一部イベント特効ゲーマーの行くVRMMO(ゴシック体対応版)   作:みなかみしょう

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第49話:決戦! キメラゴドン! 4

 キメラゴドンの背中が開き、メカメカしい内部ユニットが顕になる。こいつ本当にキメラなのか? 分類ゴーレムでいいんじゃないの?

 俺の苦情など知ったものかとばかりに、装甲の背中の部分から光り輝く柱がせり上がり。内部から2mくらいの人型の何かが現れた。

 

◆【caution!】◆

 

【☆☆☆危険モンスター:防衛システム 推奨レベル45 出現!】

 

◆【encounter!】◆

 

 ここに来て強敵か。なんか背中に出た柱がバチバチしてて頭に上がれなくなってるし。どうしたもんか。

 今後のプランを練り直していると、コサヤさんが寂しそうな顔をして下りてきた。

 

「……頭もダメージ床が出てきた。何も出来ない」

「じゃあ、あれをどうにかしますか。頭はフィーカに期待しましょう」

 

 カタパルトは現在もチャージショットの準備中のはずだ。時間がかかるそうだけど、あとどれくらいだ?

 

 全体:フィーカ「現在、頭部へ向かって攻撃準備中です。バリアみたいのあるけど、解除できないですか!?」

 

 遠くからだとバリアが見えるらしい。攻性防壁みたいものか。

 背中から生えた柱。あれがバリア発生装置と見るべきだろう。

 

「コサヤさん、背中のアレです」

「……やろう」

 

 すぐさま目標を定めて発生装置に向かうと、ヘルメットにボディスーツみたいな見た目をした『防衛システム』が道を塞いだ。完全に世界観がSFだな……。過去の文明は高度でしたよっていう演出だと思うけれど。

 

「排除開始……」

 

 防衛システムは厳かに宣言すると、両手をドリルに変形して突っ込んできた。

 完全に開発者の趣味でしょ! 回避不能なレーザーとか飛ばされるよりはいいけどさ!

 俺とコサヤさんは左右に別れて攻撃を回避。すり抜ける際に攻撃を加えておくのも忘れない。

  

「ファストアタック! スティルアタック!」

「……乱れ三日月」

 

 当然、このくらいじゃ倒れない。ドロップもなしだ。

 でも、感触はわかった。

 

「こいつ、意外と柔らかいです! 俺達はあのバリアの原因っぽいのを破壊にいきます!」

 

 後から来ている人達に告げる。背中まではちょっと距離がある。一気に近づくぞ。

 

「ピタッとフック!」

 

 バリア発生装置の真下を狙ったら上手くいった。目標は目の前だ。

 さて、コサヤさんを釣り上げ……? さっきのタンクさんを指さしてる?

 

「ピタッとフック!」

 

 コサヤさんの戦闘に関する判断は信頼できるので、ファイターさんを釣り上げてみた。

 

「驚いた。ホントにあれだけで通じるんだ」

 

 眼の前に来たファイターさんが関心しながら、バチバチしているバリア発生装置を見上げながら言う。

 あ、防衛システムが一体こっちに来てる。

 

「悪いけど、アレ止めといて。すぐ済むから」

「なんかやるんですね?」

 

 多分、ユニークスキル的なのだと予想はつくけど。この人防御系だよな。

 

「良いことを教えてあげよう。このゲームは大型オブジェクト相手に特攻が出る武器やスキルがあるの。爆弾とかハンマーとか……」

 

 突然有用な情報を話し始めた。そんなことならカモグンさんに爆弾貰ってくれば良かった。駄目か。アルケミストじゃないと使えない可能性がある。

 

「今から私が使うスキルもその類よ。危ないから離れて!」

「はい!」

 

 飛び降りてこっちに向かってくる防衛システムに飛びかかる。右手のドリルが唸りをあげて俺に迫る。

 

「うお! あぶね!」

 

 意外と早い。一人じゃそんなに保たないぞ。回避重視で時間を稼ぐか。

 狭い場所で防衛システムの攻撃を躱していると、ファイターさんの声が聞こえた。

 

「いくよ、応酬開放! アヴェンジ・ルミナス!」

 

 ファイターさんが光ったと思ったら、物凄い爆発をした。煙のない、体が閃光に変わったかのような派手なやつだ。

 一瞬、防衛システムも止まった。もしかして、バリア発生機と連動してるのか?

