チートで男の娘で推しの姿で転生した件   作:天童真影

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第19話腹立つやつが来た

 

そんなある日、俺はクロガミと共に、朱菜の様子を見に行く事に。途中、リムルさんと紫苑と合流する。俺たちは、中へと入る。中には、朱菜、ガルム、ドルド、ミルドが居た。

 

リムル「すごいね。」

 

    「「「「ん?」」」」

 

サオリ「もう絹織物が出来たのか。」

 

朱菜「サオリ様!リムル様!」

 

ガルム「ども。」

 

ドルド「こんにちは。」

 

ミルド「うん。」

 

リムル「やっぱ、喋らない!」

 

サオリ「喋らないんだ。」

 

すると、朱菜が俺の方へと寄っていく。

 

朱菜「いらして下さったんですね!サオリ様!リムル様も!」

 

エース「ああ。」

 

リムル「それで、どんな具合だ?」

 

朱菜「はい。カイジン様が作ってくださった織り機は、とても使いやすいです。」

 

リムル「そっか、良かった。」

 

サオリ「この調子で、皆の衣類の製作を頼んだぞ。」

 

朱菜「はい!お任せ下さい!」

 

 すると、紫苑が口を開く。

 

紫苑「では、リムル様。参りましょう。お昼が冷めてしまいます。」

 

朱菜「あっ、紫苑、クロガミ。秘書のお仕事は、ちゃんと出来ているのですか?」

 

紫苑「勿論です、朱菜様。」

 

クロガミ「ご心配なく。」

 

紫苑はリムルさんの秘書を名乗り出た。現在は、リムルさんの秘書兼護衛役だ。クロガミもまた、秘書兼護衛役として俺に仕えている。ただ、紫苑が料理を作ったという単語に、朱菜とクロガミは驚いた様な反応をしていたな。何か、嫌な予感がするな。すると、朱菜は俺に話しかける。

 

朱菜「あの……………サオリ様。もしお昼がまだでしたら、私が作りましょうか?」

 

サオリ「え……………良いのか?」

 

朱菜「はい!」

 

俺がそう聞くと、朱菜は顔を赤くしつつも、笑顔で頷く。

 

サオリ「でも………………朱菜の負担を増やす訳にはいかないし……………。」

 

朱菜「いえ、ちょうど、作業もひと段落したので、大丈夫です!」

 

サオリ「だがな……………。」

 

流石に、朱菜に負担をかけさせるのは申し訳ないと思い、断ろうとする。すると。

 

リムル「良いじゃん、サオリ。」

 

サオリ「リムルさん………………。」

 

紫苑「そうですよ!朱菜様の料理は美味しいのですよ!」

 

フブキ・クロガミ「ええ。ぜひ、味わって欲しいです。」

 

サオリ「………………なら、お願いして良いかな?」

 

朱菜「はい!」

 

リムルさんと紫苑とクロガミもそう言うので、お言葉に甘えて、作ってもらう事にした。その際、リムルさんやら紫苑やらガルム達が、ニヤニヤしながら見ていたのが気になるが。戻ると、紅丸、蒼影、白老の三人がいた。

 

紅丸「ああ、これはリムル様、サオリ様。」

 

白老「お食事ですかな?」

 

エース「ああ。俺は朱菜に、リムルさんは紫苑の手料理をいただくよ。」

 

    「「「うっ………!?」」」

 

俺がそう言うと、紅丸達は、顔を青ざめる。え?紫苑の手料理って、地味にやばいのか?

