ドラゴンボール ~もう一人の兄~   作:龍玉

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原作と同じような時間の経過は飛ばし飛ばしなのであまり見ごたえが無いかもです。

ちなみにキビトは死んでません。ダーブラの攻撃を喰らう寸前に海が間に入ったことで威力が減衰し、気絶で済んだからですね。


地上

 

またまた時間が遡り、悟天たちのフュージョンが順調に進んでいたころ。

 

 地上ではミスターサタンが魔人ブウを倒すために立ち上がり、紆余曲折あって召使のようなことをしていた。

 要所要所で魔人ブウを倒そうと毒入りチョコをあげたりチョップを放ったりするも、人の度合いで測れない存在である魔人ブウには少しも効果がなかった。

 時が経ち、ブウが小さな子犬を拾い治したときから、少しずつサタンは魔人ブウの行動に疑問を抱き始めた。

 子犬と戯れ、人類を虐殺していた存在と思えないほど純粋に子犬と遊んでいた姿を見て爆弾を起爆するのを躊躇うほどだった。

 

そしてついに、本人に聞くことを決意する。何故人を殺すのかと。

 

「あ、あの…魔人ブウさま?ひ、ひとつ…お聞きしても…?」

 

「ぺっぺっ…なにが?」

 

「な、なんで、に…人間を殺したり…家をこわしたりするんですか…?」

 

 ドッグフードを口にして吐き捨てる魔人ブウに対して質問するサタン。心臓が爆発しないか不安になるほどドキドキして、機嫌を損なわないか不安で仕方なかった。

 

「たのしいから」

 

「そ…それだけ!?」

 

「そうやってあそぶっていってた。ビビディもバビディも」

 

「だ、誰でしたっけ、それ…」

 

「オレを作ったイヤなヤツたち」

 

 対する魔人ブウはこれといった不機嫌な様子を見せることなく質問に答える。それはどこまでも子供の様で、これにはサタンも驚いてしまう。

 そして保身も含み、されど人のことを思って魔人ブウにあることを申し出る。自分に対する魔人ブウの扱いに気づかず。

 

「そ…そんなイヤなヤツたちの言ったことを、き…聞いちゃいけませんよ…。ダ…ダ…だめですよ…やっぱし…殺したり、壊したりしちゃ…」

 

「……」

 

「あ…!!け、結構です!!結構なんですよ!!楽しいんでしたら!!!」

 

「おまえはやっちゃいけないと思うか?」

 

「え…!?え…えぇまぁ…」

 

「じゃあやめた」

 

「へ!?」

 

 魔人ブウにとってサタンは少し変わった存在だ。他の人間は自分を見て恐れて逃げるし、叫んで隠れる。それを見て、壊して、楽しんでいた。

 サタンは違った。子犬のように自分をスキと言って、体を洗ったりご飯を作ってくれた。だからビビディやバビディみたいな嫌な奴じゃないし、サタンが嫌なら自分もしないと決めるぐらいには、魔人ブウの天秤の比重はサタンや子犬に傾いていた。

 

 そんな内心を知る由もないサタンは、魔人ブウがもう虐殺もしないし破壊したりしないことを約束させた自分を自分で持ち上げていた。ついには「海さん見てますか!?このミスターサタンが地球を救いましたよー!!」と心の中で叫ぶほどだ。

 

 このままだったら確かに地球は救われた。動機はどうあれ、魔人ブウと友情を育んだサタンの手によって。

 

しかし魔人ブウは悪と善に分離してしまった。他ならぬ地球人の悪行によって。

 

 一人の地球人が悪の魔人ブウに殺され、善と悪の戦いが始まった時だった。サタンの傍に誰かが現れたかと思えば、気配を感じさせず音もなくサタンに近づく。

 

「サタン」

 

「ぎゃああああああ!?だ、誰だあぁぁ…か、海さん!?」

 

「久しぶり~」

 

 サタンの傍に現れた男性、その正体は今も死んだままの筈の孫海だった。事実天界では急に海が動き出し、サタンの傍に現れたことでてんやわんやの大騒ぎを起こしている。

 

 サタンは海の姿を見て安心すると同時に、違和感を覚えた。海はこんなに老成したような雰囲気だっただろうか。

 

「い、いやそんなことより!海さんブウを!あの丸っこいブウを助けてやってください!わ、悪いやつらがブウに命令したからブウはあんなことをしただけなんです…!」

 

「あー…すまんサタン、それはできん。俺がここに来たのは念のためだったからな。()()も残っちゃいねぇし」

 

「ね、念のため…?」

 

