宇宙戦艦ヤマト 時間断層工場を添えて   作:ss好き

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今回はリメイクキャラが二人登場します。


第四話 地球のさらなる強化、そしてあの艦の帰還

 太陽系 土星宙域 宇宙戦艦シナノ

 

 宇宙戦艦シナノの第一艦橋艦長席に山南 修は座っていた。細身で飄々とした印象に反して、現実をドライに考えている男。その視線は艦橋内で己の職務を遂行する、乗組員の姿とメインパネルに映る数百隻もの輸送船団と護衛の艦艇の姿だった。

 

(既に何度も見た光景ではあるが・・・やはりまだ実感が湧かないな。1年近く前はヤマトを送り出したとはいえ、滅びかけの星に過ぎない筈だった。それが時間断層工場の出現により、状況が一変した)

 

 山南は心のなかで呟きながら、これまでの出来事を振り返っていた。時間断層工場の出現から地下都市のエネルギー回復。復興と軍の再建、避難用コロニーの建設と状況が一気に好転していく様は喜ばしい反面、目まぐるしく変わる現実に実感が追いついていない気分だった。この艦も自身が尊敬し指揮下にいた男、沖田 十三が現在指揮している艦にして今や人類の一つ目の希望である、宇宙戦艦ヤマトと瓜二つだった。ヤマト型宇宙戦艦3番艦シナノ、時間断層工場の造船所で建造された宇宙戦艦であり、防衛軍再建計画の一環として2番艦ムサシと共に建造された艦だ。宇宙戦艦ヤマトの同型艦建造は防衛軍副司令官の芹沢虎鉄が、希望であり象徴的存在である宇宙戦艦ヤマトの同型艦の存在は地球人類に精神的支柱になり、プロパガンダ的にも使えると考えたために建造された経緯があった。

 結果は芹沢が考えた通り、ヤマトの姉妹艦は人類に安心と信頼、高揚をもたらした。その成果は時間断層工場込でも時間が掛かると言われた地下都市復興とコロニー建設を予定よりも数週間早く、完了させてしまうほどだった。最早放射能の恐怖がなくなり、地球人類にあるのはヤマトが戻ってくるまで、何が何でも地球を守るということだった。そこには暗く鬱屈した心はなく、決意と青い地球が戻ってくることを心待ちする、希望に満ちた姿だった。

 

 (沖田さん、ヤマト・・・私達からはそちらに伝えられませんが、地球は心配ありません。皆が明るく、決意に満ちた心で帰還を待っています。戻ってくるまで、今度こそ地球と人類は守ってみせます。ですから、どうか無事に帰ってきてください)

 

 山南は軽く目を閉じ、そう祈るように心のなかで呟いた。

 

 

 

 

 

 避難用コロニー 地球防衛軍司令本部 会議場

 

 会議場に集まった藤堂長官を含めた軍と政府高官を前に芹沢副司令が太陽系防衛強化の案を提出していた。それは長門型、阿賀野型、初春型の艦艇を中心に建造し、次点に護衛艦とパシフィック級を建造し、えいゆう型戦艦を計画中のもので打ち切り、これら5種類の艦艇にリソースを分けるようにする。それと並行して太陽系各惑星と衛星に基地を建設し、防衛力強化を行う計画だった。それに加え基地建設後は資源採掘基地やマイクロウェーブを使った遠隔地の発電施設の建造、造船所の建築も含まれており、民間にも経済力強化に使える案を考えていた。

 

 「時間断層工場があるとはいえ、それ一つに依存していては健全な経済と軍の維持に支障が出る恐れがあります。地球再生後は当然地上の復興を行いますが、太陽系内の再開発と防衛戦力の駐屯による地球本土と太陽系の防衛、そして太陽系外への開拓の足がかりとして各惑星と衛星への建設計画をここに立案します」

 

 芹沢は力強い口調で議場全ての人間を射抜くように見渡しながら話した。彼としては経済復興、軍拡を行うことに時間断層工場は必要だと考えていた。しかし、何らかの理由でそれが消滅してしまった時、時間断層工場に依存した体系では危険とも考えていた。そこで時間断層工場なしでも経済と軍を健全に運用できるように、今回の各基地と発電所の建設計画を立案したのだった。

 藤堂長官を除く軍・政府高官らは盲点だったと言わんばかりの驚いた表情を浮かべていた。時間断層工場の利点ばかりに目を向けていたが、ちょっと考えればすぐに分かることだった。一つの物に依存し、いざそれがなくなれば何もできずに崩壊していく地球経済と軍を見つめるしかなくなるのだと。藤堂長官は、

 

 「時間断層工場は今後も利用していくが、通常の工場や研究機関の強化・運用も並列で行い、健全な組織運用を今後とも行うためにも、芹沢君の案を採用したいと思うが、どうかね?」

 

 この言葉に議場の人間は誰一人反対することはなかった。芹沢の案は満場一致で可決され速やかに計画が立案され、必要な資材と輸送船の数、護衛艦の数をどうするかの話し合いに移っていった。そんな時、防衛軍通信士が慌てたように議場に飛び込んできた。彼の顔は興奮と喜びに打ち震えていた。

 

 「会議中に失礼します!!冥王星沖で哨戒任務中だった宇宙戦艦ムサシより緊急入電です!!『我、宇宙戦艦ヤマトの太陽系への帰還を確認せり。繰り返す、宇宙戦艦ヤマトは放射能除去装置を持って、太陽系へ帰還せり』!!」

 

 宇宙戦艦ヤマトが太陽系へ帰還し、長った旅路とガミラス戦争の終わりが見えてきた瞬間だった。




現在の地球防衛軍の艦艇数は、
・えいゆう型戦艦・・・324隻
・パシフィック級・・・190隻
・護衛艦・・・600隻
・長門型宇宙戦艦・・・100隻
・阿賀野型宇宙巡洋艦・・・200隻
・初春型宇宙駆逐艦・・・400隻
です。

時間断層工場でドレッドノート級が数千〜数万単位で建造されたと考察があった為、旧作の1年かそれ未満で戦艦含め数百隻以上建造できる旧作ヤマトならこんな感じかなと思いました。詳しい数があれば教えていただけると嬉しいです。

完結編駆逐艦である初春型宇宙駆逐艦の武装について感想がありましたが、主砲は大口径1基にして、ミサイルと雷撃中心にしていると何かの本で書いていた様な気がするため、特に武装は変えずに登場させました。

一応は復活篇のブラックホール破壊まではやりたいと思っています。知識や記憶に穴が空いていたり間違っていたりするかもしれませんが、こんな作品でよろしければ今後も宜しくお願いします。
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