チートで男の娘で推しの姿で転生した件   作:天童真影

30 / 31
第25話ミリム襲来!

 

こうして、俺たち、ジュラ・テンペスト連邦国と、武装国家ドワルゴンとの同盟が成立したのだった。俺たちの魔物の国に、心強い後ろ盾が出来た。で、その二日後。

 

ガゼル「来てやったぞ、リムル、サオリよ。」

 

何と、ガゼル王が再び来たのだ。

 

サオリ「随分と早い再訪だぞ………。」

 

リムル「今度は何の用?」

 

ガゼル「お前達に土産をやろうとおもってな」

 

リムル「土産?」

 

サオリ「何それ?」

 

ガゼル王が供に合図を送ると布で簀巻きされたものを投げその拍子で表面の布がめくれると、そこに居た人に俺たちが驚く。

 

リムル「えええっ!?」

 

サオリ「コイツってたしか!?」

 

カイジン「ベスターじゃねえか!?」

 

ベスター「うぅぅぅん………。」

 

泡を吹いて気絶しているベスターであった。ガゼル王が、理由を説明する。

 

ガゼル「有能なコイツを遊ばせておくも勿体ないのでな。とはいえ、俺に仕えるのを許すわけにはいかん。好きに使え。」

 

カイジン「王よ、それではベスター殿の知識が我等に流出することになりますぞ!?」

 

ガゼル「流出していった本人が今更なにを言う。」

 

カイジン「それは………。」

 

カイジンは止めようとしたがガゼル王の正論で言葉に詰まった。ガゼル王は、復活したベスターに声をかける。

 

ガゼル「そのための盟約よ。お前達のこの地を、まだ見ぬ技術の最先端にしてみせろ。ベスターよ。」

 

ベスター「はっはい!」

 

ガゼル「ここで思う存分、研究に励むが良い。」

 

ベスター「…………っ…………は!今度こそ………今度こそ、期待に応えてご覧にいれます。」

 

ベスターはそう言うと、今度は俺たちに顔を向ける。

 

ベスター「リムル殿、サオリ殿、カイジン殿すまなかった。許されるならここで働かせてほしい。」

 

カイジン「…………優秀な研究者が来てこっちも大助かりってもんだ。旦那方。何かあったら、俺が責任を取ります。ここは俺を信じて、こいつを許してやって下さい。」

 

ベスター「カイジン殿………。」

 

まあ、ベスターも、ガゼル王の期待に応えようとして、焦ったからな。俺たちは、頷いて、答える。

 

リムル「カイジンがそれで良いなら、私達に文句はないよ。」

 

サオリ「ベスター。これからよろしく頼む。」

 

ベスター「ははっ!不肖ながら、精一杯努めさせていただきます!」

 

ガゼル「では、さらばだ!」

 

ガゼル王はそう言って、去っていく。こうして、ベスターが仲間になった。ベスターには、フルポーションの作成の作成を頼んだ。そんな風に、開発は進んでいく。時は少し遡り、傀儡国ジスターヴという場所では、ある4人が集まっていた。その4人は、魔王と呼ばれる存在であり、魔王カリオン、魔王フレイ、魔王クレイマン、魔王ミリムの4人がいた。カリオンが口を開く。

 

カリオン「ゲルミュッドの野朗は急ぎすぎたな。計画の言い出しっぺが出張って返り討ちに遭うなんざ世話のねぇこった。」

 

カリオンがそう言うと、ミリムがプンプンと怒りながら同意する。

 

ミリム「カリオンの言う通りなのだ!フレイもそう思うだろ?」

 

フレイ「あのねぇミリム。私が貴方達の計画とやらを知るわけがないでしょう?」

 

ミリム「む?そうか。」

 

ミリムの問いに、フレイはそう答える。カリオンは、フレイに聞く。

 

カリオン「つーかよ、なんでここにいるんだフレイ?」

 

フレイ「それは私が聞きたいくらいだわ。面白いから来いってミリムに無理矢理連れて来られたのよ。私は忙しいと断ったのだけどね。」

 

フレイはミリムに連れてこられただけだった。それを聞いたカリオンは、クレイマンに聞く。

 

