一部イベント特効ゲーマーの行くVRMMO(ゴシック体対応版)   作:みなかみしょう

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第48話:決戦! キメラゴドン! 4

 モリス・ルクス城壁北側はプレイヤーで溢れていた。過密状態っていうほどじゃないけど、少し避ける必要がある程度には人が増えている。キメラゴドンの接近で、遠距離攻撃できる職と支援職が集まっているんだろう。

 

 カモグンさん達は最初に集まった場所に居た。やや北西の位置。ずっとこの時のために待機してたんだろう。場所取りが激しくなってるしな。

 

「おお、来たみたいだな」

「いやー、トミオさんがいないからビームが外れちゃうかと思いましたよ!」

 

 カモグンさん、瑠璃さん、オリフさん、そしてフィーカ。全員がいる。

 さて、仕切り直しだ。

 

「状況はどうなってますか?」

「決戦兵器は攻撃の余波で破損。今、クラフト持ちが総出で修理中。魔力チャージもしてるけど、二発目は無理そう。レベル低めのプレイヤーとNPCが中心にやってる」

 

 オリフさんが見てきてくれたらしい。連射は無理と見るべきだろう。あるいは、隠しクエストで何らかの手段でもあったかもしれないが。今から探すのは現実的じゃない。

 

「じゃあ、ここからは自力で倒すしかないわけですね。……あの巨体を?」

 

 軽く絶望を覚える想定だ。しかし、皆の表情は暗くない。フィーカなど自信ありげだ。

 

「ふふふ。ご安心ください。我らに秘策ありです! カモグンさん!」

「ほいさ」

 

 気楽な返事と共にインベントリから巨大な部品が登場した。それも複数。巨大な棒や台座に重り……?

 カモグンさんのクラフトスキルによって、部品はどんどん組み立てられていく。

 

「これは……」

「……すごい」

 

 出来上がったものを見て、俺とコサヤさんは驚いた。

 巨大な台座に組み合わせられたのは、一本の支柱。支柱の先端には重り、その反対には台座。

 カタパルト。攻城用の投石機だ。城壁上に置けるギリギリのサイズだろう。

 

「巨大モンスターには攻城兵器だろう? こっそり作っていたのだよ。これは凄いぞ、フィーカさんのスキルが乗るからな」

「え? じゃあ、チャージショットも?」

「勿論です! こっそり練習していましたからね! 凄い威力ですよ!」

 

 カモグンさんとフィーカが二人揃ってドヤ顔している。珍しい組み合わせだ。会心の出来ってやつなんだろう。たしかに一応、ジャンルは投石機だから、納得はできる。投石機、存外ネタスキルとも言えないのでは?

 

「ただ、問題もある。一発撃つたびに一定確率で故障する。最低で5%だ。修理にはクラフトスキル持ちが必要。人数が多いほど早い」

「このメンバーだとカモグンさんとオリフさんが付きっきりになるわけですね~」

「まー、近づいて魔法撃つよりはマシでしょ」

 

 オリフさんがやれやれといった様子で言った。この人も地味にクラフト好きなのである。この前、瑠璃さんに頼まれてメイスを作ったりしていた。

 

「フィーカも加えて三人は固定ですか」

「できれば、防御魔法ができる瑠璃さんも居て欲しい。攻撃にバフも乗るしな。何より一度設置すると動かすのが大変なんだ」

 

 すると、自由に動けるのは俺とコサヤさんだけか。

 

「方針としては、俺とコサヤさんはキメラゴドンに接近戦。皆はここでチャージショットですか」

「できれば動きを止めてくれ。弾速が遅いんで簡単に外れる」

 

 ダイナミック・バインドの出番だ。既にクールタイムは終えて再使用可能。

 

「……どこを狙うの? あのデカブツの」

 

 こちらに向かってゆっくり接近してくるキメラゴドンを指差すコサヤさん。

 すでにプレイヤーの一部が取り付きにかかっている。取り巻きいるから面倒くさそうだな。

 

「あの妙にでかい頭部になにかあると思うんだ。光ってるし」

 

 カモグンさんが意見を求めるように俺の方を見てきたので頷く。

 

「わかりやすいですもんね。そうでなくても頭部は大抵弱点ですから」

 

 そもそも、大抵の生き物は頭を失えば死ぬのだ。頭が沢山あるモンスターの場合も全部潰せばいい。

 

