あけおめ投稿しようと考えてたらクリスマス前から熱出してなんもできなかった!!!!!!
あとニンジャスレイヤーとかみて「ナレーション式三人称良い」となったので以降は不評が無数に届くまでこのままやってきます。
ほな本編どうぞ。
【START】未知との遭遇
親元を離れて暫く、当てもなくブラブラと歩いていた賢獅子は、群れや巣の内では味わう事の無かった様々なトラブルに見舞われた。
他者の縄張りへ無意識に踏み込み争いになったり、食事中にモンスターが横取りしに来たり。
寝てる最中の襲撃は当たり前で、群れや狩りに慣れた故に気が抜けていた結果、相手が賢獅子の実力を測り切れずに無謀にも襲い掛かって来たりした。
それ以降、賢獅子は軽く力んで強さを見せる事で争いを回避する。
だがしかし、己が弱者を装い獲物を返り討ちにしている事に気付くまでに、賢獅子は大量の血を流す事になった。
尚、流れた血の全て相手の血である。
そうして賢獅子が生まれ育った未知の樹海を抜け、更に日の昇る方角──
(ここは……やっぱりそうだ、密林だ! いやー、見慣れた景色なのに、一人称視点だと凄い新鮮!)
豊かな森、青い海に香る潮風。
離れ小島にある巨大遺跡を一望出来る砂浜。
海にジャンプして逃げるダイミョウザザミと、それを追い掛けるザザミ達。
蟹を食い損ねたと微かな後悔が賢獅子の脳内を過ぎる。しかし、それも些細な事だったようだ。
(憧れの観光地に来た気分だ……よし先ずは、そうだな……探検、するか!)
既に遠い昔となった前世の記憶、それを刺激されて駆け出して来てしまったからか、賢獅子は周囲の安全確認が未だだったことを思い出した。
手短に今いる浜辺を確認してみれば、MHP2Gの密林では存在しなかった生物がそこかしこに見える。
つまり、この世界にはサンブレイクも混ざっていると言う事だった。
(成る程……なら、ここも激戦区ってわけだ)
だがしかし、賢獅子の考えとは違い、今の密林は何処か平和だった。
並の大型モンスターは居らず、そこそこ出来るモンスターも賢獅子を見た瞬間に及び腰になり、一吠えしては何処かへと駆けたり、飛んだりして姿を消して行く。
(ん~……? あ、そーだ俺ラージャンだったわ)
長い間家族と過ごしていて賢獅子は忘れていたようだが、本来ラージャンというモンスターは、その凶暴性や攻撃性から古龍級生物と恐れられる存在。
端的に言うと、物凄く強くてクソ程怖いのだ。
最近の賢獅子は面倒事を避けて力む事でその強さと恐ろしさを滲ませている。
その力みを本人は軽く威嚇する程度の物と考えているが、実際は違う。
己を簡単に殺し得る化け物が自身の棲み処に現れ、威嚇にも微動だにせず、されど目だけがじっと此方を獲物として見続けている。
それ故に、被捕食者としての恐怖を叩き込まれたモンスターは脱兎の如く逃げ出したのだ。
(エスピナスも居ないし、古龍の気配も無い。G級モンスターみたいなヤバイ気配もしない……良し! なら暫くは此処を縄張りにしよう!)
賢獅子は密林を練り歩き、大木の麓に木材や葉っぱを組み合わせてテントを立てると、荷物を降ろして一息ついた。
そうして落ち着いた故か、賢獅子は今まで自身の奥底に沈んでいた欲望が湧き出て来るのを感じる。
自身を掻き立てる欲望の正体に察しが付いているが、賢獅子はそれを一先ず後回しにして、疲れを取るために寝転がった。
密林に、強者の寝息が響いた。
■
静かな寝息を立て始めた賢獅子。その側にそそり立つ大木の枝に、賢獅子を見下ろす存在がいた。
枝葉っぱに紛れる様な装衣を纏うその存在──その正体は、幻獣キリンの装備を身に纏う妙齢のG級ハンター、パトラであった。
(周囲の環境に合わせて身を隠す装衣──名付けるなら【隠れ身の装衣】……いいかもね)
かつて賢獅子一家を見付けたパトラは、ギルドにいる研究員の友に依頼し、作らせた隠れ身の装衣を持って、その後も一家の監視を続けていた。
監視を続けた理由は単純な興味、そして好奇心だった。
ただでさえ文献の少ないラージャン、その子育ての風景は、未知を探求し世界を股に掛けるパトラに取って垂涎の光景。ずっと見ていられる訳ではなかったが、しかし暇が出来ると、必ずと言って良い程にその場所へと通っていた。
そして、巣立ちした賢獅子を未知の樹海から密林まで追いかけて来たパトラには、ある目的があった。
(
しかしその思考へと没入する前に、パトラは密林へと近づいて来る船を見付けた。
その船の甲板には、インナー姿のハンターが乗っている。
(クエストかな? でも賢獅子が来た所為で、今の密林の狩猟環境は目茶苦茶……でも
己の欲望を主軸とした策を弄するため、パトラは船が接岸するキャンプ地点へと向かった。
賢獅子を起こさないよう気を付けつつ、大木の裏に回ってツタを掴み大木の表面を滑り降り。樹皮の僅かな
もしも装衣を身に纏っていなければ、その姿に人々はかの幻獣を想起したことだろう。