カリオン「いいのかよクレイマン?」

 

ミリムの自由すぎる行動にクレイマンも頭を悩ます。

 

クレイマン「…………まぁいいでしょう。今更です。」

 

クレイマンが指を鳴らすと、テーブルに五つの水晶玉が現れる。

 

クレイマン「ひとまず計画は頓挫したわけですが…………少々軌道を修正してやれば、まだチャンスはあります。まずはこれをご覧下さい。」

 

クレイマンが水晶玉に手をかざすと何かが映し出される。

 

カリオン「なんだこりゃ?」

 

クレイマン「ゲルミュッドの置き土産です。」

 

ミリム「む?なんなのだこいつら…………鬼人?」

 

そこに映し出されていたのは、湿地帯での俺達の戦いの様子だった。

 

クレイマン「ジュラの大森林から湿地帯にかけての戦いの記録です。豚頭帝以外にも面白い者どもが映っているでしょう?」

 

ミリム「おお…………っ!」

 

その中でミリムの目に止まったのはサオリとリムルさんの姿だった。そして映像が途絶える。

 

クレイマン「ゲルミュッドが死んだせいでこれ以降の展開は不明ですが、これほどの者達が相手となると、豚頭帝は倒されたと見るべきでしょうね。」

 

フレイ「もしも生き残っていた場合、彼らを餌に豚頭帝は魔王へと進化している……。そうでなかったとしても、彼らの中には魔王に相当する力をつけている者がいるかもしれない。なるほどね…………。つまり貴方達の計画というのは新たな魔王の擁立…………といったところかしら。」

 

ミリム「さすがフレイ。ワタシ達の目論見を見事に看破するとは!」

 

クレイマンの言葉を聞いたフレイは、ミリム達が何を考えているのかを察した。それと同時に、呆れたように首を振る。

 

フレイ「呆れた。随分大胆なことを考えたものね。あの森が不可侵条約に守られていることをお忘れかしら?」

 

クレイマン「野良の魔人ゲルミュッドが私に持ち込んだ計画です。魔王我々が直接動くわけではないので、条約に抵触はしませんよ。」

 

フレイの言葉に、クレイマンは笑顔でそう言う。

 

フレイ「どうだが…………。」

 

カリオン「いいじゃねぇか。別に大軍率いて攻め込もうってワケじゃねぇし、強者を引き入れるチャンスだっつーから俺も乗ったんだ。」

 

カリオンはそう言って再度再生されている水晶玉を手に取る。その水晶玉には、嵐牙の姿が映っていた。

 

カリオン「見た限りじゃあ豚頭帝よりこいつらのほうが美味い。」

 

クレイマン「(……まぁカリオンとミリムはそんなところでしょう。問題は飛び入りのフレイですが…………。来訪時から何か別のことに心を囚われている様子。その内容によっては恩を売ることが可能でしょう。)」

 

魔王間の条約において、その可否を決める時に提案した魔王の他二名の魔王の賛同が必要となる。自分の意見に追従する魔王の存在は、他の魔王に対し大きく優位性を得ることになるのだ。クレイマンは、思考を巡らせる。

 

クレイマン「(…………悪くない。豚頭帝オークロードを失ったのは痛手ですが、むしろこの展開は理想的だ。魔王二人、上手くいけば三人に貸しを作ることが出来るのなら十分にお釣りが来る。あの魔人どもにはミリム達を釣る餌になってもらいましょうか。まずは森の調査を……。)」

 

ミリム「よし!では今から生き残った者へ挨拶に行くとするか!」

 

   「「「…………は?」」」

 

思考を巡らせているクレイマンを含めた三人は口を開けた。カリオンは、ミリムに声をかける。

 

カリオン「いやいやいや落ち着けよミリム。ジュラの大森林には不可侵条約があるっつってんだろ。」

 

クレイマン「そうですよミリム。堂々と侵入しては他の魔王達が黙ってはいません。まずは私が内密に調査を…………。」

 

ミリム「何を言っているのだ。不可侵条約など今この場で撤廃してしまえばいいではないか。ここには魔王が四人もいるのだぞ。」

 

      「「「え!?…………あっ!」」」

 

