アビドスで先生の捜索へ赴いてから数日後。
私は最近の日課であるコンビニバイトに勤しんでいる。
「ありがとーございましたー」
さて、後1時間は客が来ないだろう。
「次に来るのが強盗かお客様か賭けませんか?」
「か、賭事はいけませんっ!!」
怒られてしまった。
「今日は後1時間で上がらせてもらうんですが…」
確率的にそろそろ強盗が来ないと私が帰った後で対応する事になりそうなんだけど…
「だ、大丈夫です…多分」
まぁ、最悪金を渡しちゃえば何もされないだろうし…
何かされたならキッチリやり返してやれば2度と来ないだろう。
ここ数日でソラ先輩も大分慣れたみたいだしな。
「何かあったら言って下さい、…仇は必ず取りますから」
「か、仇の場合は死んじゃってるんじゃないかな」
「その時はちゃんと相手も同じところに送りますね」
「…死んだ後も仇に会うのは嫌です」
確かに。ソラ先輩は天国行きが確定してるから相手はちゃんと地獄に落とさないと駄目だな。
そんな下らない会話を続けてるとあっという間に上がりの時間になった。
「それじゃ、お疲れ様でした。お先に失礼します」
「は、はい!お疲れ様でした!」
さて、今日はブラックマーケットまで行く用事がある…まだ余裕があるな。ちょっとゆっくり向かうか。
ブラックマーケットへ向かう道中で携帯に着信があった。
珍しい事にヒフミ先輩からだった。…今まで連絡してくる時は大抵夜だったんだが何かあったんだろうか?
『林檎さんってブラックマーケットに詳しいですか?』
んー…詳しいって程じゃないけど…
『まぁ、そこら辺の学生よりは。どうかしましたか?』
『知りたい事があって』
知りたい事…ペロロの事だろうか?
『ペロロの事なら分かりませんよ?市場には最近行ってないですし』
少し間が空いて
『恩人がブラックマーケットで探し物をしてるんですけど何処を探したら良いのか分からないみたいで』
『お手伝いができたらな、と』
なるほど。恩人のためか…ヒフミ先輩、ちょっと抜けてるところがあるからその縁だろうか。
『わかりました。後10分位でおっちゃんの所…ペロロを手に入れた店に着きますんでもし良ければそこで落ち合いませんか?』
詳しい話は直接したほうが良いだろう。…ま、お友達次第だが。
更に間が空いてから
『はい、お願いします』
可愛い絵文字?つきだ。女の子してるなぁ…
…で、友達ってのがアビドス対策委員会かぁ
「お久しぶりです林檎さん!」
「…久しぶりです。ヒフミ先輩」
うーん…先生が居るなら変な事にはならないだろうけど…
こんな所で何を探してるんだろうか?
「あ、林檎」
『ブラックマーケットに詳しい友達って…』
「アンタだったの!?」
「わぁー☆世間は狭いですねー」
「うへ~、また会ったね〜」
"こんにちは、林檎"
おおう、一気に来られるとちょっと腰が引けるな。
…アヤネって子は通信越しってことは留守番かな?
「こんにちは。詳しいと言ってもそこらの学生よりはって程度ですが。」
何て説明したんだヒフミ先輩…余り期待されても困るぞ…
「…で、何をお求めなんです?ミサイル?C4?…戦車はオススメしませんよ?パーツが脆い劣化コピー品ばかりのハリボテが多いんで」
「いやいや、そんな物騒なモノじゃないわよ!」
「うん、そんな大したものじゃないよ〜」
『何で戦車だけ具体的なんでしょうか…?』
「でも近いモノはありますね☆」
ブラックマーケット製の戦車は何回か相手にした事があるから…
んで、欲しいのは武器の類じゃない。でも武器に関する何かとなると…
「武器の情報ですか?」
「うへ~…ご明察〜」
『私達の学校を襲ったヘルメット団が持っていた戦車の出処をしらべてるんです』
「そこから何かわかるかも…戦車に詳しいなら写真でわかる?」
流石に写真で判るレベルの戦車通ではない。が…
「壊した時に苦労した部位はありますか?」
若しくは動きが悪かった所とか。
小鳥遊センパイに向かって聞く。
モノによってはパーツ業者から話を聞けるかも…
「ん〜、特に感じなかったかな〜」
…うん!規格外の人に聞いたのがダメだったわ!
