ゲヘナのガンマン   作:トニートニー

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ガンマンと補習授業部 その6

 

 

 

「大変お見苦しい所をお見せしました…」

 

暫く先輩の胸元で泣いた私は、泣いて少しスッキリした心持ちでマコト先輩に謝罪する。

 

「構わん。たまには先輩らしいことをしないとな」

 

何時もの様に笑いながら堂々とする先輩…やべ、胸元に涙やら色々つけちゃった…

 

「珍しいものも見れたしな…中々可愛い所があるじゃないか?」

 

ニヤニヤと此方を見て嗤う先輩を見て恥ずかしさから目を逸らす。

 

「それで、貴様はこれからどうする?」

 

私はアリウス殲滅の為にゲヘナの全軍を纏めるが。と続ける先輩。

 

「…先生と、話をしたいです」

 

錠前サオリはまだ許せない。…でももう殺したいと、絶対に殺すとは思わない。

 

「それが良かろう。…誰かシャーレの先生が運ばれた場所を知る者は居ないか!!」

 

マコト先輩が周囲に呼びかける。

 

 

 

 

……待て、いつの間にこんなに人が集まってたんだ?

 

嫌な予感がして辺りを見渡すと気不味そうに此方を見るゲヘナの生徒達とトリニティの生徒達…最後に補習授業部の皆と目が合った。

 

 

「…どこから見てました?」

 

「あはは…その、最後だけですよ?」

 

ヒフミ先輩が歯切れ悪く答えるが…絶対それだけじゃないだろ!?

 

「まぁほら、あれよ!泣きたい時って誰にでもあるし!」

 

コハルがフォローする様に見せかけて心を刺してくる。

 

「まあまあ〜♡可愛いかったですよ♡」

 

いつも通りのハナコ先輩が私を見て微笑む。

 

畜生!ここにいる全員の記憶がなくなるまで殴るしかないのか!?

 

「すまない…私の、家族にも等しい人が…」

 

アズサ先輩は少し憔悴した顔で謝罪してくる。

 

「いえ、私もやり過ぎた…とは思ってませんが。もうやらない…とも言えませんし。…すみません。言葉が見つからなくて」

 

少し言葉を選ぼうとして失敗した。

ダメだな、錠前サオリに関してはまだ完全に呑み込むのは無理だ。

 

「とにかく!…もう錠前サオリを殺そうとは思ってませんので気にしないで下さい」

 

これだけは確かだ。

報復するにしても、しないにしても。

先生が目覚めてから決める事だと、納得したから。

 

「そうか…すまない…」

 

ダメだ…さっき相当キレた状態で話したからかちゃんと受け止められてない気がする。

 

「アズサ先輩。後のことは先生が起きてからにしませんか?」

 

あの人が決めないといけない事だとさっき言われたし。

 

錠前サオリをどうするのか、スクワッドをどうするのかは最早私達だけで決めて良い事じゃない。

 

「そう、だな。…わかった」

 

…ヒフミ先輩!助けて下さい!私じゃ無理です!

 

ヒフミ先輩を見やると少し困った顔で見てくる。

アンタでも無理なら誰でも無理だよ!

 

オロオロする私を見かねたのか補習授業部の皆が口々にフォローしてくれるが…

 

「アズサちゃん。林檎ちゃんもこう言ってるし今は気にしないようにしましょう?」

 

「そうよ!別にもう一緒に居られないってわけじゃないんだし!」

 

「そうですね…喜ばしい事です♡」

 

…気恥かしい!散々気を張って錠前サオリを始末するだのなんだの言ってたのにまた一緒にいられて嬉しいみたいに言われるのは全身がこそばゆくなる!!

 

「…もうやめにしましょう!うん、それが良い!」

 

強引に話を打ち切ると同時にマコト先輩から声が掛かった。

 

 

 

「林檎。先生の居所が判ったぞ」

 

どうやらトリニティの一角にある救急施設に運ばれた様だ。とマコト先輩が伝えるとどうやらマイナーなエリアらしく建物の場所まで詳しく知るものが居ないとの事。

 

「…そこなら私、解ります!」

 

ヒフミ先輩の一声で一斉に視線がヒフミ先輩に集まる。

 

「ひゃいっ!?」

 

いきなり注目を集めて吃驚しているヒフミ先輩。

 

「案内出来るか?」

 

マコト先輩が質問する。…一緒に来るのか?