そう。条約の可否には、提案した魔法の他2名の魔王の賛同が必要なのだ。つまり、撤廃するのは可能。

 

ミリム「あの条約はそもそも暴風竜ヴェルドラの封印が解けないように締結されたものなのだ。暴風竜は消えたというウワサだしな。もう必要なかろう?数百年前の話だしお前達は若い魔王だから知らないのも無理はないのだ。」

 

カリオン「そういうことなら条約破棄に反対する者もいないだろう。俺は賛成だ。」

 

フレイ「私も賛成ですわね。元々私の領土はあの森に接しているし不可侵と言われても面倒だったのよね。」

 

それを聞いたカリオンとフレイが賛成する中、クレイマンは溜め息を吐いた。

 

クレイマン「(………もっとも単純に見えて最も老獪な魔王…………。やはり侮れませんね。)…………いいでしょう。私も条約の撤廃に賛成します。今すぐ他の魔王達へ通達しましょう。」

 

そしてミリムのジュラの大森林の不可侵条約破棄案が、クレイマン、カリオン、フレイが賛同したことにより条約破棄が成立した。

 

クレイマン「受理が確認され次第行動を始めることになります。無難なのはまず人をやって調査することかと思いますが…………。」

 

カリオン「おいおい。こりゃ新しい戦力を手に入れようって話だろ。まさか協力しようってのか?」

 

フレイ「そうね………。どうせなら競争した方が潔いのではなくて?それで遺恨を残すほど器の小さい者はここにはいないでしょう?」

 

ミリム「いいなそれ!恨みっこなしで早い者勝ちなのだ!互いに手出し厳禁。約束なのだぞ?」

 

フレイ「ええわかったわ。」

 

カリオン「獅子王の名にかけて俺様も約束しよう。」

 

クレイマン「そうなるだろうと思いました。では今後は各々の自己責任ということで。」

 

ミリム「ワタシはもう行くのだ!またな!!」

 

そう言ってミリムは飛び出して行った。それを見ていたカリオン達も動き出す。

 

カリオン「俺様ももう行くぜ。配下から調査に向かうヤツを選ばにゃならねぇ。」

 

フレイ「私も失礼するわ。」

 

カリオンとフレイが立ち去ろうとした時、クレイマンがフレイに声をかける。

 

クレイマン「フレイ。何かお困りでしたら相談に乗りますよ。いつでも頼ってください。」

 

フレイ「……そ。ありがとう。」

 

フレイはそう言って部屋から出て行った。一人になったクレイマンはニヤリと笑みを浮かべる。

 

クレイマン「ミリム。カリオン。そしてフレイ。さてさて、また森が騒がしくなりそうですね…………。」

 

そんな風に呟く。そして現在、俺は、とんでもない魔力の塊が、こちらに向かってくる事に気づいた。

 

サオリ「なんか、嫌な予感がするな………。」

 

俺はそう呟き、ある丘へと向かっていく。途中で、リムルさんと合流する。

 

サオリ「リムルさん!」 

 

リムル「サオリ!貴方も感じる?」

 

サオリ「嗚呼!とんでもない魔力の塊が、こっちに来てる!」

 

俺たちはそう話して、丘に到着すると、ピンク色の魔力の塊が、地面に着弾する。俺たちは、飛ばされない様にする。すると、ピンク色の魔力の塊の中に居たであろう何者かが、話しかけてくる。

 

ミリム「初めまして。私はただ一人の竜魔人ドラゴノイドにして、破壊の暴君の二つ名を持つ、魔王、ミリム・ナーヴァだぞ!」

 

リムル「魔王かよ?」

 

サオリ「うそ〜ん………。」

 

ミリム「お前達がこの町で一番強そうだったから、挨拶に来てやったのだ。」

 

ミリムという魔王は、そう言う。ていうか、何で魔王がもう来るんだよ!やっぱり、ゲルドの件で、目をつけられてたのか?この圧倒的な気配……………。ヴェルドラと同じくらいだ。すると、ミリムという魔王が苦しみだす。

 

ミリム「な、なんなのだ!?あ、頭が痛いのだ!?」

 

