チートで男の娘で推しの姿で転生した件   作:天童真影

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第18話豚頭帝

 

 

ひょんな誤解から、大鬼族と戦闘になってしまった俺たちだが、誤解も解け、大鬼族を連れて、村へと戻る。宴が行われているが、現在、緊張感が凄まじかった。何せ、リムルさんに全員の視線が向けられていたからだ。

 

リムル「はむっ。」

 

リムルさんが肉を口に入れると、全員が固唾を飲んで待っている。すると、リムルさんが震え出す。

 

リグルド「リ、リムル様………?」

 

リグル「お口に、合いませんでした……?」

 

リグルドとリグルが不安そうにそう聞いてくる。でも、この反応なら。

 

リムル「うんっっっまぁぁい!」

 

リムルさんがそう言うと、周囲から歓声が上がる。リムルさんは、人間の姿を得て、やっと味覚を得たのだ。それは美味いだろう。そこから、本当の意味で宴会ムードになっていた。みんな酒を飲んだり、食べ物を食べたりして大いに盛り上がる。俺も、焼き串を食べている。俺は、リムルさんに気を遣って、食べていなかったのだ。そんな中、俺は、カイジン、リグルド、リグル、シズさんと一緒に、大鬼族のリーダーから話を聞いていた。大鬼族のリーダーの言葉を聞いたカイジンは、酒を吹き出す。

 

カイジン「ぶっ〜!豚頭族が、大鬼族オーガに仕掛けてきただって?そんな馬鹿な!」

 

大鬼族「事実だ。」

 

カイジン「あり得るのか?そんな事?」

リグルド「分かりません。」

 

サオリ「分かんないけど、異常なのは確かだな。」

 

シズ「ええ。」

 

ゴブタ「そんなにおかしい事なんすか?」

 

俺たちがそう話してる中、ゴブタが肉を食べながらこちらに来る。

 

リグル「ゴブタ。」

 

カイジン「当然だ。大鬼族と豚頭族じゃあ、強さの桁が違う。格下の豚頭族が仕掛ける事自体、あり得ない。」

 

確かに、俺が知るゲームだと、オークとオーガでは、オーガの方が強いというのが、お約束とも言えるのだから。すると、リーダーは、忌々しそうに言う。

 

大鬼族「だが、奴らは来た。いきなり俺たちの里を襲撃してきた。武装し、鎧を身につけ、森を埋め尽くす程の圧倒的な戦力。あの忌まわしい豚どもに………里は蹂躙され尽くしたのだ!」

 

カイジン「豚頭族が鎧を?」

 

大鬼族「ああ。人間の着用する様な、フルプレートメイルだ。」

 

それを聞いた俺たちは、つぶやく。

 

サオリ「だとすると……。」

 

リグルド「やはり、オークだけで動いているとは思えませんな。」

 

カイジン「オークたちがそんな高価なものを大量に用意できるわけがない。不自然だ。」

 

大鬼族「その通りだ。軍勢の中に、仮面をつけた魔人がいた。」

 

サオリ「仮面の魔人………。」

 

大鬼族「あれは上位魔人だ。間違いない。」

 

リーダーは、そう語った。なるほどな。

 

リグルド「そいつとリムル様とサオリ様を間違え、戦いを挑んだという訳ですな?」

 

大鬼族「ああ。」

 

ゴブタ「………………つまりどういうことっすか?」

 

リグル「豚頭族が誰か魔王の勢力のいずれかに与した、ということではないか?」

 

ゴブタ「なるほど……っす?」

 

ゴブタは、リグルの説明を聞いても、いまいちピンと来ていない様だった。魔王と聞くと、シズさんの記憶を思い出す。シズさんは、魔王、レオン・クロムウェルによってこの世界に召喚された。無論、そいつとは限らないが。

 

カイジン「魔王か………。」

 

リグルド「しかし魔王が何故?」

 

大鬼族「分からぬ。はっきりしているのは、300人ほどいた同胞は、たった7人しか残ってないということだ。」

 