 

リムル「貴方達も一緒にどうだ?」

 

紅丸「いや………俺は今、腹が減ってなくて………。」

 

白老「ええ。お茶だけで。」

 

蒼影「私は………。」

 

蒼影がそう言うと、分身する。どうやら、分身のスキルを使えるみたいだな。

 

蒼影「村の周囲を、偵察に行って参ります!」

 

そう言って、蒼影は逃げた。紅丸は冷や汗を流しまくり、白老は気配を消し始めた。まさかとは思うが……………。リムルさんが紅丸達の反応に首を傾げる中、紫苑と朱菜は料理を取りに行く。俺は、クロガミに聞く。

 

サオリ「なあ、何で、紫苑が手料理を作るって言うだけで、そんな反応をするんだ?」

 

フブキ・クロガミ「…………実は、紫苑の手料理は、酷いのです。」

 

サオリ「………マジで?」

 

フブキ・クロガミ「マジです。」

 

マジか。リムルさん、頑張れよ。すると、朱菜が先にやってくる。

 

朱菜「お待たせしました。」

 

そう言って、俺の目の前に置いたのは、鶏肉の肉団子と野菜がたっぷり入ったすまし汁だった。普通に美味そう。

 

サオリ「それじゃあ、いただきます。」

 

朱菜「はい!」

 

俺は箸を取り、一口食べる。美味しい。

 

サオリ「美味しいな!」

 

朱菜「ありがとうございます!」

 

リムル「へぇぇ………美味そうだな。」

 

すると、紫苑がやって来て。

 

紫苑「お待たせしました。さっ、召し上がれ。」

 

サオリ「(やっぱりかぁ………。)」

 

朱菜「……………。」

 

フブキ・クロガミ「……………。」

 

紫苑の料理は、料理と言っていいのか、分からない代物だった。それを見た朱菜と真眼は、口を抑えていた。すると、リムルさんから思念伝達が来て。

 

リムル《助けてくれ!サオリ!!》

 

サオリ《ごめん………無理。》

 

リムル《そんな!?》

 

リムルさんからの助けを、俺は断った。ていうか、あんなもん食ったら、無事で済まないだろ。俺は、朱菜の作ってくれたすまし汁を食べる。ていうか、紫苑の料理から、食材の怨念みたいなのが聞こえてくるぞ!そんな中、シズさんとゴブタとゴブゾウが入ってくる。

 

ゴブタ「ああ〜腹減ったっす〜。」

 

シズ「そうだね。」

 

そんな風に話していた。すると、何を思ったのか、リムルさんは目を閉じて、スプーンを右斜め後方に突き出す。そこには、先程入ってきたゴブタの姿が。ゴブタは、スプーンを咥えると、顔を青ざめる。

 

ゴブタ「むぐっ………!?」

 

リムル「むぐっ………?」

 

ゴブタ「うっ、うぐっ………!ぐわぁぁ!!」

 

すると、ゴブタは震えて、首を抑えながら床に倒れる。しかも、緑色の肌が、紫色になっていく。

 

リムル「ああっ………。」

 

サオリ「ヒェェェッ。」ナミダメ

 

ゴブタ「うぐぐ………!」

 

フブキ・クロガミ「……………。」

 

朱菜「……………。」

 

紅丸「……………。」

 

白老「……………。」

 

シズ「……………。」

 

それを見ていた俺たちは唖然となり、真眼、朱菜、紅丸、白老は顔を青ざめ、口を抑えていた。まるで、新たな犠牲者が出てしまった事に恐れながら。しばらくすると、ゴブタの天に伸ばした手が、床に力無く倒れる。この場は、静寂が包まれる。紫苑がつぶやく。

 

紫苑「…………あれっ?」

 

朱菜「紫苑………。」

 

フブキ・クロガミ「お前…………。」

 

リムル「紫苑。」

 

紫苑「は………はい!」

 

リムル「今後、人に出す飲食物を作る時は、紅丸の許可を得てからするように!」

 

しれっと、紅丸が巻き込まれた。本当に、あれは酷い。食材の怨念が聞こえた気がするぞ。それを見ていたシズさんは。

 

シズ「なんでだろう……………命の危険を感じた気がする……………。」

 

そんな風に呟いていた。俺たちがそんな風にしている一方、蜥蜴人族リザードマンのガビルは、近隣のゴブリン村から、着実に協力を取り付けていた。尤も、豚頭族の侵略に恐れをなしたゴブリン達が、勝手に軍門に下ってるだけだが。

