チートで男の娘で推しの姿で転生した件   作:天童真影

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第12話村の復興へ向けて

 

俺達は、ゴブリンの村へとたどり着いた。村を出発してから、2週間も経っていないのだが、懐かしさを覚える。まあ、村というよりは、柵で囲まれた広場なのだが・・・。

俺達が旅に出ている間に、簡易のテントなぞ拵えて、生活していたようだ。

 村の中心の焚き火跡に、大鍋が設置してあるのに気付いた。焼く!オンリーだった調理方法に、煮る!が加わったらしい。目覚しい進歩である。あの鍋はどこから・・・、よく見ると、大亀ビックタートルの甲羅を加工したものの様子。どれだけ狩りの範囲を広げているのやら・・・。まあ、他の魔物に襲撃されたりはしていないようで、一安心した。

 

村へ入ってすぐに、住民であるホブゴブリン達が俺達に気付き、歓声を上げて出迎えてくれた。残念ながら、お土産はないんだ。だがまあ、狩りで仕留めた魔物の毛皮等が干してあるのが見えるので、ドワーフ達が直ぐにでも衣服類は作ってくれるだろう!いずれは、ゴブリン達も、自分達で作れるようになってもらいたいけどね。さて、ドワーフを紹介しようと、皆を集めて貰うべくリグルドを探そうとした。その必要はなく、リグルドが走ってきた。だが、何やら困った顔をしている。何かあったのか?そう思い質問しようとしたのだが、

 

リグルド「お帰りなさいませ!帰って来られて早々申し訳ないのですが、リムル様にお客です・・・。」

 

お疲れの所、スミマセン! と、恐縮しながら、俺に挨拶してきた。客・・・? 知り合いなんていないのだが?ともかく、ドワーフ達には、自由に村?を見学して貰う事とする。持ってきた道具類は、空いているテントに収納させた。ドワーフ達の世話をリグルに任せると、客のところへと案内して貰う。リグルドは、俺を大きめのテントへと案内してくれた。誰だろう?まあ、会えばわかるか。そう考え、テントに入る。テントの入口を潜って驚いた。中にいたのは、数名の子鬼ゴブリン。身なりのいいのが数匹と、それに付き従うのが何匹かづつ。族長と、その護衛だろうか?武器は携帯していない様子。していたとしても問題ないけど。俺の困惑を他所に、突然ゴブリン達が平服した! そして、

 

ゴブリン「「「お初にお目にかかります、偉大なるお方!何卒、我等の望みをお聞き届け下さい!!!」」」

 

一斉に申し述べて来た。偉大なお方?俺の事らしいが、大げさな。だが、こいつらの俺を見る目は、本気と書いてマジと読む、そんな目をしている。俺に何を期待しているんだ? そう思い、

 

サオリ「ふむ。言ってみて!」

 

取り敢えず、話を聞く事にした。すると、

 

ゴブリン「は!有り難き幸せ!我らの望みは、貴方様の配下に加えて頂く事でございます!!!」

 

一人の族長が、代表して述べた。周囲も、同意とばかりに頷いている。期待に満ちた目でこちらを伺い、

 

ゴブリン「「「何卒、宜しくお願いいたします!!!」」」

 

 深々と平服した。

 リムルさんの顔が正直、面倒くさい、の顔をしていた。家はまだ、復興もこれからなんだよ! お前らの相手してる暇なんて、ねーよ!そう言って断りたかったが、この村の人手が減っているのも事実。どうせその内、この辺の縄張り争いでぶつかるのは予想出来た事だったので、今の内に取り込むのも有りかもしれない。今取り込み、内部から裏切られたら?その心配があったが、その時は皆殺しにしよう。俺は、裏切りを許さない。魔物を率いるのに、甘い考えは邪魔になる。冷徹に、対処しなければならない。その覚悟を決める為にも、こいつらを受け入れる事にした。再度、自分に言い聞かせる。

 

こいつらが裏切ったら、俺はこいつらを殺す!・・・、と。

 

しかし・・・、俺ってこんな簡単に殺す!とか考えられるんだな。自分で自分に驚きだ。まあいい、悩むよりはマシかもしれない。ところで、こいつらは代表だけみたいだが、果たして何匹くらいの勢力なのか?俺は、コイツラの名前を考えなければならない事に思い至り、溜息をつくのだった・・・。各々の使いのゴブリン達が、自分達の村へと知らせに戻って行った。さてと、残った村の代表たちに、話を聞く事とする。

 

 

 

