チートで男の娘で推しの姿で転生した件   作:天童真影

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第9話約束の行方

 

明けて翌朝。俺達は、作業部屋に集まった。昨日は、弟子用の空き部屋を借りて泊めさせてもらったのだ。俺達が部屋に入ると、そこにはすでに四人揃って"魔鋼塊"を眺めていた。溜息をつきながら、何度も何度もひっくり返したりしながら確かめている。俺が出した塊は、人の拳程度のサイズである。大げさな反応をしているようだが、そんなに希少なのだろうか?

 

カイジン「お前は、何を言っているんだ?」

 

それが、カイジンからの返事だった。以下、その説明だ。

 

"魔鉱石"は"魔鋼"の原石である。その原石の状態でさえ、金に匹敵する価値がある。理由は簡単。その希少性と、用途の有用性である。この世界を構成する要素、"魔素"。元の世界には無かったこの"魔素"というものが、この世界で大きな役割を占めているのだ。魔物を倒すと、希に、魔石と呼ばれる魔素の塊を落とす。この魔石はエネルギーの塊のような物であり、精霊工学というこの世界独自の発明品の燃料となっているらしい。また、上位の魔物の核である魔石は、宝石よりも美しく内蔵エネルギーの量も桁が違うそうだ。そうした、上位の魔石は、色々な製品の核コアとして使用されたりする。細工師が加工する装飾品等も、こういった素材が使用されているのだそうだ。その性能は、着用者の能力上昇や、付属効果等、様々な恩恵をもたらすのだと・・・。そして、"魔鉱石"とは、普通の鉱石と決定的に違う点がある。必ず、上位の魔物の付近でしか、採取出来ないのである。何故なら、魔素の濃度の濃い場所にあった鉱石が、長い年月をかけて魔素を大量に含んで変異して、そうやって出来た物質だからなのである。鉱物の、突然変異に近いのだ。当然、魔素の濃度の濃い場所には、強力な魔物が生息している。冒険者が小遣い稼ぎに倒せるような、そんな下っ端の生息地では"魔鉱石"は発見されにくい。最低でも、Bランク相当の魔物の生息地にしか、"魔鉱石"は存在しないのだそうだ。ちなみに、ここで初めて魔物のランク等級についても説明を受けた。

 

ゴブタ「そうなんすか!じゃあ、自分もBくらいっすかね?」

 

この場にいた全員「「「・・・・・・・・・(お前が思うんなら、そうなんだろ。お前の中ではな!!!)」」」

 

おそらく、ゴブタのバカ以外の皆の思いは一つだっただろう。バカは置いておこう。それだけ、発見の難しい"魔鉱石"だが、そこから採れる"魔鋼"は、3〜5%しか含有していない。つまり、拳大とは言え、"魔鋼塊"の価値は、同等の金の20倍以上という事なのだ。金の価値は、元の世界とほぼ同程度。国毎の共通の目安として、金本位制が採用されている為でもある。その価値が理解して頂けた事と思う。

 

まあ、俺の睨んだ通り、希少な金属だった訳だ。流石は俺!その辺りはぬかりなし!!!である。ちなみに、めっちゃ大量に"魔鋼塊"を保有していたりするのだが、ちょっぴり怖くなったのは秘密だ。バレるハズがないのだが・・・、バレたらどうしよう?なんて思ってしまうのは小市民だからだろうか?

 

で、本題はここからだ。"魔鋼"が希少だというだけで価値が高い訳ではない。その価値の本当の理由。それは、魔力の誘導と非常に相性が良いという性質にある。魔素とは、ある程度のイメージで操作可能なのだ。俺の『魔力感知』等もそうだが、『水操作』なんかも、魔素の操作によって行っている。魔物のスキルも、その多くが魔素を元にしていると言えるだろう。魔法については、よく判らないけど、恐らく似た原理になっていると思っている。では、武器の素材に魔素が大量に含まれていたらどうなるのか?驚くべき事に、"成長する武器"が出来上がるのだそうだ!なんというロマン!!!え、何それ?欲しい!!!ぐっと我慢したけど、喉元までその言葉が出かかっていた。使用者のイメージに添って、徐々に理想の形態へとその姿を変える武器。そして、使用者の魔力次第では、戦闘中に自由自在に形状変化も可能なのだと!さらに、魔素の馴染みが良い為、スキルの威力も増大する。ある意味、普通の武器と比べたら、余程の技量差が無ければ、魔法武器マジックウェポン持ちが勝つだろう。

 

もしかすると・・・、金と技術を注ぎ込んだ場合の話だが、純魔鋼の刀身に、上位の魔石を嵌めたら、"炎の剣"や"氷雪の剣"なんて代物も出来るのではなかろうか?俺の心が、"早く造れ!!!"と騒いでいるが、慌ててはいけない。出来るような気がするので、今度機会があったら、魔石を手に入れたいものだ。