サオリ「あ!ヤッベェ!大丈夫か!?」

 

リムル「どうしたんだよ!?」

 

ミリム「わ、私には、竜眼(ミリムアイ)というのがあってな。相手の隠している魔素の量まで、測定出来るのだ。なのだが……………お前は一体なんなのだ!?お前の魔素量がちっとも測定出来ないのだ!」

 

サオリ「すまん!呪力解放したからかも!」

 

なるほど、そんなスキルが。解析鑑定みたいな物か。それにしても、随分とやばい気配の魔王だよな。それより、解析出来なかったというのは、気になるな。すると、ミリムが口を開く。俺が首を傾げる中、ミリムという魔王は、俺を指差す。

 

ミリム「そこのお前!この私と戦うのだ!」

 

サオリ「えええ……………!?」

 

リムル「どうしてそうなるんだよ!?」

 

ミリム「お前の実力を知りたいのだ!」

 

なんでそうなる!?俺は心の中でそう思う。だが、下手に断って、面倒な事になるのは避けたい。俺はため息を吐きながら言う。

 

サオリ「………………分かった。」

 

リムル「良いの!?」

 

サオリ「下手に断って、面倒な事になるよりはマシだし。それに……………今の俺が、どのくらいまで通用するのか、知りたいし。」

 

リムル「………………あんまりやり過ぎんないでね?。」

 

サオリ「嗚呼。」

 

俺はそう言って、両面宿儺と五条悟の術式と六眼を発動する。いよいよ、こいつの出番か。俺は、そう思いながら。それを見たミリムは。

 

ミリム「ほう!それがお前の本気か!」

 

サオリ「嗚呼。言っとくけどそっちが挑戦者(チャレンジャー)だから。」

 

ミリム「では……………行くのだ!」

 

そう言って、俺とミリムは、お互いに駆け出して、ぶつかり合う。俺のパンチとミリムのパンチがぶつかり合い、周囲に衝撃波が放たれる。そんな中、リムルさんの元に、シズさん、イブキ、紅丸、蒼影、紫苑、シラカミ、クロガミ、嵐牙が集まる。

 

紅丸「リムル様!」

 

リムル「紅丸!シズさん!皆も!」

 

アリス・イブキ「サオリ様と戦っているのは……………魔王ミリム!?」

 

シズ「えっ!?」

 

蒼影「なっ……………!?」

 

紫苑「魔王が何故!?」

 

リムル「分かんないけど、今、私達に出来ることは、彼を信じる事だけ。」

 

シズ「サオリ君…………。」

 

リムル達は、そう話していた。俺とミリムは、現在進行形で戦っていた。言える事が、一つある。それは………………マジでやばい。

 

サオリ「(流石は魔王って言われてるだけはあるな……………!強いが……そこまでじゃないっぽい!)」

 

俺は、なんとか甚爾、五条悟、ウルティマ、テスタロッサ、カレラと戦った事もあって、戦えている。

 

ミリム「やるではないか!だが……………私には勝てないのだぁぁぁ!」

 

サオリ「それでも、やれるだけやるさ。」

 

ミリムがそう叫んでオーラを出す中、俺は無下限呪術と六眼を使い蒼を発動させる。

 

サオリ「術式順転:出力最大・蒼っ!」

 

ミリムを蒼で吸い上げようとするけどダメだった! 

 

ミリム「お。吸い込まれていくのだ。」

 

サオリ「行くぜ!」

 

俺はそう言って、攻撃を行う。だが、ミリムはそれに怯みつつも、あまり効いていない。俺は御厨子を使う。

 

サオリ「捌っ!」 

 

ミリム「おっと!やばかったなのだ!」

 

やばいな。さっさと決めるか。そう思い、黒閃の準備をする。

 

ミリム「ほう。来るのか。なら、来るのだ!」

 

サオリ「面白いものを見せてやる!」スッ!

 

ミリムがそう言う中、俺は黒い稲妻に好かれていた!

