一応の決着です。
方針が決まってからの行動は速かった。
聖堂跡地へと向かう者達(ヒフミ、コハルと数人の正義実現委員会)と少し準備がいると残った先生達で二手に分かれての行動。
そんな中で私の役割は…
「や〜おひさ~」
「久しぶり…でもないね」
「こう言うのは気分ですよシロコちゃん☆」
「でもコイツ結構な頻度で紫関ラーメンに来てますよ?」
『あの…一応援軍として来たんですからちゃんとしましょう?』
アビドスと合流してからの道案内役である。
アビドスの皆と少なからず面識があり、多少なりともトリニティ領内を見知っていてかつ単体での戦闘能力を買われての事だ。
…あるいは錠前との接触を避けさせたい先生の目論見もあったかもしれないが。
「お久しぶりですホシノ先輩、ノノミ先輩、アヤネ。シロコ先輩とセリカは2週間ぶり位ですかね?」
アビドスの方にはトリニティに缶詰になってからは行ってなかったし。
「ん…そのくらいかも。ロードバイクは?」
「今はちょっと忙しくて中々…終わったらまたご一緒させて下さい」
そっちは2週間位は行けてない。ま、全部終わったらツーリングするのも悪くないだろう。
そんな風に何時もの様に話していると。
「…一応簡単に状況は聞いてるんだけどさ〜。今回私達は何をすれば良いの?」
ホシノ先輩の言葉でその場の空気が引き締まる。
そろそろ本題に入ろうよ?と言外に伝えるホシノ先輩に答える。
「今回は先行するヒフミ先輩…ファウストを追いかけながら無限に沸く雑魚を蹴散らして合流後は敵の精鋭部隊とドンパチする簡単なお仕事ですね」
「無限?生徒が相手じゃないの?」
ヘルメット団とかさ、と続けて問われて答える。
「謎の幽霊モドキです。…あぁ心配は要りません。弾丸は当たりますし殴ることも可能です」
幽霊と聞いて怪訝な顔つきになったアビドス組にそう伝えて話し続ける。
「私の弾丸なら一発で吹き飛ぶ連中です。拳でも同様でしたからホシノ先輩ならデコピンで消し飛ぶんじゃないですかね?」
またまた~、と笑うホシノ先輩。本気なんだけどな…
「弾薬代と移動及び治療に掛かった費用はトリニティ・ゲヘナで持つとの事なので盛大に暴れていただけるとありがたいです」
「大盤振る舞いだね〜。…まぁ友達の頼みだし?やってみようか」
ホシノ先輩は飄々とした表情のままそう言うと、どこからとも無く覆面を取り出して被り出す。
「またコレを被る事になるとは…」
セリカも溜息混じりで。
「まぁ良いじゃないですか☆」
ノノミ先輩は楽しそうに。
「ん…覆面水着団、再集結」
シロコ先輩は…ワクワクしてる?今一表情が読めない。
まぁエデン条約でのトラブル対応にアビドスの名前を出すわけには行かないらしいし。
その辺の政治的な機微はよく分かんないわ…
「じゃ、行きますか」
先導しようと足を進めるとシロコ先輩に後ろから肩を掴まれた。
「林檎?まだ準備出来てない」
「…?何か忘れ物ですか?」
そう言って振り返ると覆面装備のアビドスの面々が何かを期待する様な目で私を見ていた。
「覆面水着団の再集結ならさ〜?」
「勿論全員集まらないと☆」
「アンタだけ逃げようったってそうは行かないわよ!」
「ん…林檎も仲間」
『さぁ、林檎さんも!』
……まぁ、それでテンションが上がるなら良いけど。
懐にしまっていたマスクを取り出すとおもむろに被る。
「6号、合流します…コレで良いです?」
「ん…!やっぱり良く似合ってる」
シロコ先輩は少し目を輝かせてるけど…プロレスラーみたいな覆面マスクが似合うってギリ悪口じゃない?…嬉しそうだから言わないけど。
「総員準備完了!じゃサクッとファウストに合流しようか!」
こういう時に締めてくれるホシノ先輩はありがたい。
此処からは強行軍だ…!
道中で邪魔する様に現れるユスティナ聖徒を蹴散らしながら聖堂跡地へと向かう。
『10時の方向から新手が来ます!』
「うひゃ〜、数だけは多いねぇ〜」
「これなら狙わなくても当たりますね☆」
「…邪魔。あ、そっち行っちゃダメ」
先輩方はもう慣れたのか淡々と処理してるわ。
「あーもうッ!こんなのキリが無いじゃない!まだつかないの!?」
セリカもキレ気味に撃ちまくってるしまぁ大丈夫か。
「大分近づけたと思うんで後ちょっとですかね」
私達以外の銃声も聞こえて来てる。
この聞き慣れた銃声は…風紀委員会が来てるな。先生達か?
