GATE:MW ―SSOPS―   作:ゼミル

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色々あってSS書きとしては燃え尽きていたんですがSEASON2アニメ化とBO7とBF6のトレーラーが来たのでと容疑者は供述しており…


本来予定していた現代悪役物で欲しい資料が全然見つからなかったのが悪い(言い訳


627作戦

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――『彼』がこの任務に召集されたのは必然だった。

 

 

 

 

 

 

 世界中を見渡せば第3次世界大戦を生き延びた兵士は五万といる。

 

 自衛隊員で異世界での戦いを経験した者もそれなりに存在している。

 

 

 

 

 

 ――――だがその両方に該当する男はたった1人しかいなかった。

 

 

 

 

 

 男は兵士だった。

 

 男はオタクだった。

 

 男は厄介者だった。

 

 男は選ばれてしまった。

 

 男は戦い続けた。

 

 男は生き残ってしまった。

 

 異世界への『扉』が男を戦場へ呼び戻した。

 

 男は英雄になった。なってしまった。

 

 閉ざされた『扉』が再び開通し元の世界へ帰還を果たしても尚、男は兵士のままだった。

 

 半ば惰性でもあり、先にヴァルハラへ散って逝った戦友達や新たに得た部下達への責任からでもあり、傍目はすっとぼけたオタクにしか見えない(彼自身も己をそう定義している)が……

 

 同時にたった数名で部隊を裏切った当時現役の米軍将官にWW3を引き起こした世界最悪のテロリスト、はたまた異世界にて撃破には機甲部隊が必要と目された恐るべき炎龍のみならず自らの父である皇帝を暗殺した皇太子を戦力差が数多の私兵諸共その手で殺し尽くした、恐るべき戦闘能力とそれを支える苛烈な報復心を秘めた彼に何としても首輪を嵌め続けたかった日本政府の思惑……

 

 そして何より紆余曲折で結ばれた女性()のヒモとして過ごすのもなんだかなぁ……といったなけなしの男としての意地と見得もあったりと色々と複雑な事情があるのだがそれはともかく。

 

 

 

 

 

 ともかく特殊作戦に長け、特地流の環境と戦術にも適応した自衛隊でも極めて貴重な人材として、日本政府は『彼』――――伊丹耀司の派遣を決断したのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<02:00>

 

 伊丹耀司 一等陸尉/自衛隊特地派遣部隊<特殊統合部隊・アルファチーム>

 特別地域・アヴィオン海某所<非友好地域(インディアンテリトリー)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 紆余曲折あって津々浦々、様々な地域で様々な手法で潜入任務を経験してきた伊丹だったが、中でも隠密航行中の潜水艦より出撃した回数は特に少ない方だ。

 

 しかも異世界の海でともなれば流石の伊丹でも初めての経験である。

 

 地球での実戦で経験した時は米軍の原子力潜水艦から特殊作戦用潜水艇(SDV)特殊作戦用潜水艇を使っての潜入だった。今回は海上自衛隊所属のおやしお型潜水艦からエアロックを使い、自力で海中内へと展開していく流れとなっている。

 

 ドライスーツの上に潜水装備一式に加え戦闘用の武装も纏った兵士が3人、息苦しさを感じさせる円筒状のエアロック内へ海水が注水されていく。

 

 防水性に優れた強靭な特殊素材越しに感じる海水は、極寒のウラジオストックのそれとは違って季節柄もあってそこまでの冷たさを帯びてはいなかった。

 

 唐突にカンカンカン、と規則的な打撃音が()()()()()から生じた。

 

 スキューバマスクとレギュレーターのせいで表情は窺い知れない。だが伊丹よりも大柄な隊員と、真逆に頭一つ分以上小柄な重装備の上からでも女性と分かる魅力的な曲線を描く隊員がそれぞれ交し合った頷きは互いへの信頼を帯びていた。伊丹も同様に首肯を返す。

 

 外界とを隔てる分厚いエアロックの水密扉を解除。独特の浮遊感と圧迫感に包まれながら海水を蹴り、潜水艦の外へと順番に展開する。

 