 

部下「う〜ん………。これで、総勢7千匹になりましたな。」

 

部下「さっすが、ガビル様!交渉も上手!」

 

ガビル「いやいや、精一杯やって、たまたま結果が出ているだけの事。」

 

ガビルは、部下の褒めに、謙遜した態度をとる。すると、別の部下が、口を開く。

 

部下「謙遜すんなよ。実力だよ。」

 

部下「そうですよ!もっと自信を持ってくださいよ!」

 

部下「然り。次期、蜥蜴人族の首領なのだからな。」

 

ガビル「そ………そうか?」

 

部下からそう言われたガビルは考える。

 

ガビル「(やっぱり、我輩………いけてるのかもしれん!)」

 

ガビルはそんな風に思い、部下達に話しかける。

 

ガビル「あ〜。それで、次はどこに向かうのだ?この辺りに、他に村はあるのか?」

 

部下「もう一つ、集落があるって話ですよ。」

 

部下「しかし、先ほどの村の者が、おかしな事を言っておった。」

 

ガビル「おかしな事?」

 

ガビルが、三人の部下の真ん中の青色の蜥蜴人族に尋ねる。

 

部下「何でも、牙狼族を操るゴブリンの集落だとか。」

 

ガビル「はあ?ゴブリンが牙狼を?そんな訳ないだろう。」

 

部下「ごもっとも。更に言えば、そのゴブリン達の親玉、スライムに人間だという。」

 

ガビル「はあ?」

 

ガビルは、その言葉に耳を疑った。スライムは色んな魔物の食糧になり、人間は、そこまで強くないと思っていたからだ。

 

ガビル「状況がよく分からぬが………。ならば!そのスライムとその人間を支配下に置けば、牙狼族をも支配出来るという事だな。」

 

部下「おおっ!」

 

部下「一石二鳥!」

 

部下「なんて奥深い考えだ!やはり、あんたについてきて良かったぜ!」

 

ガビル「フフッ。我輩に任せておくがいい!」

 

部下「いよっ!ガビル様!あっ、そ〜れ!」

 

『ガビル!ガビル!ガビル!ガビル!』

 

ガビル「フフフ………!フフフフ………!ヌア〜ハッハッハッ!!」

 

部下達がガビルコールをして、手拍子も、ガビルが乗っている竜もする。それには、ガビルは高笑いを浮かべる。俺たちの村に向かうようだ。一方、俺とリムルさんは、カイジンと黒兵衛が話し合うのを見ていた。

 

カイジン「へぇ〜………。焼き入れんの時の温度、勘なのかい?」

 

黒兵衛「んだ。火の色を見れば、大体分かるだよ。」

 

カイジン「俺は、測るなあ………。」

 

黒兵衛「おらも戻しの時は、きちっと測るだよ。」

 

カイジン「ああ。外が寒いと、粘りが出ねぇからな。」

 

それを見ていた俺とリムルさんは。

 

リムル《黒兵衛すっかりカイジンと意気投合してるよ。》

 

サオリ《ああ。二時間も、専門的な会話が続くくらいにはな。》

 

黒兵衛「あっ、それだったら、おらがいい土を教えてやるだ。」

 

カイジン「それはありがてぇ。」

 

そんな俺たちは、うっかり中座するタイミングを逃して、今に至る。すると、カイジンと黒兵衛は、こちらを見てくる。

 

カイジン「なっ?」

 

黒兵衛「鍛造って、面白いべ。」

 

リムル「おっ………おう。」

 

サオリ「そうだな。」

 

カイジンと黒兵衛は、そんなふうに言い、再び専門的な会話に戻る。すると、リグルドが入ってくる。

 

リグルド「リムル様とサオリ様はいらっしゃいますかな?」

 

リムル「ナイスタイミング!」

 

サオリ「どうした?リグルド。」

 

リグルド「リムル様、エース様。蜥蜴人族の使者が訪ねてきました。」

 

