*あなたは蟻のフン以下だ。* 作:一般通過ピアニスト
遅くなりました。申し訳ごさいません。
という事でイェソドとの戦い方がよく分からないのでこのゲームは───クリアする事が出来ない。
「トリニティから忌まわしい
「穢らわしい魔女を許すな!」
「魔女に正義の鉄槌を!」
余りにも突然の事だったので、あなたは激しく動揺して口から何とも間抜けな声を漏らしてしまった。
『トリニティの魔女』。
このキヴォトスには魔法が使える人間はあなたしか居ないので、『トリニティの魔女』とは多分あなたの事なのだろう。何やら凄く嫌われている様だが、それは一旦置いておいて。
一体なぜ、自分が魔法を使える事が窓の外のあの人たちに知られているのだろう。あの人たちの前で魔法を使った事は無いので、誰かが知らせたのだろうか。
しかしながら、あなたの諸々を知っているのはティーパーティーの人達と救護騎士団の一部のメンバーと正義実現委員会の殆どのメンバーだけであり、そしてその全員がいたずらに他者の秘密を漏らすような人間のクズではない事をあなたは知っている。
ちなみになぜ正義実現委員会があなたの諸々を知っているのかだが……それは彼女たちがあなたの『持ち物検査』を行っているからだ。
今思い返しても、とてもめんどくさかった。荷物をいちいち見せないといけない事が───では無く、彼女たちから物凄い勢いで質問攻めにされたからだ。
そう、あの日は一日中───
Q.ねえねえ!このそれっぽいガラス瓶に入ってる青色の液体ってもしかして魔法薬!?
A.……ただの染料です。
Q.ふ、ふーん……。じゃあこっちの透明な液体は……
A.媚薬です。
A.媚薬!?!? エッチなのはダメ!死刑!!!没収!
Q.あっ、じゃあこっちは!?この分厚い赤い本ってアレでしょ、魔導書ってやつでしょ!?
A.……それ、ただの日記帳………。
Q.この文章を魔法の詠唱っぽく読み上げてよ!
A.えっと……こほん、『いあ いあ はすたあ くふあやく ぶるぐとむ』……? コレ何の呪文?
Q.次はこっちも!
A.……『
Q.私をなんかの魔法で撃ち抜いてよ。あ、当てる場所は手のひらでお願い。
Q.変態の方ですか? ……《ファイアボルト》!
A.あっつ! さながら電子レンジであっためた直後の冷凍ご飯の熱さだぁ!
Q.まあまあ熱さが伝わってきますが、例え方がトリニティ生にしてはいささか庶民的ですわ!
A.うるせぇトリニティ生が全員どっかの家の令嬢サマだと思うなよ!?
A.……なんかゴメン……。
そう。
例えばただの染料に対して『これってもしかして魔法薬か何かですか!?』と妙に輝いた目で訪ねられたり、『この本が───もしかして魔導書なんですか!?』とただの日記帳に対して言われたり、やれ『魔法を使って』だの『この文章を魔法の詠唱っぽく読み上げて』だの、それはもう長い時間がかかった。
なんとその時間約一日。
正義実現委員会に所属している生徒たちだけでこんなに時間がかかる訳だから、トリニティ全校生徒に同じ様な事をされればあなたは冗談抜きで一週間ぶっ続けで説明と解説と実演をする機械になってしまうしまうのでは無いだろうか。あなたは機械の神であるマニの信者ではないのでそれはちょっと嫌だ。
……という訳で、あなたは自分の正体を隠している。当然、魔法の存在も。
閑話休題、話を戻して───では、今外に居る彼女達は何故『魔女』を糾弾しているのだろうか。
「……? どうしたの? ……『トリニティの魔女』? ……ああ、そっか。鞄ちゃんが来たのって『エデン条約』の件の後だもんね、そりゃ知らないか。えっとね、まず『魔女』っていうのは聖園ミカ先輩の事で───」
───要約すると、ここトリニティ総合学園は『ゲヘナ学園』という他の学校と、ある条約───『エデン条約』を結ぼうとしていたのだが、紆余曲折の果てになんやかんやでやらかしたミカ先輩が『トリニティの裏切りの魔女』と呼ばれる事になったそうだ。
つまり、『トリニティの魔女』はあなたの事ではないしミカ先輩は実際の魔法使いでもない、ということである。
「……って、それよりも! 鞄ちゃん、
本当。
「そっかぁ……うーん……うーん…………厳しそうだなぁ……」
何故かものすごく複雑そうな顔をされた。
「いやぁ……うちってさ、ほら、上下関係がしっかりあるし。それに集団行動とか重要視してるし……。普段から鞄ちゃんって結構フリーダムだし、うちでの活動にはあんまり向いてないんじゃないかな……って」
なるほど。
確かに彼女の言う通り、あなたは集団行動が苦手だ。あなたはいつも一人で旅をしていた。そんなあなたがいきなり正義実現委員会に所属しても、良くてお荷物と言った所だろう。
それにあなたのキヴォトスでの大きな目標は『この世界を探索すること』であり、何かの組織に所属してしまっては仕事に追われて探索に裂ける時間が少なくなってしまう。
