GATE:MW ―SSOPS―   作:ゼミル

2 / 4
遂にBF6が発売されたので初投稿です(小声
CoD?BOシリーズはBO2までとCWしか知りませんよ?(真顔

敢えて言い訳をさせて頂くなら貧乏暇無しが悪いんや…(震え声



どうしようもない作者で申し訳ありませんが感想よろしくお願いいたします。


囚人627

 

 

 

 

 

 

 

<02:18>

 

 伊丹耀司 一等陸尉/自衛隊特地派遣部隊<特殊統合部隊・アルファチーム>

 特別地域・アヴィオン海某所<非友好地域インディアンテリトリー>・監獄城

 

 

 

 

 

 

 

 特地に於いて監獄という施設は、存在そのものは知られていても数そのものは意外と少ない代物だった。

 

 何故なら本来の監獄の住民となる犯罪者の類というものは、些細な窃盗だとかちょっとした喧嘩の当事者といった軽い罪状から一定のラインを越えてしまった者―特に現行犯―に対しては、基本的にその場で処刑してしまうのが常態化しているからである。

 

 最も速い通信手段といえば早馬による伝令か狼煙で精一杯という技術レベルの特地。

 

 警吏たる立場といえばその地を支配する領主が率いる騎士団や兵隊が精々。大貴族であっても領地全体を統括出来る程大規模な兵力を配備しているのは極僅か。

 

 場合によっては救援を求めても出動してくれるかも怪しい始末。救援に出発しても現場に到着する頃には全てが終わってしまい賊は当の昔に逃げ出し、残されたのは哀れな犠牲者の亡骸のみというのが当たり前。

 

 そのような事情柄、辺境の村々は大抵自衛の為の自警団が編成されているし、そういった土地では村を襲った賊の類を世話してやる余裕など精神的にもリソース的にも無い事もあり、()()()()()でもなければ独自の判断で処分されるのが常識なのだ。

 

 帝都のような人口密集地、且つ治安維持の衛兵が身近な都市であれば軽犯罪者向けの牢屋が宿営地に設けられていたりもするが、決して犯罪者を長期に渡り拘留する施設としての役割は与えられていない。

 

 ではそうならない例外とは?

 

 土地の権力者が賞金を懸けたお尋ね者だったり、巷に名と特徴が知れ渡る程の著名な犯罪者だったり、無縁仏にするよりかは生かしたまま適切に取り扱えば褒章が期待出来そうな敵国の将軍や貴族といった権力者などである。

 

 ――――或いは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()か。

 

 

 

 ともかく特地に於ける監獄とは、そういった大物(VIP)だけが利用を許される、地球の()()よりもずっと特別な施設なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『歴史はあるんだろうが、醜い建物だ』

 

 

 唐突にブラボーの押し殺した呟き声を無線が拾った。

 

 

「そりゃ爺さんはこの手の城に良い思い出は無いだろうねぇ」

 

 

 呟き主の過去の経験を思い出した伊丹もまた苦笑を押し殺した。

 

 ブラボーチームを率いる老兵――――プライスもロシアの極寒に存在した古城を改造した強制収容所で何年もの虜囚の憂き目を味わっていたのを伊丹も知っていたからだ。

 

 

『出来れば城を丸ごと吹き飛ばしてやりたい所だが、一応プランBは用意しておいた。静かに目標だけ確保してオサラバ出来れば万歳だが、いざという時は遠慮なく使え』

 

「了解ブラボー。何時だって備えあれば憂いなし、だ」

 

『――アルファチームを視認。俺達はそちらから見て1時方向の塔から狙撃で援護を行う』

 

 

 荒天の雨の中、大穴を取り囲む城壁の中でも1番高い塔で規則的に光が点滅した。

 

 常人には暗視装置越しでしか認識出来ない赤外線ライトによる合図。そして伊丹達は暗視装置も装備している。

 

 伊丹達は城壁内の階段を降り、途中排除しなければ進めないと判断した警備の兵士を数名排除しながら、気配を殺して竪穴へと近づいていく。

 

 竪穴には開口部を真っ二つに分ける形で木製の足場が掛けられていた。

 

 竪穴の内周部は風雨に削られて自然と構築された天然の足場と粗末な木製の足場を組み合わせた歪な螺旋状の通路が下へ下へと続く。通路そのものは細く、もし囚人が脱走を試みても通行を阻むべく部分部分で鉄格子が設置され行く手を塞いでいる。

 

 足場上や竪穴周辺には警備の姿が存在しなかった。そもそもかがり火のような灯りの類すら設置されていない。

 

 地球の刑務所のように煌々と闇夜を照らせる電気式のサーチライトが存在しない特地では、火を利用した光源の類など荒天下では容易く掻き消されてしまうからだ。

 

 特地の技術レベルを考えれば当然の結論なのだろうが――――

 

 

「志乃、富田。警戒を厳に」

 

 

 伊丹らしからぬ、トーンを落とした声で部下に警戒を発する。

 

 

「隊長?」

 

「なーんか嫌な予感がするんだよねぇ……」

 

『同意見だアルファ。雨と風はやかましいが()()()()()()()()()()

 

「ブラボー、俺達の尻をしっかり見張っといてくれよ」

 

『当然だ』

 

 

 開口部の足場は足場と云うよりも木製の橋に近く、使われている木材も大人の脚よりも太いしっかりとした代物だ。大の男の体重ぐらい簡単に支えてくれるだろう。

 

 

「フックを掛けろ」

 

 

 元々は空マガジンやガスマスク入れに使う大型ポーチへ納めていた軽量だが数百キロの荷重に耐えるロープを手すりへ巻き付け、フックで外れないよう固定。

 

