適当に1発ゴリアテに向かって撃ってみる。
…ダメだな、弾かれた。もっと距離を詰めないと。
「何だ今のは?そんなアンティークでこのゴリアテとやり合うつもりか?」
馬鹿にした口調のカイザー理事。
「勿論。あんたの玩具はそのアンティークで鉄屑に生まれ変わらせてやる」
余裕を見せながら返す。ついでに煽っておこう。
「あーあー…大の大人がちょっと大きい玩具乗り回して悦に浸ってんのは見るに堪えないわ〜」
態と姿を晒しながら挑発してみたら即弾が飛んできた。危ねー…私以外だったら当たるとこだったぞ。
「下手な挑発だな」
「その割には直ぐ黙らせようとしてなかった?」
無言で壁越しに連射してきた。ヤバいな、一つの遮蔽物が10秒持たない。
今度は左腕のガトリング砲を狙って2連射、右腕に3連射。少し銃口が上を向いた隙を突き、姿勢を低くして次の遮蔽物へ。
「照れ隠しにしちゃ派手な奴だ」
もっとセリカを見習え、アイツの照れ隠しは可愛気がある。
"林檎、皆移動したからもう挑発は良いよ"
折角エンジンかかってきたのに…まぁ今回は1人じゃないし、ちゃんと指示には従おう。
"解析してみた所、ゴリアテは人ならではの弱点を潰している。間接は反対側だろうが関係なく曲がるし、腰部も360°回る。ボールターレットが2基付いてるみたいな物だ。"
そうみたいだなッ…今のは危なかった…!
ダメになった壁から弾を避けながら次の遮蔽物の所まで走る。
何発か掠ったな。アイツ、人体の可動域なんか無視して狙ってきやがる。理に適ってるのかも知れないが生理的に無理な動きだわ。
"でも付け入る隙が無いわけじゃない。例えば照準なんかは、視界の中である程度の大きさの物が一定の速度を超えると自動である程度追ってしまうみたいだ"
大きめの破片を思いっきり明後日の方向に投げる。
反応した銃口が僅かに揺れて一瞬隙が出来た。
再度走って横っ飛びに遮蔽物に飛び込む。
"ガトリング砲ならではの弱点も残ってるね。スピンアップの為少し発射までタイムラグが有るし強度もほかの部分に比べて弱い。頭部の大砲には自動給弾装置がないからそうそう撃ってはこないだろう"
そもそも遠距離射撃時に部隊で運用する為の物だろうね。
そう続ける先生。まぁ、あんな大口径を立射したらひっくり返りそうだしね。武器が一つ減ったと考えれば儲けものか。
ガトリングは確かにそうだけど左右交互に撃たれるとあんま関係なくね?
片方でも黙らせられればまだ近づきやすくなるんだけどな…
"後は純粋に速度。二足歩行にしたせいか大したスピードは出ていない…原付程度だね"
いや、あの巨体で原付並みなら十分じゃないかな?
二足歩行で最高時速60km位ってことでしょ?
地形をある程度無視できるなら安いもんだよなぁ…
また遮蔽物がダメになりそうだ。とっとと下がろう
「先生、全然近づけないんだけど」
"後少し耐えられるかい?具体的には2分程。"
「あー…五分五分かな?」
当たったら無理だけど当たらなかったら行ける。
当たるか当たらないかの2択だから…うん、50%だわ。
"…今度数学の勉強をしようね"
「それは勘弁して欲しいかなッ!?」
あぶね、壁を抜ける距離まで来やがった。…それでもなお遠いな。
ちょっと下がって別の壁裏に隠れる。
"私が隙を作るからタイミングを合わせて反撃して"
「何処が狙い目?」
"胴体部分の辺りに重要なユニットが集中してる"
「でもお硬いんでしょう?」
"そうでもなさそうだ。機動力確保のためか大分装甲を削ってると見える。せいぜい新型装甲車の正面装甲を二枚重ねくらいだよ"
それでも十分硬いんですが。貫くには殆ど密着しないとダメか。
"良し、こっちの準備は完了。林檎、手筈通りにお願い"
「了解しました。先生もちゃんと逃げて下さいよ?」
"上手く行ったのを見届けたらね"
食えない大人だ。でも頼りがいはある。
さぁて、テンション上げて行きますか!