かくして、パトラは崖の高低差を物ともせずキャンプへと到着。下位ハンターの目の前へと着地。
それは、密林のキャンプ地点に船が接岸されるのと同時の事だった。
「うわっ!? ──あ、え、他のハンターさん!? もしかして、何か問題ありましたか?!」
突然現れ、隠れ蓑を脱いで露わになったパトラの姿に驚き、そして見惚れる下位の女ハンター。
しかし即座にパトラから漂う強者のオーラを感じ取り、異常事態を察して質問する。
そんな下位ハンターにパトラは(この娘、良いかも)と内心で思いつつ、事態の説明を始めた。
「詳細はまだ言えないけど、とても危険なモンスターがこの密林に来ちゃったの」
「え、危険なモンスター……ですか?」
「そう、そのモンスターの所為で狩場が目茶苦茶になっちゃってね。その時にこの船を見付けたから、ついでに警告に来たの」
パトラの言葉に、下位ハンターは「私のザザミソー!?」と叫ぶ。
それに対しパトラが「全部逃げちゃったよ」と追撃する。下位ハンターは膝を付いて落ち込んだ。
「私のザザミソ……うう、違約金が~……」
「その事なんだけど、ちょっといいかな?」
パトラは落ち込む下位ハンターに微笑みかけて、ある取引を持ちかけた。
■
「ありがとございますパトラさーん! この手紙、絶対ちゃんと渡しますからねー! それとお金! 本当にッ、ありがとうございましたー!!」
離れて行く船の上で元気よく手を振り、二枚の手紙を掲げる下位ハンター改めアリシア。
そんな危なっかしい姿に僅かな心配を抱きつつ、静かに手を振り返すパトラ。
やったことは単純。紙と筆、墨を貰うと、ギルドに対する密林の報告と、賢獅子の観察記録を書き出した。
そしてアリシアに、手紙の配達費と、クエスト失敗の違約金をパトラの口座から支払うという文書を渡したのだ。
「……これでハンターとしての義務は果たした。さて、それじゃあ観察の続きでも……おや?」
突如として、パトラの長く靭やかな脚に振動が伝わる。その直後にアプトノスの悲鳴、そして暫くして血の臭いが漂って来た。
現在の環境を考えれば、それは賢獅子の目覚めを知らせるものとなる。
「起きちゃったか……ちょうど良いし、ご飯でも一緒しようかな」
パトラは長年に渡り賢獅子を観察した結果、賢獅子とならコミュニケーションを取る事が可能と考えていた。
気性は大人しく、狩り以外での殺生は虫を除いて一切しない。ラージャン同士でジェスチャーと鳴き声を用いての会話をしていた事から、それを真似すれば可能性は高い。
「たしか好みは肉で……キノコもあると良いかな」
パトラは今だ誰も成し得ていないモンスターとの会話を楽しみにしつつ、自身から逃げるケルビを同じステップで追いかけ、大剣で仕留めるのだった。
■
時は少し遡る。
姦しい声で目を覚ました賢獅子は、しかしそれを気にすることなく、食事の準備を始めていた。
近くで平たい石を手に取り、それを洗い。ついでに別の石同士をぶつける事で魚を取る。
軽食としてサシミウオを摘みつつ、余分に集めていた木を折り、地面に突き刺してその上に石を乗せる。
(フライパンか鉄板が欲しいな……作るか貰うか、はたまた奪うか、盗むか……そのうち考えよう)
欠伸をこぼしつつ、賢獅子は肉を取りに気配を隠し歩く。それはラージャンと言う強者がする筈のない行動、故に絶大な効果をもたらす。
影に潜み、呑気に草を食むアプトノスへ向かって奇襲を仕掛ける。本来なら騒ぎ立てるアプトノスだが、側にラージャンが居ることに気付いていない様子だ。
群れで一番巨大なアプトノス、その首に向かって放たれた手刀は、当然の如く脊椎を折り、神経を断つ。
突然の大型モンスターの登場や、群れのボスの死去に騒ぎ逃げ出すアプトノス。
それを無視して解体を始める賢獅子。本来なら川に浸けて冷やしたい所だが、寝起きにそんな面倒な事はしたくないと、血と内臓を抜くだけにとどめた。
アプトノスを引き摺りテントへと戻ると、賢獅子は火を起こし始める。弓切り式の火起こし器での着火だ。
あらかじめ作っておいたひきり板、主軸との接地面に木屑を振りかけ、火起こし開始。キュルキュルと木材同士が擦れ合う音が響き、暫くして煙が上がる。
火種を消さないよう、解した草紐へと火を燃え移し、それを焚き火台へと置く。火が消えないよう息を吹き掛けつつ、取って置いた枯れ葉や枯れ枝を積み上げ火を強くしていく。
(ふう……手慣れたもんだな)
安定した火を前に、賢獅子は内心で呟く。
だが、火を起こして終わりではない。解体し、皮を剥いだアプトノス、その脂身を熱した石板に塗り、肉を乗せていく。
(脂が弾けるこの音、肉が焼けるこの匂い……! いつ味わっても飽きないな)
とは言え、肉が焼けるのには暫く時間がかかる。それまで賢獅子は、アプトノスの後脚を食べて空腹を満たした。
(最初は抵抗があったが、慣れれば生肉も美味いもんだが──……さて、何が来た?)