「……それでも!」
微かにヒフミ先輩の声が聞こえた…気がした。
「…あっちの方」
方角までハッキリわかるのか…流石シロコ先輩。
先輩が指差す方へと少し進んだ先に数人の人影が見えた。
ヒフミ先輩とちょっと煤けたアズサ先輩?コハルが居るってことは先生はもう来てるな。…ハナコ先輩も居るのはちょっと分からんけど、補習授業部が全員揃ってるのは戦力としては僥倖だ。
そんでももってその目の前には…
「錠前サオリ?…何で動けてんだアイツ?」
脇腹に穴開けてやったってのに頑丈な奴だな。
流石に完治とは行かなかったのか巻いた包帯から血が滲んでるが。
それを庇う様にスクワッドの連中も揃い踏みだ。仮面女は後方で少しふらついてるけど、狙撃手と…もう1人初めて見る奴が居るな?デカブツ持ちだがぱっと見ランチャー系だからどうとでもなるか。
「知り合い?」
「ちょっと因縁がありまして。片腹撃ち抜いた仲です」
あの女、どんだけ頑丈なんだよ…と呟くと様に続けて先輩の問いに答えると全員がギョッとした顔で私を見た。
「あの女は私に任せてもらえませんか?…できればで構いませんが」
恨みは…無いとは言わないが。目の前に居るのに殴らない理由もない。
出来るなら自分の手で片をつけてこの感情を精算したい。
「ん、別に良いけど…隙が有ったら撃つよ?」
「構いません。捕縛が第一ですから」
野放しにするくらいなら私以外の誰かが始末してくれた方が100倍マシだ。
錠前がフリーハンドで動ける状況が一番怖い…次に狙われた誰かが死んだら、それが私の友人だったら。考えただけで背筋が凍る。
「…少し気になるけど。その話は後でにしようか」
動きそうだ、と目線を向けるホシノ先輩に続いて全員がアリウスに注目する。
「アズサちゃんが違う世界の人だって言うのなら…私だって普通じゃありません!」
紙袋取り出したぞおい。それバレたらアンタヤバいなんてモンじゃないでしょうが!
「何を隠そう私こそ、かの悪名高き覆面水着団の首領!ファウストなんですから!」
…誰にも見られてないよな?良し。アリウスの連中さえ片付ければ問題ねぇわ。
私は覆面水着団に成り切ってヒフミ先輩の元へと駆けつけた。
「ボス、遅れてすみません!全員現着しました!」
覆面水着団の面々と共に即座にスクワッドとヒフミ先輩…ファウストの間に入る。
突然の乱入に目を白黒させるスクワッド。…補習授業部も一瞬ビックリしてたけど私に気づいてからは少し呆れた様な表情になった。何でだ?
「ボスに手を出そうなんて100年早いのよ!」
「そうですよ〜?余り舐めないで下さいね⭐︎」
「私たちは鋼の結束で結ばれたならず者…」
「覆面水着団〜!ってね」
ノリノリだなアンタら…と一歩後ろから見ているとチラチラと私を見るシロコ先輩。
私もやるの?と目配せをすると軽く頷かれた。
…毒を食らわば皿までとも言うし腹を括るか!
「おうおうおう!?ボスに手ぇ出して無事で済むと思うなよ羽虫共!!」
ヨシ、こんなモンだろ。
…なんか妙にビビられてる気がすんだけど?
「り、リーダー…アイツって…!」
「…いや、そんな筈はない。アレは万魔殿と合流して行動を共にしていると報告があった」
おん?何だか知らねぇけど誰かと勘違いしてんのか?
まぁ態々教えてやる必要もないか。
私達とスクワッドで牽制し合っている間にもヒフミ先輩とアズサ先輩の話し合いは進んでいたようで。
「…だから住む世界が違うなんて言わないで下さい!私達は同じ場所で、一緒に居られるはずなんです!」
恥ずかしかったのか紙袋は取っちまってたが。
素顔晒す方が恥ずかしく成りそうだけどその辺は良いの?
…シリアスな話をするなら
「私は今すごく怒ってます。それはもう、ものすごく!でもそれ以上にアズサちゃんが無事でよかったです…」
ヒフミ先輩はアズサ先輩に話し続けている。
コハルもハナコ先輩も、真剣にアズサ先輩を思ってその場に立ち会っている。
真面目な話だ。割って入るわけにもいかないし、私がアズサ先輩に言える様な事は何もない。だからまぁ…私の相手は
錠前へと目を向けて話しかける。
「んで、お前らは一体何しに此処に来てんだよテロリスト」
「貴様らに言われたくはないな強盗団」
違いねぇ。つい納得してしまった事につい苦笑が漏れる。
それはさておき。
「まぁお前の目的なんざ関係ねぇんだけどな?
