ゲヘナのガンマン   作:トニートニー

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ガンマンと先生

 

 

ビルに入るとどうやら他の学園の連中も詰めかけていたようだ。

ミレニアム、トリニティ…あの黒羽は正義実現委員会か?私並みにデカい奴久しぶりに見たわ。…一部は圧倒的に負けてるな。

一瞬目が合ったがすぐに逸らされる。トリニティらしくゲヘナは気に食わないらしい。

 

害がないなら別にどうでもいいが。あの女、相当腕が立つ狙撃手だろうがこの距離ならいきなり撃たれても対処可能だ。念の為チナツと正義実現委員会の間に入れる位置を確保しつつ周りを確認する。

 

もう1人いるトリニティらしき子は特に意識を向けることなく受付に並んでいる…どっかで見かけた気がするんだが思い出せない…

 

ミレニアムの子は受付の子と話していて此方を向きもしない。

 

 

「受付、順番待ちの札でも取っとく?」

 

「今の状況で機能してるとは思えません」

 

そりゃそうだが。受付の子も目が死んできてないか?…クレームつけに来た私達が言えた義理じゃないけどさ。

 

 

その時、受付後ろにあるエレベーターが停止して中からメガネをかけた連邦生徒会の女と…スーツを来た男性が降りてきた。

 

「ちょっと待って!代行!見つけた、待ってたわよ!今すぐ連邦生徒会長を呼んできて!!」

 

 

ミレニアムの子が代行と呼ぶ女に食って掛かる。

いやいやいや、そんな事より隣の不審者について確認するべきじゃないか?明らかに場違いだろアイツ…

警戒レベルを引き上げ、すぐに銃を抜けるようにさり気なくコートを払いのけてホルスターに掛ける。

 

「主席行政官、お待ちしておりました。」

 

「連邦生徒会長に会いに来ました。風紀委員長が今の状況について納得のいく回答を要求しています。」

 

私の警戒とは裏腹に、代行とやらに話しかける正義実現委員会。

チナツもその流れに乗ると決めたのか一拍遅れて話し始める。

…いや、一瞬此方に目配せをした。大人しくしてろって事か。

 

喧々諤々とやり合う代行と各学園代表のやり取りを聞き流しながら後ろの男を注視する。

 

見たところ武装は無し…有ったとしても小型拳銃程度。

戦える体つきには見えないが…目があって微笑まれた。

のほほんとした雰囲気に気が抜けそうになるな…あれが演技だとしたら恐ろしい。隙だらけにしか見えない。

 

 

「…連邦生徒会長は現在席におりません。正直に言いますと行方不明になりました。」

 

まぁ、そうだろうな…クラスメイトの話が正しいならヒナ先輩レベルの超人生徒会長が健在だったらこんなバカ騒ぎ瞬く間に鎮圧している筈だ。

 

「結論から言いますとサンクトゥムタワーの最終管理者が不在のため今の連邦生徒会には行政制御権がありません。」

 

 

権限の移譲もなく失踪したのか?いよいよ持ってバケモノレベルの在野の暴力が存在する可能性が高くなって来た。

 

 

「認証を迂回する方法を探して居ましたが…先程までそのような方法は見つかっていませんでした。」

 

「先程まで…今は存在すると?」

 

話が進む。

 

「はい、この先生こそがフィクサーになってくれるはずです」

 

 

ここで漸く後ろの男の正体が明かされた。

"先生"ね…ロボット教師とは意味合いが違って聞こえるがはたして何をする人なんだ…?

 

「これからキヴォトスで先生として働く人物であり、連邦生徒会長が特別に指名した方でもあります」

 

「行方不明になった連邦生徒会長が指名…?ますますこんがらがって来たじゃないの…」

 

 

全く持ってその通りだ。先生とやらが権限を肩代わり出来るようにして指名していたのならもっと早くに来させるか、来るまでは生徒会長を続けて引き継ぐべきじゃあないのか。…これじゃまるで自分が消えるのを予期していたようにも思える。

 

それにしては引き継ぎが疎か過ぎてキヴォトス中で大乱闘パーティーしてるからやっぱ偶然噛み合っただけなのか?

