ゲヘナのガンマン   作:トニートニー

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ガンマンとアビドス その2

 

 

目が覚めると知らない天井が目に入った。

 

 

「何処だ…?此処…?」

 

「ん…気がついたみたいだね」

 

 

反射的にホルスターに手を伸ばしながら体を起こすが、声の主がシロコ先輩だと気が付いて力を抜いた。

 

 

「シロコ先輩…ここは?」

 

「ん、アビドス高等学校。急に倒れたから運んできた。」

 

 

辺りを見回すと確かに教室のようだ。

机を並べてベッド代わりにしてくれてたのか…

 

 

「すみません、ご迷惑をお掛けしました」

 

頭を下げる。

 

「こっちにも非があるから気にしなくて良い」

 

優しく返された。

 

「先生を捜してたんでしょ?今連れて来るから待ってて」

 

そう言って教室を出ていくシロコ先輩。

 

 

…そうか、先生見つかってたんだったな。

倒れる前の記憶を思い出してため息をつく。

 

マジで生きた心地がしなかったがシロコ先輩のおかげで目的は誤解なく伝わったようだ。

 

 

…こう言ったらなんだが何でアビドスなんて廃れた場所にあんなラスボスみたいな奴が居るんだ?

 

あの桃髪、ゲヘナにでも行ったら万魔殿でも風紀委員でもそれこそヘルメット団でも一大勢力になるだろ…誰も止められない的な意味で。

 

ヒナ先輩なら勝負になるか…?いや、比較対象がヒナ先輩の時点でダメだな。何処に属してもバランスを崩せる暴力だわ。

 

 

 

とりとめも無いことを考えていると教室のドアが開き、申し訳なさそうにしながら先生が入って来る。

 

 

"ごめんね、心配かけて…探しに来てくれてありがとう"

 

「いえ、ご無事で何よりです。…ユウカ先輩に連絡はとりましたか?」

 

 

誰よりも心配していたのだから早く連絡して無事を伝えて上げて欲しい。

そう思って言葉を返すと

 

 

"ユウカにはもう連絡したよ…散々怒られてしまったけれどね"

 

 

まぁ、当たり前だな。

 

 

「心配かけた分は怒られるべきでしょう…私にまで行き先に心当たりが無いか聞いてきたんですから」

 

 

アビドスは閉鎖的な土地だ。…いや外に繋がるだけの体力が残っていないと言った方が正しいか。

人は出ていくばかりで、新たに来る人が居ない。

人が居ないから物や金の流れに混ざって行けず、先細っていく。

 

そんな場所だから少しでもアビドスの現在の情報を知っている人間は限られる。

私が柴関ラーメンの存在を知ったのは偶然アビドスから出てきたばかりの人から聞いたからだ。

 

そして、そんな偶然がなければアビドス内部の事情を知ることが出来ない。

 

通信会社が撤退しつつあるこの地は情報社会からも切り離されつつある正に陸の孤島。

 

新たに情報を得るには出てきた人に聞くか、自分で確かめに行くしかない。

 

そりゃ、郊外とはいえ行ったことが有る私に声が掛かる訳だ。

 

 

 

"…本当にごめんなさい"

 

いかん、相当へこんでしまった。

 

「いえ、私は別に気にしてないので。…ユウカ先輩が叱ったのならもう大丈夫です」

 

 

まぁ、アビドスに足を伸ばすなら護衛の1人や2人は連れて行った方が良かったとは思うが。

 

アビドスって旅行より『冒険』とか『探検』の方が相応しい土地だし。

 

 

「まだ気にされるなら今度何か奢ってください。それでチャラにしましょう」

 

"うん、何でも奢らせてもらうよ"

 

 

良し、丸く収まったな!

何でもか…トリニティのスイーツでも買ってきて貰おうかな…

 

 

「うへ〜、おじさん、入りにくいなぁ」

 

 

先生の陰から桃髪が顔を出した。

 

何かキャラ違くないか君?…いや最後の方はこんな感じだったか。

 

 

「さっきはごめんね。襲撃直後だったからちょっと気が立っててさ」

 

謝られた。いや襲撃の最中に気付いてただろ君…

 

「いや、こっちこそ紛らわしいタイミングで近づいちゃってすみません」

 

一瞬先生の方を見たな…内緒にしといたほうが良いのか?