話を聞き、その内容を要約すると・・・そもそもの始まりは、森の秩序が乱れ始めた事に原因がある。牙狼族の襲撃の際、リグルド達の村が見捨てられたのも、戦力を割く余裕が無かった事に起因する。豚頭族オークに、蜥蜴人族リザードマン、そして・・・大鬼族オーガ!この森の智恵ある魔物達が、森の覇権を求めて動き出したのだ。

 

今までも、小競り合いはあったのだが、暗黙の了解で、武力衝突には至らなかったのだ。だがしかし、この森の支配者の消失という事態を受けて、これまでの鬱憤を晴らそうという動きが出たのであろう。本来、魔物とは、自らの力を誇示したがる性質を持つ。故に、溜まりに溜まった鬱憤を晴らすべく、各種族とも準備に余念がない。戦端が開かれるのは、時間の問題であると思われた。弱小種族である子鬼族ゴブリン等、彼等の前にはただ蹂躙されるだけの存在でしかないのだ。

 

各族長ゴブリンは慌てた。このままでは、自分達は争いに巻き込まれ破滅してしまうだろう!と。族長会議を開き、連日話し合いが行われたが、所詮、智恵無き魔物。いい案など出るハズもなく・・・。そんな中、牙狼族の襲撃の報が寄せられたが、今はそれどころでは無い。その為、リグルドの部族は忘れられた。ところが・・・未だ良い案も浮かばず、食糧の備蓄も乏しくなって来た頃、森に新たな脅威が現れたとの報告がなされたのだ!黒き獣と、それを駆る者達の噂を。その者達は、平地を駆けるかの如く森の中を疾走し、強力な森の魔物を仕留めていった。一体何者なのか? そこに齎される、驚愕の報告。どうやら、元ゴブリンであるらしい・・・、と。この報告を受けて、意見は分かれた。

 

今すぐにでも、その者達の庇護下に入るべきという主張。怪しすぎる!何らかの罠に違いない!とする主張。

 

罠だと叫ぶ者達に、我々を罠に嵌める理由がない!と説得しても聞き入れない。また、罠で無かったとしても、受け入れてくれるとも限らない。智恵無き身の悲しさか、言葉での結論は出なかった。故に、庇護を求める者の代表達が、この場に足を運ぶ事となったのだそうだ。

 

 

なるほどな。まあ、虫のいい話ではある。しかし、弱小な上、智恵も無いゴブリン。そこは仕方ないだろう。どちらにせよ、受け入れるのは決まった事だ。来たい者だけ来ればいい。俺は、訪ねてきたゴブリン達の代表にそう伝えた。俺の言葉を受けて、ゴブリン達は自分達の村へと帰っていったのだった。

 

 

 

 

 

ここからが問題だ。やって来た、ゴブリン達を眺めて、俺は思う。ちょっと・・・多すぎじゃね?この村のスペースで、収容出来る数ではない。というか、何で俺がそんな事で悩まなくちゃいけないんだ? 

 

この数日、斧を作ったり、作った斧で木を切って、木材を加工したりと、家を建てる段階には至っていない。カイジンが、木材関係を担当してくれている。ドワーフ三兄弟は、せっせと毛皮の加工を行い、ホブゴブリンの衣服類を作成していた。ドワーフ三兄弟の女性達ゴブリナを見る目が、尋常ではない。作成を急がせた方が、良いかもしれない!そんなこんなで慌ただしく過ごしていた矢先、彼等がやってきたのだ。4つの部族、合わせて凡そ500匹。残りの者は、反対派の村へと去って行ったそうだ。引っ越すしかないか。今ならまだ、手間は一緒だ。そう考え、脳内マップを確認する。立地的に、水源に近く農地に適した開けた場所がある所。俺が歩いた中で、条件に最も近いのは…最初の洞窟から出た、すぐ近くの場所辺り。ふむ。リグルドを呼び、その辺りの情勢を尋ねる。すると、

 

リグルド「その辺りは、不可侵領域となっておりました。洞窟内部は、森と違い、強力な魔物の巣となっておりまして…」

 

サオリ「なら、問題ないだろ。俺とリムルさんはあそこに住んでたし。」

 

リグルド「な!なんですとぅ!!!」

 

サオリ「いや、あそこで生まれたようなもんだし、大丈夫だろ。」

 

リグルド「…流石、で御座いますな。このリグルド、感服いたしました。」

 

