ヤバい代物だけど合法な悟りを拓ける可能性があるゲームを手に入れたんだけどやってみない?
私は食堂で昼飯を取りながらクラスメイトにゲームをオススメしていた。
「はぁ?どんなゲームだよそれ」
ちょっと前に流行ったホラーものかよ…と呆れ顔だ。
甘いな。アレはそんなものではない…
「レトロゲー風の電子ドラッグに近い何か。少なくとも製作者の愛は詰まってるぞ?」
なんせミレニアムサイエンススクール謹製だ。頭の良い奴らが全力で趣味に走った結果とっ散らかったバカゲーになったと思われる。
「ミレニアム…レトロゲーム……
「お、知ってんのか?」
知らなかったらあの怪作をプレイさせてやろうと思ったのに。
「あれだろ、クソゲーと呼ぶのに一切の呵責が無い堂々たるクソゲー。その年のクソゲーランキング1位はTSCが出た瞬間に決まったっていう程の問題作」
ランキングなんてものがあるのか…不名誉なものも有るもんだな。
「うーん、確かにブチギレそうになる事が多いが攻略情報があればクリアできるし、遊べない事は無いぞ?」
「攻略情報無いと遊べないならダメじゃね?」
説明書感覚で攻略本が必要になるのは欠陥だと思うけど?
続けられた言葉にぐうの音も出なかった。
「ケッ、良いよもう…」
イオリ先輩辺りにオススメしてみるか…
スゲー良い反応してくれそうだし。
「何考えてんのか知らないけど辞めときな?」
「オススメするだけだぜ?」
あの理不尽を語り合って分かちあいたいこの気持ち、お前にも理解して欲しかった…私が遠い目をしていると溜息をつきながら
「アタシも一応やった事あるよ。…最後まではやらなかったけど」
「なんだ!それなら製作者から貰った攻略情報やるから最後までやろうぜ?あの理不尽さを語り合いたいんだよ私は!」
あの、訳わからんストーリーがどんでん返しを繰り返して最終的にヒロインが妻だか母だかになる倒錯さとか。
難易度が高い=プレイヤーがクリアできないって考えたとしか思えない理不尽な操作要求だとか。
「えぇ〜…遠慮しとくわ。やるなら楽しいゲームのが良い」
TSCがつまらないって言いたいのか!?アレはそんな次元じゃないぞ!TSCをプレイする時はアレだ…予想外の所からぶん殴られる理不尽を意味不明な操作で乗り越えた時に出る脳内物質を楽しむんだよ!終わった後の疲労感と虚無感で整うサウナみたいな作品なんだ…。大丈夫、やってる内に無心になってくるが後々思い返すとそれなりに良い思い出に……
「目の前でいきなりトリップすんな正気に戻れ」
熱く語ってたら叩かれた。…私は一体何を話してたんだっけか?
「…ミレニアム繋がりで思い出したけどそろそろアレだ、ミレニアムプライス?プライム?だかの時期だろ」
話題を変えるように話すクラスメイト。
「あぁ、新作技術の発表会みたいな奴な。」
ミレニアムのお祭りみたいなもんだったか?
大抵は理解出来ないモンばっかだけど時々ヤベーのが出て来てネットで話題になってる事しか知らないけど。
「私達の頭で理解できるようなのなんか一握りじゃん」
あれ見てても別に面白くないんだよな…新技術やら新素材やら出てきても何の役に立つのかも分からんし。
去年話題になったブースター付き多機能スケートボードBluetoothを添えて、みたいな頭が悪い奴ばっかりなら面白いのに。
「まぁアタシたちじゃ理解出来ないのが多いのは確かだけどさ」
企業や他の学園は結構気にしてるって話よ、と続ける。
金になる新技術なら引き入れたいだろうし妥当だわな。
「そーいうのは上の人達が考えて良いようにするだろ」
そういう事を請負ってるから偉い訳だし。
「万魔殿の連中が何とかしてくれるってか?」
「マコト先輩なら、何時もの何でか上手く行く政治力で何とかしてくれるだろ」
マジで謎だが、あの人が絡んだ事でゲヘナの不利になった事が無い。…その内しっぺ返しを食らうかもだけどまだ起きてない事を考えても仕方ないしな。
さて、そろそろ混んできたし撤収するか。
クラスメイトに別れを告げて食堂を出る。
負けっぱなしは性に合わないしそろそろ一回ミレニアムに顔出してネル先輩と勝負しに行くか……居ないなら居ないで練習出来るしで悪い事ないしな!