ま、戦車取り扱ってる所を全部回ればなんか分かるだろ。
「じゃ、闇市から回っていきましょうか。」
そういえばブラックマーケットのマナーって…
「あ、それはもう伝えましたんで大丈夫です」
流石ヒフミ先輩。
それじゃ、ブラックマーケットめぐりツアー開始〜
「なんの成果も得られませんでした…」
私は役立たずだ…申し訳ない。
「いやいや〜そんなことないよ〜」
「ほら、林檎のおかげで手早く回れたじゃない?」
「ん、収穫がないのが収穫。」
「あはは…初めて林檎ちゃんのちょっとへこんでる所をみました」
『まだ肩を落とすには早いですよ!』
…そうだな、探してる皆がまだ諦めてないのに私が諦めるのも変な話だ。
「あら!あそこにたい焼きやさんが!」
「あれ、ホントだ〜。こんな所に屋台があるなんてね。」
「彼処でちょっと一休みしませんか?私、ご馳走しちゃいます!」
おおう、気を使わせちゃったかな…
「え、ノノミ先輩、またカードつかうの!?」
「先生の"大人のカード"もあるよ〜。」
「ううん、私が食べたいから良いんですよ!さ、皆で食べましょう☆」
ノノミ先輩にたい焼きを奢って貰い、皆で食べているとヒフミ先輩が興味深い事を話しだした。
これだけ探しても情報が全く出てこないのはおかしい。
販売ルートや保管記録を全て何者かが握りつぶしている様な感じがする。…でもここを牛耳る企業でもブラックマーケットをそこまで徹底して情報統制できるはずがない。
そもそもブラックマーケットは無法者の巣窟だ。態々隠して販売するやつなんかいない。
「それに、ほら。例えばそこのビル。あれがブラックマーケットの悪名高き闇銀行です」
「闇銀行?」
「あぁ、ブラックマーケットのなかでもデカい銀行ですね。キヴォトス中の犯罪で失われた盗品の15%が保管されてるとかいう」
「えぇ。そして様々な犯罪で手に入れた財貨を担保に現金を融資してさらなる犯罪の資金源にする…負の循環が完成している訳です」
「それじゃまるで…銀行が犯罪を推奨しているみたいじゃないですか?」
ノノミ先輩が冷や汗を垂らしながら呟く。
残念ながらその通りなんだよなぁ…
「はぁ!?連邦生徒会は一体なにしてんのよ!」
まぁ、気持ちは判るが生徒会長がいても無理だったなら今の連邦生徒会じゃ望み薄だろうな。
「理由は色々あるんだろうけどね〜どこもそれなりの事情があるだろうからさ」
「現実は思ったより汚れてるんだね…私達はアビドスの外を知らなさ過ぎたのかも」
『お話し中すみません!武装した集団がそちらに接近中です!』
取り敢えず、隠れましょうか。
隠れて様子を伺い、マーケットガードが現金輸送トラックを護衛しながら闇銀行へ向かったのを確認するとアビドスの子達がなにやら動揺していた。知り合い?
カイザーローン?へぇ~、カイザーって金融業もやってるんだな。は?借金してんの君達…あぁ、ハイ後で説明ね了解。
カイザーって手広くやってんのな。ゲヘナにもあるよカイザー。
うわ、トリニティで睨まれてるって事は灰色でも結構黒じゃん…
いや、ゲヘナなら別に問題ないか…うちは嵌められたと気付いたら焼き討ちしに行くもんな…
トラックが走り去るとアヤネにトラックのルートを確認するように言った様だ。現金輸送車のルートをオンラインで分かる様にしてるとは思えないんだが…
「ま、基本的にオフラインでやるでしょうね」
「だよね~。」
要約すると。カイザーローンから借金した歴代アビドスのツケを今の対策委員会が払い続けてた。
払った相手が闇銀行に現金を輸送してる。
つまり、犯罪の資金源にされているのでは?って事らしい。
重たく考えすぎな気もするけどなー。
返した相手が犯罪者に資金提供してようがそれはソイツのせいでアビドスのせいじゃないだろ…
「あ、先ほどの集金記録!あれをみれば証拠になりませんか?」
ヒフミ先輩がとんでもない事を言い始めた。
それ、どうやって見せてもらうつもり…?
アビドスの連中は乗り気になっている。
マジで何をするつもりなんだ?
「ん、もうあの手しか無い。」
「あ~、あれしかないか〜」
「あっ!そうですね!あの方法なら!!」
「え?ホントにやるの?私が考えてる方法じゃないわよね!?」
「残された方法はたった1つ。」
シロコ先輩が覆面を被った!
「銀行を襲う。」
…………マジ?
原作の話が完成されすぎていてオリジナルを入れるのが難しい…基本的にアビドス編はアビドスの友情や絆がメインになっていると思うので今後もスポット参戦をさせていく形になります。
また、今回の様に原作と話が同じ所は林檎視点のダイジェスト風で行こうと思います。