 

 

 

一頻りの説明を受けた後、カイジン達は作業に入る模様。後学の為、俺達も見学させて貰う。ゴブタはどうせ寝ているのだろうけど・・・。

 

剣と言っても様々な種類がある。俺の中での最強の剣と言えば、勿論、日本刀である。しかし、刀の中だけでも様々な種類があるのだ。それこそ、どんな剣を造るのか、興味津々であった。作り始める事、10時間。何の変哲もない、一本のロングソードが出来上がった。あれ? 魔鋼が大量に余っている。拳大しかないのだ。一本の剣の素材で足りるのか? と思っていた程だったのだが・・・。聞けば、全ての素材を魔鋼で造るような事をすれば、幾らかかるか判らない!との事。考えてみれば、当然か。道理で、"炎の剣"や"氷雪の剣"あるいは、"雷の剣"などの発想が出ない訳だ。金が掛かりすぎるのだ。なるほどな!と納得させて貰った。魔鋼を芯として用い、普通の鉄鋼でその刀身を整えるのだそうだ。それでも、魔鋼の魔素が鉄鋼部分の刀身を侵食し、いずれは、一体化するらしい。長い年月を経た武器の方が、強い物が多いとの事。古くなって、刀身が錆びたり欠けたりしないのも、特徴らしい。不思議な事に、剣にも命があるらしい。折れたり、完全な歪みが出来た時、魔素が抜けて一気に風化するそうだ。

 

打ち上がった剣を見せてくれながら、そんな話をしてくれた。なかなかに、面白い話であった。

 

 

出来上がった剣を手に取り眺める。よく見れば、シンプルな出来上がりだが、歪みがない。無駄がないと言える。日本刀のような、斬る事が主体では無いようだが、刃による斬撃も可能なようだ。なるほど。これをベースとして、個人個人で目的毎に変化していくのか!そう考えるなら、製作者の意図を省き、シンプルに纏めるのも頷ける。

 

さて、と。親父カイジンさん達は、約束通り、素晴らしい剣を打ってくれた。ここからは、俺の出番である。

 

サオリ「よし!ここからは、秘密の作業を行う。素材の確認をしたら、悪いけど、全員部屋から出てくれ!」

 

そう言って、皆に外に出て貰う事にした。流石に、作製方法を見られる訳にはいかない。主に、説明が面倒という理由で!

 

カイジン「材料は、この部屋に全部揃ってる。でも、いいのか?何なら手伝うぞ?」

 

サオリ「うむ。大丈夫だ!そんな事より、三日間、この部屋を覗くなよ?約束だぞ!?」

 

カイジン「解った。お前を信じて待ってるよ・・・。」

 

そう言って、親父さん達は出て行った。何故か、ゴブタも出て行った・・・。あのバカは、一度シメル必要があるかもしれない・・・。

 

 

さて、本日のレシピは、"ロングソード"となっております!作り方は簡単!まず、お手本の一本をリムルさんが飲み込みます!続けて、ここに並べました材料を・・・、リムルさんが飲み込みます!もぐもぐ、ごっくん!そして、お腹の中でよく混ぜて・・・、

 

大賢者『告。解析対象:"ロングソード"成功しました。続けて、コピー作成・・・成功しました 』

 

これを、19回繰り返したら、終了で〜す!!!簡単でしたね?でも、良い子は決してマネしないでね?

 

などと、バカな事を思いながら作業を行なった。ヤバイ・・・、一本のコピーに所要した時間、およそ10秒。190秒・・・3分強で、19本のロングソードを作ってしまった・・・。親父達を追い出してから、5分も経っていない。というか、出来るだろうとは思っていたが、なんだか職人さんに申し訳ないくらい簡単に作製してしまった・・・。『捕食者』、マジでチートすぎる。さて、どうしよう?三日間、ここを覗くな!なんて言ってしまったが、ここに三日何もする事なく篭るべきだろうか?いや・・・。流石に、この部屋で意味もなく修行してても仕方ない。もう出来たと、ぶっちゃけてしまうか・・・。

 

 

バターーーン!扉を開けて、俺は外に出た。心配そうに、こちらの様子を窺っていた四人が、慌てて立ち上がる。ゴブタは・・・、寝ていた。お前な…5分で出てきたらもう寝てるって、どういう事だ?やはり、な。俺の中で、奴ゴブタをシメル事が確定した瞬間であった。

 

カイジン「おい、どうした? 何かあったのか?」

 

ガルム「足りない材料でもあったか?」

 

ドルド「・・・、それとも、やはり無理、だったか?」

 

口々に、心配そうに問いかけてくるドワーフ達。

 

サオリ「う、うむ。いや、実は・・・な。」

 

その心配そうな、視線が痛い。ついつい、勿体ぶってしまった。相変わらず、俺は人が悪いのだ。死んでも治らなかったようだ。

 

リムル「な〜んてな! 実は、もう出来たちゃった!」

 

ドワーフ達「「「・・・・・・・・・、はあぁ???」」」

 

驚きの声がハモっていた。そりゃ、そうだよね…!

