「悪いな、嬢ちゃん…つい最近1人バイト雇ったばっかりでよ。今は募集してないんだ」
柴関ラーメンで昼飯を済ませた後、大将にバイト募集してないかを聞いてみるとそんな言葉が返ってきた。
「いえいえ、ダメ元だったんで気にしないで下さい」
やっぱ適当にゲヘナで飲食店のバイトでも探すかな…
最近ゲヘナ領内なら絡まれなくなって来たし、店側にも迷惑は掛からないだろう…多分。
そんな話を大将としてると1人の少女が店内に入って来た。
「おはようございます!今日からよろしくお願いします!」
前回店の前ですれ違った子だな。
元気がいいなぁ。余り見ない制服だけど何処の学校だ?
「おお、よろしく頼むよ!」
おん?客じゃなさそうだ…って事はバイトで雇ったってのはこの子の事か。マジでタッチの差だったか…
「それじゃ大将、また来ますね。ごちそうさまでした」
「おう!またご来店お待ちしてます!」
店を出る。相変わらずの晴天で頭から丸焼きにされてる気分だ…
此処から駅までまた1時間の道程だが…ちょっとした運動になるし、ラーメン食った後だし。
良いことを数えながら無心で歩いているとガードレールに立て掛けられた自転車が目に入った。
洗練されたフォルム、やけに細いタイヤ。ハンドルに関しては謎の機構が見受けられる。
これ、ロードバイクじゃん!
テンションが上がった私は近づいてマジマジと観察する。
やっぱ高いモンだけあって普通のチャリとは造りが違うな!
特に施錠とかしてないように見えるがそういう機能は付いてないのか…?
「ん…盗む気なら容赦はしない」
背後から声を掛けられる。
振り返ると白髮と獣耳が特徴的な少女が此方に銃口を向けて立っていた。
…この距離で声をかけられるまで気づけなかった?
「誤解だ、盗む気は一切ない…初めて実物のロードバイクを見たから珍しくてね。気に触ったならすまない。」
ゆっくりとロードバイクから距離を取り謝罪する。
これで分かってもらえたら良いんだが…すぐに反応出来る様に全身から余計な力を抜いて対峙する。
暫く見つめ合った後、銃口を下げて口を開く少女、
「ごめんなさい。ちょっと気が立ってた」
「こちらこそ、君の物に不躾に近寄ってすまなかった」
再度謝罪を交わして緊張を解く。
余裕ができて改めて目の前の少女を見ると柴関ラーメンで見かけた子と同じ制服を着ていることに気付いた。
この辺りの学校の子なのだろうか?
「ロードバイクに興味があるの?」
「あぁ、ちょっと此処らへんまで足を伸ばすのに丁度良いと思ってね。購入を検討している所なんだ」
同好の士を見つけたかの様に目の輝きが増した。
「ん、ロードバイクは良い。」
「…そうなのか」
端的過ぎて余り良さが伝わって来ない…
いい人なのは確かだが、独特の間があるな。
「今は余り話せないけど、ロードバイクに興味があるなら何でも聞いて。」
「それはありがたい。…私はゲヘナの1年、西條 林檎。君の名前を聞いても?」
「砂狼 シロコ。アビドス高等学校2年。」
年上か…キヴォトスだと見た目で判断出来ないな。ヒフミ先輩しかり、砂狼先輩しかり。見た目通りだったのハスミ先輩と雰囲気だとユウカ先輩だけだわ。
その後はモモトークを交換して別れたが敬語を使うと変な顔をされてそのままで良いとの事。話しやすいのは助かるし良い先輩だな。
ロードバイクのために金がいると言った時に怪しい目の輝きをしていたのが気になるが…多分気の所為だろう。
しかし、アビドスにあんな強そうな人がいるとは思わなかった。
あり得ないだろうが不意打ちされたら何も出来ずにやられてたのは想像に難くない。理性的な人で助かった…
シロコ初登場回です。
会話が、会話が難しすぎる…シロコってこんな感じかな?で書いては消し書いては消しを繰り返しました。