シズ「…………少なくとも、レオン・クロムウェルでは無さそうね。」

 

リムル「なるほどね。そりゃあ、悔しいわけだよ。」

 

サオリ「リムルさん。」

 

シズ「リムルさん。」

 

リムルさんは、そう言いながらこちらに来る。

 

大鬼族「肉はもう良いのか?リムル殿。」

 

リムル「ちょっと食休み。………貴方の妹、凄いな。」

 

大鬼族「うん?」

 

そう言うリムルさんの視線の先には、ホブゴブリン達に囲まれたリーダーの妹さんだった。

 

リムル「薬草や香草に詳しくて、あっという間にゴブリン達と仲良くなった。」

 

大鬼族「箱入りだったからな。頼られるのが嬉しいんだろう。」

 

リムル「………で、君ら、これからどうすんの?」

 

大鬼族「どう………とは?」

 

リムル「今後の方針だよ。」

 

サオリ「確かにな。再起を図るにせよ、他の地に移り住むにせよ、仲間の命運は、君の采配にかかってるはずだろ?」

 

ちなみに、紫色の髪の大鬼族は、ゴブリンたちと一緒に踊っていて、黒の大鬼族は、肉を豪快に食べていた。

 

大鬼族「知れた事。力を蓄え、再度挑むまで。」

 

リムル「当てはあるの?」

 

大鬼族「うっ………。」

 

リーダーは、何も考えていないのか、リムルさんの問いには答えず、酒を飲む。思念伝達で、リムルさんと話し合う。

 

サオリ《これ、完全にノープランだよな?》

 

リムル《だね………。ちょっと、提案してみる。》

 

サオリ《何を?》

 

リムル《まあ、見てて。》

 

リムルさんがそう言うと、リーダーに提案する。

 

リムル「…………提案なんだけどさ、貴方達全員、私達の部下になる気はあるかしら?」

 

大鬼族「なっ………部下?」

 

リムル「まっ、私達が支払うのは、衣食住の保障のみだけどね。」

 

サオリ「確かに。拠点があるのと無いのとだと、大分違うだろ?」

 

大鬼族「しかし………それでは、この街を俺たちの復讐に巻き込む事に………。」

 

リムル「まあ、別に、君達の為だけって訳じゃ無い。」

 

サオリ「数千の武装した豚頭族が攻めてきたんだろ?誰か魔王が糸を引いているかも知れない。」

 

 俺がそう言うと、リグルドが口を開く。

 

リグルド「豚頭族どもは、このジュラの大森林の支配権を狙っているやもしれませんな。」

 

リムル「うん。この街だって、決して安全とは言えないだろう。」

 

サオリ「そんな訳で、こちらとしても、戦力は多いに越したことはない。」

 

リムル「それに、もし、君達に何かあったら、私達も一緒に戦う。私達は、仲間を見捨てない。」

 

サオリ「ああ。」

 

大鬼族「なるほど………。少し、考えさせてくれ。」

 

サオリ「分かった。じっくり考えてくれ。」

 

リムル「さてと、私はもう少し、肉を貰ってこようかな。」

 

サオリ「俺も。」

 

俺とリムルさんは、肉を貰いに行く。そんな中、リーダーは森の中を歩いていて、青色の髪の大鬼族と黒寄りの紫色の髪の大鬼族が、リーダーに話しかける。

 

大鬼族「悪い話では無い。」

 

大鬼族「だけど、決めるのは、お前自身だ。我らは、貴方と姫様に従う。」

 

二人の大鬼族は、リーダーにそう声をかけて、リーダーは奥に向かっていく。その翌日、俺とリムルさんが居る天幕に、リーダーがやって来る。

 

リムル「………決めた?」

 

大鬼族「大鬼族の一族は戦闘種族だ。人に仕え、戦場を駆ける事に抵抗はない。主達が強者なら、尚の事喜んで仕えよう。」

 

サオリ「ああ。」

 