 

サオリ「黒閃っ!」

 

ミリム「ハァァァァァ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    バチバチバチッバチバチバチッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミリムのパンチと、俺のパンチがぶつかり合い、周囲にこれまでとは比にならない位の衝撃波が放たれる。それには、俺とミリムもしばらくは耐えたが、お互いに吹っ飛ばされる。

 

ミリム「アハハハハ!右手が痺れたのは、本当に久しぶりだな……………!」

 

サオリ「マジか!……………。」

 

ミリムは、高笑いしながらそう言う。それには、俺は引き攣った笑みを浮かべるしかなかった。どうやら、まだまだの様だ。

 

リムル「サオリ。ここは、私に任せてくれない?」

 

サオリ「リムルさん?」

 

リムル「頼む。」

 

サオリ「…………分かったよ。あとは任せた。」

 

リムルさんがそう言ったので、俺は、無下限呪術と六眼を解除し、後を任せる。ミリムが口を開く。

 

ミリム「どうした?まだ遊び足りぬのか?……良いだろう。もっと遊んでやるのだ。」

 

紅丸「リムル様………。」

 

リムル「諦めたら、そこで終了だから、出来るだけやってみるさ。期待はしないでね。」

 

サオリ「出来る限りはやれ。」

 

ミリム「ほう………。私に立ち向かうのか?」

 

リムル「自信があるのなら、私の攻撃を受けてみるか?」

 

ミリム「アッハハハハ!良いだろう!面白そうなのだ!………ただし、それが通用しなかったなら、お前達は私の部下になると、約束するのだぞ。」

 

リムル「分かった。」

 

そう言って、リムルさんはクレーターの中心にあるミリムの方へと向かう。リムルさんは、どう対処するつもりだ?すると、リムルさんが構え、リムルさんの右手に、金色の液体が集まる。

 

サオリ「(アレって確か………。)」

 

リムル「食らえ〜〜!」

 

俺がそう考える中、リムルは駆け出して、その金色の液体をミリムの口に突っ込む。しばらくの静寂の末、ミリムが叫ぶ。

 

ミリム「何なのだ、これは!こんな美味しい物、今まで食べた事が無いのだ!」

 

リムル「どうした?魔王ミリム。」

 

ミリム「えっ!?」

 

リムル「ここで俺の勝ちと認めるならば、更にこれをくれてやっても良いんだが?」

 

サオリ「(ああ、アレって、蜂蜜だな。)」

 

そういえば、確か、アピトって名付けた蜂から、蜂蜜を受け取ってたな。アピトとは、森でボロボロになっていたのを見て、保護した蜂だ。コーカサスオオカブトみたいな外見のゼギオンと共に。確かに、ミリムって、魔王だけど、幼そうに見えるもんな。

 

ミリム「欲しい………!うう………だがしかし、負けを認めるなど………!」

 

リムル「う〜ん!美味しい!」

 

ミリム「あ〜っ!!」

 

ミリムは、魔王としてのプライドか、負けを認めようとしなかったが、リムルさんが追い打ちをかける様に、蜂蜜をミリムの前で食べようとしている時、俺たちは、それを呆然と見ていた。

 

リムル「お〜っと!そろそろ残りが少なくなってきたぞ!」

 

ミリム「ま………待て待て!提案がある!引き分け………!今回は引き分けでどうだ?今回の件、全て不問にするのだ!」

 

リムル「ほほう?」

 

ミリム「も………勿論、それだけではないのだ!今後、私がお前達に手出しをしないと誓おうでは無いか!」

 

リムル「…………良いだろう。その条件を受けよう。」

 

ミリム「うわぁ!」

 

リムル「では、今回は引き分けという事で。」

 

そうして、リムルさんは若干悪い笑みを浮かべながら、ミリムに蜂蜜を渡す。未曾有の天災を、乗り切ったな。俺たちは、場所を移動して、ミリムが蜂蜜を舐めるのを見ていた。

 

ミリム「あ〜ん!う〜ん!美味しい!美味しいのだ〜!」

 

サオリ「それは良かったな。」

 

俺は、ミリムにそう話しかけ、リムルさんと思念伝達で話し合う。

 

サオリ《リムルさん、グッジョブ!》

 

リムル《ああ!………それにしても、これ以上面倒な事になる前に、早く帰ってくれないかな〜。》

 

サオリ《確かに…………。》

 

