先生の説教を聞き終えて。一先ずシャーレの部室を確保しないか?と言う話になり、全員で部室へ向かっていると先生が
"この先の部屋で寛いでて。直ぐに戻るから"
と離脱。まだ内部を全て確認した訳じゃ無いから護衛として付いていくとユウカ先輩が言っても
"大丈夫。もうすぐリンも到着するって言ってたし、皆は休んでて"
と譲らなかったため渋々従って先生を除く全員が同じ部屋で先生を待つことになった。
…そういえば。
「なぁ、チナツ」
「なんですか?」
「そっちは先生が直接指揮したんだろ?どうだった?」
私はワンマンアーミーしてたから先生が何してたかわからないんだよ。推定美食研究会レベルのワカモをどうやって短時間で仕留めたんだ?
「そうですね…まるで全体を俯瞰しながら指示を出している。そう感じました」
「俯瞰?上から見てたって事か?」
「いえ、実際は私とハスミ先輩の後ろに居ましたから」
つまり、限られた視界と報告から立体的に戦況を把握し続けたのか。…私には無理だな、頭が爆発する。
「指揮通りに動けば指定されたポイントに標的がいる、それを撃ったらまた次のポイントへ。その繰り返しで追い詰める事が出来たのですが…」
「最後の最後に取り逃してしまいました…」
「アレは誰のせいでもないですよ。ワカモが上手だったってだけで」
ハスミ先輩とスズミ先輩が話に参加してフォローを入れる。
楽しそうだなぁ…
「そういうそっちはどうだったの?」
復活したユウカ先輩がこちらに水を向けてくれたのでありがたく乗っかる
「時間稼がなきゃ、って思ってたので最初は様子見。2発位撃たれてから少しずつ反撃して最後は上に乗って装甲抜いて操縦してる奴らを気絶させました。」
「…因みに時間を稼がなくても良いって言われてたらどのくらいで方がついたの?」
遅滞戦闘(笑)が無い場合は…
「3分要らないんじゃないですかね?最初の一発と同時に全力で走れば上に乗れたでしょうし」
全員呆れた表情でこちらを見てくる。
ハスミ先輩だって似たような感じで戦車狩れるだろ絶対…
「私は戦車に肉薄しません」
「そもそも撃たせて時間を稼ぐという考え方が間違いだと思う」
「無駄に2発撃たれる事になったわけでしょ?良く全弾外れたわね」
チクショウ!味方がいない!
「…あぁ、そういうことですか」
不意にチナツが呟くように話し始める
「林檎、貴方弾丸を見てから避けれるんですよね?」
「うん?…うん、まぁ…注視してれば大体」
時折発砲の瞬間が分からなくて見えない事はある。
後は何か見えにくい奴とか。強い奴に多いんだよな見えない弾。
「つまり一発ずつ、装填に時間が掛かる砲弾なんかは…」
「一対一の状況ならしっかり見えるよ」
機銃が付いてるか随伴歩兵が多いと弾幕が厄介なんだが主砲のみの戦車1両とかただのカモでしかない。
「なるほどね…」
納得して頂けたようだ。
そもそもどうやって戦車1両を孤立させて私の所まで誘導したのかが謎だが。
「それについては先生しか知らないと思いますよ」
お手上げって事じゃん…
ま、知らなくて良いか。聞いても私じゃわからないだろうし。
その後は先生が戻るまで雑談に興じ、先生が戻ってきてから全員でご飯を食べて解散の流れになった。漸く取れた食事は出前のピザだったが天にも昇るような味に感じる…今日の苦労はこれで報われた。
チナツを風紀委員本部まで送り届けたのはもう夕日が沈み始めている夕方だ。
「んじゃ、今回の件で借りは返しましたってヒナ先輩に伝えといて」
「自分で言えば良いじゃないですか…まだいると思いますよ?」
「いや、こういうのって間接的に伝える方がカッコよくない?」
また溜息をつかれた。うーん、チナツには拘りが判らんのか…
「解りました。ちゃんと伝えてあげます」
でも最後まで話聞いてくれるから超好き。
…なんか悪戯っぽい表情だな?
「貸し1つですね」
楽しそうな顔で抜かしおる。
あー…うー…ん~…
何も言い返せないな!
「…何時か返すよ」
何時返すか判らんが。10年後かも知れん。
そんな心はおくびにも出さず後ろ手に手を振って風紀委員本部を後にする。
あの子には勝てる気がしないな…それも悪くはないか。
こうして私の先生や先輩方との初邂逅を果たした日が終わり、シャーレを中心としたトラブルの数々に振り回されたり振り回したりする日々が始まるのだがそれはまた別のお話。
第一部 完
一応、プロローグまでを第一部として一旦の完結を見ることができました。今後も続けて行こうと思いますので何卒応援よろしくお願いします!!