『それで、この忙しくなる時に態々連絡をよこしたのはどういった了見だ?』
巫山戯た理由だったら
そんなのはごめんなので簡潔に理由を述べる。
「お忙しい中すみません!合格祝いしに行った友人の中にですね、アリウスと仲のいい人がいまして!話の流れと言うか必然と言うか…兎に角、話を聞いてみて欲しいんですが…」
タイミングがよろしく無かった。
今、忙しいですよね。後2時間もすれば調印式ですもんねー。
『…5分。5分間だけくれてやる』
「ありがとうございますッ!…では失礼しまして」
スピーカーへと切り替えてハナコ先輩に渡す。
目線で問いかけてきたので指を5本立てて小声で答える。
「5分頂けるそうです。その間に気を惹けたら協力してくれるかもしれません」
ハナコ先輩は頷くと、電話越しにマコト先輩と話し始めた。
「初めまして、万魔殿議長羽沼マコトさん。私はトリニティ総合学園2年、浦和ハナコと申します」
この度は…と続けようとするハナコ先輩の言葉をぶった切りながらマコト先輩が喋る
『補習授業部だろう。下らん前置きは要らんから本題に入れ』
ピリついてて怖いわー。初対面時のマコト先輩って感じがする。
「では失礼して。私達の仲間にアリウスの精鋭部隊出身者が居ると言うのはご存知ですか?」
『報告に有ったな。白洲アズサと言ったか?それがどうした』
「アリウスとは浅からぬ因縁がありまして…その相手を
暗に手を出すな、と言う事だね。
少しの間沈黙が流れる。先に静寂を破ったのはマコト先輩だった。
『殴りかかってくる相手を譲れと?寝言は寝て言えよトリニティ』
鼻で笑って返答された。まぁそうだよね…喧嘩売られて買う気満々なのに横から掠め取る様なもんだもの。
『そもそも貴様らの願いを聞き入れる利点も無い。…時間の無駄だったな』
あ、ヤベ電話切りそうだ!
「今回の件、アリウス側の策が全て割れた訳では有りませんよね?しかしアズサさんが居れば先回り出来ます」
希望的観測を含むけどね?
電話越しの音がピタリと止まった。ギリセーフか?
『先に殴りつける手段があると?』
声がいつもの調子になり始めた…このまま押せば行けるか?
「そんな野蛮な…保護しに行く手段を講じたいだけです」
ハナコ先輩は訂正しつつ此方に頷いて見せた。
『興が乗った。話せ』
良かったいつも通りのマコト先輩だ。第一関門は突破だな。
ありがとうございます、と一礼して話し続けるハナコ先輩。
「アリウスの次の一手は…大量破壊兵器による奇襲、その後の戦力投入によるトリニティ・ゲヘナの殲滅と思われます」
アズサ先輩から聞いた話じゃ使用した武器弾薬と仕入れたと思われる物資の量が合わない事が多々有ったと言う。
ブラックマーケットでも大型ミサイルそのものは手に入らないが…
「知識のある者…ミレニアムなどでは理論だけなら完成しているものも有ります。後は材料と秘密裏に作成する時間、場所が必要なだけ…」
その全てがアリウスには有った。人知れず存続していた歴史の敗残者達にはそれを使う事に躊躇う理由が無い。戦力差をひっくり返せるなら喜んで使うだろう。
『突拍子も無い話だな?それが真実だとするなら我々は条約など無視して撤退するべきだろうが』
そう返答するマコト先輩。
判ってるくせに時折こうして相手を試してくるんだよな…
「
ハナコ先輩は断言する。
「林檎ちゃんを見ていれば解ります。戦力差が有ろうとも退くべきじゃないと思ったら何が相手でも噛みつく…それが貴方方の好みでしょう?」
『キキキッ…林檎、貴様の周りは何時も愉快な事になるな?』
「…望んだ訳じゃ有りませんが。否定は出来ませんね」
アビドス然り、トリニティ然り…最近こう言うのばっかりな気がする。まぁ退屈しないし別に良いんだけどさ。
『気に入ったぞ浦和ハナコ。何が望みだ?』
「エデン条約の締結を、予定通りにお願いしたいのです。そこで誘き出されてきたアリウスを我々が止めます。」
更に続けて話すハナコ先輩。此処が勝負所だと判断したのだろう。
「トリニティ側には既に説明済みです。承認もティーパーティーホストの名前で頂いております」
予備戦力としてシスターフッドにも参陣して貰う予定です。と続けるハナコ先輩。…良くもまぁあの短時間でここまで手を回せたものだ。
『貴様の読みが当たっているなら
少し嗤いながらそう反芻するマコト先輩。
「そこが本当に死地なのかは林檎ちゃんが詳しいと思います…ね?林檎ちゃん?」
私か…まぁ、思い当たる節は無くもない。
「…先輩、此処に来る時に言ってましたよね?ヒナ先輩を無力化する方法なら幾つか思いつくって。今回の事も想定済みなんじゃないですか?」
ゲヘナの戦力の半数を連れて来ている故に持ち込んだトラックやら装甲車やらも膨大だ。…その癖殆どの車両が着いたと同時に何処かへ消えている。
「持ち込んだものの中にその対策が有りますよね?」
これは確信を持って言える。
この人が知っていて準備を怠る訳が無い。
「貴女は負けず嫌いだ。そんな貴女が敗北濃厚なテーブルに着くわけが無い。盤面ごとひっくり返せる自信があるから此処に居る筈です」
それが何かは判らないけれど。
『キキキッ…確かに想定済みだとも!ミサイルだろうが質量兵器だろうが我々に届くことは無い!』
貴様らの考えはほぼ当たっているがまだ足りんな、と答え合わせをするように続けるマコト先輩。
『何せアリウスの奴らは
しれっと爆弾発言が飛び出して来た。
えぇ…アリウス、節操無さ過ぎじゃね?
