ゲヘナのガンマン   作:トニートニー

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今回もオリ設定がありますが温かい目で見て頂けますと幸いです。





万魔殿議長と風紀委員長

 

 

 

「此処です!」

 

ヒフミ先輩の案内で到着した場所はこれまた小綺麗な建物だった。

…周囲の建物と見た目があんま変わらないからヒフミ先輩が居なけりゃ探すの大変だっただろうな。

 

「ご苦労!全隊、小休止!此処で待て…私はヒナに会ってくるとしよう」

 

号令したかと思えばさっさと建物に入っていく先輩。

…入口のトリニティ生が気圧されてら。

 

「私たちも行きましょうか」

 

先生の様子も気になりますし。とハナコ先輩達も続く。

それに続いて建物に入る。…補習授業部を見てようやく通してくれた。まぁいきなりゲヘナの頭が面会させろって言っても戸惑うわな。

 

 

「議長?何故此処に?」

 

建物に入ると近くを通り掛ったゲヘナの救急医学部の制服を来た生徒が疑問を浮かべる。

 

「ヒナの奴が珍しくしくじったと聞いてな」

 

淡々と告げながらも足を止めないマコト先輩。

 

「此処に居るんだろう?何処だ?」

 

「あちらにあるシャーレの先生の病室に…貴女達は?」

 

マコト先輩に答えた後、私達に尋ねてくるが…

 

「トリニティの補習授業部と先生の…護衛?をしてた西條林檎です…先生は?」

 

私の立場が不明瞭すぎる。一応先生との間柄は護衛と護衛対象だけど今はマコト先輩の護衛で来てるって名目だし。

 

「…まだ目を覚まされません。峠は越したと思われますが」

 

あちらです。と示された部屋へと入るとそこにはベッドに横たわる先生と、その横で先生を見つめるヒナ先輩の姿があった。

 

 

「ヒナ先輩…」

 

「ヒナ、お前にしては珍しくしくじったようだな」

 

 

私が声をかける前にマコト先輩がヒナ先輩へと語りかける。

緩慢な動きで此方を振り返ったヒナ先輩は酷い顔をしていた。

 

泣きたいのに泣けない、怒りたいけど怒れない。

色んな感情が混ざって、初めて見る表情だった。

 

「あの時言った通り、私達は全員脱出したぞ…お前の部下達も無傷とはいかなかったが全員無事だ」

 

フン、と鼻を鳴らしてヒナ先輩を見やるマコト先輩。

何やら少し呆れた雰囲気だけど…これは失敗したって事よりも今のヒナ先輩の状態に呆れてるのか?

 

「…そう…ごめんなさい。私は先生を、守れなかった…」

 

そう言うと俯くヒナ先輩。

無理もない、目の前で先生が撃たれる瞬間を見てしまったのだから。私よりも鮮明に。

 

 

「それで?お前はこれからどうする?」

 

 

そんな事はどうでも良いとばかりに尋ねるマコト先輩。

 

「お前がしくじった、ソレは判った。最悪の状況(先生の死)は免れた事も知っている。それを踏まえて聞いているんだ」

 

真剣な目で見つめるマコト先輩。

俯いたまま返答しないでいるヒナ先輩。

 

「私はアリウスを狩りに行くが。一緒に来るか?」

 

それにも返答はない。

 

「先生に着いていたいならそれでも構わん。…お前の部下達(今連れている風紀委員)は借りていくが」

 

アレで中々気骨のある奴らだ。と続ける。

 

「…私が居ても、また失敗しちゃうから」

 

弱々しく首を振りながら答えるヒナ先輩。

 

「…全く、何時になってもお前は変わらんな」

 

溜息を着きながらヒナ先輩の胸倉を掴むマコト先輩。

…いきなり何してんのこの人!?

 

「お前で無理だったなら他の誰が居ても同じかもっと酷い事になっていただろうよ。…認めるのは癪だが私が護衛に着いていたらこの程度で済んでいたか判らん」

 

ベッドで横たわる先生の方を示しながら淡々と、言葉の端々に少しの怒りを滲ませながら。

 

「私は私達の最強(空崎ヒナ)に、お前に任せた私の選択に後悔はない」

 

それを聞いてもまだ下を向き続けるヒナ先輩。

 

「私は、あの時お前にシャーレの先生を任せたのは間違いではなかったと断言出来る」

 

淡々と続けるマコト先輩。

そりゃそうだよな。ヒナ先輩で無理だったならもう風紀委員全員着けてようやくトントンだろうし。

 

「いい加減そのウジウジ悩む癖を直せ。見ていて腹立たしい事この上ない」

 

