ゲヘナのガンマン   作:トニートニー

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ガンマンとエデン条約 その3

 

 

聖園ミカとの会話後。

私は本来の目的を果たすために話を聞きに行ったものの結局は無駄骨になってしまっていた。

 

「ま、ダメ元でしたしね…」

 

その言葉に頷く先生とコハル。

…コハル?

 

「コハル、正義実現委員会はいいのか?」

 

「こっちは何とかなりそうだから、アンタ達を手伝ってあげるわ」

 

正義実現委員会の方も委員長と副委員長が健在であること、ナギサ先輩の指示が明確であったことが幸いして混乱は最小限で済んでいたらしい。

 

「そりゃ助かる…けどどうするべきだ?もう手がかり無いよな?」

 

ハナコ先輩の向かったシスターフッドの方も迅速に混乱は治ったとのことだが情報はないとの事。

念の為少し残ってまとめるのを手伝うって話だけど…

 

「シスターフッドでも新しい情報は特になし、と」

 

“…何か動きがあれば良いんだけどね”

 

先生の言葉には素直に頷けない。

 

「先生、動きがあったらマコト先輩が嬉々として潰しに行きますよ?」

 

多分辿り着く頃にはその土地ごと更地にして高笑いしてるだろうね?

 

“一応連絡してくれる様に頼んであるんだけど…”

 

それでもダメかな?と続ける先生に

 

「先輩はゲヘナにしては話が通じる方ですが…獲物を前にして手を出さないのは有り得ません」

 

一度くらいなら良いだろ?とぶん殴ってから連絡入れてくるだろうな…

で、殴り始めたらヒートアップしてボコボコにしちゃうと思う。

先輩が煽り散らかした後なら尚更。指揮下の連中は指向性を持った暴徒みたいになってるだろうし。

 

「…アンタのとこやっぱおかしいと思う」

 

「それがゲヘナ流だから。それに住めば都だぞ?」

 

①取り敢えず殴る。②間違ってたら謝る。③キレてきたら喧嘩。

強い奴が正義のゲヘナだけどこれでも最近は落ち着いて来てる方だ。

少なくとも謝罪のターンが追加されたのは此処数年の間だし。

 

「多分補習授業部の皆ならすぐ馴染むんじゃない?」

 

ヒフミ先輩は言わずもがな。アズサ先輩も

 

「丁重に断るわ。野蛮なのは好みじゃないから」

 

すげなく断られた。まぁ冗談だから良いんだけど。

 

 

“まぁまぁ、取り敢えず…”

 

と先生が取りなすように話し始めたタイミングでヒフミ先輩が部屋に飛び込んできた。

 

「林檎ちゃん!…先生!?どうしてここに?」

 

「ヒフミ先輩?どうしてここに?」

 

ハナコ先輩とアズサ先輩と一緒にシスターフッドの方へと行ったはずでは?

…大層慌ててるけど何かあったんだろうか?

 

“今後の動きを決めようと思ってね。…どうかしたの?”

 

落ち着かせる様に話す先生と私とコハルを見て話しだすヒフミ先輩。

 

「アズサちゃんを見ませんでしたか!?」

 

「先輩方と別れた後は見てませんね…私は正実に捕縛されてましたし」

 

もう解放されてますが。とくるりと回ってみせる。

愛用のリボルバーもしっかりホルスターに収まってすっかり元通りだ。

 

「そうですか…」

 

肩を落としたのは一瞬のことで直ぐに続けて話しだす。

 

「実は…」

 

 

『すまない、ヒフミ。私は1人で行く』

 

2人で話していると突然そう告げるアズサ先輩。

 

『こうなったのは私のせいだから。…私が始末を付けてくる。付けなきゃいけないんだ』

 

『アズサちゃんのせいじゃ…!』

 

『私が止められていれば!こんな事にはなってない…!』

 

叫ぶように突き放してくるアズサ先輩に近寄ろうとすると

 

『来るな!…私だけで良いんだ。林檎にもそう伝えておいてくれ』

 

制止するように叫ぶ。続けてこうも言っていたそうだ。

 

『すまなかった。私がやらなければいけない事を先にさせてしまって…後は私がやる』

 

そう言うと姿を消したアズサ先輩。それを追うためにハナコ先輩に一報入れてからこっちに向かったとの事だった。

 

 

「…と言うわけなんです」

 

「アリウススクワッドと1人で?まぁ腹に穴が空いた錠前と散々撃った仮面女の2人は戦力としては微妙でしょうし何とかなると思いますが…」

 

殺す前提だとしたら、だけども。

 