コートを払ってホルスターを露出させる。
「手ぇ出させて貰うぞ…悪く思うな、とは言わねぇ」
私はお前らが悪いと思って引金を引くから。
お前らもそう思ってくれていいぜ。
「後はサクッとお前らを片付けてこの馬鹿げたパーティはお開きだ」
そう告げるとホルスターから覗くリボルバーを見て少し動揺する錠前サオリの前に立つ。
いつでも抜ける様に右手を緩く掛けた。此方が牽制するのを見てスクワッドも殺気だつ。
睨み合った状態で硬直する覆面水着団とアリウススクワッド。
そんな中でもヒフミ先輩の話は続いている。
「…そんなハッピーエンドが私は好きなんです!」
ヒフミ先輩の話も佳境に入ってきていた。
ありゃ相当な人たらしだな…あれだけ真っ直ぐに自分の気持ちを突きつけられて心が動かない奴はそうは居ない。それがアズサ先輩みたいな求道者気質なら尚更。
「私達の物語は私達が決めるんです…終わりになんてさせません、まだまだ続けていくんです!」
「私達の物語を!私達の、
…やっぱ貴女が一般学生ってのは無理があると思う。
それだけ堂々と演説をぶちかませる普通の学生なんている訳がない…ナギサ先輩が目をかけてるってのはこういった気質を見抜いているからか?
自分の後釜として見られてんじゃねぇかと勘繰っちゃうね。
そんな事を考えていると私達と睨み合いながら話を聞いていた錠前が感情を露わにする。
「…ふざけるなよ!そんな理想が通る程甘いものか!お前はそんな綺麗事を信じると言うのかアズサ!」
全ては虚しい、そう教えたはずだと続ける錠前に
「…例え虚しい事だとしても。抗う事をやめて良い理由にはならない」
私は、その理想に進む意思だけは捨てない。そう答えるアズサ先輩の目にはもう迷いはなかった。
「ならばその思い上がりを矯正してやる…総員戦闘開始!」
錠前サオリの号令と共に開戦した。
直ぐに散開して撃ち合いを開始するアビドス組、補習授業部とアリウススクワッド。合間に挟まる様に応戦してくるユスティナ聖徒は補習授業部が相手をしてくれている。
偶然か必然か。錠前サオリと私との間には誰も居ない状況。
有難いことだ…これなら私は錠前1人に集中できる。
そんな私に迷わず発砲してくる錠前サオリだが。
「痛そうだな?立ってるのもやっとなんじゃないか?」
挑発しながら相手の弾丸を回避する。
私の左腕も本調子ではないが怪我で動きの鈍い錠前の銃撃なら回避は容易い。
「貴様、あの時のッ!?」
避け続ける姿を見て確信したのか目を見開く錠前。
まぁ、マスク付けてるしな今。気付かなかったのも無理はない。
「正解。今回は逃げられると思うなよ?」
いくらお前らが大量に
これだけの戦力が居るなら、変則的とはいえ一対一の今なら。手負いの獲物を取り逃がす程私も弱っちゃいない。
「万魔殿と行動しているんじゃなかったのか!?」
「一時的にしてたぜ?…お前綺麗に踊らされてんなぁ」
マコト先輩がなんかしたんじゃね?と続ける。
私位身長の高い奴は少ないが全く居ない訳じゃない。
ソイツにホルスターとリボルバーっぽいモン装備させりゃ即席で影武者は作れるし。
「お前等を痛めつけた私がそこにいると誤認させられればお前は復讐するなり回避するなりするだろうしな」
襲撃しにくるならそれで良し、まとめて粉砕してやる。その位は考える人だ。
今回は回避する方向になったみたいだが、と呟きながら数発撃ち込むが…
「もう貴様の銃弾は食らわない!」
避けられた。連射が効かない今の左手じゃ捉えきるのは難しいか…
回避することに集中されると単発じゃ当てるのは無理だな。
「学べる程度には頭が回るんだな?」
嘲笑しながら徐々に距離を詰める。他のスクワッドが加勢しようとするのをアビドス組が妨害…むしろ撃退してるな?
