Duel Masters Resister 作:六角ベンゼン
「「デュエマ・スタート!」」
襲撃者の男との真のデュエル…命を懸けた物騒なそれは、しかしいつもの掛け声とともに始まった。
魔法のごとく現れたデュエル台は、襲撃者の側が光っている。
それを見てドローなしでマナをチャージする襲撃者…どうやらターンプレイヤーの側が光るらしい。
「1マナタップ…凶戦士ブレイズ・クローを召喚。」
早速動く襲撃者。マナにチャージされた轟速 ザ・ゼットといい、やはり赤単バイクの使い手のようである。
マナゾーンから炎があふれ出し、フィールドに流れる。
フィールドでは炎が渦巻き…炎の中から、ブレイズ・クローの見慣れた姿が現れる。
しかしギラギラと輝く爪は、それが1コストのウィニーであるとは思えないほどの殺気を放っていた。
ターンエンド宣言とともに、今度は台の晴人の側が光る。
後攻は1ターン目のターンドローから始まる。カードをドローし…晴人は手札から禁断竜王 Vol-Val-8をマナチャージ。タップ状態でマナに置かれる多色カードは1ターン目にチャージする、多色デッキの常套手段だ。
「ターンエンド。」
赤単のような速攻デッキならばともかく、たいていのデッキは1ターン目の動きはない。ターンが返ってきた襲撃者は、再びマナをチャージ。
「2マナで一撃奪取トップギアを召喚。」
フィールドに現れたのは、金色のバリスタを装備した赤髪の戦士。
一撃奪取の名の通り、まず戦場に舞い降りて次の動きにつなげる…各ターン最初に召喚する火のクリーチャーのコストを1軽減するシステムクリーチャー。
1ターン目のブレイズ・クロー、2ターン目のトップギア…どうやら相当手札がいいらしい。最速の3ターンキルは覚悟すべきだろう。
そして、ターンはまだ終了しない。
デュエマには召喚酔いという概念が存在する。それによりクリーチャーは召喚されたターン攻撃できないが、その次のターンからはその縛りも解ける。
そして、ブレイズ・クローは1マナの攻撃可能なクリーチャー。この手のクリーチャーには得てしてデメリット能力がつくのだが、ブレイズ・クローのデメリットは単純…毎ターン攻撃しなければならない、それだけ。
そもそも赤単は召喚した軽量クリーチャーでガンガン攻撃するデッキゆえ、デメリットはほぼ気にならない。
襲撃者も、デメリットを気にする様子もなく、ブレイズ・クローをタップ。
「ブレイズ・クローでプレイヤーを
ブレイズ・クローが晴人に向かって突撃する。しかし展開されているシールドが攻撃を阻み…
破砕音とともに、シールドが1枚砕け散る。ガラス質の破片が飛散し、晴人の方へ飛来。
咄嗟に顔を腕で庇い、失明してデュエル続行不能なんてことは免れたが、腕には破片が突き刺さる。その瞬間走る鋭い痛み。
「うぐッ…」
…覚悟してはいたが、想像以上の苦痛だ。思わず苦悶の声を漏らす晴人だが、気を取り直すとブレイクされたシールドを手札に加える…ボルシャック・クロス・NEX/ボルシャック英雄譚。S・トリガーではないため、そのまま攻撃処理が終了され、晴人のターンに。
「チャージして2マナ。メンデルスゾーンを発動。」
ドラゴンデッキの定番初動、メンデルスゾーン。火と自然の多色2マナ呪文で、その効果はデッキ構築次第で絶大…山札の上から2枚を表向きにし、ドラゴンをすべてタップしてマナに置く。
シールドが勝手に展開された時といい、やはり魔法的な力が働いているらしい。呪文を発動すると自動的に山札の上2枚が表向きにされ…光鎧竜ホーリーグレイスと地封龍ギャイア、両方ドラゴンのためマナゾーンに送られる。
アニメのようなその光景に、戦闘中ながらつい見入ってしまう晴人。
しかし、襲撃者の召喚宣言に、すぐに正気に戻り、じっと構える。
「軽減して3マナ。轟速ザ・レッドを召喚。」
バトルゾーンに降り立ったのは、1台のバイクとそれに乗ったライダー。
単体ではスピードアタッカーしか持たず、召喚酔いを無視できるだけのそのクリーチャーは、しかしその種族ゆえに強力である。
「ザ・レッドで攻撃時、侵略を宣言する。火のコマンドの攻撃時…熱き侵略 レッドゾーンZに侵略!」
レッドゾーンZ。轟く侵略 レッドゾーンの後継機であるそのクリーチャーは、全体的にレッドゾーンをスリムにしたような姿をしており、軽量化がうかがえる…
しかし最大の特徴は、エンジンより噴き出す蒼い炎。腕に纏ったその炎が晴人のシールドに向けて放射され…ブレイクするではなく、跡形もなく焼き尽くす。
登場時効果による1枚のシールド焼却。墓地に置かれたシールドのS・トリガーは発動できず、手札も増えない。丁度S・トリガーのボルシャック・大河・ルピアが墓地に落ち、顔をしかめる晴人。
さらに、レッドゾーンZの拳が、シールドを叩き割る。レッドゾーンZはW・ブレイカー、シールドが2枚一気に叩き割られ、晴人の残りシールドは1枚。
滴り落ちる血も気にせずにシールドチェックするが、S・トリガーはなし。
絶体絶命の晴人の最後のシールドを、ブレイズ・クローが叩き割る。
シールドチェック…S・トリガーはなし。
もはや身を守るものは存在しない。襲撃者は勝利を確信し、ダイレクトアタックを宣言する。
トップギアがバリスタに矢をつがえる中…晴人は瞳を煌かせ、言った。
「…まだだ。」
恐怖の上振れ3キルバイク