一部イベント特効ゲーマーの行くVRMMO(ゴシック体対応版)   作:みなかみしょう

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第11話:仲間達

「うわぁ、すごい姿ですね。コサヤさん」

「……適当にやったらこうなった」

 

 目の前に銀髪碧眼、更に猫耳で小柄の少女が座っている。どこか神秘的な雰囲気すら感じる美しい容姿の子。ただ木陰に座るだけで絵になる。奇跡的な出来上がりのアバター。そんな感じだ。

 

「今回は女性なんだな。びっくりしたわ」

 

 俺の横でそういうのは糸目に眼鏡、それと半端な長さの青髪の青年。正直怪しさ大爆発といった男性アバター。

 

「カモグンさんもなんか凄い見た目になりましたね……」

「いいでしょ。この怪しい感じが」

 

 銀髪碧眼美少女がコサヤさん。怪しい青髪糸目がカモグンさん。

 共に『ゲヘナ・オンライン』の世界を駆け抜けた古くからの仲間だ。

 

 あの後、昼食をとって帰宅したらカモグンさんから連絡が来ていた。情報交換をしたいということで、サーバーとチャンネルを指定されたので素直にログインしたという次第だ。

 

 集合場所はフロントタウン近くにある農場。移民してきた人が作ったという設定の場所で、敷地が広い。モンスターも出ないし小屋など建物も多いので集まりやすい好立地だ。

 今は農家の自宅近くの、農場が見渡せるちょっと小高い場所にあった樹木の下に集まっている。目立つ場所だけど周囲に人はいない。クエストのある場所でもないので、人気がないのだ。

 

「さて、よく集まってくれた。皆の衆」

 

 厳かにカモグンさんが話し始める。たまに口調が強いときがあるけど、面倒見の良い人である。ゲームの情報を四六時中集めている情報通だ。

 普段はIT系の会社員らしい。らしいというのは、詳しく聞いたことがないからだ。インターネット老師の教え『他人のプライバシーに深入りするな』である。

 プレイスタイルはクラフトなど制作が大好きなタイプ。それをマーケットに出してひと稼ぎもよくやり、MMOの経済方面に明るい人でもある。

 

「……たまたまログインできる日で良かった」

 

 銀髪美少女が鈴を転がすような声で言った。

 コサヤさんは謎の人だ。無口で、あまり長文を喋らない。自分のことも喋らない。

 プレイスタイルは戦闘民族。いつもどこかで戦っている。そして、とても強い。

 三人の中で一番上手いのはこの人だ。その気になればプロゲーマーになれるんじゃないかというレベル。

 そういうと「そこまでじゃないよ」と言うのが恒例で、実際見ているとコサヤさんは楽しいからVRゲームをやっているのがわかってくる。

 つまり、エンジョイ勢(ガチ)みたいな人なのだ。

 

「二人共、BWO始めてなんか気になるところあったか?」

「……序盤すぎて何とも。噂の個別ユニークスキルが気になる」

「俺も俺も。実際どうなんですか?」

 

 BWOの売りの一つに『個人個人にユニークスキルが生まれます!』というのがあるのだ。なんでも、プレイスタイルに応じて自動的に生えてくるらしい。

 どんなユニークスキルが付与されるのか、とても興味がある。あと性能も。

 

「まだ廃の連中も生えて来てないみたいだよ。ユニークスキル。クラス取得して、そこそこ進めないといけないんじゃないかね?」

「……やはりそうか」

「すぐにポンポン取得できるもんでもなさそうですしね」

「ま、プレイヤーのデータ取得も必要だからな。時間はかかるだろ。とりあえず普通に遊べるみたいで安心したよ」

「結構作り込まれてますよね」

「……安心した」 

 

 VR時代になってもゲームは玉石混交だ。別ゲーのコピーみたいだったり、バランス調整が滅茶苦茶だったり、素直にクオリティが低かったりするのはザラである。

 その点、BWOについては今のところ印象が良い。初心者向けの調整、ゲーム上での誘導。偉そうな言い方だけど、よく頑張ってるように感じた。

 

「今後、いきなり雑になるかもしれんけどな。ま、期待しておこう」

「……序盤は殴ってるだけで面白い」

「ですね。そういや俺、PvP挑まれたり、配信者に会ったりしましたよ」

「ほう。どうだった?」

 