大鬼族「契約は、豚頭族の首魁を討ち滅ぼすまでで良いか?」

 

リムル「その後は、自由にしてもらって構わない。」

 

サオリ「俺たちに協力して国を作るのも良いし、旅立つのも選択肢にあるな。」

 

 俺とリムルの言葉を聞いたリーダーは、息を吐いて、その場に跪く。

 

大鬼族「昨夜の申し出、承りました。あなた様方の配下に、加わらせて頂きます。」

 

リムル「うむ。」

 

サオリ「ああ。」

 

何だか、弱味に付け込む様な形になってしまったな。この決断は、自分の不甲斐なさを飲んだ、一族の頭としての物だろう。リムルさんが人間に変身する。

 

リムル「顔を上げて。」

 

サオリ「君達を受け入れる。皆をここに呼んでくれ。」

 

大鬼族「はっ。」

 

そう言って、リーダーは、残りの大鬼族達を呼びに行った。俺とリムルさんは。

 

サオリ「リムルさん。」

 

リムル「うん。私達に出来る事は、あの頭の決断を、悔いなき物にしてやるだけだ。」

 

サオリ「だな。」

 

しばらくすると、残りの大鬼族達がやって来る。俺とリムルさんは、思念伝達で話し合う。

 

サオリ《それで、どうする?》

 

リムル《そうだね……………。私はリーダーの妹さんと黒寄りの紫色の髪の大鬼族以外と白髪・黒髪の獣人の子はあげる。その4人は頼むよ。》

 

サオリ《わかった》

 

そんな風に話し合った後、リムルさんが口を開く。

 

リムル「私達の配下になった証に、名をやろう。」

 

大鬼族一同「あっ………。」

 

大鬼族「俺たち、全員に………?」

 

リムル「名前がないと不便でしょう?」

 

大鬼族「しかし………。」

 

大鬼族「お待ちください。名付けとは本来、大変な危険を伴う物。それこそ、高位の………。」

 

サオリ「大丈夫だ。」

 

大鬼族「ですが………。」

 

おそらく、姫様が言いたいのは、低位活動状態スリープモードの事だろ?今回も、分担して行うから、問題ないだろ。

 

リムル「それとも、私達に名前を付けられるのは嫌?」

 

大鬼族「そういう事では………。」

 

大鬼族「異論などない。」

 

大鬼族「お兄様………。」

 

大鬼族「ありがたく頂戴する。」

 

大鬼族「若がそう言うのなら。」

 

リムル「うん。じゃあ、始めよう。」

 

サオリ「君は…………。」

 

俺とリムルさんは、大鬼族達に名付けをすると、リムルさんは気を失ってしまう。俺は妹さんを朱菜、大鬼族で容姿がブルアカの狐坂ワカモに少し似ていている女性にはアリス・イブキで白黒の獣人にはフブキ・クロガミ、フブキ・シラカミと名付け、リムルさんはリーダーを紅丸、紫の髪の大鬼族を紫苑、青髪の大鬼族を蒼影、黒髪の大鬼族を黒兵衛、爺さんを白老と名付けたそうだ。その翌日、大鬼族全員が進化したそうだ。しばらくして、紅丸が話しかける。

 

紅丸「サオリ様。少し良いですか?」

 

サオリ「どうした?紅丸。」

 

紅丸「少し……………朱菜を探してきてはくれませんか?」

 

サオリ「え?朱菜が?」

 

紅丸「実は、薬草を集めに行ったんですが、見当たらなくて……………。」

 

サオリ「分かった。探してくるよ。」

 

俺はそう言って、朱菜を探しにいく。一方、朱菜はというと。

 

朱菜「こんな感じですかね。」

 

朱菜は薬草を集めていた。すると。

 

魔物「がおおおおおっ!」

 

朱菜「っ!?」

 

そんな雄叫びが聞こえてきて、朱菜が振り返ると、後ろには魔物が居た。

 

朱菜「しまっ……………!?」

 

サオリ「ハァァァァァ!」

 

朱菜が驚く中、俺は石に呪力を込めて投げ不義遊戯で手を叩き入れ替え

 

 

 

 

 

 

   パァァァッン

 

 

 

 

 

 

   

   ドコッ!