蜥蜴人族の使者が遂に、この村にも来たか。俺とリムルさんは、リグルドと共に使者がいる場所に向かおうとすると。

 

紅丸「リムル様、サオリ様。」

 

サオリ「ん?」

 

紅丸「俺たちも同席して構わないか?蜥蜴人族の思惑が知りたい。」

 

リムル「勿論。」

 

サオリ「ああ。」

 

さて、蜥蜴人族は、何を考えているのか。敵なのか味方なのかを、見定めなければならないな。俺は、リムルさん、リグルド、紅丸、紫苑、クロガミ、シラカミ、白老、シズさんと共に、蜥蜴人族の一団がいる場所へと向かう。ちなみに、白狐としての姿で、真眼が抱えている。そこには、蜥蜴人族が並んでいたが、使者が居ない。

 

リムル「どいつが使者だ?」

 

サオリ「ん?」

 

すると、蜥蜴人族達は、槍で地面を突く。すると、先頭に居た三人の後ろにいた蜥蜴人族達が、二つに分かれて、その奥から、竜みたいなのに乗った蜥蜴人族が現れる。随分と芝居かかった登場だな。すると、その使者が槍で地面を突くのをやめさせて、大きくジャンプする。

 

ガビル「我輩は、蜥蜴人族のガビルである。お前らも配下に加えてやろう。光栄に思うが良い!」

 

部下「よっ!ガビル様!」

 

部下「最高!」

 

部下「かっこいい!」

 

部下「いかしてる!」

 

    「「「「「「「「はあ?」」」」」」」」

 

ガビルは、部下に盾の光の反射で自分を光らせるという、少し痛い演出をする。ていうか、配下に加わる?俺たちが?すると、1人の蜥蜴人族の部下が口を開く。

 

部下「ご尊顔をよ〜く覚えておくがよいぞ。このお方こそ、次の蜥蜴人族の首領となられる戦士!」

 

ガビル「ふ〜ん!」

 

部下「頭が高い!」

 

    「「「「「「「「はぁ?」」」」」」」」

 

なんだアイツ、偉そうに。何様のつもりだ。すると、リムルさんの方からミシミシという音が聞こえてきた。

 

リムル「えっ………ちょ………紫苑さん、やめて!スライムボディーが、スリムボディーになっちゃう〜!!」

 

紫苑「うう〜………!はっ………。」

 

リムル「うっ………。」

 

紫苑「すみません、すみません!」

 

紫苑は、リムルさんを潰しそうになり、紅丸にリムルを持たせて、高速で謝る。

クロガミは、青筋を立てていた。一方、リグルドは咳払いしながら、ガビルに話しかけていた。

 

リグルド「ゴホン!恐れながら、ガビル殿と申されましたかな。配下になれと突然申されましても………。」

 

ガビル「やれやれ。皆まで言わねば分からんか?貴様らも聞いておるだろう?」

 

サオリ「豚頭族の侵攻に関してか?」

 

ガビル「どうやら、話が分かる者がおるようだな。」

 

サオリ「それはどうも。」

 

やっぱり、そんな所か。どうやら、蜥蜴人族達も、豚頭族の事を脅威に感じているみたいだな。とはいえ、なぜこんな奴が使者なんだか…………。

 

ガビル「しからば、我輩の配下に加わるが良い。このガビルが、貧弱なお前達を、豚頭族の脅威より守ってやろうではないか!貧弱な……貧弱……貧弱………ワオ〜。」

 

ガビルは、俺たちを見ながら、そう言う。まあ、この村は、貧弱な奴は居ないからな。ちなみに、ガビルは、紫苑の胸とサオリの胸を見て、ワオと言った。すると、ガビルはしゃがみ、部下達と話し合う。

 

ガビル「ゴブリンが居ないようだが………。」

 

部下「あれ〜?」

 

部下「ここは確かに、ゴブリンの村のはず………。」

 

部下「っていうか、貧弱な奴が誰も居ないよ。」

 

そんな風にガビル達は話し合っていた。俺とリムルさんは、思念伝達で話し合う。

 

