チートで男の娘で推しの姿で転生した件   作:天童真影

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第20話ドライアドの依頼

 

突然現れた、樹妖精ドライアドのトレイニーさんは、俺たちに依頼をする。それは、俺たちに豚頭帝オークロードを討伐して欲しいとの事だ。

 

リムル「豚頭帝の討伐?」

 

サオリ「ええと………俺たちがですか?」

 

トレイニー「えぇ、そうです。リムル・テンペスト様、サオリ・テンペスト様。」

 

俺たちの質問に、そう答えるトレイニーさん。すると、紅丸が俺たちの前に出て言う。

 

リムル「ん?」

 

サオリ「紅丸?」

 

紅丸「いきなり現れて………随分身勝手な物言いじゃないか。樹妖精のトレイニーとやら。なぜ、この町へ来た?ゴブリンよりも強い種族は居るだろう。」

 

紅丸の質問に対して、トレイニーは閉じていた目を開きながら言う。

 

トレイニー「そうですわね。大鬼族オーガの里が健在でしたら、そちらに出向いていたでしょう。」

 

鬼人達「おっ………。」

 

トレイニー「まあ、そうであったとしても……この方々の存在を、無視する事は、できないのですけれど。」

 

リムル「ん?」

 

サオリ「そうか。」

 

トレイニー「我々の集落が豚頭帝に狙われれば、樹妖精だけでは抵抗出来ませんの。………ですから、こうして強き者に助力を願いに来たのです。」

 

なるほどな。それにしても、仮説だった豚頭帝が、実際に存在するとはな………。

 

リムル「豚頭帝が居るって事自体、俺たちの中では仮説だったんだけど………。」

 

サオリ「よく、豚頭帝が居るって事が、分かりましたね。」

 

トレイニー「樹妖精は、この森で起きた事ならば、大抵把握しておりますの。……居ますよ、豚頭帝。」

 

トレイニーさんは、そう言って、机の上に置いてあったポテチを食べる。それを聞いた一同は、騒めき出す。

 

リグルド「樹妖精様がお認めに………!」

 

カイジン「ならば、本当に………。」

 

俺たちは、それを聞いて考え、答えを出す。

 

サオリ「返事は少し待ってくれ。」

 

リムル「ああ。鬼人達の援護はするが、率先して、藪を突くつもりはないんだ。情報を整理してから、答えを出させてくれ。こう見えても、ここの主なんでな。」

 

サオリ「俺は、副主です。」

 

トレイニー「あっ………フフッ………。」

 

トレイニーさんも会議に参加する事になった。だが、リグルドとカイジンの間に座ったので、その2人が気まずそうにしている。

 

リムル「会議を続けるぞ。」

 

サオリ「豚頭族オーク達の目的について、何か、意見がある人は居ないか?」

 

俺たちがそう言うと、朱菜が声を出す。

 

朱菜「あ………。思い当たる事が一つあります。」

 

リムル「うん。」

 

サオリ「何だ?」

 

俺たちが朱菜にそう問うと、朱菜は蒼影に質問をする。

 

朱菜「蒼影。私達の里、調査してきましたか?」

 

蒼影「はい。」

 

朱菜「その様子では………やはり、無かったのですね。」

 

蒼影「はい。」

 

リムル「ん?」

 

蒼影「同胞の物も、豚頭族の物も、ただの一つも。」

 

サオリ「まさか………死体か?」

 

蒼影「そうです。」

 

その言葉に、俺はやはりと思った。少し、引っかかっていた事があったのだ。オークといえば、食欲旺盛なのがお約束なのだ。すると、紅丸が口を開く。

 

紅丸「20万もの大軍が食えるだけの食料を、どうやって賄っているのか疑問だったが……。」

 

リムル「それって、まさか………。」

 

サオリ「豚頭族も、襲った種族の物も関係なく、食べてるって事だろうな。今、進軍中の豚頭族達は。」

 

俺がそう言うと、周囲が驚く。そんな中、トレイニーさんが口を開く。

 

トレイニー「ユニークスキル、飢餓者(ウエルモノ)。」

 

リムル「飢餓者(ウエルモノ)………。」

 

サオリ「それは、具体的には、どんなスキルなんだ?」

 

俺の質問に、トレイニーさんが答える。

 