ヒナ先輩を片手で持ち上げて無理矢理目を合わせるようにして話し続けるマコト先輩。

 

「怒りはないのか?お前に先生を守れと指示した私に対してでも、襲撃してきたアリウスに対してでも良い。…まぁ、下手人は今頃床に伏せているだろうが」

 

チラリと私を見て嗤う。

まぁ、片腹に穴空けてやったし。いくら生徒とは言え回復にはそれなりに時間が掛かるだろう。

 

 

「これが最後だ。…お前は、どうする?」

 

 

真剣な目でヒナ先輩を睨みつけ、一言一言噛み締めるように告げるマコト先輩。

ヒナ先輩は少し逡巡した後、口を開いた。

 

「……先生の傍に。ごめんなさい、マコト…」

 

「そうか。それがお前の選択なら是非もない」

 

マコト先輩は心なしか満足そうにそう言うと。

ヒナ先輩を静かに降ろして続ける。

 

「落ち着いたらお前の配下を纏めろ。私の指示に従わん奴らも多い」

 

慕われたものだな?と嗤いながら踵を返して病室を出ていく。

 

「林檎、補習授業部。此処までご苦労だった」

 

すれ違いざまに私達を労うとそのまま足を止めずに去っていった。

 

 

「…ヒナ先輩、大丈夫ですか?」

 

マコト先輩が去った後、少しぼうっとした様子のヒナ先輩に話しかける。

 

「えぇ、もう大丈夫…」

 

少し憂いを含んではいるものの、薄く笑って答えてくれる。

 

「その、先生の事は…」

 

「それも、大丈夫…何とか呑み込めたから」

 

まだ少し辛そうではあるものの、先程までと比べれば遥かにマシな顔つきになっていた。

 

…先輩達の仲ってどんな関係なのか判らないな。

いきなり胸倉を掴む割には攻撃的な感じはしなかったし。

それにヒナ先輩に参戦を強制するでもない。

マコト先輩とヒナ先輩、どんな関係なんだろう…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マコトに睨みつけられた時、いつの日か話した事を思い出した。

 

あれは、私が風紀委員になると言った時の事だったか…

 

 

 

『それ程の力が有りながら、何故そんな不自由な生き方を選ぶ!?』

 

『お前が望むなら誰だって傅くだろう!望んだ全てが手に入るだろうが!!』

 

それこそ風紀委員如きには出来ない事だって…!と続ける。

 

『それなのに何故…!私は、お前が王になると思って…!!』

 

マコトは珍しく言葉を詰まらせた。

 

お前になら私は傅いても良いと、下についたって構わないと本気で思っていたのに。

 

言外にそう伝えてきているように思えた。

 

 

私はそれに何と答えたのだったか。

 

『私は身の丈に合わないとしても今の職務が気に入っているの』

 

『それにそういったモノに興味はないわ。…玉座(議長)にはもっと相応しい人がいるでしょう?』

 

『貴女は道を誤りそうになった時に正してくれる。立ち止まってしまった時に叱咤してくれる』

 

誰がそうなったとしても。

…それが例え私であっても、正面から対等に。

そこまで面倒を見られるなら私が議長になるよりも貴女の方がよっぽど上手くやれるでしょう?

 

『だから()()は貴女に任せるわ』

 

 

 

そんな少し昔の記憶。

あの時から少し疎遠になってしまったけれど、まだ私を見限ってはくれないのね。

 

そんな事を思いながらも目の前で不思議そうな顔をしている林檎に少し笑ってしまう。

…多分、貴女は私もこの子みたいに(ゲヘナらしく)生きれば良いと思っているのだろうけど。

 

でもやっぱり私はこういう生き方しか出来ないから。

ごめんなさい、そしてありがとう。

 

私もあの時貴女に任せたのは間違いじゃなかったと断言出来る。

 

時々勢いに任せすぎじゃないかとは思うし、過激過ぎると思う所もあるけれど…それでも。

 

あの時から今までのゲヘナを創り上げた貴女が、今日までゲヘナを押し上げ続けた貴女こそ。

 

 

 

私達(ゲヘナ)の代表に相応しいのだから。

 

 






今作ではマコトはヒナと知り合った時に同世代における頭領はヒナである、と確信してヒナを頭とした統治体制を構想していた、と言う話ですね。

それに対してヒナは自分には向いてないしやる気もない私よりも色々見えてる貴女がやった方が良くない?と言った感じで断りました。

故にマコト→ヒナはまだ思う所があって微妙、ヒナ→マコトは友人判定といった関係値になってます。
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