サオリ《どう思う?リムルさん。》

 

リムル《まあ、豚頭族が攻めてくるのなら、蜥蜴人族との共闘ってのも、選択肢の一つではあるんだが………。》

 

サオリ《アイツに背中を預けるのはなぁ………。》

 

リムル《真に恐れるべきは、有能な敵ではなく、無能な味方であるって………ナポレオンの言葉だっけ?》

 

サオリ《うん。その言葉は、ナポレオンの名言だな。》

 

そんな風に話している中、ガビルが咳払いをする。

 

ガビル「ああ〜ゴホン!聞けばここには、牙狼族を飼い慣らした者達が居るそうだな。その2人は幹部に引き立ててやる。連れてくるがいいぞ。」

 

そんな風に言うと、紫苑が再びリムルさんを強く握りしめる。すると、紅丸が良い笑顔で。

 

紅丸「コイツ、殺して良いですか?」

 

リムル「フッ………良いよ。」

 

サオリ「何許可出してんだ!ストップ!」

 

フブキ・クロガミ「サオリ様。」

 

サオリ「ど、どうした、クロガミ?」

 

フブキ・クロガミ「この者達を一掃して良いですか?」

 

サオリ「後々面倒臭いからやめろ!」

 

紅丸とクロガミが、そんな風に言うもんだから、俺は必死に抑える。一方、それを見ていたシズさんは。

 

シズ「お調子者なのかな……………。」

 

そう呟いていた。

 

リムル「えっと………。」

 

サオリ「牙狼族を飼い慣らしたっていうか、仲間にしたのは、俺たちなんだけど………。」

 

ガビル「スライムと人間が?冗談を言うでない。」

 

サオリ「ん………。」

 

リムル「嵐牙。」

 

サオリ「なんかムカつく。」

 

嵐牙「はっ!ここに!」

 

リムルさんが嵐牙の名を呼ぶと、嵐牙が現れる。それも、本来の大きさの。

 

サオリ「お前達に話があるそうだ。」

 

リムル「聞いて差し上げて。」

 

   「「御意!ふん!」」

 

嵐牙とクロガミは、スキル・威圧を発動して、周囲の蜥蜴人族は威圧に怯える。

 

紅丸「あれっ?あんなにデカかったですかね?」

 

リムル「アレが本当の大きさなんだよ。」

 

サオリ「まあ、威嚇するには、あのサイズの方が何かと都合が良い。」

 

フブキ・シラカミ「なるほど………。」

 

紅丸の疑問に、俺とリムルがそう答えると、シラカミが納得する。嵐牙とクロガミは、ガビルに話しかける。

 

フブキ・シラカミ「主達より、お前の相手をする命を受けた。」

 

嵐牙「聞いてやるから、話すが良い。」

 

ガビル「…………貴殿が、牙狼族の族長殿達か?」

 

 へぇ。他の奴が萎縮してる中、平然としているな。根性があるのか、鈍いかのどちらかだが。

 

ガビル「美しい毛並み。鋭い眼光。流石、威風堂々たる佇まい。しかし………主がスライムと人間とは、些か拍子抜けであるな。」

 

リムル「ああん?」

 

サオリ「あ"?」

 

どうやら、後者の方だな。鈍い奴だ。嵐牙とクロガミも、怒っているのか、目を細める。

 

ガビル「どうやら、貴殿は騙されておるようだ。よかろう。この我輩が、貴殿を操る不埒者を、倒して見せようではないか!」

 

部下「ガビル様、かっけ〜!」

 

部下「見せてやって下さいよ!ガビル様!」

 

部下「ガビル無双を!」

 

部下「あっ、そ〜れ!」

 

部下達『ガビル!ガビル!ガビル!ガビル!』

 

部下達が、ガビルコールをして、ガビルはポーズを取る。すると、嵐牙が呟く。

 

嵐牙「蜥蜴風情が………!我が主達を愚弄するか………!!」

 