 真夜中の海にもかかわらず暗黒の海中が広がってはいなかった。今夜は悪天候で丁度海上では雷雨が荒れ狂っていたからだ。

 

 しきりに海中をも照らす稲光のお陰で上下の判別に混乱せず済むのは幸いだ。

 

 その代わり、海上は下手な小舟などあっさりひっくり返す規模の暴風と荒波が暴れており、その余波で海流の流れも通常より速い。抵抗しなければあっさり押し流されてしまうだろう。

 

 本来なら水中用スクーターが必要だが、その代用となる存在が予め用意……否、既に伊丹達を待ち構えていた。

 

 豊かな長髪を上手く活用して胸元を隠した美しい女性達。

 

 腰にパラコードをベルト代わりに淡く光るケミカルライトをぶら下げ、そこからすぐ下に存在しているのはヒトとしての脚ではなくイルカのようなヒレだ。

 

 アクアス族という、分かりやすく言えば特地の先住民である人魚の集団だった。ケミカルライトだけでなく、軽量だが頑丈な素材のロープも3名分装備している。

 

 

(まずは海上に浮上してくれないか)

 

 

 声を出せない代わりにジェスチャーで民が頼むと、お安い御用とばかりにケミィという名の人魚とその仲間はニッカリと笑みを浮かべたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 海面に浮上すると、伊丹の視界がまず捉えたのは遠方に聳え立つ黒い壁だった。

 

 遠くない場所に雷が落ちて黒い壁の概要が瞬間的に明らかになる。壁という表現はさほど間違っておらず、正確にはほぼ垂直の岸壁だった。岸壁と半ば一体化する形でその頂点に明らかに人の手で作られた砦状の構造物も存在している。

 

 砦というよりは監獄を思わせるような、冷たい雰囲気がこの島中を包んでいた。

 

 実際にこの島は、とある諸島国家群の罪人や権力者にとって都合が悪い(だが死んだら死んだで面倒の種になってしまう類の)人物を幽閉する監獄島として長く薄暗い歴史を刻んできた。

 

 目的地の方角を確認し終えるとケミィ達へ合図を送り再び水中へ沈む。

 

 人魚に牽引される事しばし、伊丹達は岸壁へと到達した。

 

 ケミィ達の出番はここまでだ。手を振りながら離れていく人魚達の姿はすぐに暗い海中に呑まれて消えた。

 

 海面から頭だけを覗かせ3人の兵士達はそそり立つ岸壁を見上げる。

 

 

「どうします隊長、()()()登りますか?」

 

 

 栗林志乃(伊丹と入籍済み・但し職務遂行中は混乱防止の為旧姓のまま)一等陸曹がゴーグルとレギュレーターを外して尋ねた。

 

 伊丹を挟んで反対側の海面では富田章一曹も浮上し、伊丹の判断を待っている。

 

 

「いや、思ったより足場に出来そうな場所が無いしこの天気だ、濡れて滑るリスクが高過ぎる。予定通りロープを使って登ろう」

 

「了解です」

 

 

 3人は脇の下にスリングで携行していたロープランチャーを構えた。切り詰めた単発式のグレネードランチャーによく似ているが、砲弾の代わりにロープ付きのフックを数十メートル先まで撃ち出す事が出来る。

 

 発射。大時化の波と風の音に紛れる程度の破裂音を発してフックとロープが岸壁に沿って打ち上げられた。

 

 フックが岸壁上の城壁を飛び越えて見えなくなり、伸びていくロープの動きが停止すると何度か力を込めて引っ張る。狙い通りフックが喰い込みピンとロープが張る手応え。

 

 

「フック良し。上に上がろう」

 

 

 ロープへ同じく携行していた昇降装置を接続。ギアがロープをしっかりと噛み、高性能モーターが作動すると兵士達をあっさりと海中から引っ張り上げた。浮力を失った装備の重さがズシリと伊丹とロープへ圧し掛かるが、昇降装置は速度を維持したまま更に上方へ伊丹の体を運んでいく。

 