「では、それで行きましょう! すでに弾岩は用意してあります! あ、カタパルトだとチャージに通常より時間がかかるから、頑張ってください」

 

 攻城兵器だから特別仕様ってことらしい。何としても当てたくなるな。

 

「……これは威力に期待できそう」

「ですね。行きましょうか、コサヤさん」

「支援かけますから、それから行ってくださいね~」

 

 瑠璃さんに魔法をかけてもらってから、再び俺とコサヤさんは出撃した。

 

 ◯◯◯

 

 キメラゴドンの周辺は混沌としていた。

 

「な、なんだこりゃ? どういう状況?」

「……カオス」

 

 コサヤさんと呆然とするしかない。

 人が入り乱れている。履帯を活かしてゆっくり進むキメラゴドン。それに取り付こうとするプレイヤー。落ちてくる取り巻きと戦う人たち。そして、一部の魔法職は何故か履帯目掛けて攻撃している。

 

「あの履帯、接近戦だと弾き飛ばされるけど、魔法は効くんだよ。それで動きが止まる。すぐ再生されるけど」

 

 眺めていると、近くで回復をしているプリーストが教えてくれた。

 

「なるほど。じゃあ、近接職は……あれ登ってるんですね」

 

 半壊した足をつたってどうにか下半身に登ろうとしてる。揺れるし上からモンスターが来るから大変そうだ。

 

「登った先にスペースがあってそれなりに戦えるんだけど、攻撃が激しくて苦戦してる」

 

 胴体とか頭に直接攻撃したいんだけど。と付け加えられた。

 

「……トミオ、出番」

「承知しました!」

 

 素早く近寄り、上半身部分目掛けて鎖鎌を向ける。足が壊れて小さくなったおかげで、全部射程内だ。

 

「ピタッとフック!」

 

 飛び上がり、途中で解除。下半身、思ったより平らだな。モンスターが結構いる。えーと名前は防衛マシン2584号……全部に連番ついてんのか、これ。

 

「うお、あんた凄いスキル持ってるな!」

「他の人もどんどん運ぶんで、少し守ってください! ピタッとフック!」

 

 説明もかねて即座に地上のコサヤさん目掛けてスキル発動。

 すぐさま銀色の剣士が目の前に着地した。

 

「……助かった。今後の行動は?」

「俺は他の人も釣り上げます。上半身や頭部の詳細を知りたいですね」

「……了解」

 

 言うなりモンスターを斬りながらコサヤさんが進んでいく。

 

「な、なんか凄いな……」

「いえ、あなたも相当凄いですよ! できればそのままお願いします!」

 

 着地地点にいたのは盾持ちの女性ファイターさん。俺の様子を見て、ずっとモンスター集めて守ってくれている。凄まじい頑丈さだ。

 

「ピタッとフック! ピタッとフック! ピタッとフック!」

 

 連続で下で手を振ってる人達を釣り上げる。上手いこと情報伝達できたみたいだ。

 

「ありがとっ!」

「足から登ってるやつも頼む!」

「しゃあ! 覚悟しろよ、ゴシックP!」

 

 一人、ご同輩がいたようだ。言われて足から登ってる人達にも目を向ける。不安定で苦戦してるな。

 

「すみません。足の方に行きたいんですけど」

「了解。付き合うよ」

 

 登ってきた人達がモンスターの相手をしてくれるおかげでフリーになったファイターさんと、破損した足の方に向かいつつ、スキルを連打する。

 あっという間に二十人近いプレイヤーが下半身のフィールドに参戦。

 情勢は、一気にプレイヤー優勢に傾く。

 

「さて、俺もひと暴れしますか……」

 

 ひと仕事終えたので攻撃に加わろうとしたところで、床が激しく動いた。

 

「な、なんだ!」

「履帯をそれぞれ逆方向に動かして回ってるんだ! 超信地旋回ってやつ!」

 

 ファイターさんが説明してくれた。何かフラグを達成して行動パターンが変わったか!?

 混乱していると耳元に声が聞こえた。

 

『……トミオ。頭まで登ったらなんか始まった』

「なんかってなに!」

 

【敵対勢力の頭部への侵入を確認。防衛システム、起動します】

 

 視界内に字幕と共にアナウンスが流れた。このばら撒いてるモンスターは防衛システムじゃなかったのかよ!

 

 

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