一部イベント特効ゲーマーの行くVRMMO(ゴシック体対応版)   作:みなかみしょう

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第12話:クラスを取得しよう!

 そのでかい体育館のような町の名前を『ジ・ギブン』と言った。

 フロントタウンの西にある町だ。実際見て驚いた。城壁のある中世風のちょっとした町並みを想像していたら、現われたのは石造りの巨大体育館だ。

 

 外敵に備えた巨大集合住宅、それが『ジ・ギブン』だった。

 これを作ったのはフロントタウンの人々じゃない。

 元々、この世界で暮らしていた人々だ。

 

「はいよ。森ニンジン100個」

「ありがとねぇ。これでしばらく食べていけるわぁ~」

 

 目の前で嬉しそうに微笑むのは頭から白い兎耳を生やした柔和な女性だ。ちゃんとお尻に短い尻尾も生えている。着ているのは普通の村娘風の服で、この『ジ・ギブン』には似たような獣人系の人が沢山いる。

 

「他に仕事はあるかな? アニーマ族とは仲良くしておけって、ギルドから言われてるんでね」

「今は大丈夫よ~。ワタシら見たいな戦い向きじゃない種族はお世話になってるんよ~」

 

 にっこり笑い、クエスト報酬の経験値とお金をくれた。

 

 アニーマ族。いわゆる獣人。人間に獣耳と尻尾が生えた程度のケモナー的には控えめな外見の種族。それが、俺達が最初に接触した、『スザンウロス』の先住民だった。

 

 彼らは文明を失っていたらしく、半壊した『ジ・ギブン』に住み着いていた。そこにフロントタウンから探索者達が接触。共生関係が始まった、という筋書きだ。

 

 現在、『ジ・ギブン』の内部はフロントタウンから来た人々によって立て直されて、小綺麗な感じになっている。大きな箱の中に石造りの四角い家が建ち並ぶ小さな町。まるで小さめのショッピングモール。そんな場所だ。

 

 天井部分はモンスターか何かの透明な素材が使われているらしく、結構明るく歩きやすい。広場もあって中央には噴水があったりする。もちろん、復活地点設定の設備もそこにある。

 

 カモグンさんとコサヤさんとここまで来た俺は、手っ取り早くクラス取得のためクエストをこなしていた。なんと、あの二人はアイテムを少し恵んでくれた。おかげで時短出来たぜ。

 

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 トミオ

 レベル:10

 クラス:新米探索者

 HP:52

 MP: 0

 

 STR(筋力):12

 AGI(速さ): 13

 VIT(体力): 7

 DEX(器用):12

 MNA(魔力): 5

 LUC(幸運):13

 

 装備:

右手:ショートソード(攻+4)

左手:ウッドシールド(防+3)

体:レザーアーマー(防+5)

頭:なし

アクセ1:なし

アクセ2:なし

 

 

 クラススキル:なし

 汎用スキル:なし

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

「よし。レベル10。転職するか」

 

 ほぼ外に出ないでここまで来られた。さっそく、町の中にある各職業へ転職できるクラスギルドに向かう。

 

「よう、新入り。転職かい? 良ければ解説するぞ?」

 

 入るなり、筋肉質な男に話しかけられた。

 

「やあ、ジャックさん。レベル10になったんで戻ってきたよ」

「おめでとう。どのクラスにつくつもりだ。あらゆるクラスに就いた俺がアドバイスしてやろう」

 

 彼はジャック。クラスギルド内の解説役だ。なんでも、あらゆる職を経験しており、的確なアドバイスをしてくれるらしい。

 この手のNPCは会話しやすく、案外良いことを教えてくれる。特にサービス開始直後の今なら、まだ知られていない情報も引き出せるかもしれない。

 

「さて、トミオはどのクラスになるつもりだ?」

「シーフで考えてるけれど。何か気をつけることあるかな?」

「そうだな。ファイターと同じく接近して戦うことの多いクラスだ。扱う武器に特徴があるな。専用武器が多い」

「短剣やショートソード以外の、例えば暗器みたいのも使えるってこと?」

「怖い言葉を知ってるな。肯定だ。ブーメランやボーラみたいなちょっと変わったものもあるぞ。案外便利だ」

 

 BWOは武器ごとにスキルが変わる。そうすると、専用武器ごとにスキルツリーが生まれるシーフって案外面倒かもしれないな。ボーラって、相手を転ばせる、ボールに紐がついてるような武器だよな。あれのスキルってどんなのなのやら、想像もつかん。

 

「そんな不安そうな顔をするな。イマイチ合わないと思ったら気軽にクラスや武器を変えればいいのさ。そうすれば、俺みたいになれる」

「ジャックさんみたいにって言われてもなぁ」

「むっ。今では引退してるが、現役時代はなかなかだったんだぞ。あらゆる状況に対応できる変幻自在のジャック。それが俺だ」

「器用貧乏って言われなかったの?」

「そこは安心しな。意外と鍛えた技術は無駄にならないものだよ」

「……ふむ」

 