トレイニー「世に混乱を齎す災厄の魔物、豚頭帝が生まれながらにして保有しているスキルで、豚頭帝の支配下にある全ての物に影響を及ぼし、イナゴの様に、周囲の物を食べ尽くす。食らった相手の力や能力までも取り込み、自分の糧とするのですわ。………リムル様の捕食者と似ていますわね。」

 

そう言いながら、俺たちを見る。それは、かなり厄介なスキルだな。確かに、リムルさんの捕食者と似ているスキルだな。ていうか、俺たちの保有しているスキルの事も知ってるのかよ。それなら、俺が創世の力を持っているのを知っているというのも頷けるか。トレイニーさんは、話を再開する。

 

トレイニー「飢餓者の代償は、満たされる事のない飢餓感。豚頭族達は、果てしない飢えを満たし、力を得る為だけに進むのですわ。ただそれだけが、彼らの王の望み故に………。」

 

そう言って、お茶を飲む。俺とリムルさんは、思念伝達で話し合う。

 

サオリ《リムルさん。豚頭族達の狙いは……。》

 

リムル《うん。大鬼族や蜥蜴人族リザードマンといった森の上位種族を滅ぼす事ではなく、その力を奪う事?》

 

サオリ《そう考えるのが、妥当だろうな。》

 

そうなると、ここも安全ではない。リムルが伸びをして、口を開く。

 

リムル「さて、となるとだな。うちも安全とは言い難いな。嵐牙狼族テンペストウルフに鬼人、ホブゴブリン。」

 

サオリ「確かに、味はともかく、豚頭族達の欲しがりそうな力を持った餌だらけだな。」

 

リムルさんと俺がそう言うと、紅丸が苦笑しながら言う。

 

紅丸「1番、奴らの食いつきそうな餌を、忘れてやいませんか?」

 

リムル「ん〜?」

 

紅丸「居るでしょう。最強のスライムと、それと同格の魔人が。」

 

サオリ「…………どこにだ?」

 

紅丸「ハハッ………。」

 

紅丸の指摘に、俺たちは受け流す。そりゃあ、俺って、仮面ライダーや他のアニメの力もあるけどだけど。でも、俺は、味はかなり不味いんじゃないか?そんな中、トレイニーさんが口を開く。

 

トレイニー「それに………豚頭帝誕生のきっかけとして、魔人の存在を確認しております。あなた様方は、放っておけない相手かと思いますけど。」

 

リムル「魔人か………。」

 

トレイニー「いずれかの魔王の手の者ですからね。」

 

サオリ「うむ…………。」

 

さっき、トレイニーさんは、森で起きた事は、大抵把握していると言っていたな。という事は、イフリートが暴走して、それをリムルが捕食して、俺が創世の力でシズさんを助けたのを把握している事になる。食えない姉ちゃんだな。すると、トレイニーが立ち上がる。

 

トレイニー「リムル・テンペスト様。サオリ・テンペスト様。改めて、豚頭帝の討伐を依頼します。暴風竜ヴェルドラの加護を受け、牙狼族を下し、鬼人を庇護するあなた様方なら、豚頭帝に後れを取ることはないでしょう。」

 

       「「う〜ん…………。」」

 

俺は、創世之神(コンちゃん)に聞いてみる。

 

サオリ《創世之神(コンちゃん)、どう思う?トレイニーさんを信用して良いのか?》

 

創世之神(コンちゃん)『樹妖精は、ジュラの大森林の管理者。不届きな者、森に対し害意を持つ者に対し、天罰を下す存在とも言われています。』

 

サオリ《天罰………。でも、相手は20万だしなぁ………。》

 

戦力差が否めないな。すると、紫苑とクロガミの声が聞こえる。

 

紫苑「当然です!!」

 

フブキ・クロガミ「当然だろ!!」

 

リムル「うえっ………。」

 

サオリ「クロガミさん?何してんの?」

 

紫苑「リムル様とサオリ様ならば、豚頭帝など、敵ではありません!」

 

フブキ・クロガミ「そうです!お二人ならば、豚頭帝を倒してみせるでしょう!」

 

トレイニー「うわぁ!やはり、そうですよね。」

 

この2人は、勝手に………!俺とリムルさんは、思念伝達で話し合う。

 