「あぁ。もしサタンが事故で死んじまったらやばいし、この後天界がぶっ壊れるから俺の肉体も置いとくわけにはいかないからな。ここに来たのは本当に万が一のためってやつで、戦うことはできねぇ。無理やり動かしてる状態だし…」

 

「む、無理やりって、どこからどう見ても元気そうですけど…」

 

「うんにゃ、魂だけが無い状態だからだな。怪我してるわけじゃないから外観はきれいに見えるってだけだ」

 

「???」

 

 要領が掴めない海の返答にサタンは疑問でいっぱいになった。唯一分かることは、今の海ではブウを助けることはできないということ。

 その事実に歯噛みしてしまうサタンを見る海の目は、どこか懐かしさを帯びた目をしていた。

 

「…ブウが食われたか。もう俺が出てくることもできないけど、ここまで来たら大丈夫だろ…サタン、俺の体のことよろしく頼むわ」

 

「はい??ちょっ、海さん!?」

 

 ブウが一つになった瞬間を確認した海はゆっくりと地面に倒れ、ぴくりとも動かなくなった。遠くにいた地球人を殺し、サタンを襲おうとして急ブレーキをかけた魔人ブウが近くに来ても一切動かない姿は、ブウが遠くに行ってしまった後のサタンにうすら寒いものを覚えさせた。

 先ほどまで元気そうに喋っていたのは、誰だったのだろうか、と…。

 

◇◆◇◆◇

 

 時間は飛び、精神と時の部屋に魔人ブウが入ったのを確認した亀仙人と鶴仙人、桃白白が固まって入り口を見ていた。その背後には天界に避難してきたものたちがいつでも動けるように集中している。

 

 亀仙人たちが何故最も前にいるのか。それは、もしもゴテンクス達が敗北して精神と時の部屋に閉じ込めることに失敗した場合に備えるためだった。

 もしも魔人ブウが出てきた時、それは地球で魔人ブウに立ち向かえるものが居ないということを指し示す。なればこそ、魔封波という格上殺しの技を身に着けた亀仙人たちが戦わなければいけないと彼らは確信していた。

 

「鶴、失敗は許されんぞ」

 

「分かっておる。チャンスはほぼ一回のみじゃ…!」

 

「天津飯、餃子。もしもの時は、お前たちが皆を連れて逃げよ。わしらのことは置いていくのじゃ」

 

「…ッ!…わかり、ました…」

 

「鶴仙人様、桃白白様!どうか死なないで…!」

 

 餃子の嘆願に桃白白が頷いたときだった。彼らのすぐそばから爆発音と共に凄まじい気の奔流が流れ出した。

 全員の意識がそちらに向かった瞬間、縮まり始めた空間の穴から細長いものが現れ、魔人ブウの形を作り出す。

 

魔人ブウが言葉を発する刹那、三人の気が膨れ上がり、緑色の気功波が放たれた。

 

「「「魔封波ッッ!!!」」」

 

「ッ!?ギイヤオオオオッ!?」

 

 出てきた瞬間に放たれた気功波を避けることも出来ず、魔人ブウが魔封波によって生成された台風のような気の流れに沿って「魔人封じ」と書かれた瓶へと向かい始める。

 無事命中した事実に歓喜を上げる者たちがいる中、亀仙人たちの額を脂汗が凄まじい勢いで流れ出す。

 

(こ、こやつ!!なんという抵抗力を持っておるんじゃ!?)

 

(これほどの力を持った怪物と、孫悟空たちはやり合っていたのか…!)

 

(まずい、わしらのパワーでは抑えることが出来ん…!!間に合っておくれ!!)

 

 あと3秒、あと1秒というところで魔人ブウの脳裏に過去の記憶が蘇る。

 ビビディによって封印され、身動きを取ることも出来なければお菓子も食べることが出来なかった、窮屈でしかなかった封印の状態。

 

もしもこの封印が成功した時、お菓子は食べられるのか?

 

「―――イヤだアアアアアアアアアアッッ!!!」

 

「「「ぐううっ!?」」」

 

 封印されることに対する拒否反応を起こした魔人ブウによって魔封波の気の流れが逆流し始める。亀仙人たちが主導権を握り返そうとするも、魔人ブウのパワーに押し負け、ついには自分たちへと牙をむき始める。

 咄嗟にどどん波を放つことで瓶を破壊しようとするも、逆流した魔封波に飲み込まれあえなく失敗。無念の声を上げながら、亀仙人たちは瓶の中に封じ込められてしまった。

 

 意地の悪い笑みを浮かべた魔人ブウが瓶に蓋をして、そのまま飲み込んでしまう。

 その一部始終を目にする直前、餃子が瞬間移動を行うことで皆を逃がそうと画策するが、魔人ブウから放たれたビームを浴びてしまったことで餃子へと変化してしまう。

 