まぁホシノ先輩が居て連携バッチリなアビドス組が居るなら当たり前だが。あのチームに勝てる面子はちょっと思いつかない。
「この場に居るのが私だけなら無理筋だろうが」
動きの鈍い錠前へと密着する手前まで近づく。
手負の錠前が撃ってくる弾なら回避するのは容易い。
距離を詰めると私の
右手のリボルバーへと注意が向いている隙に足を払うがギリギリで避けられた…流石に無理か。
回避すると同時に私へと銃口を向ける錠前。
私も錠前に銃口を向ける。
同時に発砲。互いの弾丸がすれ違って肩を掠めた。
…当てるつもりだったんだがギリギリで体を捻って避けられたな。まぁそのお陰で錠前の方も照準が狂って私に当てられなかったみたいだけど。
「その程度の猿知恵で…!」
「いいやこれで終いだ…お願いしますアズサ先輩!」
錠前が回避した先に飛んできた銃弾を受けて倒れた。
以前私がやられた事をやり返した形になるが…上手くハマったな。
銃弾を撃ち込んだアズサ先輩が私を気遣うように言う。
「…すまない、林檎」
「いえ、ありがとうございます。…この距離で撃つと加減出来るか不安だったので」
途中からチャンスを伺ってたアズサ先輩に任せて正解だった。
補習授業部の皆があらかたユスティナを片付けてからこっちに援護を回してくれたおかげで錠前を無傷…少なくとも大怪我をさせる事なく捕らえられる。
「貴様ら…!」
私を睨みながら立ち上がろうとする錠前。油断なく銃を構えたまま近づくが流石に腹に穴空いた状態であれだけ銃撃を受けたら暫く戦闘行動は取れないだろう。
お前は私が接近すれば嫌でもリボルバーを意識せざるを得ないんだろ?…それは先ほどの接近で確認済みだ。
お前を殺し得ると証明したばかりの
「まさか卑怯とか言い出すんじゃねえだろうな?決闘してんじゃねぇんだぞ?」
私を睨む錠前を見下ろしながら続ける。
そもそも私達対お前等でチーム戦だろうが。
私が銃口を向けながら近づくと僅かに恐怖が浮かぶ表情で見てくる錠前に続けて話しかける。
「安心しろよ錠前サオリ…殺しはしない。先輩と、先生と約束したからな」
ダメージで動けない錠前を上から抑え込んで武装解除させる。
若干の安堵と疑問がないまぜになっている様子の錠前に更に続けて告げる。
「お前を許した訳じゃねぇけど…まぁ
先生に感謝しろ。自分が死にかけたとしてもお前に死んでほしくないんだとよ。
錠前を抑えられたスクワッドの連中が更に殺気立つが…
お前らの仲間意識が高いのはこの間の戦闘で良く分かってる。
出来れば姫とか呼ばれてた仮面女が一番効率的だろうが…錠前でも同じだろ?
拘束した錠前の首に手を回して無理やり引き上げる。
錠前が苦悶の声を上げるが無視して銃口を頭部に突きつけながらスクワッドへと告げた。
「お前らの頭は無力化したぞ!まだ続けるってんならコイツの安全は保証しねぇ!」
降参しないならぶっ殺すぞ、と言外に伝える。
…いや、本気じゃないですよ?演技ですよアズサ先輩?
凄い目で私を見るアズサ先輩に目で訴えかけるが…ダメだな、通じてる気がしない。
さてどうするかな?と考えてるとやけに静かになった戦場に気の抜ける声が響いた。
“間に合った!?ギリギリセーフ!?”
先生だった。すぐ側にヒナ先輩と風紀委員を引き連れて。
…いや
ヒナ先輩も止めろよ!と非難の目を向けるが少し申し訳なさそうに目配せをして無視された。
…まぁ今はそれどころじゃないけど!
「シャーレの…!なぜ生きている!?」
私に押さえ込まれたままの錠前が声を上げるが。
「また何かしようってんなら今度は関節ごとお釈迦にしてダルマにすんぞ」
殺意を込めて銃口を押し付けるようにして黙らせる。
この状況でコイツが何か出来るとは思えないが…油断して痛い目をみるのが私だけじゃ無くなった今、最悪は錠前を
“当りどころが良かったんだろうね?普段の行いの結果かもしれない…取り敢えず離してあげてくれないかな?”
錠前にそう答えた後に私を見てそう言う先生。
「先生がこの場を離れたら離します。…アンタが居るならコイツは絶対に離さない」
コイツに腹ぶち抜かれたの忘れたのか
若干呆れながら答えると
“せめて銃口だけでも…”
「ふざけてんですか?圧倒的に有利な状況だからまだ撃ってないだけで、アンタが来た時点で撃つべきだったって言うのに?それは通りませんよ先生」
それだけは譲れない。例えコイツの意識を奪っていたとしても、意識を取り戻されたらどう出るか判らない危険人物とその仲間がいる状態でお話するってか?