 

「は、はい…何度か行ったことが有りますし…」

 

辿々しく答えるヒフミ先輩にニッコリと笑い掛けるマコト先輩。…あれじゃ普段と違いすぎて逆に恐怖を覚えるな。

 

「そうかそうか!では案内してもらおう!」

 

さぁ行くぞ!と号令をかける直前で待ったが掛かる。

 

「お待ちなさい!ヒフミさんはトリニティ総合学園の生徒、勝手に決めて貰っては困ります!」

 

ナギサ先輩が割って入る。何か前に会った時より覇気があるような…?

 

「別に構わんだろう?私と貴様の仲だ、ケチケチするなよ」

 

「それとこれとは話が別です!」

 

マコト先輩が楽しそうに話している所を見ると随分気に入ってる様だ。

 

「ヒフミさん、嫌なら嫌と言わないとこの人は勝手に話を進めてしまいますよ?」

 

「失礼な。貴様の判断が遅いだけだろうが」

 

「慎み深いと言っていただけますか?拙速よりも巧遅を選びがちなのは否定しませんが」

 

流石はトリニティ総合学園の長。マコト先輩と普通にやりあってら。

 

「い、いえ大丈夫です!ナギサ様、お気になさらず」

 

「ほら見ろ。本人が良いと言ってるだろうが」

 

「良いと言ったのは今でしょうが」

 

溜息をつきながら頷くナギサ先輩。

 

「まぁ本人がいいと言うなら良いですけど…くれぐれも、くれぐれも!怪我などさせないで下さいよ!?」

 

「キキキッ…誰に向かって言っている?当たり前だろう?」

 

ヒフミ先輩を頼むだけでどれだけ念入りに頼むんだよこの人…

チラリとヒフミ先輩を見ると恥ずかしそうに下を向いていた。

…過保護な親とその娘みたいだ。

 

「さて、余計な時間を食ったが…総員、休憩終了!出発だ!」

 

マコト先輩の号令と共に周囲のゲヘナ生が立ち上がる。

…風紀委員が多いけどやけに精悍な顔立ちだな?まるで万魔殿のエリート学兵みたいな顔つきをしている。

 

「さぁ、案内してもらおうかヒフミ!全軍、侵攻を開始する!」

 

「侵攻!?攻めるんですか!?」

 

「ヒフミさん、そう言う()()だそうです。いちいち気にしないほうが宜しいですよ」

 

頭痛を抑える様に額に手を当てるナギサ先輩。

 

まぁ、そういう所がある人だ。

悪戯心に富んでいるというかなんというか。

 

そう考えているとマコト先輩とナギサ先輩が真面目な顔つきで向かい合う。

 

 

「私達はここまでです。羽沼マコト議長、ゲヘナの皆さん。…協力、感謝致します」

 

「あぁ。ご苦労だった桐藤ナギサ生徒会長、トリニティの諸君。お前達の働きも見事だったぞ」

 

 

互いに言葉を交わした後、別方向へと歩き出す2人。

付き従う生徒たちは一糸乱れず己の主に着いて行く。

 

 

さっさと進み出すマコト先輩に慌てて追いつくヒフミ先輩。

 

なんとも奇妙な組み合わせだが…

 

 

「ゲヘナの方々は相当訓練されてるんですね〜」

 

「正義実現委員会だって負けてないわよ!」

 

「…そうだな。良い兵士達だ」

 

 

いつも通りの補習授業部の皆を見ていると元からこんな感じだった気がするから不思議だ。

 

マコト先輩との相性も悪くないし。

マジでゲヘナに来てくれないかな…とちょっと考えちゃうくらいには得難い人達だ。

 

 

 

 

 

さて、此処からは何が出てくるか判らないトリニティ領を渡っていく訳だが。

まぁ、マコト先輩達も来てくれるなら道中何が来てもなんとでもなるだろ。仮にスクワッド級の戦力が来たとしても対処可能だ。

 

…ヒナ先輩とかホシノ先輩レベルだと厳しいだろうけど。

 

流石にないよな?来ないでくれよ?と内心で祈りながら進むのだった。

 

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