 

 

"ホシノとシロコが連れてきた時はビックリしたよ"

 

でしょうね…私もこの暴力の塊みたいな人をみてビックリしたよ

 

 

「なんか失礼な事考えてない〜?」

 

「そんな、滅相もない」

 

 

くっ、顔に出てたか…そんな所までヒナ先輩みたいじゃなくて良いのに。

取り敢えず気にしないことにしてくれたのか、

 

 

「じゃ、元気になったって事で皆に紹介させてよ〜」

 

 

と、教室の外に手招きをすると4人の生徒が入って来た。

 

 

「じゃ、自己紹介してくね〜」

 

「おじさんは小鳥遊ホシノ、アビドス高等学校の3年生にして対策委員会の委員長。よろしくね〜」

 

3年!?どう見ても同学年か年下にしか見えない…

おじさんって一人称で合ってるのか?

対策委員会ってなんなんだ?

 

疑問は尽きないが次々と自己紹介が進む。

 

 

「十六夜ノノミ、2年生です〜☆対策委員会に所属してます、よろしくおねがいしますね〜」

 

ミニガンをぶっ放してた人だな。

あの金食い虫を運用出来るレベルの財力があるのか…

 

 

「砂狼シロコ。…ロードバイクの資金は順調?」

 

シロコ先輩は知ってる。

資金はまぁ、そこそこ…かな?

 

 

「奥空アヤネです。対策委員会の1年生、書紀をやらせてもらってます。」

 

この子は表に出てなかったな…ドローンの持ち主か?

同学年がいると安心できるわ〜。

 

 

「黒見セリカ。対策委員会1年。」

 

柴関ラーメンの新人バイトちゃんね。

なんか歓迎してません!ってひしひしと感じる。

…ま、部外者が来ていきなり挨拶しろって言われたらそうなるか。

 

 

 

んじゃ、私の番だな!

 

「西條林檎、ゲヘナ学園高等部1年。好きなことは食べ歩きと小旅行。最近は強盗を返り討ちにすることが得意です。今回はアビドスで遭難した先生の救助で参りました」

 

よろしくお願いします。

 

 

うん、変に詰まらずスラスラと言えたな。私も成長している。

 

「…強盗を返り討ち?」

 

シロコ先輩がきょとんとした顔で聞き返してくる。

 

 

「えぇ。最近コンビニでバイトを始めたんですけど来店する3割が強盗なんですよ。ちょっとしたアトラクション感覚ですね」

 

 

"ちょ、ちょっと待って!?バイト先ってシャーレの下にあるエンジェル24だよね!?"

 

「そうですよ?」

 

 

採用が決まった時に挨拶したでしょうに。

 

 

"知らなかった…ソラは無事なんだよね?"

 

「勿論。最近は慣れてきて拘束を手伝ってくれるようになりました。捕縛術を練習してるみたいで私より手際が良い位ですよ」

 

"えぇ〜…"

 

 

何か納得行ってない顔をされたがしょうがないだろう。私達が強盗を呼び込んでるわけじゃないぞ。

 

 

 

 

 

その後は軽く雑談をしながら先生に軽く釘を刺し、時間も良い頃合いになった所で解散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…結局対策委員会って何だったんだろうか?

砂漠化の対策…な訳ないし、地域復興かなんかのやつかな…?

今度会ったら聞いてみるか。

 

 

 

 




ひぃ、人が多いと筆が重くなる…

アビドス対策委員会の皆さんが漸く登場です。
ノノミとホシノが混ざる…アヤネはシロコと混ざりそうになる…
書き分けが上手く出来ているか不安ですが楽しんで頂けたなら幸いです!

アビドスに関するあれこれは結構盛ってしまった感がありますが、この作品ではこうなんだ。と思っていただけるとありがたいです…
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