サオリ《リムルさん。これは………腹を括るしかないよな。》

 

リムル《だな………。》

 

リムルさんは、スライムとしての姿に戻り、紫苑がキャッチする。

 

リムル「分かったよ。豚頭帝の件は、俺たちが引き受ける。」

 

サオリ「皆も、そのつもりで居てくれ。」

 

朱菜「はい!勿論です!サオリ様、リムル様!」

 

紅丸「どうせ、最初からそのつもりだ。」

 

シズ「ええ。」

 

カイジン「俺たちゃ、旦那達を信じて着いていくだけさ。」

 

リグルド「その通りですぞ!我らの力を、見せつけてやりましょう!」

 

一同『おう!』

 

トレイニー「フフッ。」

 

皆がそう盛り上がっている中、俺とリムルは、話し合っていた。

 

リムル《な〜んて、格好つけて、負けたらどうしよう………。》

 

サオリ《もうこの際、腹を括るしかないな。》

 

俺たちは覚悟を決めて、会議を進める。

 

リムル「豚頭族20万の軍勢を相手取るとなると………蜥蜴人族との同盟を前向きに検討したい所だが………。」

 

サオリ「使者が、あれじゃなぁ………。」

 

あんなアホじゃあ、不安でしかない。どうにか、話が通じるやつと交渉したいところなのだが………。すると、蒼影が立ち上がる。

 

蒼影「リムル様、サオリ様。」

 

リムル「ん?」

 

サオリ「どうした、蒼影?」

 

蒼影「蜥蜴人族の首領に、直接話をつけても宜しいですか?」

 

リムル「蒼影。出来るの?」

 

蒼影「はい。」

 

サオリ「なら、俺も同行して良いか?」

 

俺がそう言うと、全員が驚く。

 

蒼影「サオリ様もですか?」

 

サオリ「同盟は、俺かリムルさんのどちらかを直接見ないと、結ぶのが難しいだろうからな。俺が同行すれば、手っ取り早いだろ?」

 

リムル「……分かった。サオリ、蒼影。蜥蜴人族への使者を頼む。決戦は蜥蜴人族の支配領域である湿地帯になるだろう、これは蜥蜴人族との共同戦線が前提条件だ。頼んだ!」

 

蒼影「お任せを。サオリ様、参りましょう。」

 

サオリ「ああ。じゃあ、ちょっくら行ってくるわ!」

 

朱菜「サオリ様。お気をつけて。」

 

サオリ「ああ。」

 

俺と蒼影は、影移動で、蜥蜴人族が支配している湿地帯へと向かう。一方、気絶していたガビルは、やっと目を覚ました。

 

ガビル「んっ………。うわっ!あっ、あ……。」

 

部下「わ〜!」

 

ガビル「ん?」

 

部下「ガビル様〜!」

 

ガビル「ぐわ〜!」

 

ガビルが目を覚ますと、部下の1人が泣きながらガビルに飛びつく。残りの部下もやって来る。

 

部下「起きたかよ。」

 

部下「ガビル様〜!」

 

ガビル「こ………ここは?」

 

部下「良かったよ〜ほんと、ううっ………。」

 

ガビルの目の前には、蜥蜴人族の部下達が集まっていた。1人、蜥蜴人族ではないのが混じっているが。ガビルは、どうしてこうなったのかを思い出した。

 

ガビル「そっ、そうだ!我輩は………。あのふざけた顔の男に………!うぬ。すっかり騙されたわ。」

 

部下「ど………どういう事?」

 

ガビルの言葉に、泣きついていた部下が首を傾げる。ガビルは、立ち上がって説明をする。

 

ガビル「簡単な事よ。我輩を制したあの者こそ、あの村の本当の主に違いない!」

 

    「「「なんと!」」」

 

ガビルは、ゴブタが主だと勘違いしていた。その言葉に、部下達は集まって話し合う。

 

部下「あれが?」

 

部下「そうじゃないと、ガビル様、負けたりしないよ。」

 

部下「然り!」

 

部下「汚い!騙してガビル様の油断を誘うだなんて!」

 

部下「卑怯なり!」

 

部下「ふざけんな!」

 

ガビルの部下達は、そんな風に話し合う。そんな部下達に、ガビルは話す。

 