 

 

 

 

 

          かんぱーーーい!

 

俺達は、打ち上げと称して、夜の店に来ていた。納品が無事に終わったので、そのお祝い! という名目だ。いや、俺はそんな事しないでいいと言ったんだよ! でも…、

 

ガルム「まあまあ、綺麗な姉〜ちゃんもいっぱいいるから!」

 

ドルド「そそ!!!若い子から、熟女まで! 紳士御用達の店なんだよ!」

 

ミルド「……………!!!」

 

カイジン「おいおい!リムルの旦那とサオリの旦那が来ないと、始まらないぜ?」

 

店の名前は、『夜の蝶』で店に入った。

 

受付のエルフ「あら〜!いらっしゃ〜い!!!」

 

エルフ「「「いらっしゃいませーーー!!!」」」

 

エルフ「うわーーー! 可愛いい!!!」

 

エルフ「こっちも可愛いい!!」

 

サオリ「え?///」

 

エルフ「ちょっとぉ!ワタシが先に目ぇつけてたのにぃ〜!!!」

 

カイジン「……楽しんでくれてるみたいだな?」

 

サオリ「え…? いや、それほどでも?」

 

楽しい時間を過ごしていた俺達だったのだが、

 

ベスター「おやおや、カイジン殿では、ありませんか!いけませんな、この上品な店に、下等な魔物など連れ込んでは!」

 

喧嘩を売るかのような言葉を掛けてきた者がいた。誰だ?このおっさんは…?一瞬で、周りが静かになった。女の子達も、おっさんの事を嫌っているのか、嫌そうな顔をしている。よく観察しないと判らない程度ではあったけども。おっさんは、ドワーフにしては珍しく、細っそりとした体型に、長身であった。とは言っても、普通の人間と同程度の身長である。

 

ベスター「おい、女主人マダム! この店は、魔物の連れ込みを許すのか?」

 

マダム「い、いえ、魔物と言いましても、無害そうなスライムですし…」

 

ベスター「はあ? 魔物だろうが!違うのか?スライムは魔物じゃないとでも抜かすか!!!?」

 

マダム「いえ…、その様な訳では、決して…」

 

ママさんが、のらりくらりと言葉を濁して、怒りをそらそうとするのだが、取り合おうとしていない。このおっさんの目的は、明らかに俺達であるようだ。

 

カイジン「まずいな…、大臣のベスターだ…。」

 

このおっさんが、噂のベスター大臣だと?なるほど…、何というか、神経質でねちっこそうな顔をしている。その時、

 

「ふん!魔物には、これがお似合いよ!!!」

 

などとほざいて、リムルさんの頭から水をぶっ掛けてくる前に俺は取り上げて後ろに立つ

 

サオリ「おい、大臣だからってやっていい事と駄目な事わかるだろが!」←呪力微量放出

 

ベスター「私に楯突く気か!」

 

カイジン「おい…。黙って聞いてれば、いい気になりやがって!」

 

ドン!と、テーブルを蹴り飛ばし、親父カイジンさんが立ち上がった。

 

カイジン「おう、ベスター!てめー、この俺の客に舐めたマネしてくれて、覚悟は出来ているんだろうな?」

 

…え?ちょっと、カイジンさん…相手、大臣ですけど、いいの?ベスター大臣も驚きで引き攣っていたが、俺も驚きで飛び跳ねた!俺の背中に柔らかい感触が弾けた!…わざと、ではない。決して!!!

 

ベスター「きさ、貴様!このワシに対して、そのような口を…!!!」

 

怒りと驚きで声も出せない、ベスター大臣。

 

カイジン「お前、そろそろ黙らんかい!!!」

 

そう言って、躊躇う事なくベスター大臣の顔面を殴りつける、カイジンさん…。

 

カイジン「リムルの旦那、腕のいい職人を探していたよな!俺じゃ不足かい?」

 

不足どころか…というか、いいのだろうか?だが、大臣を殴るなんて、もうこの国に居場所は無いだろう。しかし、だ。男には、言葉が必要ない時があるのだ。

 

サオリ「その言葉、待っていたぞ!宜しく頼むぞ、カイジン!」

 

細かい事はいい。カイジンが来てくれるというのなら、俺は受け入れるだけでいいのだ!綺麗事などクソくらえ! 俺達は好きに生きたらいいのだ!カイジンと俺は、熱く頷きあった。そうして、約束は果たされた!!!

 

 

 

しかし…、この後、どうやって逃げようか?やっぱ世の中、慎重に行動しないと、山程問題が生まれちゃうのだ…。格好をつけても、今後の問題が消えて無くなってはくれないのだった!

 

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