俺たちが過ごす中、ある城では、白いタキシードの男性と、ラプラスが話していた。
ラプラス「折角お膳立てしたのに、新しい魔王が生まれへんかったんは、痛いんちゃうか?」
???「そうだな。」
ラプラスの言葉に、白いタキシードの男性はそう言って、ワインを飲む。そして、ラプラスの方を見る。
???「…………しかし、面白い物が見れたよ。あのスライムに、魔人。どうしたものかな?」
ラプラス「せいぜい頑張ってや。もし、協力が必要なら、格安で請け負うたるわ。魔王、クレイマンはん。」
そう言って、ラプラスは煙と共に消えた。クレイマンと呼ばれた白いタキシードを着た男は。
クレイマン「フッ、フフ。」
そう、笑う。一方、クレイマンという魔王に目をつけられた事を知らない俺たちは、豚頭帝オークロード討伐から3ヶ月経った。その間、豚頭族から進化した猪人族達は、カイジン達の指導の下、あっという間に技術を覚え、頼れる労力になっていた。徐々に発展していく村を、俺たちは丘の上から見ていた。家や服とかも出来て、上下水道や道路とかも出来てきた。これは、リムルさんの前世の知識を使ったそうだ。
リムル「それにしても、貴方、色んな物を作るように頼んだんだって?」
サオリ「まあな。」
そう。呪術廻戦の高専のと炎炎ノ消防隊の訓練所を作ったのだ。色々と必要かなと思って。こうして、安住の地、俺たちの町が出来た。………のだが、そうは問屋が卸さないのだった。俺たちの所に、蒼影がやって来る。
蒼影「リムル様、サオリ様。緊急事態です。」
リムル「え?」
サオリ「どうした?」
蒼影の報告に、俺たちは首を傾げた。それは、ペガサスに乗った騎士団が、この町にやって来たとの事だった。どうして、そうなったのか。それは、少し前、武装国家ドワルゴンでは、暗部からの報告を、ガゼル王が聞いていた。そして、その報告書を、蝋燭の炎で燃やす。
ドルフ「王よ、暗部は何と?」
ガゼル「…………豚頭帝は討伐され、戦争が終結したそうだ。」
ガゼルのその言葉に、ドルフは驚く。
ドルフ「何ですと!?」
ガゼル「13万の豚頭族は、暴走する事も無く、各地に散ったらしい。しかも、猪人族に進化してな。」
ドルフ「そんな事が………!?」
ガゼルの言葉に、ドルフは再び驚き、ガゼルは考えていた。
ガゼル「(複数の上位魔人の参戦により、戦争は終結。魔人達は、例のスライムと魔人の配下であると思われる………か。魔人を従え、魔物に進化を齎す者たち。此度の件、対応を誤れば、国が滅ぶやもしれぬ。)」
ガゼルは、複数の上位魔人………鬼人勢………を従えているのが、スライムと魔人………リムルとサオリ………である事を見抜き、口を開く。
ガゼル「あのスライムと魔人の正体、余自らが見極めてやろうではないか。」
そうして、ガゼル王とペガサス・ナイツは、俺たちの町に向かって来ていたのだ。そんな事を知る由もない俺たちは、すぐに着陸するであろう場所へと向かう。向かっているのは、俺、リムルさん、シズさん、紅丸、蒼影、イブキ、紫苑、リグル、リグルド、嵐牙、シラカミ、クロガミ、カイジンだ。俺たちは、上空を見上げると、そこには、かつて見た、ガゼル王の姿が。
カイジン「まさか………!」
リムル「ドワーフの英雄王………。」
サオリ「ガゼル・ドワルゴ………!」
何であの人が。すると、紅丸が質問して来る。
紅丸「リムル様、サオリ様。いかが致しますか?」
リムル「出来れば、争うのは避けたいんだが………。」
サオリ「相手の出方によるか。」
紫苑「問題ありません!蹴散らせば良いのです!」
アリス・イブキ「蹴散らしたら、面倒臭い事になりそうですけどね。」
サオリ「まあ、いざ戦闘になったら、住民たちを避難させる。」
リムル「その間、私達で時間を稼ぐぞ。」
紅丸「はっ!」
俺たちがそう話している間、旋回していたペガサス達は、一斉に地面に降り立つ。カイジンは、ガゼル王の下に向かい、跪く。
カイジン「お久しぶりでございます。」
ガゼル「…………久しいな、カイジン。」
カイジン「はっ!」
俺とリムルさんは、前に出る。ガゼル王は、俺たちを睥睨する。
ガゼル「スライムに魔人か。」
リムル「最初に名乗っておく。私の名はリムルで………。」
