「…てな訳でトリニティでの騒動は以上です」
纏めると今回は先生を狙ったってのは私の勘違いで目的は先生じゃなく裏切り者を炙り出すための無茶振りが偶々先生をまきこんだ感じだった。んで裏切り者は別に居てそれが聖園ミカとかいうトリニティ版マジカルヒナ先輩みたいな奴。そいつがクーデター起こす現場に居合わせて喧嘩売られたから補習授業部の皆と一緒に伸してやったって訳ですわ。
「うん、訳わからんな」
端的に切って捨てられた。まぁそうですよね…
「桐藤ナギサめ、内部の統制も出来んのか…っと、私も足元掬われてたな。これは失敬」
お相子だな、と笑うマコト先輩。…内心ではどう思ってるかわかんない顔だなぁ。
「で、その後は?桐藤ナギサとの会談はどうなったんだ?」
あー…あんま中身無いですよ?
「普通に謝罪されておしまいですよ?…てっきり報復するつもりかと思って気合い入れてったのが無駄になりましたが」
「…んん?なんで報復されると思ったんだ?」
「えぇ…そりゃマコト先輩が勝手に話を受けたから…てっきりリベンジマッチの用意してて、先に手を回されたのかと」
先輩、相手の意志が強けりゃ大抵の事は許可する所あるし。
…面白そうなら多少の不義理も目を瞑る人だし。
それにあの聖園ミカの友達でしょ?頭のネジが2、3本ぶっ飛んでると考えると普通に袋叩きにしてくるでしょ。
「流石に連続でドタマに叩き込んだからやり過ぎたかも?と思ってましたし。…まぁ後悔はしてませんが」
「時々狂犬過ぎるなお前は…」
頭痛を抑える様に頭を抑えるマコト先輩。
そんな事ないと思うけどなぁ…
あの聖園ミカの強さをみたら卒倒するんじゃないですかね?流石にヒナ先輩には勝てないと思うけど雑兵はデコピンで吹き飛びそうな力でしたよ?
「まぁ、結局はトリニティ内部でのゴタゴタだったって話らしいです。エデン条約の反対派にクーデター起こされかけてただけですね」
「クーデター起こされかけたのを"だけ"とは言わんぞ?」
「レッドウィンターじゃ日常茶飯事だって話ですよ?」
あっちの学園じゃ週刊クーデターだって聞きますし。
…日刊だったかな?
「それはレッドウィンターの頭がおかしいだけだ。普通は一度起きたら学園が滅びかねん」
クーデターが起きたと言うには頭が変わったって話もない。なら常に制圧に成功してるのかと思えば何度かはクーデターが成功しているときた。…何で成功しているのに政権が変わらないんだ?本当に意味が判らん…
レッドウィンターの愚痴?がつらつらとマコト先輩の口から出てくる。…聞きしに勝るなレッドウィンター。
「…すまん、少し我を忘れてた。件のアリウスとやらはどうだ?」
「一般兵は風紀委員会の精鋭部隊以下、一般生徒以上ってところでした。アリウスの精鋭部隊、スクワッドと呼ばれる連中とは出くわしてない為戦力の程は不明です」
スクワッドはアズサ先輩の所属してた部隊だと言うし…アズサ先輩✕4だとするとゲリラ戦では右に出る奴らは居ないだろう。
「…エデン条約に絡んで来ると思うか?」
「ほぼ間違いなく。大半は捕縛されたとは言えまだ根幹部隊は残っていると思いますし…諦める位なら最初からあんな大部隊をけしかけないでしょう」
潜入した方法も不明と来てる。…トリニティ側は把握してるかもしれんが。
「だよなぁ…キキキッ、面白くなって来たじゃないか」
楽しそうだなぁマコト先輩。
「つまらん女だと思っていたがこんなサプライズを用意してくれるとは…聖園ミカには感謝しないといかんなぁ」
すげー邪悪な笑顔で爽やかに言う。うん、まぁ好きにしてくれれば良いんですけども。
「…エデン条約、続けるおつもりで?」
「辞める理由があるか?トリニティがグチャグチャになる分には対岸の火事だ。精々見物させて貰うさ」
鼻で笑って答えられた。
…仮に出てきてもトリニティ領での戦闘になるだろうしな。
「それに、だ…アリウスはゲヘナにも恨みがあると言ったらしいではないか。エデン条約で出来るETOの試運転には持って来いだろう」
ETO…ゲヘナ・トリニティ連合軍か。
「きっと楽しいぞ?出てきたモグラ共を圧倒的な力で叩いて地獄を見せてやる。その血を以てエデン条約を真に締結する…平和条約が血塗れでスタートするというのも乙な物だろう?」
あー…これ暴走スイッチ入ってるわ〜…
ヒナ先輩以外だとイブキしか止めらんねぇんだよな…
「そうと決まれば用意しないといけないものが多いな。早速関係各所に指示を…」
「あー!林檎とマコト先輩、こんなところにいたのー!?」
噂をすればイブキが来た。
これでひとまず暴走は止まるだろ。
「イブキ!?なんで此処に…」
「林檎がね、お土産持ってきたってメッセージくれたの!」
ねー、と私を見て笑うイブキ。うん、可愛い。
「そうかそうか!それじゃオヤツの時間にするとしよう!」
…さっきまでの暴君っぷりが嘘の様だ。魔性の女だよイブキ。
「応接間に行くぞ!」
善は急げだ!と先導していくマコト先輩の後を追う。
…さっきまでアリウスが壊滅するまで殴りつけるつもりだったろうに一瞬で頭から飛んでったな。
まぁ、そうなってたらトリニティ領はズタボロになってただろうから結果オーライだ。
「林檎が持ってきたお土産ってなにー?」
「トリニティの茶会でも出てきたロールケーキ。あっちの頭が用意してくれてたもんだから多分高いやつ。」
めっちゃ美味かったぞ。私途中からひたすらそればっか食ってたもん。
「うわぁ楽しみ!皆呼んでくるー!」
パタパタと走り去るイブキ。飛び級してるくらいだから頭の出来は私なんかとは比べ物にならないが子供らしさが無くなってないのは実に愛くるしい。
「…林檎。貴様狙ってやったのか?」
キリッとしたマコト先輩から聞かれるが…皿持ったままじゃカッコつかないですよ先輩。
「まさか。偶然ですよ偶然」
私がそんな頭回る訳ないじゃないですか。
「さ、準備済ませちゃいましょう。あの様子だと直ぐに帰って来ますよ」
ササッと準備を続けてるとマコト先輩から視線を感じる。
「まだ何か?」
「いや、何でもない。…さっさと終わらせるか」
手際良く配膳していくマコト先輩。
変な所手慣れてんだよな…
「どちらでも構わんが、まだ首を突っ込みたいなら言え。席は用意してやる」
エデン条約に?多分もう無いと思うが…
「その時はお願いします」
一応、そういうことになった。
暫くはトリニティ…というか聖園ミカが出現するエリアには近づきたくないし、マジでヤバい事にならない限りは無いと思うけど。
結局また首を突っ込む事になったんだが…まぁそれはその時にならんと判らなかったしな。暴走するアリウス。崩れる聖堂。奪われた条約と同盟。今考えると水面下で静かに進行していたんだろう。
エデン条約締結まで、後2日。
エデン条約編もそろそろ佳境です。
原作と時間の流れが違うところも多々有りますがご容赦の程を頂けますと幸いです。