Duel Masters Resister 作:六角ベンゼン
襲撃者の猛攻が、晴人のシールドを全て削り切った。
もはや身を守るものは何もない…勝利を確信してトップギアのダイレクトアタックを宣言する襲撃者。
だが、晴人は未だ、諦めてなどいなかった。
「…まだだ。革命0トリガー、
これには襲撃者も面食らったようで、初めて焦ったような表情を浮かべた。
革命0トリガー。自分のシールドが0枚、かつ相手のクリーチャーが自分を攻撃する時にのみ使える、逆転への最後の1手。
山札の1番上を表向きにし、それが進化でない火または光のクリーチャーならばバトルゾーンに出したうえで、革命の絆に進化させる。
このデッキに外れは8枚。メンデルスゾーン4、ギャイア2、ヴァルキリアス2である。
果たして結果は…ボルシャック・大河・ルピア。
火のクリーチャーなので賭けは成功。
竜の翼を身にまとった鳥がバトルゾーンに現れ…即座に進化。
巨大な拳を持つ、蒼き翼の赤き竜と、時計にも似た装甲をまとう白き竜。
かつて背景ストーリーにおいて侵略者に抗った2頭がコンビを組み、今ここに降臨する!
「まずは大河の効果を解決。レッドゾーンZをマナに送る!」
革命0トリガーの強みとして、進化元として出たクリーチャーの登場時効果を使うことができる。大河ルピアの効果で、レッドゾーンZが地面に引きずり込まれ、襲撃者のマナに送られる。
「続けて革命の絆でブロック。トップギアとバトル!」
さらに革命の絆はブロッカー。相手のクリーチャーの攻撃時、タップすることで攻撃対象を自身に変更する。
強力な軽減効果の代わりに、トップギアのパワーはたったの1000。パワー8000の革命の絆とバトルし、一方的に破壊される。
これにて打点はなくなった。間一髪で晴人が耐えた形となる。
苦い顔でターンを終了する襲撃者。
晴人にターンが回ってくる。
「反撃開始だ。ボルシャック・栄光・ルピアをマナチャージ。俺のマナゾーンのドラゴンは5枚…条件達成、3コスト軽減!ボルシャック・ドリーム・ドラゴンを召喚!」
黒銀色の装甲をまとい、王冠を被ったその姿はまさに竜の王。銀の翼をはためかせ、巨大な拳は炎を纏う。
ボルシャック・ドリーム・ドラゴン。白赤緑ボルシャックの中核を成す超強力なクリーチャーだ。
名目コストは7ながら、自分のマナゾーンにドラゴンが4枚以上あれば3軽減され、4コストで出てくるだけでなく、スピードアタッカーを持ち、さらにターンに1回、自分のドラゴンが出た時に相手のクリーチャーをタップできる常在効果も持つ。
そして、攻撃時に山札の1番上を見て、それがドラゴンならばバトルゾーンに出す効果…いわゆる「連ドラ」効果も持つが、最大の強みはそこでもない。
4コストで出てくる、名目上7コストの、名前にボルシャックとある多色クリーチャーであること。それこそがボルシャック・ドリーム・ドラゴンの神髄である。なぜならば…
「ボルシャック・ドリーム・ドラゴンでプレイヤーを攻撃時、革命チェンジ宣言!行くぞ…竜皇神 ボルシャック・バクテラス!!」
ボルシャック・バクテラスの重い革命チェンジ条件を、簡単に満たせるからだ。
燃え盛る翼のその竜が咆哮すると、晴人の前に、山札の上から4枚が浮かび上がる。
「バクテラスの効果を解決。山札の上から4枚見て、アーマードを好きなだけ…ボルシャック・ドラゴンとVol-Val-8を出し、ボルシャック・ドラゴンをヴァルキリアスに進化!」
「さらにヴァルキリアスの効果を解決、マナから地封竜ギャイアをバトルゾーンに!」
「最後にボルシャック・ドリーム・ドラゴンの効果を解決。ラフルル・ラブをバトルゾーンに!」
凄まじい勢いで並ぶ盤面。そのどれもが重く、強力なドラゴンだ。
ギャイアの効果で、登場時効果を持つクリーチャーは、出る代わりにマナゾーンに置かれ、その効果を発揮しない。
さらに、ラフルル・ラブの効果で、呪文は唱えられない。
万が一どちらでもない受け札があったとして、ジャストダイバーのVol-Val-8は選ばれないし、EXライフで除去も耐えられる。
一連の処理が終了し、バクテラスがシールドを3枚叩き割る。都合よくこんな場面で使えるS・トリガーが入っているわけもなく、攻撃が通る。
さらに追撃、ラフルル・ラブのW・ブレイク。トリガーはなし。
Vol-Val-8が駆動する。襲撃者にはそれを止める手段などもはや存在せず…
禁断竜の剣が、襲撃者に向けて放たれた。
土煙が立ち込める。
土煙が晴れると、そこには何もいなかった。
「申し訳ございません。失敗いたしました。」
襲撃者の男は、生きていた。
しかしもはや襲撃を仕掛ける余力はないようで、壁にもたれかかりながら無線で通信せている。
『構わん。疲れたろう、今から回収に向かう。』
通信の相手は上司のようである。襲撃失敗を咎めることはなく、むしろ労いの言葉をかけると、さらに続ける。
『しかし珍しいな。【神速】の嶺二と呼ばれる君が敗北するとは。』
「私とて無敵ではありませんよ。」
『…念のため、相手の情報を教えてもらえるか?』
晴人の知らないところで、脅威はうごめいているようである。
一方、晴人は。
襲撃が終わったことを確認すると、力が抜けたかのようにその場に倒れ込んだ。
「疲れたぁ…」
無理もない。初めての真のデュエル、かなりの傷を負ったうえで、何なら死の1歩手前くらいまでは行ったのだから。
一方、倒れ込んだ晴人に駆け寄るのは、いつの間にか集まっていた野次馬たち。
「あんたが助けてくれたのか!」
「すげえよ!」
人々を助けるために大立ち回りを演じたバクテラスが味方であることは分かっているようで、まるで英雄にでもなったかのようにもてはやされている。
…が、晴人の体力はもう限界だった。
喧噪の中、バクテラスに見守られ。
彼は、そっと意識を手放した…
そして目覚めると、病院の天井が映っていた。
体に巻かれた包帯…ベッドの傍らには、ボルシャックのデッキが置いてある。
どうやら、真のデュエルの後、怪我を負っていて病院に運ばれたらしい…状況を整理していると、病室のドアが開いた。
入ってきたのは、青い制服を着て帽子を被った、男女2人組…帽子の中央には、旭日の紋章。つまり、警察官である。
「京都府警の者です。ちょっとお話を聞かせていただきたく…」
…大変なことに巻き込まれてしまったようだ。
上振れ3キルバイクvs上振れ3キルボルシャック