弾幕系は苦手なんだよなぁ!
なんて、弱音を吐く暇もありゃしない。
ゴリアテと付かず離れずを繰り返しながら校舎跡から少しずつ離れる。
「ええい、ちょこまかと隠れよって!!」
イライラしてるな、超ウケる。
「そりゃ、そんなデカいの相手にまともに戦う奴はいねぇよ!」
バーカバーカ!と中指を立てながら目標地点まで走る私をゴリアテが追う。…まだ気づかれてないな。
そろそろ限界だぞ…と思っていたその時、反対側の建物の陰から何かが飛び出した。台車と軽コンテナだなありゃ。
"今だ!!"
ナイスタイミングだぜ先生!
ゴリアテの砲口が一瞬そちらに向こうとする隙を突いて急接近、こちらに砲口を向けなおそうと気持ち悪い動きをしているのが見える。
まぁ、もう遅いが。ゴリアテの足元を抜けて反対側へ抜ける。
そのついでに左腕、右腕に1発ずつくれてやる。
「何ぃッ!?」
砲塔の回転が歪になったのを目の端で確認。流石にこの距離で装甲の薄いガトリングに撃ち込めば壊せるわ。
そのまま胴体に向けて撃とうとした時にこちらを向いた頭部大砲からの発砲を確認した。
「…まだだ!まだ私は負けていないッ!!」
馬鹿みたいに大きな砲弾が此方に向かって飛んで来る。
近すぎる…直撃コースだな。避けきれない。
極限まで集中した私の視界でゆっくりと近づいてくる弾頭。
一か八かだな。
体を無理やり下方向へ倒しながら3発の銃弾を飛んでくる弾頭の左下から集中させて当てる。
着弾とともに大きな土煙が視界を遮った。
「…ハハハ、ハーッハッハ!手古摺らせおって、最後は呆気ないものよ!」
カイザー理事の声が響き渡る。
…漸く油断したな。
ゴツッ…と胴体部分に銃口を押し当てる。
「アンティークの威力、とくと味わいな」
零距離で発砲。放たれた銃弾は装甲を貫き、内部を引きちぎりながら後方へ抜ける。
機能を停止したのか機体の腕がだらりと下がった。
「ば、バカな…何故…」
カイザー理事が信じられない、と言った風に呟く。
シリンダーから排莢、リロードする。
「お前の玩具より私の骨董品の方が上等だったってだけだ」
再度構えて2発撃ち込む。……気絶したか。
何とかなったな…あー、集中しすぎて目と頭が痛い…
"林檎!大丈夫…って血が!?"
「あぁ、大丈夫ですよ。昔から集中しすぎるとこうなるんです」
目の端から血涙の様に血が流れているのを指で擦りつつ話す。
1発も貰ってないんで外傷はない。
これは最後の砲弾の軌道を逸らす為に銃弾を撃ち込んだせいだし。
アレの直撃貰ってたら普通に意識飛んでたわ…
"すぐに治療を…本格的なものはヘリがもうすぐ来るからそれまで我慢できる?"
ヘリなんか有ったんかい!と突っ込む気力もない私はただ頷いた。
…経験上暫くすれば治まるもんだし、ほっとけば治る。
「先生、私の方はもう良いんで対策委員会の方に行って下さい」
先生は私の心配をしているのか渋っていたが再度促すと漸く行ってくれた。ホシノ先輩が心配だしな。チャチャっと助けて安心させてくださいよ…
上空から連邦生徒会のマークが入ったヘリが降りてくるのを見ながらゆっくりと目を閉じる。
…頭痛くて眠る事も出来ねぇわ。
最後まで締まらないなぁ…
ゴリアテ戦終了です。
ブルアカで何回か試しにアビドスの戦闘を回してみたんですが、頭部の大砲撃ってきてないんですよね…そこで、拙作ではガンタンクのキャノン砲みたいな扱いにさせて頂きました。
その他にもゴリアテを魔改造してますが人型を取る弱点を残す理由が浪漫以外見当たらないのと、カイザーはその辺キッチリ潰しそうだな。という個人的な感想でこの様な形になっています…
今後も楽しんで頂けたら幸いです!