『エデン条約にかこつけて襲撃するから手伝え、トリニティを獲ってしまえ、だと。バカなりに戦力差を埋めたかったと見える』
淡々と話すマコト先輩に口を挟むことができずにただ聞き入る。
『まぁ端から聞けば悪い話でもない。支配圏の拡大は望む所だしな。』
トリニティの次はアリウスを潰しておしまいだ。と続ける。
『だが…』
一瞬言葉を切るマコト先輩。
…あぁ、まぁ言いたいことは判るわ。
『「
つい口に出してしまう。
トリニティがダメならゲヘナ?舐めてんのかって話だ。
2番目だってのも気に食わないけど…喧嘩売ってきたなら最後まで日和るんじゃねえよ。
『キキキッ…ま、林檎の言う通りだ。故に協力するフリをして計画の一部を入手している。虚偽も混ざっているだろうが白洲アズサなら真偽の程も判るだろう』
そっちの端末に送っておいてやる、と何かの機器を操作する音が響く。
「…任せて頂けるのですか?」
『任せろと言ったのは貴様だろうが。本来なら直々に叩き潰してやりたいところだが…元はと言えばトリニティ側の不始末、譲った所で痛くも痒くもない』
我々に被害が及ぶ場合は応戦させてもらうがな。と嗤うマコト先輩。その後真剣な声色で続けた。
『浦和ハナコ。任せろと言ったからには失敗は許さんぞ?しくじった場合は
それだけの準備を整えて来た、と宣言した。
マジでトリニティ領を焦土にしてでも全て潰す気だろう。
…ゲヘナがここまで堂々とコケにされたの久々だろうしね。
内心穏やかじゃないだろうに良く譲ってくれたもんだ。
『あぁ、
「…ありがとうございます。マコト議長」
「微力を尽くします。マコト先輩」
『良い報告を期待している』
そう言うと通信は切れた。
は〜、緊張したわぁ…
「これでゲヘナ側の積極的な攻撃は防げましたね…」
「本当に大丈夫なんですか?ヒナ先輩だけでも借りられれば楽に片がつくと思いますけど…」
補習授業部+シスターフッド+正義実現委員会+私で残りのアリウスを止められるんだろうか?
「いえ、それで良いんですよ」
ゲヘナ側の統制は
「それに聖堂の守りを疎かにする訳にもいけませんし」
確かに。マコト先輩とヒナ先輩が居るならほぼ落ちる事は無いだろうしね。…建物が無事に残ってるかは疑問だけど。
「先生の守りが薄くなる可能性は摘んでおきたいですから」
そーだね…ん?今先生っつった?
「今日って先生も来てるんですか?」
「?はい。エデン条約は連邦生徒会会長の発案ですから。立会人は連邦生徒会に属する人でなくてはならないと招待されていますよ?」
抜かったー…こう言うイベントで先生が絡んでない訳がないじゃん…!
「それならヒナ先輩とマコト先輩は聖堂に居てもらわないといけませんね…それでも防御力に不安が残りますが」
先生の耐久力って豆腐みたいなもんだしな。
「何はともあれマコト議長の協力…静観は引き出せた訳ですし、次のフェーズに進みましょう」
頂いた情報の精査も必要ですし…と歩き始めるハナコ先輩の後に続く。
さーて、此処からが本番だ…って今週でもう2回目の覚悟だよ。
もはやルーティンワーク見たいになってんな…
私は頭の出来が余り良くないもので…頭が良いキャラをそう見えるように書けないのは申し訳なさでいっぱいです。
出来るだけそれっぽく書いて居ますが色々ツッコミどころもあるかと思います。お目溢し頂けますようお願い致します…