ガビル「まあ、落ち着け。弱者なりの知恵という奴だろう。あっ………ハッ。」

 

部下「器の大きさ、山の如し!」

 

部下「流石、ガビル様!」

 

部下「いよっ!次期首領!」

 

???「いや〜かっこええなぁ、ガビルはん。」

 

ガビル「いやいや、我輩など、それ程でも……って、誰、なん!?」

 

部下「最初から居たよ、この人。」

 

ガビルは、やっと蜥蜴人族ではない者の存在に気づいた。その男は、ガビルを褒め称える。

 

ラプラス「聞いた通り、偉い男前やないか。わいは、ラプラスという者です。」

 

ガビル「ラプラス?」

 

ラプラス「ゲルミュッド様の使いで、アンタに警告をしに来たんや。」

 

ガビル「おお!ゲルミュッド様の!」

 

ガビルは、少しラプラスに警戒していたが、ゲルミュッドの使いと聞いて、警戒を解く。部下達は、話し合う。

 

部下「ゲルミュッド様って?」

 

部下「ガビル様に名を授けて下さったというお方だ。」

 

 

部下達は、ゲルミュッドの事について話す中、ガビルは、ラプラスに労いの言葉をかける。

 

ガビル「ご足労をおかけしたな。………して、ゲルミュッド様の警告とは?」

 

ラプラス「これがまた、偉い事になっとるんですわ!」

 

ガビル「ん?」

 

ガビルがそう言う中、ラプラスは回転しながら、ある事を伝える。

 

ラプラス「今回の豚頭族の軍勢、どうやら、本当に豚頭帝が率いてるらしいでっせ。」

 

部下達『豚頭帝?』

 

ガビル「うっ………。」

 

ラプラスが言った、豚頭帝という単語に、周囲はどよめく。ラプラスは、話を再開する。

 

ラプラス「蜥蜴人族の首領は出来たお人やけど、もうかなりのお年やし………正直なとこ、お父上には、荷が重いんとちゃいます?」

 

ガビル「ん…………。」

 

ラプラスの言葉に、ガビルは考え、答えを出す。

 

ガビル「豚頭族軍撃退の後に、首領の座を受け継ごうと思っていたが………それでは、間に合わん様だな!」

 

ラプラス「せや、せや。」

 

ガビル達は、竜に乗り、移動を開始しようとする。ガビルは、ラプラスに声をかける。

 

ガビル「ラプラス殿。挨拶もそこそこだが、我輩達は…………。」

 

ラプラス「ええって、ええって。湿地帯に戻りはるんやろ?早、行った方がええで。」

 

ガビル「かたじけない!………出発するぞ〜!」

 

部下達「おお!」

 

ガビル達は、湿地帯へと出発する。それを見ていたラプラスは。

 

ラプラス「………せいぜい頑張りや、ガビルはん。」

 

そんな風に言う。ラプラスは、何を企んでいるのか。一方、豚頭族軍は、湿地帯を進んでいた。

 

豚頭族達「蹂躙せよ。蹂躙せよ。蹂躙せよ。蹂躙せよ。」

 

そんな風に言いながら、湿地帯を進んでいた。俺たちは、そんな豚頭族達の気配を感じながら、蜥蜴人族の洞窟に到着する。すると、見張りが俺たちに気づく。

 

見張り「貴様ら、何者だ!?」

 

サオリ「何。ちょっと首領に会わせて欲しいだけさ。」

 

蒼影「そこを通してもらおう。」

 

俺たちは、蜥蜴人族達の首領に会うべく、奥へと進んでいく。しばらく進んでいくと、開けた場所へと出る。ちなみに、俺は人間としてのオーラで来ている。流石に、オーラを全開で行くと、オーク達に気付かれる恐れがあるからな。俺たちが現れると、首領が声をかける。

 

首領「失礼。今、取り込んでおりましてな。おもてなしも出来ませぬ。」

 

サオリ「お気になさらず。俺は、あなた方蜥蜴人族と同盟を結びに来た。」

 

首領「同盟?はて。そちらの事は、わしは知らんのだがね。」

 

サオリ「まあ、無理もないです。ホブゴブリンと牙狼族と共に住んでは居ますが、街になったばかりですし。」

 