確かに。これ以上、ミリムがここに居ると、面倒な事になりそうだ。すると、ミリムが俺たちに話しかける。

 

ミリム「なあなあ。」

 

          「「ん?」」

 

ミリム「お前達は、魔王になろうとしたりしないのか?」

 

リムル「…………何で、そんな面倒な事しないといけないんだ。」

 

ミリム「えっ!?だって、魔王だぞ!?かっこいいだろ?憧れたりとかするだろ?」

 

サオリ「しないって。」

 

ミリム「えっ!?」

 

          「「えっ?」」

 

俺の言葉に、ミリムは驚いた様な表情を浮かべる。えっ、何で驚くの?リムルさんが、ミリムに質問をする。

 

リムル「魔王になったら、何か良い事でもあるの?」

 

ミリム「強い奴が、向こうから喧嘩を売ってくるのだ。楽しいぞ。」

 

サオリ「そういうのは間に合ってるし、俺たちは興味もないよ。」

 

ミリム「ええっ!?じゃあ、何を楽しみに生きてるんだ?」

 

リムル「色々だよ。」

 

サオリ「俺ら、やる事が多すぎて、かなり忙しいからさ。魔王の楽しみは、喧嘩以外には、何かあるのか?」

 

俺の質問に、ミリムは言葉に詰まる。

 

ミリム「無いけど………。魔人や人間に威張れるのだぞ?」

 

リムル「退屈なんじゃ無いか?それ。」

 

ミリムの答えに、リムルさんがそう言うと、ミリムは図星の態度を取る。まあ、魔王なんざ興味ないしな。魔王になって、余計なしがらみは増やしたくない。ていうか、退屈してんじゃねぇか。

 

リムル「じゃあ、そろそろ………。」

 

サオリ「気をつけて帰れよ。えっ!?」

 

俺たちがそう言うと、ミリムは俺とリムルさんを掴む。

 

ミリム「お前達、魔王になるより面白いことしているんだろ!?」

 

リムル「ええっ!」

 

ミリム「ずるいぞ!ずるい!ずるい!もう怒った!」

 

サオリ「そう言われても………。」

 

ミリム「教えろ!そして、私を仲間に入れるのだ!村に連れて行け〜!」

 

そう言って、ミリムは、俺とリムルを激しく揺すって、俺とリムルを締める。…………っていうか、限界!駄々っ子かよ!俺とリムルは、即座に脱出する。

 

リムル「分かった、分かった。」

 

サオリ「町には連れて行く。ただし、条件がある。今度から俺たちの事は、さん付けで呼べよ。」

 

ミリム「ふざけるな!逆なのだ!お前達が私をミリム様と呼べ!」

 

リムル「………じゃあ、こうしよう。私達がミリムと呼ぶから、貴女は私達を呼び捨てで呼ぶ。どう?」

 

俺とリムルさんの提案に、ミリムはそう言う。リムルさんが、折衷案を上げると、ミリムは少し目線を逸らして、答える。

 

ミリム「…………分かった。しかし、特別なのだぞ。私をミリムと呼んで良いのは、仲間の魔王達だけなのだ。」

 

サオリ「そうか、ありがとうな。」

 

リムル「じゃあ、今日から私達も友達だね。」

 

ミリム「う………うむ。」

 

サオリ「これから村を案内するが、俺たちの許可なく暴れるなよ。約束だ。」

 

ミリム「もちろんなのだ!約束するぞ、リムル、サオリ!」

 

どうにかなったみたいだな。ミリムが高笑いしていると。

 

ガビル「おや?」

 

ミリム「あ?」

 

その声がして、蒼影を除いた全員が震える。蒼影は、リグルドあたりに知らせに行ったのだろう。震えた理由は、ガビルがとんでもない事を言ったからだ。

 

ガビル「どなたですかな?このチビッ娘は?」

 

ミリム「えい!」

 

ガビル「ああぁぁぁぁぁぁ!!」

 

そんな事を言ったもんだから、ミリムに盛大に殴られ、石畳を破壊しながら、転がって行く。

 

ガビル「ああ…………。」

 

ミリム「誰がチビッ娘だ!ぶち殺されたいのか?」

 