サオリ「俺の名はサオリだ。魔人呼ばわりはやめて欲しい。」
リムル「これでも一応、私達はジュラの森大同盟の盟主なんでね。」
俺たちは、そう言って、リムルさんが人間としての姿になる。
サオリ「こっちの方が、何かと話しやすいだろう?」
リムル「………で、何の用だ?」
リムルの質問に対して、ガゼル王が答える。
ガゼル「…………単刀直入に言おう。リムル、サオリ。貴様らを見極めに来たのだ。」
リムル「………見極め?」
ガゼル「俺の剣で、貴様の本性を見抜いてくれるわ。」
サオリ「なるほど………。」
ガゼル「この森の盟主になったなどとホラを吹く貴様らには、分という物を教えてやらねばなるまい。その剣が飾りでないというのなら、俺の申し出を受けるが良い。」
ガゼル王はそう言って、剣を抜刀しようとする。部下達も、驚いたのか、声をかける。
ドルフ「王よ、まさか………!?」
ガゼル「ふん。本気で戦ってみるのが、手っ取り早いであろう?」
リムル「よし、その申し出を受けよう。」
サオリ「ホラ吹き呼ばわりした事、後悔させてやるよ。」
そうして、まずはリムルさんとガゼル王との一騎打ちとなった。ガゼル王が口を開く。
ガゼル「俺の一連の攻撃を防ぎ切ったら、貴様の勝ちで良い。それは、後にやるお前も同じだ、サオリよ。」
サオリ「ああ。リムルさん、負けんなよ。」
リムル「ん?ああ!」
ガゼル「ただし、この俺、剣聖ガゼル・ドワルゴの剣を甘く見ない事だ。」
リムル「分かった。」
すると、風が吹いて来て、トレイニーさんが現れる。
サオリ「トレイニーさん。」
トレイニー「それでは、立ち会いは私が行いましょう。」
ガゼル「ん?」
ドルフ「まさか、樹妖精ドライアド?」
トレイニーさんの姿を見たガゼルは、突然鼻で笑った。
ガゼル「貴様らをホラ吹き呼ばわりした事は、謝罪するぞ。それに、事情も朧げながら読めたわ。」
リムル「じゃあ………!」
ガゼル「だが、貴様らの人となりを知るのは、別の話だ。」
サオリ「ですよね………。」
ガゼル「立会人も決まったならば、あとは剣を交えるのみ。」
リムル「ああ、そうだな。軽く勝利して、今回の件をきっちりと説明してもらうとするわ!」
ガゼル「フフ………!俺に勝てたなら、答えてやるさ。」
そうして、トレイニーさんの開始の合図と共に、リムルさんが駆け出す。最初の攻撃は防がれるが、すぐに走って、別の方向から仕掛ける。ガゼルは、リムルさんを突き飛ばすが、すぐに着地する。
ガゼル「貴様の力は、そんなものか、リムルよ!」
リムル「うるさい!まだ本気を出していないだけだし!慌てんな。」
ガゼルの挑発に、そう答えるリムルさん。ガゼルの攻撃で、リムルさんは大きく下がる。すると、ガゼルはある構えをする。
サオリ「(あの構えは………。)」
ガゼル「行くぞ、リムル!朧・地天轟雷!」
そう叫ぶと、ガゼルが消え、リムルさんは、下からくる攻撃を躱し、上から来る攻撃を、刀で受け止める。
ガゼル「ふん。フフフ………ハハハ!俺の剣を受け止めおったわ!」
リムル「え?」
トレイニー「それまで!勝者、リムル・テンペスト!」
トレイニーの宣言と共に、ガゼル王は、剣をリムルから退かす。だが、納刀はしていない。
ガゼル「リムルは分かった。次は、お前だ、サオリよ。」
サオリ「ああ。」
今度は、リムルさんの代わりに俺が出て、鬼滅の刃の日輪刀型の木刀を取り出す。俺の意識は、ガゼル王のみを捉えていた。
トレイニー「始め!」
サオリ「フッ!」コオオォォッ!
トレイニーさんのその声と共に、俺は駆け出して、全集中の呼吸で攻撃する。ガゼル王は、剣でこれを受け止める。少しの間、鍔迫り合いとなり、お互いに離れる。
ガゼル「ほう。やるではないか。だが、それが貴様の本気か?」
サオリ「うるさい。俺は徐々に上げていくタイプなんだよ。」
ガゼル王の挑発に、俺はそう返す。今度はガゼル王が仕掛けて来て、俺は木刀で剣を受け止める。そして、俺は少し離れる。ガゼル王は、再びあの構えをする。
サオリ「(来たか。)」
ガゼル「行くぞ、サオリ!朧・地天轟雷!」
ガゼルは、一瞬で消え、俺は、下からくる攻撃を
サオリ「ヒノカミ神楽・幻日虹っ!」ゴオオォォォッ!