首領「風の噂で聞いた事がある………。その町は、本当にあるのか?」

 

サオリ「はい。俺は、その街の主の片割れさ。」

 

どうやら、俺たちの町は、かなり噂になっているみたいだな。まあ、ゴブリンと牙狼族が一緒に暮らしているという時点で、噂にはなるだろうが。俺の説明の続きを、蒼影が引き受けてくれた。

 

蒼影「そしてもう1人の主であるリムル様とともに、樹妖精より直に要請を受け、豚頭族軍の討伐を確約されている。」

 

 蒼影のその言葉に、首領のすぐ横にいる2人の蜥蜴人族が驚く。

 それは、首領も同じだった。

 

首領「森の管理者が、直接………!?」

 

サオリ「そして、樹妖精からの情報によると、豚頭族軍を率いているのは、豚頭帝だ。」

 

部下「豚頭帝?」

 

サオリ「この意味を踏まえて、よく検討して欲しい。」

 

首領「うう………。」

 

首領は、驚いていた。どうやら、首領は豚頭帝が出現しているかもしれないと推測していた様だな。すると、首領の部下の1人が、声を出す。

 

部下「ふ………ふん!リムルだと?聞いた事もない!どうせ、そいつらも、豚頭帝を恐れて、我らに泣きついて来たんだろう?素直に助けてくれと言えばいい物を………。」

 

首領「やめろ!」

 

部下「えっ?」

 

首領「口を塞ぐのだ。」

 

部下「しゅ………首領!その様な態度では、舐められ………!」

 

そこまで言うと、その部下の首に、糸が巻き付けられていた。蒼影だ。蒼影は、糸の一本を下ろそうとするが、俺が止める。

 

サオリ「蒼影。俺はそこまでやれとは言っていない。」

 

その時の俺の目は渋谷事変の無表情の乙骨憂太みたいな目をしていた。

 

蒼影「………ッ!」

 

蒼影の気持ちは分かる。自分の主人を馬鹿にされて、我慢出来なかったのだろう。だが、そんな事をしたら、同盟を結ぶのが難しくなる。蒼影は糸を解き、俺は首領に頭を下げる。

 

サオリ「申し訳ない。対等な話し合いであるのにも関わらず、配下が無礼をしたな。」

 

首領「いや、今のは、こちらに非があった。お気遣い済まない。」

 

サオリ「それと、俺は人間の様に見えるが、違う。こう見えても、新しい魔人でね。」

 

俺はそう言って、少しオーラと呪力を出す。それを見た首領のそばにいた蜥蜴人族は。

 

部下「魔人だったのか!?」

 

部下「なるほど………。」

 

そんな中、首領が口を開く。

 

首領「貴殿は魔物であったか。ジュラの大森林に暮らす魔物で、森の管理者を騙る愚か者は居ない。見た所、そなたの妖気オーラは、南西に暮らす大鬼族であろう?」

 

蒼影「今は違う。リムル様より、蒼影の名を賜った折、鬼人となった。」

 

首領「鬼人?」

 

部下「鬼人って………!」

 

部下「ええ。大鬼族の中から、稀に生まれるという、上位種族………!」

 

サオリ「それが、あと六人も居ますよ。」

 

首領「何だと………!?」

 

それを聞いた首領は、何かを考え込んでいたが、しばらくすると、顔を上げる。

 

首領「サオリとやら。一つ条件がある。」

 

サオリ「聞きましょう。」

 

首領「もう1人の主、リムル・テンペストと会いたい。」

 

サオリ「分かりました。」

 

蒼影「では、我々は準備を整え、七日後にこちらに合流する。その時、御目通りしていただくとしよう。」

 

首領「うん。」

 

蒼影「それまでは、決して先走って、戦を仕掛ける事のないよう。」

 

首領「承知した。」

 

サオリ「それと、一つ忠告があります。」

 

首領「何だ?」

 

サオリ「背後には気をつけた方がよろしいですよ。」

 

首領「………?そうしよう。」

 

サオリ「では、七日後に。」

 

俺たちは、影移動で村へと戻る。ちなみに、先ほどの言葉の意味としては、ガビルは、豚頭帝の事を知らなそうだった。それに、次期首領になるとも言っていた。つまり、謀反を起こす可能性がある。そこまでするアホじゃないと良いんだけどな。

