一部イベント特効ゲーマーの行くVRMMO(ゴシック体対応版)   作:みなかみしょう

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第17話:クエストの完遂

「ありがとうございます! 本当に皆さんには感謝してもし足りません……っ。ほら、お前もお礼を言うんだよ」

「ありがとう。探索者の兄ちゃんと姉ちゃん……」

 

 あの後、コサヤさんと合流したら子連れだった。形としては子供を護衛しつつの帰り道。実質的には雑魚を散らしながらの移動をさっくりと片付けて、依頼を報告。

 

【『アニーマ族の子供・黄金の蝶事件』を達成しました】

【1000EXPを獲得】

【1000Gn(ギニー)を獲得】

 

「無事に達成ですね! お疲れ様でした! いやー、まさか隠し条件まで達成するとは、このフィーカ、皆さんと出会った幸運に感謝するばかりですよっ!」

「……楽しかった」

「ま、何とかなってよかったな」

「……うーん」

 

 違和感がある。もうちょっと何か足りないような。

 

「どうした?」

「……みんなで試しに探索者ギルドに行きません?」

「……その心は?」

「報告が必要だと思うんですよ。不審者退治のね」

 

 ジ・ギブンは巨大な建物内にある町だ。巨大とはいえ、広さはそれほどでもないので探索者ギルドは近い。

 ギルドに入って受付の人に事情を話すと、すぐに偉い人が出てきた。

 

「錬金術師か……。最近、他の地域でも目撃されている。このスザンウロスの錬金術師の危険な一派が色々とやっているそうだ。今回もその一環だろう」

 

 俺が代表として話してみたら、髭面のギルド長がスラスラと喋りだした。……これは、専用イベントだな。

 

「一派ってことは集団なんですか?」

 

 ギルド長が大げさに頷いて続ける。

 

「ああ、お前達もこれからモリス・ルクスに行くんだろう? 関わることもあるだろう。気をつけるんだぞ」

「モリス・ルクス?」

 

 全員で疑問符を浮かべる。次の町の名前だろうか?

 

「そうか。まだお前たちは知らされてなかったのか。ここから西にいった先にあるでかい町だ。なんでも、この大陸に残った唯一の大都市だとか。現地の人々は探索者の協力を待っているぞ」

「異世界から来た俺達を歓迎しているんですか?」

 

 今のはカモグンさんの発言。

 設定的には神様の魔法でこの世界へやってきたのが俺達探索者だ。コサヤさんみたいな獣人的な見た目の人は、スザンウロス人が探索者になったという設定らしい。とはいえ、基本的に別世界から入植している立場なの確かだ。

 あまり現地で歓迎されるような話じゃないと思っていたんだが。

 

「ま、俺達がこうして町を運営できてる理由だな。なんでも度重なるモンスターの襲撃で、ボロボロらしい。どこの世界も色々あるもんだ」

 

 この町のアニーマ族も難民みたいなもんだしな、とギルド長が付け加えた。

 そういう事情か。猫の手ならぬ、異世界人の手を借りたいくらい荒れてる世界ってことだな。

 

「じゃ、せっかくなんで西に向かってみます。ありがとうございました」

「おお、気を付けてな。そうだ、報告の礼に少しばかり報酬をやろう」

 

 

 

 

【1000EXPを獲得】

【1000Gn(ギニー)を獲得】

 

【おめでとうございます】

 

 ★【『アニーマ族の子供・黄金の蝶事件』の完全攻略を達成しました】★

 

 最後の文字は、ゴシック体だった。

 やり遂げたぜ……。

 

「おお! 完全攻略! つまり、報連相をしっかりしなきゃ駄目だったってことですね! さすがトミオさん! 社会人の基本を押さえてますね!」

「俺、学生だよ……」

「いつでも社会人になれますね! レッツ労働!」

 

 その場で赤金のツインテールを振りながら跳ねるフィーカ。なんて嬉しくない褒め方をするんだ。

 

「さすがの対ゴシックPぶりだな。完封じゃないか」

「……心が通じてる」

 

 コサヤさんまで酷いことを言う。とんでもない侮辱だ。

 

「まあ、今回は完全勝利ってことで。……この攻略、とっととネットに流しちゃいましょう」

 

 きっと悔しがるはずだ。二重のボス、特にヒントのない報告と報酬。逃したプレイヤーの文句を見てほくそ笑むのがゴシックPの目的だったはず。……全部俺の想像だけどな。

 

「あ、待ってください! できれば動画で公開させてください! すぐやりますから! もう、凄い勢いで!」

「僕は今すぐログアウトして掲示板に書き込みたい気分なんだが」

「……私も」

「お、お二人がトミオさんみたいな顔してるっ! 急ぎますから! 少々我慢してください! どうかお願いします!」

 

 ギルド長の前で土下座を始めるフィーカ。二人共、ゴシックPに思うところがあるからここにいるんだぞ。あと、ギルド長は難しい顔で固まってる。NPCをフリーズさせるのか、あの土下座は。

 

「とりあえず、次の街。モリス・ルクスでしたっけ? そこに行ってみませんか?」

「そうだな。そういえば、次の町に行くとプロローグ終了のメッセージが流れる聞いたな」

「ほほー、それは楽しみですねぇ。動画とらなきゃ!」

「……行こう」

 

 そういうことになった。

 

 モリス・ルクスはジ・ギブンより西の町。ただし、道行きは比較的安全だ。街道が整備されていて、石畳の上をのんびり歩いていける。

 ちなみにカモグンさん情報によると街道を外れると結構強いモンスターが出るらしい。地味に嫌がらせみたいな設定になっているそうだ。

 

 今回は次の町に行くのが目的なので、俺達は素直に街道を進んだ。

 

「? もうクエストクリアしたんだし、フィーカは帰っていいんだぞ?」

「酷い! せっかくだからこのメンバーでプロローグ終了の感動を味わいたいんですっ! なにとぞ同行の許可を……っ」

「土下座しなくていい」

「……土下座のモーションが早い」

 

 コサヤさんが変なところに感心していた。単純にログアウトして動画編集しなくていいのかと思っただけなんだが。

 

「見えてきたぞ。この辺り、台地の上だったんだな」

 

 街道が大きく曲がったと思ったら、崖の上みたいな地形に出た。

 

「わあ、あれが『モリス・ルクス』ですね。……結構壊れてる」

 

 フィーカの言う通り。

 視界の中には山に寄り添うように作られた城塞都市が見えた。巨大な城を中心に作られた石造りの街並み。高低差が激しく、最下層はかなりの広さを持っている。

 しかし、そこかしこに設けられている城壁はボロボロだ。何度も戦いに巻き込まれ、疲弊した都市。かつては壮麗だったろうに、今は見る影もない。寂寥感のある光景だった。

 

「海があるな。そのうち渡れるのかもしれん。船がいないが」

 

 城の向こうに広がる大海原を見てカモグンさんが言う。大都市に隣接している割に静かな光景は、確かに不穏に思える。

 

「……広いね、色々ありそう」

 

 コサヤさんが見ているのは都市の周りにある地形だろう。山あり森あり。きっとダンジョンやイベントが沢山待ち受けているだろう。

 

 しばらくはこの町を拠点に冒険することになるんだろうな。

 

【おめでとうございます。プロローグを終了しました】

【モリス・ルクス以降は、以下の要素が解禁されます】

 

【『クラフト』が解禁されます】

【『ハウジング・賃貸』が解禁されます】

【『ギルド』及び付随機能が解禁されます】

【『ユニークスキル』が解禁されます】

 

【ようこそ。『ビヨンド・ワールド・オンライン』へ】 

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