食事中、賢獅子は道中で感じていた気配が、分かりやすい音を立てて近づいて来た。
二足歩行特有の足音からして、対象はハンター。音の大きさから、重い物を持っている様だ。
そして、敵意が無い。
「食事中にごめんね、同席しても良い?」
現れたハンターは、キリン装備を纏うG級女ハンターのパトラであった。
パトラは雌ケルビの角を手に「これお土産」と賢獅子へと掲げて見せる。
そのケルビは血抜きがされており、内臓も抜かれている。だがホワイトレバーは確りと残しており、それも差し出し周到っぷりを見せる。
(……………………)
「……あれ、何が間違えたかな?」
しかし、肝心の賢獅子はパトラを見つめたまま動かない。
そして、その原因はパトラにあった。
キリン装備を身に纏う、身長175センチの肉付きの良い、神秘的で美しい妙齢の女性。
日の光を浴びて輝く、無駄毛の一切存在しない艷やかな肌に、惜しげも無く晒された魅力的な肢体。
そんな存在が青い瞳を瞬かせ、桜色の唇を震わせて、新雪の積もる雪景色の様な静謐な声で喋りかけるのだ。
言ってしまえば、パトラは賢獅子の好みドストライクだった。
もしも理性が足りていなければ、今直ぐこの場所で性の大連続狩猟を行う所だった。
二人の子供達で新大陸を座巻する妄想が脳内から溢れ出す寸前だった。
「お~い、どうしたの?」
「ホッ!?」
そして、その一時的にな暴走を止めたのもパトラだった。
手を振るパトラに再び衝撃を受け、それで正気を取り戻した賢獅子は誤魔化すように咳払いし、良く焼けた肉を差し出してみるのだった。
■
食事を終えた賢獅子とパトラは、互いに向かい合っていた。微笑みを浮かべるパトラと、訝しむ賢獅子。会話はパトラから始まった。
「先ず、私はパトラ。パ・ト・ラ……わかる?」
(モンハン語は分からん。パトラ……指差して言ってるし、名前かな?)
自身を指差し名前を繰り返すパトラ、ジェスチャーと単語でその意味を理解し、賢獅子は頷いて見せる。
「あ、通じた! いや、未だ偶然かも知れない」
賢獅子の反応に一瞬喜ぶパトラだが、即座にそれだけでは判断できないとし、続いて賢獅子を指差し「ラージャン」と繰り返した。
(ラージャン、それは変わらないのか)
パトラの言葉に頷き、自分を指差す事で“俺はラージャン”と理解している事を伝える。
そしてその直後、モンスターが自身の呼び名を──人が名付けた名前を自分だと答えた事に気付いた。迂闊である。
「ふ~ん、君はラージャンを知ってるんだ~……」
小首を傾げ、微笑みながら自身を見上げるパトラに、賢獅子は焦りと魅力から目を逸らすのだった。
★オマケ
■賢獅子
・未だにラージャン初心者の転生者。強さはG級の動きをする上位の下。肉体も未だ成長途中。
・敵は牙を剥いて来たらシバいて喰らうスタンス。それ以外の害が無い存在は基本放置。
・
■パトラ
・とある目的の為に賢獅子を暇ある度にストーキングしていた見た目の良い変人。
・長年の観察から賢獅子と言う存在を推し量り、コミュニケーションが取れると確信して行動に出た。
・このあと目茶苦茶お話した。
■アリシア
・密林へ狩猟に来た運のない女ハンター。お金や武器とご飯に注ぎ込むタイプ。
・仮定2dos主人公。主役だったら同性の強強不思議ハンターとの出会いで物語が始まっていた。
・今後の出番は未定。いる?
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