フブキ・クロガミ「捻り潰してくれる…………!!」

 

リムル(あっ、やばい。)

 

エース(アイツ、死んだな。)

 

ガビルがポーズを取る中、嵐牙とクロガミは周囲から赤いオーラを出しつつ、目を光らせて、ガビルに迫っていく。すると、後ろから鼻歌が聞こえてくる。

 

ゴブタ「て〜ん、てってって〜ん!」

 

    「「グワァァァ!!」」

 

嵐牙とクロガミが咆哮を出す中、ゴブタが後ろから現れる。

 

ゴブタ「おお〜いっ、何やってるんっすか?」

 

紅丸「ゴブタ!?」

 

リムル「お前、生きてたのか?」

 

サオリ「死んだかと思った。」

 

ゴブタ「ま〜たまた、酷いっす。ちゃんと生きてるっすよ。」

 

どういう事?そう首を傾げていると、創始者が伝える。

 

創始者『告。個体名紫苑の手料理に抵抗して、毒耐性を獲得したようです。』

 

え、毒耐性?という事は、紫苑の料理は、毒があるのか?ていうか、リムルさんは、毒耐性なんて持ってないのにな。そんな風に青褪めていると、嵐牙がゴブタを咥える。

 

嵐牙「いい所へ来たな。」

 

ゴブタ「えっ?」

 

すると、嵐牙はゴブタに槍を持たせ、ガビルの前に置く。

 

ゴブタ「えっ?へっ?何すか、この状況!?」

 

嵐牙「蜥蜴。」

 

ゴブタ「ええっ?」

 

フブキ・シラカミ「この子を倒せたのなら、貴方の話、一考してあげる。」

 

ゴブタ「な………何で?」

 

嵐牙とシラカミ、意外と冷静だな。まあ、嵐牙かシラカミとクロガミが相手をすると、ガビルが死ぬからな。すると、ガビルがゴブタを侮ったのか、口を開く。

 

ガビル「構いませんぞ。部下にやらせれば、恥はかきませんからな。なあ、スライム殿に白狐殿?」

 

サオリ「あ"?」

 

よし、言ったな。じゃあ、ゴブタには、遠慮なく行かせてあげよう。

 

リムル「ゴブタ!遠慮はいらん!やったれ!」

 

ゴブタ「ええっ!何なんすかもう………。」

 

サオリ「お前が勝ったら、俺がお前専用の武器を作ってやるよ!」

 

ゴブタ「ああっ!ほんとっすか?ちょっとやる気出たっす。」

 

リムル「負けたら、紫苑の手料理の刑ね!」

 

ゴブタ「それだけは勘弁っす〜!」

 

俺の言葉に、ゴブタは、オーラを出してやる気になる。リムルさんの言葉に、俺、シラカミ、紅丸、リグルド、シズさんが顔を青褪め、当の本人は。

 

紫苑「何やら、非常に不愉快な会話です。」

 

そう言われたもんだから、紫苑はリムルさんを捻る。今のは、リムルさんが悪い。ていうか、紫苑の奴、自分の料理が最悪なのを自覚してないのか!?ガビルは、槍を振り回す。

 

ガビル「ふ〜ん!」

 

部下達『ガビル様〜!』

 

ガビル「準備は良いかな?」

 

ゴブタ「おお〜!」

 

嵐牙「では、始めろ!ワオ〜ン!!」

 

フブキ・シラカミ「はじめ!!」

 

嵐牙とシラカミは、試合開始の咆哮を出す。ガビルは、ゴブタを侮っていた。

 

ガビル「フッ………。偉大なるドラゴンの末裔たる我ら、蜥蜴人族が、ホブゴブリンなんぞに………。」

 

ゴブタ「ふ〜ん!」

 

ガビル「ん?」

 

そんな事を口にする中、ゴブタは自分が持つ槍を思いっきりぶん投げる。

 

ガビル「ぬおっ!?」

 

その槍は、ガビルには当たらずに、部下達の目の前の地面に突き刺さる。

 