 攻撃を加えようかと思っていると、ファイターさんが下りて横に来た。

 

「ふぅ……今まで受けたダメージ分爆発するユニークスキル。このために生きてるわ……」

 

 危ない笑みを浮かべてから、俺を見る。

 

「選手交代。次の子を上に行って引っ張ってあげて。あと、今ので私は弱体化してるから長く保たない」

 

 盾とハンマーで防衛システムと組み合いながら戦い始める。いくらタンク型でも分が悪そうだ。

 と思ったらコサヤさんが来た。流れるような動きで横に来ると、目にも止まらぬ速さで刀を振るう。すぐに防衛システムの関節から火花が散った。

 

「……見つけた。関節を正確に攻撃すると動きが悪くなる」

「戦いながら検証してたんですか。この状況で……」

 

 戦闘民族すぎる。頼もしいけど。

 行けという無言の圧力を二人から感じたので再び発生機の前に戻る。あ、二つくらい支柱が折れてる。バリア薄くなったかな。

 さて、次は誰を引っ張り上げようか……。

 そう考えながら下を見ると可愛いローブを来た女性が手を振っていた。周りに守られてる。意図が明らかだ。

 

「ピタッとフック!」

「ありがとうございます! そして避難してください! これから爆発します! 私が!」

 

 彼女はヤバイを目をしていたので俺はすぐにその場から飛び降りた。

 

「アルケミスト奥義! 微塵隠れ!」

「微塵隠れはアルケミストの技であっちゃダメだろ!」

 

 忍者の技だろそれ。地面に潜って爆発するやつ。

 どうやらアルケミストだったらしい女性は、その場で大爆発した。その規模は、さっきのファイターさん以上。

 あとに残ったのは、破壊されたバリア発生機と、アルケミストさんの死体……。

 

「死んでるじゃん……」

「ふふふ。微塵隠れは設定した爆発力に応じて生存率が変わるユニークスキル。……今回は3%でした」

 

 ただの自爆じゃん。まあいいか。ちょっとアレな人だったけど、素晴らしいユニークスキルだ。おかげでバリアが解除されたはず……。

 そう思った瞬間、足元が激しく揺れ始めた。また超信地旋回? いや、ジグザグに動きながら、モリス・ルクスに向かってるのか! 視界が物凄いことになってる!

 

 振り落とされないように、這いつくばっていたら音声チャットが飛んで来た。

 

『トミオさん! チャージできたんで動きを止めてください! カタパルトは弾速が遅いんで、このままだと頭に当てられません!』

『オーケイ……!』

 

 フィーカの声に答え、即座に鎖鎌二刀流になる。ここが使い時だ。

 

「ダイナミック・バインド!」

 

 青白い鎖が飛び出し、キメラゴドンの全身を縛るように広がっていく。まるで魔法陣のような幾何学模様を描き、俺のユニークスキルは無事に展開した。

 

「ホントに止まってる……。自分がやったとはいえ、信じられんな」

 

 拘束ゲージはガリガリ削れてるけど。十秒も止まらないな、これ。

 

全体:フィーカ「カタパルト・チャージ・ショット! 発射しました! 多分、ボスの上にいる人は凄く揺れます!」

 

 警告の直後、隕石めいた光り輝く物が飛んできた。

 カモグンさんとフィーカ懇親のカタパルトによる一撃は、キメラゴドンの頭部に直撃した。

 轟音と爆発。青白い魔法めいた光を散らし、衝撃波が俺達の全身を打つ。

 

「うおお、すげぇな!」

 

 激しく揺れる足場。あ、防衛システム転んでる。コサヤさん、そのまま走って刺しにいった。この状況でよくできるな……。

 バリア発生装置周辺を見ればアルケミストの人は消えていた。復活ポイントに帰ったんだろう。

 

 気がつけば、キメラゴドンのジグザグ走行は止まっていた。

 カタパルトによるチャージショット。その直撃を受けた頭部は、大きく破損している。

 元々、ヘルメットを被った丸い特異な形状をしていたのが、完全に別物になっている。

 装甲部分が消し飛んだからか、平らな舞台みたいになってるな。明らかに何かあるやつだ。

 

「これは……」

 

 この意味について考えていると、誰かの呟きが聞こえた。

 

「やったか……」

 

 やめようよ、フラグたてるの。

 

 案の定、なにかが起きた。平らになった頭部になんか生えてきたぞ。あれは、円筒?

 

「……工房でイザベルが入ってたカプセルじゃね?」

 

 誰かの言葉が聞こえた直後、視界に警報と文字とアナウンスが流れた。

 

◆WARNING!◆

 

【イベントBOSS出現!】イザベル・CC(コアカスタム) 推奨レベル65【危険度:★☆☆☆☆】

 

◆WARNING!◆

 

 ほう。ここに来てボスですか。あ、なんか頭部に柱生えてきたな。バリバリしてる。頭部限定のバリア発生装置か。

 

 イザベルCCは杖を掲げると、俺達プレイヤーを見下ろしながら口を開く。

 

「虫どもが、これ以上好きにはさせん! 星の輝きを味わうがいい……スターブライトフォール!」

 

 杖が光って後ろの柱と一緒に巨大な魔法陣を上空に投影。そこから無数の流れ星が俺達目掛けて降ってきた。

 

「綺麗……ってなんか俺に来る数多いんだけど!」

 

 もしかして、戦場での動きを見て優先対象を決めたか? 俺はただ味方をスキルで呼び込みまくって勝勢に持っていっただけなんだが? 

 

「あ、駄目だわこれ」

 

 反応速度にちょっと自信はあったけど、完全な飽和攻撃。回避スキルのない現状では回避不可能。

 それを即座に把握した俺は潔く流星に貫かれた。

 

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