トリニティでの不穏な日の翌日、先生に連れられて私はミレニアムにあるゲーム開発部へとお邪魔している。
「はじめまして!私は才羽モモイ、ゲーム開発部でのシナリオライター!こっちは妹のミドリ!グラフィック他を担当してるよ!」
「はじめまして、才羽ミドリです…お姉ちゃんがすみません」
「アリスの名前はアリスと言います!ノッポさん宜しくお願いします!」
スゲー濃い面子だ…流石TSCを作り上げた連中と言うわけか。
良し、ここは1つ私も自己紹介を決めよう!
「はじめまして。私はゲヘナ学園の1年生、西條林檎。特技は早撃ちと最近はTSCをオススメする事、最近の趣味はロードバイクとゲームです。…ノッポさんは辞めて欲しいかな」
よし、3回目ともなればサクサクとできるものだ。
…何かロッカーがガタガタした気がするが、何か入ってるのか?
「おぉー…本当に楽しんでくれたみたいだね!」
「じゃあ用心棒さんでどうですか!?」
「いやいや、それも意味わからないと思うよ?…ホントに楽しんでくれた人が居たんだ…」
用心棒なら良いか。エンジェル24で似たような事してるしな。
「金じゃ動かないけど用心棒なら良いよ。それよりもTSCの製作者にこうして会えて光栄です…アレを作ったのがこんな少人数だったなんて驚きましたが」
もっと大人数で船頭多くして船山に登るみたいな感じかと思ってたが、相当ぶっ飛んだ奴が山を越えて宇宙まで船を持ってったんだな…よりヤバい気がするがそれでこそ新作にも期待が募るってもんよ!
「まぁ、もう1人プログラミング担当がいるんだけど…」
チラリとロッカーを見やるミドリ。…あの中に人が居るのか?
「ねぇねぇ、TSCの感想を聞かせて貰えない?」
「あまり評価される事が無いから気になってて」
成る程。あの怪作は常人には理解を得られにくいからな。
「勿論!始まりの段階から既に騙してくるシステムや、普通にぶっ飛んだシナリオ、設定がとっ散らかって放置されたままの伏線等色々粗が目立つのはそうなんですが…」
長々と語ったが要約すると、イかれてる内容と操作難度なのは間違いないんだけどクリアできた時の変な快感と虚脱感が堪らない。そんな怪作がTSCなんですよ!と力説した。
時折微妙な顔をしていたが概ね満足しているようだ。
さて、本題の新作の事なんだが…
「うんうん!それで、これが新作のTSC2なんだけど」
「おぉ!素晴らしいパッケージだ!ゲームソフトはプレイ後に並べる所までが楽しいんで助かります!」
ダウンロード版も手軽で良いと思うんだけどやはり気に入った奴は棚に並べる事で所有感と思い出を満たしたいしな。
「そこまで喜んでくれたなら頑張った甲斐が有ったよ」
「ダウンロード版はそれなりに高評価だから自信作だよ!」
「えぇ、なんて言ったってミレニアムプライスで特別審査員賞を獲ったんですから!」
TSCの様な複雑怪奇かつイカれたストーリーと設定を一般ユーザーが理解出来るレベルに落とし込み、通常プレイを可能にしたと言うのか…これは期待が高まるぜ!
"仲良くなれたみたいだね"
若干空気だった先生が話しかけてくる。
…すみませんね、ちょっと興奮してまして。
「えぇとても。あ、遅れましたがこちら、大したものじゃありませんがよろしかったら皆さんで召し上がって下さい」
お土産として持ってきたアビドス砂饅頭を差し出す。
レア物ですぜ…何せ通販もしてないような店で売ってる逸品だ。
「ロッカーの中の方も、後でも構いませんので宜しければどうぞ。」
一声掛けておく。ロッカーが一際大きく揺れた。
…あまり長居するとロッカー内で倒れるんじゃないか?
さっさと帰るとしよう。
「では、私はこの辺で失礼させていただきますね」
「えー!まだいいじゃん!」
「お姉ちゃん、引き止めても悪いよ…」
人懐っこい姉と控えめな妹で良いコンビだな。
アリスは…土産食ってるな。おいしく頂いてくれてて嬉しいわ。
「またプレイした感想聞かせてね!」
「勿論、喜んで!」
頭を下げてからゲーム部の部室を出て家路につく。
さて、どんな作品に仕上がってるんだTSC2…!
なん…だと?ストーリーの外連味はそのままに、仲間を増やす事によるRPGっぽさを上手く使って面白さに拍車がかかっている…!
これは続編だが完全新作と言ってもいいほどの出来だ。
正直前作の様な楽しみ方ではないのが残念だがこれなら普通に楽しめるな。…今度ソラ先輩にオススメしてみるか。