ガビル「おのれ!小癪な!」

 

ガビルはそう言って、槍をゴブタに向かって振るうが、既にゴブタは居ない。

 

ガビル「あっ………。バカな、消え………たあァァァァァ!!ァァァァ………。」

 

ガビルは、背後に現れたゴブタの回し蹴りを頭にくらい、そのまま気絶する。部下の蜥蜴人族達は、呆然とする。まさか、ゴブタの奴、影移動を使いこなしているとはな………。

 

ゴブタ「ハァ〜………。」

 

嵐牙「終わりだな。」

 

フブキ・シラカミ「うん。勝負あり!勝者ゴブタ!」

 

紅丸「おっしゃ!」

 

リグルド「よ〜し!」

 

紫苑「やった!」

 

フブキ・クロガミ「ああ。」

 

シズ「うん。」

 

すると、嵐牙とシラカミとリグルドが、ゴブタを胴上げする。

 

リグルド「わっしょい!」

 

ゴブタ「アハハ………!」

 

リグルド「わっしょい!」

 

ゴブタ「高いっす!」

 

嵐牙「さすがは、ゴブタ!我が見込んだだけの事はある!」

 

フブキ・シラカミ「見事だね。」

 

リグルド「ようやった!ホブゴブリンの力を、よくぞ見せつけた!」

 

紫苑「見直したぞ。私に対する先ほどの失礼な発言は、聞かなかったことにしてやろう。」

 

フブキ・クロガミ「見事だな。お前は強いな。」

 

紅丸「俺たちと戦った時より、強くなっている様だな。」

 

白老「鍛えがいのありそうな才能を持っている様ですじゃ。」

 

シズ「凄いよ!強いわね!」

 

どうやら、皆、ゴブタの勝利を確信してたみたいだな。それを見ていた俺たちは、思念伝達で話し合う。

 

リムル《まさかゴブタが勝つとは……。私はてっきりいちゃもんつけてボコボコにするのかと。》

サオリ《俺も。まあでも、良いじゃん。勝ったんだし。》

 

リムル《ああ。私は空気の読める女だから、期待通りだったことにしよう。》

 

そんな風に話し合って、俺はゴブタに声をかける。

 

サオリ「よくやった!約束通り、黒兵衛に武器を頼んでおくし、渡したい物が出来た!」

 

ゴブタ「やったっす!」

 

リムル「君ら、勝負はゴブタの勝ちだ!」

 

部下達『…………ハッ!?』

 

リムルさんがそう声をかけると、固まっていたガビルの部下達は、動き出す。

 

リムル「豚頭族と戦うのに協力しろという話なら、検討しておくけど、配下になるのは断る。」

 

サオリ「今日の所は、さっさとそこのソイツを連れて帰れ!」

 

俺とリムルさんがそう言うと、部下達は、ガビルを抱える。

 

部下「い、いずれまた来るぜ!」

 

部下「然り、これで終わりではないぞ。」

 

部下「きっ!お………覚えてろ〜!!」

 

そんな、三流の悪役が言うような捨て台詞を吐きながら、蜥蜴人族達は、走り去っていく。

 

リムル「さてと。」

 

サオリ「俺たちも、今後の方針を立てないとな。」

 

その夜、豚頭族を偵察しに行っていた蒼影、リグルド、レグルド、ログルド、リリナを始めとするゴブリン、カイジンを加え、会議をする事に。蒼影の報告に、俺たちは驚く。

 

蒼影「20万の豚頭族。その本隊が、大河に沿って北上している。そして、本隊と別動隊の動きから予想できる合流地点は…………ここより東の湿地帯。」

 

リグルド「つまり、蜥蜴人族の支配領域、と言う事ですな?」

 

蒼影「うん。」

 

リムル「20万か………。」

 

サオリ「かなり多いな………。それにしても、豚頭族の侵攻目的はなんだ?」

 

その言葉に、全員が考える。カイジンが口を開く。

 