 投げ落としたロープが暗黒の竪穴へと消えると、ハーネスの金具と上陸時にも使った昇降装置を接続する。

 

 そして伊丹達は目標が待っているであろうウサギの穴の中へと降下を開始するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 光量を増幅するタイプの暗視装置越しの風景というのは微かに緑がかった青白い濃淡によって構築されている。

 

 微かなモーター音とロープに歯車が喰い込むキリキリという音を伴いながら、伊丹と富田と栗林の3人は雨に打たれながら穴の底を目指して降りていく。

 

 左手で昇降装置を操作しながら、右の脇にストックを挟むようにして構えた20式小銃の銃口をそれぞれ別々の方向へ振り向けながら警戒も行う。

 

 銃身へ沿う形にして装着されたレーザーサイトの光線―暗視装置が邪魔で銃の照準器が覗き込めない場合、これで以って狙いをつけるのだ―が自然を生かした造りの監獄を切り裂くように右へ左へ動くのを認識出来るのは、伊丹か高所で警戒監視中のプライス達だけだ。

 

 そうやら他の牢屋に()()()の利用者は居ないらしかった。

 

 事前に入手出来た情報でも、この監獄が息を吹き返したのはつい最近だという事なので分からなくもないのだが、伊丹は脳内の警戒レベルを更に1段階引き上げた。

 

 そのまま3人は何事も無く穴の底へと到達した。

 

 

「穴の底に着いた。このまま奥へ向かう」

 

『そこは既にこちらからは死角に入っている。自分達の尻は自分達で守ってくれ』

 

「私のお尻は隊長専用です!」

 

 

 何故か栗林が小声ながら堂々と宣言するという器用な事をしながら軽口を挟んだ

 

 

『そこまでは聞いちゃいない』

 

 

 素早くロープを外し、こちらは人工的に掘られただろう横穴へと進んでいく。

 

 少し進むと錆が目立つが頑丈さには陰りが無いであろう、重厚な金属製の扉が伊丹達の前に現れた。

 

 やはり金属製の閂に如何にも頑丈そうな特大の南京錠が掛けられており、内側からではそれこそ亜神のような人外の膂力を持つ存在でもなければ破れまいと一目で分かる面構えの独房である。生憎覗き窓の類は設けられておらず、独房の外側から中を伺い見る事は出来そうにない。

 

 伊丹達は上の城壁で独房の鍵は見つけていなかったが、鍵代わりに使える代物は持参していた。

 

 

「富田、トーチを使え。一応目立たないようにな」

 

「了解」

 

 

 装具のポーチから富田が取り出したのは握りが付いた短い棒だ。背中に人を殴り殺せそうなサイズのボルトクリッパー(巨大ニッパー)も背負っていたが、今回はこちらの方を使う。

 

 デザイン的にはサブカル好きならばライト〇ーバーとでも形容しそうな見た目をしているが、実際限定的ではあるがライトセー〇ーの用途を再現出来る代物ではあった。

 

 独房の扉に屈み込んだ富田は別のポーチから折り畳まれた黒一色のポンチョも取り出すと、それを頭から被った。上半身がすっぽりと隠れ、外からは富田がしようとしている事を窺い知る事が出来ない。

 

 錠前に手を掛けた富田はライト〇ーバーの先端を南京錠の特徴であるU字型の掛け金へと押し付けると、ライト〇ーバーの握りに設けられたボタンを押し込んだ。

 

 刹那、ポンチョの内側で閃光と煙が生じた。

 

 TECトーチとも呼ばれる、金属製の壁やフェンスを文字通り焼き切る数千度の高熱を発生させる軍用の特殊トーチはその目的通りの効果を発揮し、僅か数秒の効果時間の間に大人の親指よりも太い南京錠の掛け金を完全に溶断してみせた。

 

 耐火性能も標準装備の軍用グローブを装着した富田の手が南京錠の本体を力強く引っ張れば、バキリと音を立てて赤熱した部分からあっさりと掛け金部分が外れた。地面に落ちた掛け金の残骸が水溜まりに落ちて一瞬だけ水蒸気の煙が立ち上った。

 

 

「隊長、開きました!」

 

「ブラボーへ、これより目標の確保に移る」

 

『目標が間違いなく本人か確認するまで気を抜くなよ』

 

「言われなくても分かってますって。蓋を開けたらビックリ箱だったなんてのは俺も勘弁だしね」

 

 

 部下達の方を叩く。片手で20式小銃を保持したまま発煙筒(フレア)を取り出し2人に合図。

 

 富田と栗林は頷き、さっさとポンチョと使用済みのトーチを仕舞い込んだ富田が閂を引き抜いてゆっくりと扉を開けるや否や、器用に片手で点火した発煙筒を生じた隙間へ伊丹が投げ込み、その後を追いかけるように猫よろしく栗林が独房の中へと体を滑り込ませた。

 

 伊丹も続き、栗林とは別方向へと銃口を巡らせ索敵と警戒を素早く行う。

 

 オレンジ色の炎に仄かに照らされた独房の中は例によってどこまでも殺風景だった。今にも朽ち果てそうな木製の寝台、トイレ代わりらしき僅かに掘られた穴、岩肌そのままの床と壁には滲み出した水滴が滴っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、そんな空間に不釣り合いな美女が1人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「久しぶりだな、イタミ殿、なあ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――特地の一大帝国を支配する女帝、ピニャ・コ・ラーダがそこに居た。

 

 丈も不十分なボロボロの貫頭衣に手枷を嵌められた虜囚として。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。