意味の解らん事を言う。あの洞窟で生まれただけで、何で感服されなきゃならんのだ?まあ、納得したようだし良いか。早速、三兄弟の三男、ミルドを呼ぶ。建築関係の知識を役立ててもらうのだ。俺は、ミルドと色々な相談を行った。前世の建設関係の知識を、覚えてるだけミルドに伝える。この世界の測量技術は、魔法を織り交ぜてそこそこなレベルの水準のようだ。そこに、俺の持つなんちゃって知識を加えて、現地測量の計画を立てた。黒狼には必要ないが、ゴブリンやドワーフには排泄物の処理施設なんかも必要となる。どうせなら、下水関係を整備し、排泄物を醗酵させ、肥料にするのがいいと考えた。衛生面から見ても、伝染病等の感染源になりやすいのは常識だろう。その事をミルドに伝える。まあ、魔物のゴブリンが病気になるのか?とも考えたのだが、普通に伝染病にかかるらしい。魔物のくせに軟弱な奴らである。まあ、あれだけ不衛生だと、そりゃ病気にもなるわ…。ゴブリンの場合は、その旺盛な生殖力で死ぬ数を上回り、数の維持が可能だったようだ。最も、進化した事で、その繁殖力は激減しているらしい。その事からも、恐らくは、寿命も延びていると思われるのだが。ミルドは、一応知識として、排泄物の処理関係については詳しかった。流石に"異世界人"が何人か確認されているだけの事はある。この世界は、精霊工学という独自の学問により、色々な不思議が解明されているそうだ。最も、排泄物の利用に関しては余り詳しくなく、俺の話を驚いて聞いていた。こうして、ある程度の打ち合わせを終えると、ミルドを建設班の隊長に任じた。お得意の、丸投げである。リグルドに、ミルドの下に何名か付けるよう指示し、現地測量に向かわせた。念の為にランガも同行させる。あの洞窟から魔物が出てくる事は無いと思うが、万が一がある。ランガがいれば対応可能だろう。こうして、ミルド達、建設班を送り出した。

 

 

次は、名前付けである。考えると憂鬱だ。500匹近くの名前とか、もはや、禁断のABCDの出番かもしれない。イロハニは、途中までしか言えないしな。早速、名前付けを開始した。やはり、途中で低位活動状態になりかけてしまったが、四日で全員の名前を付ける事が出来た。前回よりも疲労感が少なかったのが救いだったけども、二度とやりたくないものだ。族長を呼び寄せる。俺の前に跪く、進化した族長達。リグル・ドを筆頭に、ルグル・ド、レグル・ド、ログル・ド。並べて見ると、一目瞭然。そう! ら・り・る・れ・ろ である。ら=ランガになったのは、偶然だ。我ながら適当だが、大丈夫! 誰にもばれる事はない。必死で考えてやったんだぞ! というアピールは忘れない。俺は、仕事頑張ってますよ! アピールの得意な男なのだ!!!余った一人は女性だった。女性らしい名前という事で、リリナと名付けた。進化した事で見分けがついた。子鬼ゴブリンでも性別判断は可能なのだが、見た目では判明しにくいのだ。今後、この名前もシリーズ化出来るだろうか? そんな考えが頭をよぎりはしたが、先の事は考えるのをやめよう。今はそんな場合ではないのだ。

 

さて、目の前のホブゴブリン達。彼らに上下関係を作るべきだろうか?仲良し小好しで、皆平等! そんなの現実には有り得ない。明確な命令系統は、必須であろう。特に、力関係を重視する魔物にとっては…。俺は決断し、

 

サオリ「聞け、お前らに位を授ける!」

 

そう宣言した。リグルドを、ゴブリン・キングに格上げした。そして、残りの4族長をゴブリン・ロードに。周囲では、村に残った全てのゴブリン達が平伏し、その光景を固唾を呑んで見守っている。

 

ゴブリン達「「「ははぁ!!!承りました!!!」」」

 

その言葉を合図に、割れんばかりの歓声が上がった。ゴブリンの、新たなる歴史が始まったのだ。

 

 

 

大工道具は、カイジンが抜かりなく用意している。衣服類は、ガルムとドルドの指揮の元、順調に製作されている。木材類は、村の空き地に順調に確保されていっていた。全てのゴブリンの進化を確認した頃に、新たな村の建設予定地の測量を終えてミルドが帰還した。全ては順調。新たな村の建設予定の区画を確認する。それは、村というよりも町と呼ぶべき規模。俺達の新たな住処。

 

全ての準備が整った事を確認し、俺達は出発する。新たな地へ向けて、踏み出すのだ。俺達の、新たな国を作る第一歩を!

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