カイジン「う〜ん………。豚頭族はそもそも、あまり知能の高い魔物じゃねぇ。この侵攻に、本能以外の目的があるってんなら、何かしら、バックの存在を疑うべきだろうな。」

 

黒兵衛「バックの存在だべか?」

 

リムル「例えば………。」

 

サオリ「魔王とかか?」

 

その言葉に、全員の視線が、俺たちに向く。そして、シズさんは何かを考えていた。

 

サオリ「紅丸達の村に来た魔族、ゲルミュッドが関係しているなら………。」

 

リムル「………まっ、今の所、なんの根拠も無いが。」

 

そう言って、俺たちはシズさんを見て、シズさんの意見を聞く。

 

サオリ「シズさん的には、この状況はどう思うんだ?」

 

シズ「何度か、豚頭族と戦った事があるんだけど、こんな大規模じゃなかったから、おかしいと思う。」

 

シズさんからしても、異常だと思うか。すると、紅丸が口を開く。

 

紅丸「魔王が絡んでいるかどうかは、分からん。だが………。」

 

リムル「だが?」

 

紅丸「豚頭帝が出現した可能性は強まったと思う。」

 

サオリ「確か、数百年に一度、豚頭族の中から生まれる、ユニークモンスターだったか?」

 

紅丸「はい。20万もの軍勢を、普通の豚頭族が統率出来るとは思えませんから。」

 

リムル「ふむ………。」

 

紅丸の言葉を聞いていると、ルグルドが口を開く。

 

ルグルド「居ないと楽観視するよりは、警戒するべきだと思います。」

 

リムル「そうだね。」

 

サオリ「じゃあ、今後の方針も、豚頭帝が居ると仮定して、進めるべきだろうな。」

 

ルグルドの意見に、俺たちが頷いていると、蒼影の様子が変わる。

 

蒼影「あっ!」

 

リムル「どうした?」

 

蒼影「偵察中の分身体に、接触してきた者が居ます。」

 

サオリ「接触?」

 

蒼影「リムル様とサオリ様に、取り次いでもらいたいとの事。いかが致しましょう?」

 

リムル「誰だ?」

 

サオリ「ガビルみたいな変な奴は、もうごめんだぞ。」

 

蒼影「変………ではありませんが、大変珍しい相手でして。その………樹妖精ドライアドなのです。」

 

一同『あっ………!』

 

リムル「樹妖精!?」

 

サオリ「樹妖精って確か………。」

 

ゲームだと、木の精霊みたいな存在だったな。すると、周囲が騒つく。

 

リグルド「樹妖精様が最後に姿を見せたのは、数十年以上前では無かったか?」

 

リムル「構わん。」

 

サオリ「大丈夫なら、呼んでくれ。」

 

蒼影「はっ。」

 

すると机の中心に強い風が起こる。紫苑、朱菜、フブキ・クロガミ、シラカミ、シズさんが俺たちの前に立つ中、蔦が伸びてきて固まり、そこから、1人の女性が現れる。鬼人達が俺たちの前で警戒する中、その樹妖精は口を開く。

 

トレイニー「魔物を統べる者と、異世界の力を持つ者、及びその従者たる皆様。突然の訪問、相すみません。私は、樹妖精のトレイニーと申します。どうぞ、お見知り置き下さい。」

 

リムル「私は、リムル・テンペストです。で、そっちが………。」

 

サオリ「サオリ・テンペストです。えっと……トレイニーさん。いったい、なんの御用向きで?」

 

俺とリムルは名乗り、俺が、トレイニーさんに用件を聞く事に。ていうか、俺が創世の力を持っている事を見抜いているのか!?トレイニーさんは、口を開く。

 

トレイニー「本日は、お願いがあって、まかり越しました。」

 

リムル「お願い?」

 

サオリ「それは、何ですか?」

 

トレイニー「リムル・テンペスト……魔物を統べる者。サオリ・テンペスト……異世界の力を持つ者よ。貴方方に、豚頭帝の討伐を依頼したいのです。」

 

トレイニーさんは、そう言った。

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