 

サオリ「俺は、首領の条件を伝えに行く。蒼影は、豚頭族の動向を見張ってくれ。」

 

蒼影「はっ。」

 

蒼影は、再び影移動で移動する。俺は、リムルさんの家へと向かう。

 

サオリ「リムルさん、少し………。」

 

俺は、その光景に絶句した。なぜなら、リムルさんが女装をしていたのだ。しかも、周囲には、朱菜に紫苑といった女性陣がいて、シズさんはそれを見て苦笑していた。

 

サオリ「リムルさん………これは一体、どういう状況なんだ?」

 

リムル「おお!サオリ!ナイス!」

 

シズ「リムルさん、皆の着せ替え人形にされてたの。」

 

サオリ「なるほどな………。あ、それと、蜥蜴人族の首領と話がついたぞ。」

 

リムル「本当か!?」

 

サオリ「ああ。ただ、同盟を結ぶ際には、お前にも同行して欲しいそうだ。」

リムル「良いぜ、どうせ決戦予定は湿地帯なんだし、会っていもいない人物を信用しろってのも無理な話だ。」

 

サオリ「会談の日は、七日後に設定したが、大丈夫か?」

 

リムル「ああ。」

 

そんな風に話した。すると、朱菜が話しかけてくる。

 

朱菜「あの……………サオリ様。」

 

サオリ「ん?」

 

朱菜「サオリ様から頼まれていた服が完成しました!」

 

サオリ「そうか。ありがとう!」

 

朱菜「はい!」

 

 

朱菜がそう言ってくるので、朱菜を労うと、朱菜は笑顔で応える。俺は、その服に着替える。流石に、別室で。その服は、赤色のパーカーが下で黒色の服だった。他には死滅回遊の虎杖悠仁の服も作ってもらった。とはいえ、虎杖悠仁の高専の制服と死滅回遊時の服装に近づけたが。

 

朱菜「大変お似合いです!」

 

サオリ「ありがとうな、朱菜。」

 

朱菜「い、いえ……………。」

 

俺がそう言うと、朱菜は顔を赤くする。それを、他の人たちはニヤニヤしたり、微笑ましく見ていた。何なんだ?一方、蜥蜴人族達は、首領が仲間を集めていた。

 

首領「豚頭族軍は既に、この地下大洞窟のそばまで迫ってきている。………だが、恐れる事はない!七日後には、強力な援軍が見込める!それまでは、我々は籠城し、戦力を温存するのだ。間違っても、攻撃に打って出ようなどと思うな!戦死すれば、餌になり、奴らの力が増すと思え!それが、豚頭帝を相手に戦うということだ!………援軍と合流した後、反撃に転じる!その時まで、耐えるのだ!誰1人、死ぬ事は許さん!」

 

戦士達「おお!」

 

こうして、首領の指示により、蜥蜴人族は俺たちが来るまで、籠城する事になった。それから四日後。ある蜥蜴人族達は、侵入してきた豚頭族と交戦していた。三人でかかり、倒す事が出来た。それを見て、戦士達は呟く。

 

戦士「これが、本当に豚頭族なのか?まるで、大鬼族とでも戦っている気分だ。」

 

戦士「ゾッとするな………。こんな奴らが20万も居るだなんて………。」

 

戦士「それが、豚頭帝の能力なんだろう。あと、三日も守り通せるだろうか。」

 

ガビル「守ってばかりでは、疲弊するだけだ。」

 

戦士「おおっ、あなたは………。」

 

そこに、ガビルが戻ってきて、首領の元に向かう。

 

ガビル「親父殿。」

 

    「「「ん?」」」

 

ガビルの声に、首領、親衛隊長、副隊長がガビルの方を向く。

 

首領「おお、戻ったか!………して、ゴブリンからの協力は、取り付ける事が出来たのか?」

 

ガビル「はっ!その総数、7千匹。待機させております。」

 

首領「うん。」

 

ガビル「しかし………豚頭族相手に籠城とは、どういうつもりなのです?とても、誇り高き蜥蜴人族の戦い方とは思えませんな。」

 

首領「お前が居ない間に、同盟の申し出があったのだ。その者達と合流するまでは、防衛に徹するのが最善だ。」

 