人喰い虎と触れ合おうとする間抜けは勝手に死ねば良いと思うが…アンタはダメだ。
聞かん坊な子供に話す様な気持ちで続ける。
「アンタとの約束があるからこの程度で済ませてんですよ。話があるならこのままどうぞ」
ゴリッと音が鳴る位に押しつけた銃口は錠前の顎下を捉えている。
仮に何かしたとしても下顎を吹っ飛ばせば流石に止まるだろ。
錠前と私を見て緊張が高まる補習授業部とアリウススクワッド。
…なんで補習授業部までピリついてんだ?
しょうがないか、と諦めてくれたのかタブレットで何かを操作する先生。時折虚空に向かって喋っているのを見るとなんかキメちゃってるヤバい人にしか見えなくて怖ぇよ…
“…良し。これで君達のETOは瓦解する”
その言葉と共にユスティナの姿がブレ始めた。
「…まさか!?」
スクワッドの連中から声が上がる。
錠前も驚愕の表情を浮かべて…るんだよな?マスクで良くわかんねぇが。
"契約の上書き。君達がやった事を此方もやらせて貰ったよ"
アリウススクワッドの後ろからワラワラと出てくるトリニティ・ゲヘナの生徒達。
その中にはマコト先輩とナギサ先輩も居た。
…多いな!?正義実現委員会にシスターフッドまでいるし、ゲヘナも負けないくらいの人員を引き連れて来てんじゃん…
完全に包囲する形で追い詰められたアリウスの連中は絶望した様な顔になっている。
"元々は彼女達の約束事だからね。裏技で一時的に乗っ取られたとしても後から正当性を主張出来れば制御を乱すのは容易い"
滔々と語る先生に呆然とするアリウス。
それをよそに飄々と先生に話しかけるマコト先輩。
「こうも上手くハマるとはな。…上手く行ったようだな先生?」
"少し想定外だったけどね…毎回こうはいかないよ"
疲れたような表情でこちらを見ながら話す先生。
その言葉、そのまま返すよ先生。まさか本人が最前線まで顔だすとか思わねぇよ…
先生の言葉に笑いながらスクワッドに向けてマコト先輩が口を開く。
「なんにせよコレで貴様らの頼みの綱は無くなった訳だが。轢き潰される覚悟は出来たか?」
丁度良く人質もいる様だしな?と私の方を見て嗤う。
…マコト先輩が来てるならもう安心か。少し拘束を緩めて銃口を下ろした。
それを見て安堵したかの様に緊張を解く補習授業部。
アンタら私をなんだと思ってんだ?別に本気で撃つつもりはねぇよ…何もしなければ、だが。
そう呆れながら目線を切ると。
マコト先輩が笑みを浮かべる横でナギサ先輩が
「
約束は守って下さいよ、と続けた。
「散々やらかした阿呆には罰が必要だと思わんか?」
試すように尋ねるマコト先輩だったが…
「ソレを決めるのは法廷で有って私達ではありません」
凛として答えるナギサ先輩に満足そうに頷くマコト先輩。
期待通りの答えを得られたのかご満悦だな先輩…
「キキキッ…そうか。では約束通り
この状況なら何かしても直ぐに鎮圧してやる。
そう言うとゲヘナの生徒達に待機を命じた。
「ありがとうございます。…ツルギさん、確保を」
「了解しました。…全員捕縛!抵抗するなら容赦なく撃て!」
そこから先は特に語ることはない。
人質にしてた錠前をハスミ先輩へと引き渡してこの騒動は呆気なく終わりを告げた。
…まぁ引き渡した後で散々補習授業部のみんなから説教されたんだが。
イヤだってあの状況じゃしょうがなく無いですかね?先生が来るとか思ってなかったですし…本来はあれで降伏したら良いな、位の気持ちでやったんですよ?本気で撃つ気もなかったですし。
少し反論するもやり過ぎだと言われてしまった。…そうかな?そうかも…と少し反省。
流石に人質にするのはゲヘナ流すぎたか…今後はもうちょっとマイルドにやります。
そう言うと更に説教時間が伸びた。なんでだよ。
まぁなんにせよアリウススクワッドも全員捕まって、残す所はアリウスの本拠地とマダムとかいう首謀者のみ。後は消化試合だと安堵していたんだけど…
まだもう一騒動待っているとはこの時は思っても見なかった。
過去最長かもしれません…途中で切ろうかと思ったら予想以上に林檎が暴れ始めて切るに切れなくなりました。感想、評価などして頂けますと嬉しいです!