 今の言い方は興味深いな。運営側でこう言える程度にはクラスや武器を切り替えて戦うことを想定しているのかもしれない。

 NPCの発言をどこまで信用するかという問題もあるけれど、少なくともそういう想定の調整をしていると考えても良さそうだ。……全然外れる予想かもしれないが。

 

「ジャックさん、俺、シーフになります」

「よしっ、良い返事だ。シーフギルドは地下に降りた一番奥だぞ。行って来い。困ったことがあれば相談してくれ」

「ありがとうございます!」

 

 礼を言って俺は建物内の地下に向かった。

 

「おめでとう。今から君はシーフだ」

「はやっ」

 

 シーフギルドに入って、ちょっとエロい感じのお姉さんに話しかけたらあっという間に転職できた。

 クエストの一つもない。ここで時間をかけることもないっていう計らいだろうか。

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 トミオ

 レベル:10

 クラス:シーフ(1)

 HP:52

 MP: 12

 

 STR(筋力):12

 AGI(速さ): 13 +1

 VIT(体力): 7

 DEX(器用):12 +1

 MNA(魔力): 5

 LUC(幸運):13+1

 

 装備:

 

右手:ショートソード(攻+4)

左手:ウッドシールド(防+3)

体:レザーアーマー(防+5)

頭:なし

アクセ1:なし

アクセ2:なし

 

 クラススキル:なし

 汎用スキル:なし

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

「お、少し補正が入ってる。MPも生えてきたな」

 

 クラス名の横にある数字はクラスレベルらしい。キャラクターのレベルとは別に存在するのね。

 服装なんかの見た目は変わっていない。こちらは装備品依存のようだ。

 

「スキルは仕事をしてるうちに覚えるんだよ。装備の方は……あんたはそのままで良さそうだねぇ」

「はは、確かにそうだ。ま、やってみますよ」

「この辺のクエストを受けてみるといいよ。いいのが揃ってるから」

 

 そうして、エロい格好のお姉さんはにこやかに俺を送り出してくれた。名前すら聞かなかったな。とりあえず、外で皆と合流だ。

 

「シーフになってきました!」

「ご苦労。よし、行くぞ」

「……行くぞ」

 

 カモグンさんとコサヤさんに連絡したらすぐ来てくれた。そして、そのままクエストに連行である。

 

 連れて行かれたのは建物の片隅。居住区になっている広場の中で困っているアニーマ族のお母さん。ちなみに猫系。

 

「息子がいないんです。ジ・ギブンじゃなくて、外の森に行ってしまったようで……。最近、子供たちの間で金色の蝶が飛んでいると噂になっていて……」

 

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『アニーマ族の子供・黄金の蝶事件』

 推奨レベル:10

 

ジ・ギブンの子供が行方不明になった。

どうも、近くの森に出るという金色の蝶が関係しているようで?

探索して子供を救い出そう!

※このクエストは協力可能です。同じクエストを受けている仲間とパーティーを組みましょう。

 

報酬:1000EXP

   1000Gn(ギニー)

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 非常にシンプルなクエスト説明。

 

 そして何より、これだけフォントがゴシック体だった。

 

 見た瞬間、身体が震えた。一瞬、視界の隅で【心拍数増加!】という警告まで出た。

 間違いない。このゴシック体だ。五年ぶりだ……。待ってたぜ、この瞬間をな。

 

 はやる心を抑えて、もう一度クエストのウインドウを読んでみる。

 状況に対して説明が短すぎるな……。

 

「どうしたトミオ?」

「いえ、とりあえず受諾、と」

「ありがとうございます! 息子の名前はピーカ。私によく似た男の子です!」

「その噂の森はどのあたりです?」

「北にあります。特に名前もないんですが、比較的安全でよく薪や野草を取りに行っています」

「近所の森なんですね。わかりました。安全ってことはモンスターも少ないんですか?」

「ええ、でも、子供たちだけで向かわせるような場所ではありません」

 

 それほど怖いモンスターはいない。普段は、ってところか。

 

「じゃ、行ってみます」

「どうかよろしくお願いします」

 

 お母さんに頭を下げられつつ、俺達はその場を後にする。

 

「……トミオ、何か気付いた?」

 

 早速飛んできたカモグンさんのパーティー要請を受諾していると、コサヤさんが聞いてくる。……銀髪美少女が上目遣いをやるとかなり可愛い。見た目の力は凄い。

 

「情報を集めてから向かいましょう。気になることがあるわりに、クエスト説明があっさりしすぎてる」

 

 金色の蝶とかいう明らかに何かあるものについて説明が少なすぎる。ちょっと聞き込みしてから向かいたい。

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