 

 

 

朱菜「サオリ様……………!」

 

サオリ「大丈夫か?」

 

朱菜「あ、ありがとうございます…………。」

 

魔獣「グォォォォッ!」

 

魔獣「ぐごぉぉぉぉぉ!」

 

サオリ「ハァァァッ」

 

サオリ「解ッ!」

 

サオリは解で飛ぶ斬撃を一体目の魔獣に放ち細々にする。

 

サオリ「次ッ!」バッ!

 

 

 

 

 

 

 

ボワッ!

 

 

 

 

 

そしてまたサオリに黒い稲妻が微笑んだ。

 

 

 

 

黒閃!!

 

 

 

 

 

 

 

 

バチバチバチッバチバチバチ

 

 

 

 

 

 

魔獣「グギャァァァァ!」

 

黒閃が発動して打撃を行い倒す。

 

サオリ「無事で良かったよ。さ、村に戻ろう。」

 

朱菜「は、はい………………。」

 

俺は朱菜の手を取り、村へと戻っていく。その間、朱菜の顔が赤かったのだが。一方、クロガミは、紅丸と蒼影と話していた。

 

フブキ・クロガミ「…………紅丸。私としては、朱菜様にはサオリ様が相応しいと思う。」

 

紅丸「そうか……………。」

 

蒼影「俺としても異論はない。まあ、朱菜様次第だが。」

 

紅丸「俺としても、異論はないが……………。」

 

その三人は、そんな風に話していた。俺たちがそうしている中、ジュラの大森林に起こった異変は、確実に侵食を続けていた。一方、ジュラの大森林の中央に広がるシス湖。その周辺には、湿地帯が広がっていて、蜥蜴人族リザードマンが支配する領域となっている。

 

蜥蜴人族「ほ、報告します!シス湖南方にて、豚頭族の軍勢を確認!我ら、蜥蜴人族の領域への侵攻と思われます。」

 

首領「豚頭族だと?戦の準備をせよ。豚ごとき、蹴散らしてくれるわ。」

 

親衛隊長「数はどのくらいなのだ?」

蜥蜴人族「それが………。」

 

副隊長「どうした?歯切れが悪いぞ。早く言え。」

 

蜥蜴人族「それが………豚頭族の軍勢、その数………およそ20万………。」

 

その言葉に、親衛隊長と副隊長が叫ぶ。

 

親衛隊長「バ………バカな!?我々の20倍もの軍勢だと?」

 

副隊長「ちゃんと確認したのか?」

 

蜥蜴人族「魔力感知と熱源感知で、何度も確認しました。この命に賭けて、真実であります。」

 

首領「………ご苦労。下がって休むが良い。」

 

蜥蜴人族「はっ。」

 

首領がそう言うと、偵察部隊は、下がっていく。首領は呟いた。

 

首領「20万だと………?そのバカげた数の豚どもの胃袋をどうやって、満足させる事が出来ると言うのだ?」

 

側近「そもそも奴らは、勝手気ままで、協調性のない連中。」

 

側近「20万などと言う途方もない数を、統率出来ようはずもない。」

 

側近「噂ですが、豚頭族の軍勢が、大鬼族の里を滅ぼしたとか。」

 

    「「何だって!?」」

 

側近達が、その噂に驚く。そんな中、首領がポツリと呟く。

 

首領「豚頭帝。」

 

部下達「あっ………。」

 

首領「20万もの軍勢をまとめ上げている豚頭族が居るのならば……伝説のユニークモンスター、豚頭帝の存在を疑わねばなるまい。」

 

親衛隊長「ん………。」

 

副隊長「豚頭帝………。」

 

首領の言葉に、側近達が騒めく。

 

側近「オ………豚頭帝。」

 

