ゲヘナのガンマン   作:トニートニー

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ガンマンと先生 その3

 

 

 

停戦からおよそ10分が経過した頃。

チナツが指揮車らしきモノに乗り込んでからめっちゃ暇だ。

 

暇つぶしに弾薬の確認をしながら目の前に居る風紀委員に話しかける。

 

 

「なぁ、まだかかりそう?」

 

「現在チナツさんも含めて通信会議中ですので少々お待ちを。」

 

「そういやヒナ先輩元気?今日は来てないの?」

 

「作戦に関わる事はお答え出来かねます」

 

 

 

最初に与えた動揺も収まっちゃったな。

さっきの相棒(ビビリちゃん)とお話でもしようかな〜と見渡してみるも、視界に入る分には見当たらなかった。

 

うーん、再戦時の起点になってもらおうと思ったのにアテが外れた。やっぱプランA、チナツを撃って暴れ続けようは無理かもわからんな。

 

脳内で弾く相手を吟味しつつ、撤退ルートを考えているとふいに声が掛かる。

 

 

「我々風紀委員は撤退します」

 

 

何時の間にか戻ってきたチナツからだった。

 

 

…今更?もう攻撃仕掛けたんだから後は戦争しかないだろうに…

 

 

「風紀委員長とシャーレの先生、アビドスの間で合意が取れました。この度の戦闘に関わる被害への補償は後日改めて行うとのことです」

 

 

あぁ、行政官の先輩じゃなくてヒナ先輩が直接話したのか。それなら信用できるわ。

 

 

「林檎、貴方はどうしますか?」

 

 

…アビドスは矛を収めたんだよな。一番被害を受けた奴らが我慢するのに1人だけ暴れてスッキリ!はあんまりカッコ良くない。

 

 

「うーん…そういう事ならもう良いや」

 

 

何時ぞやの借りもあるし、此処は退かせてもらう。

 

そう伝えるとチナツは緊張を解いて周囲に撤退指示を出した。

 

 

「…私が暴れると思ってたのか?」

 

「まさか。万が一にも無いとは思ってましたよ。でも最悪の場合を考えないといけませんから」

 

私、これでも指揮権を戴いている身ですので。

 

 

少し戯けて返してきた。

 

うん、まぁ…何時も通りに戻ったな。

 

 

 

さて、便利屋の皆は無事だろうか…取り敢えず戻ろう。

チナツに別れを告げて市街地へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

"おかえり。何か言う事はあるかな、林檎"

 

 

先生が超怒ってる。今回は思い当たることが無いんだが。

 

 

「……ただいま戻りました?」

 

 

溜息をつかれる。違う、そうじゃないと。

 

制止を振り切って単身で突っ込んだ事の弁明を聞きたいらしい。

私が単騎特攻した事は別に気にしないで良いですって言ったじゃないですか。

私に対してぶっ放した落とし前をつけさせるためだったし、便利屋の皆はまあ、一緒に撃たれたから関係あるとしてもですよ。アビドス対策委員会や先生とは関係ない話じゃないですか。

 

…更に叱られた。なんでじゃい…

 

 

暫く説教を受けた後こっちで何があったのか、便利屋はどうしたのかを聞くことが出来た。

 

 

アビドス勢は避難誘導後に便利屋と共闘して風紀委員に抗っていたところに行政官から接触があって停戦に至ったのだそうだ。

 

結局、行政官との話は決裂したが再び戦火を交える直前にヒナ先輩が登場。ヒナ先輩の姿を見た便利屋はヒッソリと逃走したとの事。

…まぁ、気持ちはわかる。あの人相手にするならまだ他の風紀委員全員とやる方がマシなんじゃないかな?

 

 

閑話休題。

ヒナ先輩は今回の件を知らず、本当に行政官の独断専行だったようだ。そもそも便利屋の捕縛は建前で本当の狙いは先生だったとか。

 

…シャーレってそんなに権限強いの?

そんなのをポッと出の大人が握ってるとかそりゃ怖い。

え、連邦生徒会会長代行が説明してた?…聞いてなかったわ。

 

 

んでもって、ヒナ先輩の鶴の一声で風紀委員の撤退が決まって今に至ると。

 

 

「先生…大変ですね」

 

色んな勢力に狙われそうで。

 

 

"そう思ってくれるならもう少し他人の事を考えて動こう?"

 

正しく伝わってない気がするが訂正するのも面倒だ。

 

…これでも考えてるんだよなぁ。

巻き込んで迷惑にならない様に1人で突っ込んだわけだし。

 

 

「一応考えてるつもりなんですが…」

 

"…ゆっくり出来る様になろうか"

 

 

残念な子を見るような目で見られた。

と言うか、人の事を考えろって言うなら…

 

 

「先生だってアビドスで遭難しかけたじゃないですか…」

 

"うっ…それを言われると…"

 

 

残念な子をみる目で見てやった。…目を逸らされた。

 

…良し、勝ったな!

 

 

「まぁ、今回は丸く収まった様で良かったです」

 

"そうだね…"

 

 

迫撃砲でボロボロになったアスファルトを見つめて先生が呟く。

…街はぶっ壊れたけど人は助かった。壊れたモノはゲヘナに補償してもらえば良い。…マコト先輩が出てくると難しいがヒナ先輩相手なら余程欲張らなければ通る可能性は高いだろう。

 

…しかしまぁ、先生はそう言われても納得しないんだろうな。

 

私だって柴関ラーメンが吹っ飛んでたら相手がヒナ先輩だろうと食ってかかっただろうし。

 

 

「先生って大変ですね…」

 

守りたい範囲が広過ぎて。

 

"…そう、かもね。"

 

 

少しの沈黙を挟んだ後、挨拶をして別れる。

 

 

「それじゃ、先生。お疲れ様でした」

 

特に返事を待つことも無くゲヘナ領へと歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先生を呼んだという連邦生徒会長は人を見る目が無いと思われる。

身内判定の広い人は此処じゃ生きづらいだろうに。

 

皆仲良しの夢の世界じゃないんだ、何時か身内判定した奴らで争う所に出会すだろう。その時先生がどうするのか…考えたくないな。

 

 

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