「あの目は…その…林檎ちゃんが思い詰めてた時と同じ目に見えました…」

 

…殺す気だな。

 

「ヤバいじゃない!早く止めに行かないと!」

 

「でも何処に?居場所も分からないんじゃ探しようも…」

 

残りのスクワッドは狙撃女の…名前なんだったっけか?まぁ狙撃手が1人と姿を見せなかったもう1人。アズサ先輩がヘイローを割る前に見つけるのは至難の業だろうが…

 

“…まだETO(ユスティナ聖徒)が機能してるのを鑑みるに。大元はあの聖堂跡である可能性が高い”

 

先生が呟く様に話しだす。

その場にいる全員が耳を傾けた。

 

“今も尚狩り続けられているユスティナ聖徒が徐々に復活が鈍くなっている。恐らく契約の類だと思われるソレを補強するためなら現地へと向かったと考えるのが妥当だ”

 

それに気づいたからアズサは1人で行動を始めたのか…と感心した様な呆れた様な声で続ける。

確かにそれならアリウスの出現場所はある程度絞られる。

…少なくとも元聖堂内部の何処かだろう。

 

“今のままではゲヘナの皆に押しつぶされておしまい。更に混乱を収めたトリニティが加わるならアリウスに勝ち目はない”

 

全員を見渡す様にして結論を述べる。

 

“勝率を上げるのならば。契約の補強を行うために間違いなく現場に行くだろうね”

 

「じゃあ聖堂跡に向かえば…」

 

「アズサちゃんも居る!」

 

“そう言う事になるね…推測だけども”

 

少し疲れた様子の先生の言葉で次の行動が決まった。

 

「じゃ、サクッと止めに行きましょうか。…ついでに錠前をボコして捕まえましょう」

 

次は逃さねぇぞ?殺しはしないが痛い目にはあってもらう。

 

“程々にね…?”

 

既に穴開けてるんだから良いでしょ、と言わない辺り先生も私の事をわかってるな。

それを聞いてコハルが声を上げる。

 

「でもまだ聖堂周りにはワラワラ幽霊が湧いてるって話よ?それはどうするの?」

 

その言葉を聞いて少し考える。

…ヒナ先輩込みで風紀委員を使えるなら余裕だけども。

 

「先生、ヒナ先輩は?」

 

先生の方を見て尋ねるが…

 

“多分無理かな…ヒナは指揮で忙しいみたいだし、私の護衛(そば)から離れようとしないから”

 

最大戦力が居るのに使用不可とは。…まぁしょうがない事だけども。

流石に先生を錠前に近づけるのは御免だ。

 

「万魔殿の皆さんは?」

 

「…呼んだら来てくれるでしょうけど多分こっちの言う事は聞いてくれませんよ?」

 

全滅するまで殴って下さい以外は。

 

「ううぅ…他に伝手は…」

 

悩む先輩。…一つあるじゃないですか?

 

 

「先輩。ちょっとこっちへ」

 

端っこに呼んで耳打ちするように話す。

 

「ファウストとして呼べば覆面水着団…アビドスの皆なら来てくれませんか?」

 

アビドスなら戦力としては申し分ない。

それに義理堅い連中の事だ。何を置いても助けに来てくれるんじゃないか?

ホシノ先輩が来てくれるなら正直ヒナ先輩レベルで頼りになるし。

 

「えぇ!?…うぅん、それしかないですかね…」

 

言葉では悩みながらも即メッセージを送り出すヒフミ先輩。

考えながらも決めた事は直ぐに行動に移してる。

即断即決なのは素敵だよファウスト先輩。

 

「……来てくれるそうです!少し遅れるそうですが…」

 

行動が早い!少数精鋭ならSRTにも匹敵するかも知れないな。

 

「どうかしたの?」

 

コハルが不安そうに聞いてくる。

 

「いや、何でも?取り敢えず応援の目処は着いたからサクッと片付けに行こうか」

 

ドンパチ始めたら全員集まるだろうし。

 

ゲヘナもトリニティもアリウスも。

 

そうしたら皆まとめて大乱闘だ。相手はアリウスと幽霊、こっちはゲヘナ・トリニティ連合軍。

 

 

マコト先輩が目を輝かせるのが目に見えるようだ。

ナギサ先輩も呆れながら参加するんだろうな。

錠前は…わかんねぇけどアズサ先輩に殺させる訳にはいかねぇからな。

 

錠前を殺しに行った私にアズサ先輩を止める資格はないが。

友達が止めたがってるから…それを手伝うくらいは許して下さいよ先輩。

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