暴れるなって、言ったばかりなのに………。早速暴れたミリムを俺たちが呆れながら見ていると、ミリムはガビルに話しかける。まあ、ガビルの自業自得な面もあるけど。

 

ミリム「良いか?私は今、とても機嫌が良い!だから、これで許してやるのだ!次はないから、気をつけるのだぞ!」

 

ガビル「ぶははっ!我輩の親父殿が、川の向こうで手を振っているのが見えましたぞ。」

 

リムル「貴方の親父は生きてるらでしょ。」

 

サオリ「何言ってんだ?」

 

ガビル「あっ。ところで、そちらのチビッ娘………。」

 

ミリム「ああ?」

 

ガビルが、またチビッ娘って言おうとした瞬間、ミリムはガビルを睨む。

 

ガビル「おっと。お嬢様は一体………?」

 

リムル「この子は、ミリム。」

 

サオリ「魔王の一人らしいぞ。」

 

ガビル「魔王ですと!?」

 

俺とリムルさんがそう言うと、ガビルは驚く。まあ、そうなるのも、無理はない。

 

リムル「あのね、ミリム。怒っていても、すぐに殴ったりしたらダメ。」

 

ミリム「う………私を怒らせる方が悪いのだ。それに、あの位は、挨拶の内だぞ。」

 

サオリ「殴り合いは挨拶じゃないんだぞ。それは禁止だ。」

 

ミリム「うう………!」

 

俺とリムルさんの言葉に、ミリムは頬を膨らませる。そんなこんなで、村の皆に、ミリムの事を紹介する。

 

リムル「新しい仲間を紹介する。」

 

サオリ「といっても、扱いは客人という形になるので、丁寧親切に対応して欲しい。」

 

ミリム「ミリム・ナーヴァだ!」

 

ミリムがそう叫ぶと、周囲がどよめく。まあ、魔王の一人だからな。

 

村人「なんと!?魔王ミリム様!?」

 

村人「おお………!ご尊顔を初めて拝謁出来ましたぞ!」

 

ゴブタ「さすが、リムル様とサオリ様っす!」

 

リグルド「あの暴君と、ああも親しげに……。これで、このテンペストも、安泰という物だ………!」

 

ミリムって、有名な魔王なんだな。っていうか、リグルドは泣きすぎだろ。すると、ミリムがとんでもない事を言った。

 

ミリム「今日から、ここに住む事になった!よろしくな!」

 

           「「えっ?」」

 

ミリムの発言に、俺たちが驚いていると、周囲が歓声を上げる。住むなんて、聞いてないぞ!?ただ案内して、案内し終わったら、帰る感じじゃなかったのか!?リムルさんが、ミリムに聞く。

 

リムル「………住むって、どういう事?」

 

ミリム「そのままの意味だぞ。私もここに住む事にしたのだ。」

 

サオリ「ああ………。ま、まあ、本人がそう言っているので、そのつもりで、対応して欲しい。」

 

リムルさんの質問に、ミリムが答え、俺がそう言うと、再び歓声を上げる。人気なんだな。すると、ミリムが叫ぶ。

 

ミリム「何かあったら、私を頼ってもいいのだ!」

 

ミリムの宣言に、村人は歓声を上げる。すると、リムルさんがつぶやく。

 

リムル「魔王と友達か………。」

 

ミリム「そうだな。友達は変だな………。」

 

リムル「あ………聞こえてた?」

 

サオリ「聞こえてたぞ。」

 

ミリム「え、えっと………。友達というより………マブダチだな!」

 

ミリムがリムルさんを持ち上げ、俺の腕を持ち上げながらそう言うのに、村人は、何度目かの歓声を上げる。俺たちは、驚く。

 

サオリ「マブダチ!?」

 

ミリム「違うのか!?う、うぅ………。」

 

俺の叫びに、ミリムが反応して、泣き出しそうになる。やっべぇ、地雷を踏んだか!?