側近「いや………しかし………。」

 

側近「だが、万が一そうであるなら、豚頭族どもが、大軍をまとめ上げる事ができた理由の説明はつきますな。」

 

 

側近「しかし、その目的は………?」

 

側近「そんな事はどうでもよろしい!問題は勝てるかどうかですぞ!」

 

側近達がそう言う中、首領が口を開く。

 

首領「本当に豚頭帝が生まれたのだとすれば、勝利は厳しいだろう。」

 

その言葉に、部下達が騒めく。首領は、言葉を紡ぐ。

 

首領「豚頭帝は、味方の恐怖の感情すらも食らう、正真正銘の化け物なのだからな。………可能性の話だ。………だが、打てる手は全て打つべきだ。」

 

親衛隊長「打てる手………。」

 

副隊長「と言いますと?」

 

首領「援軍を頼むべきだろうな。………息子よ!我が息子はおるか?」

 

 首領がそう叫ぶと、その息子が現れる。

 

ガビル「ここにおりますよ。………ですが、親父殿。その呼び方は、些か不粋ではありませぬか?我輩には、ガビルというゲルミュッド様から頂いた名前があるのですから。」

 

そう、ゲルミュッドは、この蜥蜴人族にも、ガビルという名前を付けていたのだ。

 

首領「呼び方など、どうでも良かろう。」

 

首領がそう言う中、ガビルの妹である親衛隊長とガビルが目を合わせる。副隊長は、ガビルの幼馴染だ。

 

首領「お前にやってもらいたい事がある。」

 

ガビル「………伺いましょう。」

 

一方、俺たちは、白老とシズさんがゴブタ達をしごいているのを見ていた。理由は、ゴブタがお気楽に剣術を習いたいと言ったからだ。

 

白老「ほらほら!打ち返してこんか!」

 

シズ「皆!かかってきなさい!」

 

そう言って、ゴブタ達を滅多打ちにする。まさに鬼コーチだな。ていうか、シズさんって、意外とスパルタなのかな。すると、紅丸がある話をする。

 

リムル「豚頭帝?」

 

サオリ「何だそれ?」

 

紅丸「まあ、簡単に言うと………化け物です。」

 

リムル「本当に簡単だな。」

 

紅丸「数百年に一度、豚頭族の中に生まれると言われている、ユニークモンスターです。」

 

サオリ「ユニークね………。」

 

紅丸「何でも、味方の恐怖の感情すらも食う為、異常に高い統率能力を持つんだとか。」

 

リムル「うへぇ………。」

 

紅丸「里を襲った豚頭族どもは、仲間の死にまるで怯む事が無かった。あるいは………と思いまして。」

 

サオリ「なるほど………。」

 

恐怖の感情すらも食うって、やばいな。つまり、死という恐怖に怯まない無敵の軍隊が出来るわけだ。それはやばいな。

 

紅丸「まあ、可能性で言えば、非常に低い話です。」

 

リムル「ふ〜ん?」

 

サオリ「他に、里が襲われる理由に心当たりはないか?」

 

紅丸「そうですね。関係あるかは分かりませんが、襲撃の少し前に、ある魔人が里にやってきて、『名をやろう。』………と言ってきたんですが、あまりに胡散臭かったので、追い返しました所、悪態をつきながら帰っていきましたね。」

 

魔人か………。襲撃の際にも、魔人が居たという事は、関係ありそうだな。そいつが豚頭族達を、大鬼族の里に誘導したという可能性もありそうだよな。

 

サオリ「魔人ね………。」

 

リムル「そいつから、恨みを買っているかもしれないって事か。」

 

紅丸「仕方ありませんよ。主に見合わなけりゃ、こっちだってごめんだ。名を付けてもらうのも、誰でも良いってわけじゃありませんからね。」

 

 

紅丸のその言葉に、嵐牙と裂牙も頷いていた。俺たちは、主に相応しいと認められたのか。それは嬉しいな。すると、紅丸が何かを思い出そうとする。

 