幻日虹で躱す。そして俺は、
サオリ「ヒノカミ神楽・烈日紅鏡っ!」ゴオオォォォッ!
ガゼル王の剣を、刀を両手で握り、左右で素早く振るう二連撃で斬って、ガゼル王の首元に剣先を突きつける。
サオリ「こんなもんかな。」
ガゼル「…………まさか!俺の剣が斬られるとはな!」
トレイニー「それまで!勝者、サオリ・テンペスト!」
トレイニーの声と共に、ガゼル王は、部下に剣を持たせた。俺は、木刀をしまう。そして、俺とリムルさんを見ながら言う。
ガゼル「剣を交えて、よく分かった。お前達は邪悪な存在ではない。」
イブキ達「うんうん。」
ガゼル王の言葉に、イブキ達は後ろで頷く。
リムル「何でだよ………。」
ガゼル「それにしても、よくぞ俺の朧・地天轟雷を見切ったものよ。見事だったぞ、リムル、サオリ。」
サオリ「偶然だ。何せ、その技をよく使う師匠が居てな。俺はともかくリムルさんは、訓練でよく打ちのめされたんだよ。」
ガゼル「なんだと?まさか、その師匠というのは………。」
ガゼル王がそんな風に驚いていると、白老が前にやって来る。
ガゼル「ああっ………!」
リムル「お?」
サオリ「白老。」
白老「ほっほっほ。お見事でしたな、リムル様、サオリ様。」
ガゼル「おおっ………!剣鬼殿!」
えっ?2人って知り合いなの!?俺がそう驚いていると。
白老「森で迷っていたあの時の小僧が、見違えましたぞ。………いや、失礼、ドワーフ王。わし以上の剣士へと成長したようで、重畳ですじゃ。」
ガゼル「剣鬼殿にそう言っていただけるとは………。」
どうやら、白老が師匠って事か。世界って、意外と小さいもんだな。すると、ガゼル王が俺たちに話しかけてくる。
ガゼル「さあ早く案内してくれリムル、サオリ。上空から見たかぎりじゃ美しい町並みだったぞ?美味い酒くらいあるのだろう?」
リムル「…………まああるけど。」
サオリ「裁判の時と比べて軽すぎない?」
ガゼル「なぁに。こっちが素よ。」
そんな風に話しながら、町へと戻る。その夜、宴をしながら、俺たちは、ガゼル王の話を聞いていた。因みに今の服装は、青色の着物を着ていて肩に黒い軍服を羽織っている。
リムル「なるほど。」
サオリ「豚頭帝を倒した、謎の魔物集団の調査だったと。」
ガゼル「それが敵となるか、味方となるか、見極めにな。」
あ、そうするのが、正しい判断だろう。すると、ガゼル王が真面目な顔で、俺たちに聞いてくる。
ガゼル「リムル、サオリよ。聞きたい事がある。」
リムル「うん?」
サオリ「何だ?」
ガゼル「俺と盟約を結ぶつもりはあるか?」
リムル「あっ。」
ガゼル「お前達がもしも、この広大な森を全て掌中に出来たならば、我が国をも上回る富と力を手に入れる事が出来よう。その時に、後ろ盾となる国があれば、便利だぞ?」
確かに。後ろ盾があった方が、何かと良いしな。
リムル「願ってもない事だが………。」
リムルさんはそう言うと、紅丸達の方をチラリと見て、聞く。
リムル「良いの?それは、私達魔物の集団を、国として認めると。そう言っているのと同じですよ?」
ガゼル「無論だ。それとこの話、我らにとっても、都合が良い。」
サオリ「………と、言いますと?」
ガゼル「お互いに利益があるからな。」
俺とリムルさんは、お互いをチラリと見て、答える。
サオリ「断る理由はないね。」
リムル「喜んで、受けたいと思う。」
ガゼル「よし。…………で、お前達の国の名前は何と言うのだ?」
サオリ「………お。」
ヤッベェ。国の名前とか、一切考えてなかった。豚頭帝討伐後、色々と忙しかったからな。すると、リムルさんが口を開く。
リムル「ジュラ・テンペスト連邦国。」
ガゼル「ジュラ・テンペスト連邦国。」
紅丸「おおっ!」
紫苑「さすが、リムル様です!」
アリス・イブキ「さすがです。」
リグルド「では、国の名はジュラ・テンペスト連邦国!この町の名前は、リムルと致しましょう!」
サオリ「良いんじゃないか?」
リグルド「中央都市、リムルです!」
リムル「ちょっ!それはちょっと恥ずかし………。」
こうして、国の名前はジュラ・テンペスト連邦国、首都は中央都市リムルに決まった。