部に、罅が入る。今も流される悪意の塊と言える煙によって、カプセルの限界値を迎えようとしていた。
しかし鬼は一切気づかない。ヘッドホンを付けて踊る彼はその危機に気づくことはない。
少しずつ罅が広がる。少しずつ、少しずつ…人が生まれてから積り続けた悪意の顕現が、近づいていた。
ベジータが魔人化しなかった理由としては、そもそも悟空が死んでおらずいつでも再戦できる&武道会が別日になったからさっさと終わらせて体を鍛えたいと考えていたことにより、洗脳される意味を見出していないからです。
さらに言えば、ボージャックの一件による覚醒と海が「次の超サイヤ人になれるかも」と零したことで3の存在に感づき、自分の力で壁を越えようとしていたことも影響しています。
しかし絆されていく自分に気に入らないと感じていた部分も存在していたため、そこを利用されました。
そして理性が操られそうになる部分とプライドの板挟みの状態になったことで限界を迎え、暴走する結果に。