あ~…いい天気だなぁ。
路地裏だから空が狭いがかえって青さが引き立つ気がする。
…なんて目の前で銃を捨てて両手を上げるヘルメットを視界の端に捉えながらどうでもいい事を考える。
「アンタだと分かってたら止めてたんだ!ホントだ!」
日刊お礼参りを伸して後はコイツ1人だけって時に降参された。
初めての事だったもので思考が停止してしまったが…ヘルメットって降参アリなのか?今までの奴等は最後の1人が倒れるまで戦う蛮族スタイルばっかりだったのに。
「私だと分かっていたら?お前達は喧嘩売る相手を選ぶ様なタマじゃないだろう?」
それこそ風紀委員長が相手でも果敢に突っ込んでぶっ飛ばされるまでが何時ものパターンじゃないか。
まぁ、目に見える範囲で伏兵は無いし狙撃銃なんて高価なものを運用出来るチームでもない。ちょっと詳しく話を聞いてみるか…
「最近ここいらでヘルメット狩りをしているリボルバー使い、俺達の間じゃちょっとした噂になっている…」
別に好きで狩ってる訳じゃないんだが?
ヘルメット曰く私に手を出した奴等はほぼ壊滅状態に陥りそのまま他のチームに合流、そこが運悪く私とかち合って再度壊滅を繰り返し、生き残りの伝言で噂が広がっているようだ。
「…風紀委員が身分を隠して俺達を狩る専門の部署って話もある」
あー…キャッチアンドリリースやめて風紀委員呼んでるからか。
別に風紀委員側に立ってる訳じゃないんだが君達増え過ぎると定食屋やらコンビニやら臨時閉店する所が出てくるんだよ。
「頼む!見逃してくれ!もうアンタには手出ししないと誓う!」
…銃を捨てて降参してる奴を撃つのはカッコ悪いな。
「良し、交渉成立だ。但し私を撃って来た連中は処理させて貰う」
愛銃をホルスターに収めながら片手をシッシッと振るとヘルメットは背中を向けて走り去った。
仲間は別に良いのか、元々のチームが別だから関係無いと割り切ってるのか…どちらにせよこのヘルメットの豊作はそろそろ落ち着きそうだ。
「もしもし、風紀委員ですか?…はい、そうです。場所は…」
気絶してるヘルメットから迷惑料を頂いて通報。さて、回収業者が来る前にとっとと撤収しないと…
「随分暴れ回っているようですね」
遅かったか。不運にも既に誰かが通報してくれていたのか風紀委員が5人編成で近づいてきた。
「襲われたからやり返した、それが暴れるって事ならそうだな」
幸運だったのは知り合いが1人いた事だろう。
火宮チナツ。同学年にして風紀委員の幹部候補と名高い才媛だ。
何度か話した事があるがゲヘナ生にしては秩序よりの考えが強いタイプだ。…風紀委員は大抵そうか。
「…ここ最近ヘルメット団を捕らえて通報しているのは貴方でしょう?偶然襲われたにしては多すぎると思いませんか?」
「モテる女は辛いね…そう睨むなよ、冗談だ」
仕事中と言う事もあってか何時もよりピリピリしているようだ。
「同じヘルメットの連中に2度3度絡まれるんだから実際は3分の1程度だろう?あり得ない数字じゃない」
全部返り討ちにしてるのは余り居ないと思うが。
「はぁ…もう良いです。…回収車を回してもらえますか?」
溜息の後に同僚に指示を出しテキパキと回収されるヘルメット団。
手慣れたものだと感心する。
「林檎、貴方も一緒に来てもらいますよ」
「今回は正当防衛だろ?」
「この件とは別の話です。…委員長からのお願い、と言っても良いです」
ヒナ先輩がお願い…?私程度で出来ることなら風紀委員でも可能だろうに態々頼む様な事があるのか?
「詳しい話は車内でしましょう」
断る理由は無い、な。
「良いよ、付いて行こう。…何か食べる物持ってない?朝食べそびれちゃって」
また溜息をつかれた。
朝からヘルメット三昧だったんだからしょうがないだろ…
チナツちゃんの喋り方難しい…もう半分くらいオリキャラに足を突っ込んでいる気がしますが寛大な心で見逃して頂けると幸いです