紅丸「なんて名前だったかな?確か………ゲラ、ゲリ、ゲレ、ゲロ?」

 

嵐牙「フッ!」

 

フブキ・クロガミ「むっ!」

 

紅丸「ん?」

 

嵐牙と紅丸が背後に視線を向ける。すると、木の影から、蒼影が現れる。

 

蒼影「ゲルミュッドだ。」

 

紅丸「そう、それだ。」

 

リムル「ゲルミュッド………。何か、どっかで聞いた事がある名前だ。」

 

サオリ「確か、リグルの兄貴に、名前を付けた奴だったな。」

 

リムル「あちこちで名前を付けてんのか?なぜ?」

 

サオリ「分からん。」

 

どうやら、色んな場所で、ゲルミュッドという奴が暗躍しているみたいだな。すると、蒼影が報告する。

 

蒼影「報告がございます。リムル様、サオリ様。」

 

サオリ「ああ。」

 

蒼影「蜥蜴人族の一行を目撃しました。」

 

リムル「蜥蜴人族?豚頭族じゃなくて?」

 

蒼影「はい。湿地帯を拠点とする彼らが、こんな所まで出向くのは異常ですので、取り急ぎ、ご報告をと。」

 

リムル「ふ〜ん。」

 

蒼影「何やら、近くのゴブリン村で、交渉に及んでいる様でした。ここにも、いずれ来るかもしれません。」

 

サオリ「分かった。」

 

蜥蜴人族も、豚頭族の襲撃に備えようとしているのか?俺は、白老とシズさんにコテンパンにされたゴブタ達を見ながらそう思った。

一方、ガビル達は。

 

ガビル「全く、親父殿と来たら………。『ゴブリン村を巡り、協力を取り付けてこい。』……だと?豚頭族に恐れをなすなど、誇り高き蜥蜴人族の振る舞いとは思えぬ。昔は、あんなにも大きく偉大な男だったというのに。」

 

部下「ねぇねぇ、ガビル様は、いつ首領になるの?」

 

ガビル「む?」

 

部下の質問に対して、ガビルが止まって答える。

 

ガビル「いやいや。少々不遜なことを言ってしまったが、我輩など、親父殿には遠く及ばんよ。」

 

部下「そうかな?今のガビル様なら、きっと全盛期の首領にも劣らねぇぜ。」

 

部下「然り。」

 

ガビル「いや………そんな事は………。」

 

部下「だって、ガビル様、名持ちネームドだし。」

 

部下「うん。その槍捌きにおいて、右に出る者なし。」

 

部下「あんた、今立たないで、いつ立つんだよ?」

 

ガビル「えっ!?」

 

部下達の言葉に、ガビルは満更でもない表情を浮かべる。

 

ガビル「(うん………う〜ん………。えっ、何?ひょっとして………我輩ってば、結構いけてる?)」

 

そう思うガビルだった。ガビルは、咳払いをする。

 

ガビル「ううん!そうだな………親父殿も年だ。少々強引なやり方でも、我輩が支配者に足る力を持っている所を、お見せしよう。」

 

部下達「おお〜!」

 

ガビル「それでこそ、安心して引退していただけるという物。」

 

部下「じゃあ!」

 

ガビル「フフッ……!うむ!豚頭族の軍勢の撃退を持って、蜥蜴人族の首領の座を、受け継ぐ事にしよう!」

 

部下「さっすが、ガビル様だぜ!」

 

部下「ヒュ〜ヒュ〜!」

 

部下「かっくいい〜!」

 

部下「至極、当然。」

 

部下達は、ガビルを煽てて、ガビルコールを始める。それを見て、ガビルは満更でもなさそうだった。

 

ガビル「フフフッ……。ふ〜ん。行くぞ!ふ〜ん!我輩に着いてこい!お前達の未来は明るい………ゲホッ!ゲホッ!」

 

部下達「おお〜!」

 

ガビルはかっこつけた余り、咳き込んでしまうが、移動を再開する。

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