首領の言葉を聞いたガビルは、呟く。

 

ガビル「ハァ…………老いたな、親父。」

 

首領「何?」

 

ガビルがそう言うと、立ち上がり、合図を出す。すると、ガビルの配下達が一斉に入ってくる。

 

    「「「なっ!?」」」

 

ガビル「天然の迷路を利用し、大軍と戦うのは、良い策かもしれん。………だが、それでは数多ある通路に戦力を分散させすぎて、戦力の集中による迎撃が出来ぬ。」

 

そう言いながら、合図を出して、ガビルの部下が、首領に槍を向ける。

 

首領「なっ………!?」

 

親衛隊長「ガ………ガビル殿!」

 

副隊長「これは、どういうつもりだ!?」

 

ガビル「落ち着け!親衛隊長に副隊長。危害を加えるつもりはない。」

 

親衛隊長「しかし………うっ!」

 

ガビル「手荒な手段になってしまった事は、後で詫びる。窮屈な思いをさせるが、我輩が豚頭帝を討つまで、辛抱してくれ。」

 

ガビルは、部下に指示を出して、首領、親衛隊長、副隊長、そして、首領の側近を拘束した。

 

首領「息子よ!勝手な真似は許さんぞ!」

 

親衛隊長「ガビル殿………いえ、兄上!目を覚まして下さい!」

 

副隊長「ガビル君!何を考えているんだ!?」

 

首領「ええい!放せい!放さんか!放すのだ!勝手な真似は許さん!」

 

首領、親衛隊長、副隊長がそう叫ぶ中、彼らは、牢獄へと連れて行かれた。ガビルが、顔を俯かせていると、部下の1人がガビルの方にやって来る。

 

ガビル「ん?」

 

部下「ガビル様、これを。」

 

ガビル「親父殿の………。」

 

ガビルは、部下から、首領が持っていた槍を受け取る。すると、槍とガビルが光り出す。

 

ガビル「こ、この力は………水渦槍ボルテックススピアよ。我輩を主と認めてくれるのか!」

 

水渦槍は、ガビルを主と認めた様だ。その背後から、部下達が大勢やって来る。

 

部下「各部族長の掌握が完了したぜ。若い連中には、この防衛戦に疑問を抱いていた者も多かったからな。」

ガビル「そうか。」

 

部下「皆、アンタについていく。頼むぜ、ガビル様。」

 

部下達は、ガビルに跪く。ガビルは、口を開きながら移動する。

 

ガビル「良いだろう。我輩が、蜥蜴人族の真の戦い方を見せてやろうぞ!時が来たのだ!」

部下達「おお!」

 

こうして、ガビル達は、俺たちの合流を待たずして、動き出してしまった。

 

豚頭族達「蹂躙せよ。蹂躙せよ。蹂躙せよ。蹂躙せよ。」

 

湿地帯を埋め尽くす豚頭族の大軍。その一角から、ざわめきが生じた。

 

豚頭族「ううっ………!」

 

一体の豚頭族が、蜥蜴人族の攻撃を受けて、倒れた。

 

ガビル「豚どもを必要以上に恐れる事など無い!湿地帯は我らの領域!素早い動きで豚頭族どもを撹乱するのだ!ぬかるみに足を取られるのろまに後れは取らん!」

 

部下「やった!」

 

部下「攻撃が効いてるぜ!」

 

部下「然り!」

 

ガビル「豚頭族など、我ら蜥蜴人族の敵ではない!よし!一旦離脱!」

 

ガビルの実力は、仲間達が認める物だった。だが。

 

部下「ああっ………うわぁ!」

 

ガビル「ん?」

 

ガビルが、部下の悲鳴に、何事かと豚頭族の方を見ると、豚頭族が豚頭族を食べていたのだ。

 

ガビル「何だ?」

 

ただ一つ、誤算があるとすれば、ガビルは知らなかった。豚頭帝の恐怖を。

 

ガビル「豚頭族が、豚頭族を食っている………!?」

 

首領は知っていた。豚頭帝の恐怖を。その違いが今、結果となって、ガビルに牙を剥く。

 

豚頭族達「蹂躙せよ。蹂躙せよ。蹂躙せよ。食べた仲間の力を我が物に!食べた獲物の力を我が物に!」

 

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