 とりあえず、PvPモードになった瞬間処理が変わったりすることはなさそうだ等、気付いたことを話しておく。ついでに三下系配信者フィーカについても。

 

「ふむ。それだと、PvP特化のキャラ作りとかしなくてもいいかもな。まだ全然わからんが」

「……その配信者のチャンネル、後で教えてほしい」

「コサヤさん、配信見るんですか?」

「意外だな……」

 

 コサヤさんがフィーカの話題に食いついた。良かったな。登録者が増えるぞ。

 

「それで、カモグンさん。なにかあったんです?」

 

 この人は理由がなければ連絡はしてこない。今回も事前に「BWOする予定はあるか?」という短い問い合わせが来ただけだった。同じゲームをしてても、会わないことだって珍しくない人だ。

 

「おう。その様子だと知らないみたいだな。えっと……プライベートモードに入れないと不便だな。早くハウジング開放したい」

 

 一瞬宙空を見てからそんなことを言うカモグンさん。プライベートモードというのは、ゲーム内にいながらブラウザを開いたり仕事をしたりできるようになるモードだ。主にギルドハウスなど、自分の領域で使える。

 情報共有に便利な機能なんだけど、始めたばかりの我々には使えない。

 

「ちょっと前にネットの書き込みをチェックしたんだけどな。もう見つけたぞ、ゴシック体」

「…………詳しく」

 

 コサヤさんが前のめりになった。俺も居住まいを正す。

 

「フロントタウンから出た先にある任意クエストの書体がゴシック体らしい。内容は迷子の子供を見つける、人探し系みたいだな」

「……難易度は?」

「普通。そのうえで、普通にクリアできるらしい」

「それはおかしいですね」

 

 俺の言葉に二人は頷く。

 

「ゴシックPが素直にクリアするだけのクエストを準備するとは思えない。なにか裏がある。ネットの連中もそう考えてる。ま、クリアしたら再度受けられないから検証できないみたいなんだが」

 

 ゴシックPとはそういう男だ。いや、女かもしれないけど。必ずエンディングを二つ用意するタイプ。それは徹底していた。なんなら、イベントが終わった後「こうすれば別エンドでしたー」とか煽ることすらあった。許せん。

 

「行きましょう。どこで受けられるんです?」

「フロントタウンの次にある転職町。……トミオ、まだ新米探索者だな?」

「今、レベル8です」

「……あと2か。すぐ上がるよ」

「じゃあ、転職町に行ってそこのクエスト受けてクラスについてくれ。そうでないとクエスト受託もできん」

 

 早くもゴシックPの仕事に挑めるかと思ったらこれだ。二人はもう何らかのクラスについたってことか。

 

「参考までに、二人は何のクラスにしました?」

「僕はアルケミスト。コサヤさんはファイターだよ」

「…………任意で転職できるらしいから気楽に選べ」

 

 BWOはレベル10で最初のクラスに就くことができる。種類はファイター、シーフ、レンジャー、ウィザード、プリースト、アルケミスト。

 意外と少ないが、装備する武器によって細かく取得スキルが変わるそうだ。更に、任意で別のクラスへ変更可能。例えばファイターが肌に会わなかったらすぐ別クラスに、なんてこともできるという。

 

 一本伸ばしがいいのか、複数職を兼任するのが良いのか。どれが有利なのかはまだわからない。なので、好きなのを選ぶべきだな。

 

「まだ検証も何もないからね。とりあえず好きな職につきな。そのうちリセットするなり色んな手段が来るだろ」

「それもそうですね。じゃ、クエスト受けられるようになったら連絡します」

「うむ。頑張ってくれ」

「……よろ」

 

 そう言って全員立ち上がる。なんか現地解散みたいだけど、行き先は全員同じだ。フロントタウンの西に転職の町『シ・ギブン』がある。探索者ギルドで教えてくれた。

 

「ちなみに二人共、待ってる間、何するんです?」

「素材集めだな。将来のために」

「狩り」

 

 思った通りの返答で安心する。

 

 この三人でチームを組んでことに臨むのも久しぶりだな。

 さて、ゴシックPの用意したクエストはどんなもんだろうか。その前に転職しなければ。

 

 その後雑談しながら三人で西へと向かった。

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