 

 

思考の海に浸ってグルグルと考えを巡らせていると話が終わったのか代行がこちらを見つめて何かを考え込んだ後に

 

「丁度此処に各学園を代表する、立派で暇そうな方々が居るので私は心強いです」

 

 

凄い慇懃無礼に罵ってきた。

 

やべーぞコイツ、此処に居る全員に喧嘩売って来やがったとチナツの方を見ると落ち着いた表情で事の成り行きを見守っている。

他の学園の奴等も良いから先を話せと言わんばかりの態度だ。

各学園の上層部って煽り耐性高いんだな…

 

 

その後の話を聞くにどうやらシャーレとやらの部室が無法者どもに占拠されていてそこに権限を代行する為の何かがあるとの事。

そこまで先生を連れていけば少なくとも行政周りの不満は解決するからお前ら協力しろよ?と言いたい訳だ。

 

即席でチームアップするのか…一応前衛が私とミレニアム、トリニティの子の3人で後衛はチナツと正義実現委員会の2人。

バランスは良さそうだけどさぁ…

 

 

「なぁ、チナツ」

 

「不満は分かりますが我慢して下さい。少なくとも風紀委員長の懸念している事の1つは解決の目処が立ったのですから」

 

アッサリと言い渡される。

いや、不満とかはないんだけど…正義実現委員会の奴が私をみる目が敵をみる目と変わらないんだが背中から撃たれないか?

 

「聞こえてますよ」

 

また後半が口に出てたみたいだ。この失言癖はどうにもならないな…

 

「すみません、言い過ぎました。」

 

「…いえ、私の方こそすみません。初対面の方に向けるべきじゃありませんでした」

 

少し視線が和らいだ気がする。

 

"良かった、仲良くなれたみたいだね。"

 

先生がふんわりとした口調で話しかける。

 

「えぇ、もう仲間ですよ。先生をシャーレ?とやらに届けるまでの即席チームですが」

 

少し戯けながら先生に向かって言葉を返す。

 

「仲間…」

 

"なら、まずは互いに簡単な自己紹介でもしようか!私は…"

 

先生の自己紹介の後に続いてミレニアムの子、早瀬ユウカ先輩が食い気味に話す。セミナーの会計をしているらしい。小声でチナツに聞いてみるとミレニアム生徒会の幹部との事。そんな人が現場に出て来て良いのかミレニアム。

 

 

続けて正義実現委員会の人、羽川ハスミ先輩が軽い会釈と共に話し終える。…副委員長って事はNo.2か。そりゃ強い訳だ。

 

 

そのままトリニティ繋がりで守月スズミ先輩が自己紹介を終える。

…やっぱりどっかで会った気がするんだが思い出せない。

自警団に入ってるって話だからトリニティ領に行かない限りはドンパチする機会もない筈なんだが…喉に小骨が刺さってる気分だがまぁ思い出せないってことは重要なことじゃないんだろ多分。

 

 

続いてチナツが無難に自己紹介を終えて遂に私の番だ。

 

「ゲヘナ学園高等学部1年、西條林檎。所属は無し、特技は早撃ちとトリックショットを少々。最近はヘルメットを割るのも得意です。趣味は食べ歩きと小旅行、今回はチナツの護衛として参加させていただいてます。よろしくお願いします」

 

少し詰まったがまぁ許容範囲だろう。

…というか、見事に年上ばっかりだな。各学園の代表だからか?

 

 

"…えーっと、林檎さん?"

 

「はい、なんでしょうか先生」

 

"ヘルメットを割るっていうのは…"

 

「あー…此処らへんでも出ると思いますよ?徒党を組んで襲いかかってくる蛮族見たいな奴等です。そいつらのヘルメットを撃つと一発で割れて大人しく成るんで良く狙ってます」

 

分かりづらかったのだろうか?先生が曖昧な笑みを浮かべて黙ってしまった。

 

「銃がコレなんである程度近くないとダメージの通りが悪くなりますから前衛を希望します」

 

羽川先輩レベルが相手だと近距離じゃないとダメージなさそうだし。

ホルスターに収まった年代物のリボルバーを軽く叩いて伝えるとチナツ以外の全員が奥歯に物が挟まった様な顔をしている。

 

「その…随分古い銃に見えるのだけど」

 

言外に戦力になるのか?と疑問視されている様だ。

まぁ、コレはしょうがない。見た目で舐められるのは今に始まった事じゃないし。舐めてきた奴は全員もれなく地面の味を覚えさせて来たが。

 

…今回は仲間だから適当なヘルメットに協力して貰おう。

 

「まぁ、一応は風紀委員の護衛を務められるレベルですので。一度試して無理だと思われたのなら大人しく下がりますよ」

 

完全に納得した訳じゃなさそうだが下がる宣言をした事でいざという時は後方に行かせれば良い、と思ってもらえた様だ。

 

「それじゃ、向かいましょうか」

 

 

 

 

 

3大校の即席チームで出発だ…こんな事でもなければ組むはずが無いって考えると凄い貴重な体験をしてるな私…

 

 

 

 

 

 




人が多いと会話がより難しい…コレを続けている作者様方に感謝と畏敬の念を覚えずにはいられません…
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