………仕方がない。ここはプランBだ。
『納品から護衛まで 様々な依頼を解決致します。お値段1000円〜。
「演奏などで場を盛り上げて欲しい」「物を指定の人物まで配達して欲しい」「指定の場所まで連れて行って欲しい」「料理をして欲しい」「作物の収穫を手伝って欲しい」などなど、お気軽にどうぞ。
連絡先はこちら、[email protected] 1-○組 止まれないはじまり・───
※内容により、依頼を受け付ける事が出来ない場合があります。ご了承ください』
……という様な内容の貼り紙を、あなたはトリニティ・スクエア───トリニティ総合学園にあるとても広い広場だ───にある大きな掲示板の片隅に貼り付けた。
そう。あなたはノースティリスの冒険者としての仕事を、ここキヴォトスで行おうとしている訳である。もちろん然るべき所に許可は取っているのでその点はご安心だ。
果たして、うまく行くだろうか。
█ █ █
《依頼:『ブツの配達』》
数日後、あなたがキヴォトスで初めて受けた依頼は、なんてことはない配達の依頼だった。依頼主は、なんとあなたのクラスメイト。
やけにそわそわした様子で『今忙しくて手が離せないからこの小包を地図上のこの家まで届けて』と言われたので、二つ返事でこれを了承。……したのは良いのだが。
「止まれ! トリニティの生徒がゲヘナ学園に何の用だ!?」
そう。なんと配達先はあの『ゲヘナ学園 』。
トリニティのクラスメイトからは『野蛮人の巣窟』だの『人間のクズの集まり』だの『下品で下劣な穢れた場所』だの散々言われている曰く付きの自治区だ。
所で今回の依頼主の人はゲヘナ学園に対しての罵詈雑言を耳にする度に複雑そうな顔を見せるのだが何故だろう。ゲヘナに親しい友人でもいるのだろうか。
「……なるほど、言われて物を届けに、ね。………OK、それなら私たちが代わりに渡してきてやるからよこせ。あとトリニティ生はこの道の通行料としてごま……10万円払え」
そんな事を言われたあなたはもう色々と察した。口調からしてこの自治区のガードか何かかと思っていたが、ゲヘナはそんなに甘くなかった。彼女はただの野盗だった。その証拠に彼女から凄まじい悪意を感じる。
……ところで、街中にいる人を『野盗』と呼ぶのは果たして正しい事なのだろうか?
一抹の疑問を抱えつつ、あなたは全力でもって相手への対応を試みた。自身が最も長けていると思っている能力───速度でもって。
あなたは自分の速度にはちょっと自信がある。装備諸々を含めたあなたの速度は数値で表すと大体210。《加速》の魔法を唱えればもっと速くなる。一般の方の速度が70なので、あなたは常人の約3倍速以上で動けるわけだ。
一口に3倍速とは言っても、別にそれは足の速さに限った事ではない。
普通の人が剣を一回振る間にあなたは三回剣を振れるし、十回魔法を唱える間にあなたは三十回魔法を放てる。
速度とはそういう感じの能力値だ。
これだけ聞くとまるであなたが凄い様に思えるが、ノースティリスには速度が1000とか2000とか行っちゃってる、もとい逝っちゃってる人達がザラにいるので怖い。
さて、説明が長くなってしまったが、要約すると───
「ああっ、クソッ! テメェ足速すぎんだよ! 待てやコラァッ!」
───『あなたは逃げ足だけは速い』という事になる。
『全力で対応する』とは言ったが、別に戦うなんて一言も言ってない。
「クソッ……イラつくトリニティの奴から金と物巻き上げれば気持ちよくなれると思ったのに! あーっ、いいなー!そんな走りやすそうな
ヨーシ、アイツブッコロス。
いや殺りはしないが半殺しにする。
突然空高く飛び上がったあなたは、落下の勢いと武器の重さとその他もろもろ───このクソアマ少女曰く貧相な身体の全体重をかけた『大鎌の尖ってる部分』を脳天目掛けて思いっきり振り下ろした。
あなたは確かな手応えと共におよそ人体から鳴ってはいけない音を聞いた。脳天に加わった強い衝撃のせいで気絶している少女に、あなたは問いかける。
さようなら……遺言は?
「……コ〇スの……包み焼きハンバーグ……」
*依頼達成*
あなたの足元に1000円札が転がってきた。あなたは少しの名声値を得た。あなたは少しゲヘナ学園自治区に詳しくなった。
数年後、そこには願いの魔法で豊胸を願い局所的にハスミ先輩と化した
という事でこのssのラストシーンを閃いたのでこの作品は完結できます。
しかしながらよくよく考えてみると時系列がエデン条約編の前ならセイアとミカが四・五話のおまけみたいなやり取りを交わした後にミカがセイアにアリウスをけしかけるとは余り考えられないしエデン条約編の後なら主人公が来た時に先生のせの字も出てこないのはおかしいので───
まあつまり都合の良い感じの時系列で何とかします。
あと次回からは多分謝肉祭イベントになると思います。