一部イベント特効ゲーマーの行くVRMMO(ゴシック体対応版) 作:みなかみしょう
◆WARNING!◆
【ボスモンスター出現!】レッド・キャリアー 推奨レベル38【危険度:☆☆☆】
◆WARNING!◆
第二層の出口に近づくなり、視界に警報が表示された。わざわざ警告されるまでもなく、前方ではプレイヤー達が赤い色のゴーレム及び取り巻き相手に奮戦している。
「レッドキャリアー」、見た目は赤色の丸太で組んだ人型だ。胴体から下半身が太く、安定感がある。パワー型ということだろう、前腕も太い。肩や背中に赤いきのこが生えていて、それが鎧を来た大男みたいなシルエットを形成している。
切り株みたいな頭部には、意味があるのかわからない穴が二つ。逆にそれが空虚な顔つきを生み出していて、不気味さすらある。
取り巻きはぴょんぴょん跳ね回る赤いきのこだ。高さは1メートルちょっと。動きの速さより跳躍力が怖そうだ。
「援軍到着! さあ、あたし達もボス討伐です!」
「俺はスティル狙いでボスに近づきますね。二人は取り巻きの処理かな?」
「だね。瑠璃が前に出て支援と壁。俺が魔法攻撃。フィーカさんは一応、チャージショット試してみて」
「了解です! ククク、我が投石の力、見せてくれようぞ!」
「……実際、まともにダメージ入りそうなのはチャージショットくらいですよねぇ」
「だねぇ」
「そんな感じですね~」
フィーカのテンションは高いが、俺達はそうでもない。明らかに動きが遅くて装甲の厚いパワー型だもの。このレベル差で事前準備もなく挑むのは無謀だ。スティったら取り巻きのキノコ共をペチペチ叩かせてもらおう。
「トミオさん、ちょっとだけ待ってね。コンディション・ブレッシング~」
瑠璃さんの魔法と共に、パーティー全員の体が淡い光に包まれた。
「これで状態異常耐性がアップしてるはずですよ~」
「胞子に気をつけて」
「チャァァアジ!」
「ありがたい。では、行ってきます! ピタッとフック!」
投石機を回しはじめたフィーカを尻目に、天井めがけてフックを飛ばして移動。本来なら行く手を阻む取り巻き共を眼下にして、一気にレッドキャリアーの真上に接近。
幸い、警備の白銀の人が先頭になって、上手い具合にヘイトを稼いでくれている。凄いな、正面から盾で攻撃弾いてる。
ここは廃プレイヤーのおこぼれを頂きますか。
「ファストアタック! スティルアタック! ピタッとフック!」
頭上でフック解除しての三連撃、それから素早く離脱。奇襲の形になったので見事に決まった。
「収穫なしっ。しかも手応えなし!」
三回連続でものすごい硬い感触があった。俺の攻撃力じゃダメージ通ってるか怪しいぞ。少しでもHP減らさなきゃスティルアタックの判定が発生しない仕様だったら詰む。
フックを使って軽く移動。それから仲間の近くに着地。
「ぬおー」
そしたら目の前に赤い巨大キノコがきた。
「ぬおおー」
なんかとぼけた声をあげた直後、傘の部分からジャキンと音をたてて刃が出現。そのまま当然のように高速回転を始めた。
「ぬおー」
「うおおお! 怖い怖い怖い!」
幸い動きが遅いので回避は容易。横に動いたら、ちょうどタイミングよくオリフさんの魔法が直撃。動きが止まった。
「ファストアタック! あ、死んだ。意外とこっちは柔らかいな」
「よし。もう一回スティルだ。がんば」
離れた場所にいるオリフさんの声が聞こえた。パーティーチャットだ。戦闘中なんで音声モードに切り替えたか。しかし、なんとしてもボスから何かぶんどれという強い意志を感じるな。収集品マニアめ。
「ピタッとフック!」
再び天井にフックを飛ばして舞い上がる。取り巻きキノコが瑠璃さんに向かっていったが、まあ平気だろう。
レッドキャリアーに対空攻撃は搭載されていない。なので、上に来れば安心して一発入れることはできる。あ、でもダメージが蓄積して胞子ばらまいてるな。面倒な。
天井にぶら下がって少し考える。普通に殴っても成果はない。なんとしてもスティルアタックを決めるにはどうすればいいか。
関節や攻撃を受けて脆くなったところでもあれば、ダメージが生じる余地があるか……? ゴーレムといえば一文字変えれば死ぬのが定番だけど、字はどこにも書いてないな……。うーん、下手に攻撃範囲に飛び込むと一撃死もありそうで怖い……。
ちょっと攻撃方法について考えたが、試す価値がありそうな場所を思いついた。
「ピタッとフック!」
位置を変えて真上からやや前方に。いい感じに速度をつけて、真正面から頭部に接近。
「ファストアタック! スティルアタック!」
スキルによる三連続攻撃。それをレッドキャリアーの頭部に空いている目を思わせる穴に叩き込んだ。
[宝玉『朱の残照』を獲得]
スティル成功! と喜びかけたが、でかい手が迫ってくる!
「ピタッとフック!」
再び上空に逃れる。勘が当たった。あの目みたいなところならセンサー的なものがあって、何かしらダメージが通るんじゃないかと思ったんだ。的としては小さいが動きが遅いし、三回連続攻撃すれば、一度くらいは当てられる。
「よし、任務完了!」
「よくやった。さ、後は大人しくしよう」
「取り巻き狩りですね~」
「まだ倒してない! 倒してないですよぉ! よし溜まったショットォォォ!」
パーティの近くに戻ってきた所で、フィーカがチャージショットを発射した。溜め撃ちの強力な攻撃だ。俺のようにせこい手を使わなくてもダメージは通る。
フィーカの狙いは正確だ。上手いこと戦うプレイヤーの間をすり抜けて、弾石がレッドキャリアーに直撃。派手なエフェクトを撒き散らす。
「やったか!」
「それフラグ~」
ドヤ顔でフラグを立てたフィーカに、瑠璃さんがしっかり反応。仲良いな。
そして静止するレッドキャリアー。まさか、本当にやったのか?
「動きが止まった! 来るぞ! 推奨レベル以下の人は距離をとって!」
白銀の人が叫んだのと、レッドキャリアーが「大暴れ」を始めたのはほぼ同時だった。
それまでのゆっくりした動作を忘れたかのように、赤色のゴーレムは全身を滅茶苦茶に振り回し始めた。関節の方向すら無視して、駄々っ子のようにじたばたとその場で全身をデタラメに動かす。
三メートルはある巨体でそれをした場合、嵐のような暴力と化す。バッドステータス付与効果の胞子つきの嵐だ。
「ぬううう! 今のうちに攻撃を!」
驚いたことに、白銀の人はそれを真正面から受け止めていた。推奨レベル以上の強さなんだろうけど、ボスの攻撃を凌ぐとは……。見れば、盾が光り輝いている。
「防御系のユニークスキルか」
「そうです! ささ、あたしとオリフさんは集中攻撃ですね!」
「やるだけやるか」
「あ、ちょっとやる気なくなってますね~」
どうやら、オリフさんはスティルが成功したんで満足したらしい。淡々と攻撃魔法を放ちだす。
後は取り巻きの相手をしてる間に廃プレイヤー達が倒して終わりかな。ちょっと一息つけそうだ。
◆WARNING!◆
【ボスモンスター出現!】赤光の残骸 推奨レベル28【危険度:☆☆】
◆WARNING!◆
いきなり、視界の中にそんな警告が響き渡った。
間違えて昼更新してたので追加更新です