「へっへっへ…ちょっとハラへってきたからな~…なにたべようかな~…」

 

「ッうわあああああ!!!」

 

「チョコになっちゃえ!!」

 

「あっ!?」

 

 魔人ブウめがけて飛び出した林がチョコへと変化し、力なく地面へと落下する。超サイヤ人となった林がなすすべなく負けた現実は、その場にいた者たちに冷や水のような冷たさを感じさせた。

 

 立ち向かう者、隠れようとした者、逃亡を図る者全員が魔人ブウに食われていく。最後に残ったバイオレットも、銃で立ち向かおうとしたがなんの効果もなく飴玉に変えられてしまった。

 

◇◆◇◆◇

 

 ゴテンクスが地球に戻り、魔人ブウと戦い止めを刺そうとした寸前に超サイヤ人3が解けてしまった後のこと。潜在能力を解放した悟飯によって魔人ブウが叩きのめされ、姿を眩ませた。

 

 道中で海の肉体を引っ張って移動していたサタンを拾い、なんとかデンデと合流することに成功したのだった。

 

「それにしてもおっちゃん、なんで海さんの体を引っ張ってたんだ?俺達が最後に見たときは元気に動いてたのに」

 

「そ、そんなこと言われても…オレだってなんで海さんが動かなくなったのか知りたいぐらいだ」

 

「…ミスターサタン、海のやつが倒れる前になんと言っていたか覚えているか?」

 

「え?う、うーん…確か、『時間がない』だとか、『魂だけが無い状態』とか、『俺が出てくることはもうない』とか意味不明なことばかり言っていたような…」

 

「時間がない…?それに、俺が出てくることはもうないだと?」

 

「なんというか、まるで海おじさんの中にもう一人誰かいるみたいなニュアンスですね」

 

「海おじさんって二重人格ってやつなのかな!?今度聞いてみようよトランクス君!」

 

「でも海さんにそんな雰囲気はなかった気がするけどな~…」

 

「―――しっ!何か近づいてくる…この気は、魔人ブウか…!?」

 

「ま、まさか…もう戦う気なのか!?たったの一時間で何が変わったというのだ…」

 

「今度こそ止めを刺してやる…!みんなは巻き添えを喰らわないように気を付けて…!」

 

 

「さぁ、たったの一時間で何が変わったのか見せてもらおうか…」

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「ぐあッ!?」

 

「ふっふっふ…そいつはゴテンクスとやらの技だ…。どんな気分だ?仲間の技にやられるってのは」

 

 現れた魔人ブウによって合体した二人とピッコロが吸収され、少し前までの圧倒具合が逆転した。悟飯以上のスピードとパワーを手に入れた魔人ブウによって悟飯の体に痣ができ始め、その道着を血で汚していく。

 

その様子は界王神界にいる悟空に焦りを生み出していた。

 

「こ、このままじゃ悟飯がやられる…!くっそー…!オラも戦いてぇけど、今のオラじゃ…!」

 

「こりゃ計算違いじゃったの~。しゃーない。悟空よ、これを身に着けい」

 

「えっ?じいちゃんなんだこれ」

 

「ふっふっふ…それこそ昔から界王神のとっておきの宝、ポタラじゃ!フュージョンのように合体するが、そのパワーはフュージョン以上の優れものじゃ!」

 

「「「フュージョン以上!?」」」

 

「し、知りませんでした…」

 

「全くこれだから若いもんは…キビトと共につけてみぃ、実際に効果が出る筈じゃ」

 

 キビトと界王神が試したところ、キビト神が誕生した。そのパワーは先ほどの二人が合体したとは思えないほど上昇し、効力の凄まじさを体現していた。

 

 気分が上がってしまって付いて行こうとするキビト神が老界王神によって諫められつつ、ポタラを身に着けた悟空が地上へ向かおうとする。

 すでに地上ではデンデを殺そうとした魔人ブウの気弾を逃げ延びていたボージャック一味が阻止し、ナッパと共に立ち向かい六人ともノックアウトされたところだった。

 

「やべぇ、ナッパたちが倒れちまった!急いで行ってくる!界王神のじいちゃん、あんがとな!」

 

「悟空さん、お気をつけて!」

 

「…行ったようじゃな。よし、お前さんも急いでベジータを回収してくるんじゃ。なんかあったときの為にも用意をして損はせんしのう」

 

「ベジータさんを!?しかしどこにいるのかがわかりませんよ…」

 

「どうやら気絶しておるようじゃな。この星に居るようじゃから急いで回復させてくるんじゃ!ほれ、急ぎ足!」

 

「わっわかりました!カイカイ!」

 

 

 

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