 

リムル「マブダチ!マブダチ!皆!私達3人はマブダチ!」

 

リムルさんがそう宣言すると、周囲の人たちが、マブダチコールを始める。

 

ミリム「だろ?お前達も、人を驚かせるのが上手いな。」 

 

こうして、火薬庫よりも危険な魔王ミリムが、ジュラ・テンペスト連邦国の仲間入りを果たした。そして、温泉宿で、ミリムは温泉に入っていた。一方、俺たちは、和室に集まっていた。集まっていた面子は、俺、リムルさん、シズさん、リグルド、カイジン、紅丸、蒼影、白老、イブキ、ウルティマ、テスタロッサ、カレラだ。集まっていた理由は、ミリムの扱いと、今後の方針だ。ただ、リムルさんが何かを考え込んでいた。

 

サオリ「リムルさん。」

 

リムル「ああ、すまない。何だっけ?」

 

リグルド「ミリム様の件です。まさか、魔王自らやって来るとは思いませんでした。」

 

シズ「私も驚いたよ。」

 

リムル「でもまあ、一応は許可なく暴れないと約束してくれてるし………。」

 

カイジン「いや、しかし、気になるのは、他の魔王達の出方じゃねえか?」

 

サオリ「どういう意味だ?」

 

カイジンの言葉に、紅丸達は頷き、俺はカイジンに理由を尋ねる。

 

カイジン「魔王は何人か居るんだが………お互いが牽制し合ってるんだ。今回、旦那方がミリム様と友達と宣言したから、この町も、魔王ミリムの庇護下に入る事を意味する。本来なら、それは望ましい事かもしれんが………。」

 

白老「リムル様とサオリ様は、盟主という立場にありますのじゃ。つまり、このジュラの大森林が、魔王ミリムと同盟を結んだ………そういう風に、他の魔王達の目には、映るでしょうな………。」

 

紅丸「魔王ミリムの勢力が一気に増す事になり、魔王達のパワーバランスが崩れる。」

 

アリス・イブキ「それによって、魔王達の勢力争いに、この街が巻き込まれる恐れが出てきますね。」

 

    「「なるほど………。」」

 

つまり、俺たちは、魔王達の勢力争いに巻き込まれるかもしれないって事か。面倒な事になりそうだな。

 

リグルド「しかし、実際にですぞ。魔王ミリム様を止めようとしても、無理でしょう。」

 

シズ「私でも、無理かな…………。」

 

紅丸「あれは、別次元の強さだった。リムル様とサオリ様がいなければ、俺たちは今頃、生きてはいない。」

 

蒼影「その通りだ。他の魔王が敵対するというのなら、そいつらを相手にする方がマシだろう。」

 

そこまでか………。流石にそれはすごいな。しばらくの静寂の末、獅子脅しの音がすると。

 

リグルド「という事で、ミリム様のお相手は、マブダチとして、リムル様とサオリ様に全てを任せるという事で………。」

 

     「「「「異議なし。」」」」

 

      「「丸投げ!?」」

 

俺たちに丸投げしたぞ!俺たちが驚いている中、白老とシズさんが口を開く。

 

白老「魔王ミリム様は、最強最古の魔王の一人。絶対に敵対してはならない魔王と、言われておりますしのう。今回ばかりは、リムル様とエース様にお任せする他ありますまいて。ホッホッホッホッ。」

 

シズ「頑張ってね、2人とも。」

 

仕方ないか………。俺とリムルさんは、そう思った。だが、俺たちは知らなかった。ミリムが巻き起こす旋風は、まだ吹き始めたばかりだという事を。一方、当のミリムは、朱菜、紫苑にお湯をかけていた。

 

ミリム「アハハハハ………!楽しいのだ!うおぉぉぉ!ハハハ………!」

 

朱菜「お風呂で遊んではいけませんって、言ってるでしょ!」

 

紫苑「うう…………くらえ!」

 

紫苑はそう叫んで、お湯をミリムにかける。

 

ミリム「やったな!それ!」

 

朱菜「良い加減にしなさーい!!」

 

女湯から、朱菜の叫び声が響くのだった。




※今回からサオリの服装を教えます!

上は尾形カンナの制服で背中にスライムと龍のイラストがある軍服みたいなのを羽織っていて、下は無一郎の隊服のズボン?を履いていて、靴は黒いブーツ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。