 岸壁部分を越えて城壁へと到達したタイミングで、伊丹は太股のホルスターからH&K・SFP9M 拳銃を抜いた。新たに自衛隊へ採用された9ミリ拳銃の銃口にはサイレンサーが捻じ込んである。

 

 片手で昇降装置の速度を調整しつつ、弓矢を避ける為の胸壁、その凹部からゆっくりと顔と銃口を覗かせた。

 

 ローブを被った兵士の姿を認識した瞬間、伊丹は躊躇いなく発砲した。

 

 サイレンサー越しの銃声。胸部の中心に喰らってもんどりうって兵士は倒れる。兵士が抱えていた棒状の物体が濡れた床に転がった。

 

 素早く体を持ち上げて胸壁を乗り越えると、やはりサイレンサーを装着したメインウェポン20式小銃へ持ち替え、即死せず呻き声を漏らして身動ぎしていた兵士へとどめの銃弾を見舞った。

 

 

「全チームへ、アルファは位置についた。そっちの状況は?」

 

『ブラボーはアルファへ合流する為移動中』

 

『チャーリーは待機中』

 

 

 部隊内回線を通じて伊丹が無線機のマイクへ囁くとすぐさま同じく作戦に参加している仲間達からの応答が返ってきた。

 

 潜水に使った機材は邪魔になるので目立たない位置へ死体共々隠しておく。自分と栗林で周辺警戒を担当しつつ、伊丹は富田へ死体を運ぶよう命じた。

 

 ふと気になって、伊丹は兵士が持っていた棒状の物体に手を伸ばした。

 

 特地なりの原始的な防水加工が施された布を解いて露わになった中身に、伊丹の眉が僅かに険しさを増す。死体と機材を隠し終えて戻ってきた富田も驚きで目を見開いた。

 

 ストックと引き金、横並びの銃身が2つ並んだ大部分が鋼鉄製のそれは――――

 

 

「伊丹隊長、それってまさか……」

 

「お察しの通り、()()()()()()()()だよ。パッと見の感じ火縄銃やマスケットみたいな骨董品レベルの代物じゃない、金属薬莢を使った地球でも通用しそうなレベルのちゃんとした銃だ。口径は50口径(12.7ミリ)ぐらいかな?」

 

「それだけの口径なら防弾チョッキの上からでもかなり痛いですね……見た目としては象撃ち銃のような猟銃に近い構造のように見えます」

 

「機構自体がシンプルだからねぇ。やろうと思えばオートマの拳銃だって1から手作りで作れるんだ、知識を持つ人材と材料の確保さえ出来るならこの特地でも作れたっておかしくはないさ」

 

 

 部下にそう説明してやりながら伊丹は付け足すように呟く。

 

 

「それでもこんな代物を警備に持たせてまで守っているって事は、それだけ()()()()()が此処にはあるって事なんだろうさ」

 

 

 伊丹の言葉と疑問にまるで答えるかのように、無線での呼びかけが聞こえた。

 

 

『こちらブラボー。運ばれてきた()()についての書類を発見した。どうやら情報は正しかったようだな』

 

「それは良いニュースだ。役に立ちそうな情報は?」

 

『俺達のお目当てはこの監獄島の最下層の牢屋に閉じ込められているそうだ』

 

 

 城壁上から内側へと目線を向けた。

 

 元々は自然によって生み出された産物らしい、大型ビルもすっぽり入りそうな巨大な竪穴が口を開けている。稲光が閃いても尚底が見通せない程の深い穴だ。

 

 今から伊丹達はあの暗黒の中へと飛び込まなくてはならない。

 

 

『ここの()()()の部屋にはきっちり番号が割り振ってある。この辺りは地球流とやり方は変わらんな』

 

「分かり易くてありがたいね。目標の部屋の番号は?」

 

 

 

 

 

『――――囚人627号』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異世界の『扉』は更なる戦場を生み続ける――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

GATE Season2:Modern Warfare

 

 

 

 

 

 

 

Strange Sea Ops

 

 

 

 

 

 




続くかどうかは未定です。


初めてのコロナに罹ったのでこの後生きてるのかも怪しいし…(喘息持ちの肥満体
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