DQⅣ世界に、迷い込みて候   作:虚夢想

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Lv11 エンドール

 

 

   [壱]

 

 

 木こりのおじさんとの一件があった翌日、俺はフォルス達と共にブランカへとやって来た。

 そして、ブランカで少々の旅支度を整えた後、俺達はエンドールを目指し、行軍を開始したのである。

 今日の旅の面子は昨日と同じだ。

 俺とフォルスとシンシアとローグさんである。

 装備も全員、昨日と同じだが、シンシアはヒジャブのようなモノを被り、長い耳を隠していた。

 長旅になるのでモシャスの魔力消費を節約する為だそうだ。そのせいか、ムーンブルクの王女みたいな出で立ちとなっていた。

 まぁこれは仕方ない対応だろう。この世界のエルフにとって、人間社会は少し生きづらい設定があるからだ。ロザリーの悲劇みたいなのは避けたいところである。

 ちなみに、シンシアが使える魔法はホイミ・キアリー・ラリホー・ルーラ・モシャスらしい。フォルスはホイミ・二フラム・メラだそうだ。ゲーム的に言うなら、レベルは3から5くらいだろう。このレベルでモシャスが使えるのが解せないところだが。

 まぁそれはさておき、いつものメンバー的な感じなのだが、今日はちょっと訳ありだったりする。

 実は昨日の晩、俺が世界樹の下で寝ていた時、ローグさんがやって来たのだが、そこで色々とあったのだ。

 その時のやり取りはこんな感じである――

 

「ジュライさん……今ちょっといいか?」

「どうしたんです、こんな夜中に?」

「ちょっと言いにくい話なんだが……俺はエンドールまでは同行させてもらうが、そこで旅から外れても良いだろうか?」

 

 唐突なお願いだったので、俺は少し驚いた。

 

「えっ、旅から外れる……なぜですか?」

「今まで話してなかったが、実は……俺はエンドールに妻子がいるんだ。時々は山奥の村から帰ってきたりして、家の様子を見に来てたんだが、最近色々とあったもんでな。ここらで一回、身体を休めようと思っているんだよ。今日、木こりの親っさんの話を聞いてから、柄にもなく人恋しくなってしまったようだ。まぁ理由はそれだけじゃないが……」

 

 要するに、家でゆっくりしたいと言いたいのだろう。

 こちとら、わけのわからん世界に飛ばされて気が滅入ってたので、ちょっとイラっとくる内容だったのは言うまでもない。

 

「では、フォルスの修行はどうするんですか?」

「実はそれの件で、今日は相談に来たんだ」

 

 するとそこでローグさんは居ずまいを正し、畏まった仕草で話を始めたのである。

 

「ジュライさん……それなんだが、今後は貴方がフォルスを鍛えてやってもらえないだろうか」

「え? 俺が……ですか?」

「今日、木こりの親っさんのところで、あの化け物をあっさりと倒した貴方を見て、俺は悟ったんだよ。俺では、あそこまでフォルスを強くできないとな。情けない話だが、俺はあの時……凶悪なあの化け物を見て動けなかったんだ。足が竦んでしまっていてな。そんな俺が、偉そうにフォルスを導いてやるなんて言えない。だから頼む……この通りだ」

 

 ローグさんはそう言うと、いつぞやのフェルミナさんのように両膝を着き、俺に向かって祈るかのように手を組んだのであった。

 まぁそれはともかく、この突然のお願いは、どうしたもんか悩むところである。

 

(参ったな……鍛えろったってな。まぁでも、ローグさんがこんな風にお願いに来たって事は、多分、あれからずっと悩んでたんだろう。自信を無くしたのかもしれない。アークデーモンを倒した事と木こりのオッサンの話で、まさか、こんな事になるとは……どうしよ……)

 

 完全に想定外の事態である。

 

「旅から外れるのはわかりましたが、鍛えろと言われましてもね……俺も教えられる事と教えられない事がありますし。ところで、フォルスにはもうそれらを話したんですか?」

「いや、まだ何も話してない。まずは貴方と話してからと思ってな。まぁどっちにしろ、この後、話すつもりだ。エンドールを最後に、俺はもう家に帰るつもりなんでな」

 

 ローグさんの決心は固いようだ。

 あまり歓迎できないお願いだが、こうなったのは俺にも責任がある。

 ここは受け入れるしかないのだろう。

 不本意ではあったが、俺は彼にその旨を伝えた。

 

「わかりました、ローグさん。いつまで出来るかはわかりませんが、フォルスと旅を続ける間、武術に関しては俺がフォルスを見てやりましょう。それでいいですかね? 呪術は色々と事情があって教えられないので」

「ああ、それで構わない。ありがとう、ジュライさん。フォルスをよろしく頼むよ」

 

 ローグさんはそこでホッと一息吐き、話を続けた。

 

「これで俺は安心して家に帰れる。村の皆にも今の話を伝えておくよ。パルメロもジュライさんに任せた方が良いと言ってたから、これで奴も安心するはずだ」

 

 どうやらパルメロさんも一枚噛んでるようだ。

 

(余計な事をしおってからに……あのオッサン)

 

 などと考えていると、そこで、ローグさんは何かを思い出したのか、手を打ったのである。

 

「あ、そうだ……もう1つ訊きたい事があるんだった」

「今度はなんです? 答えられる事なら答えますが」

「村の者達が訊きたがってるんだが……貴方は一体、何者なんだ? 山菜取りだと言ってたが、絶対違うだろう。村の者の中には、どこかの国に仕える大魔導師じゃないかという者もいるが……」

 

 まぁ何れ、この質問は来るだろうとは思っていた。

 

(仕方ない……言うか。あんま変な風に誤解されるのもあれだしな。それに、現実世界の日本では秘密裏に降魔を行っていたが、ここでは話しても問題はないだろう……裏の名前も)

 

 というわけで、俺は話す事にした。

 

「誤解がありそうだから言っておきますけど、俺は魔法使いではないですよ。古来より、悪霊や悪魔を退治するのが生業(なりわい)真紋(しんもん)の一族の末裔です。と言っても、多分、わからないでしょうがね。まぁ俺が住んでいたところじゃ、拝み屋とか退魔師とか呼ぶ者もいますが」

「シンモンの一族……悪魔を退治……そうか。やはり、貴方に頼んで間違いはなかったようだ。ジュライさん、フォルスの事……よろしく頼んだぞ」――

 

 ――と、まぁそんなやり取りがあったのだ。

 フォルスとシンシアはもう既にローグさんから話を聞いてるのか、出掛ける際には2人共、少し涙ぐんでいた。

 ローグさんも、少しもらい泣きしてた風であった。

 恐らく、今までの苦楽が蘇って来てたのだろう。

 なもんで、今日はちょっとしんみりとした旅になりそうである。

 まぁそれはさておき、今は目的地のエンドールだ。

 俺達はブランカの南西に広がる平原の街道を進み、エンドール領へと抜けるトンネルを目指した。

 周囲の平原にはイネ科と思われる黄緑色をした背の低い雑草が一面に広がっており、時折吹く爽やかな風によって海の波のように靡いていた。中々爽快な景色である。

 また海も近いせいか、やや潮気の香りも周囲には漂っていた。

 気温は日本の初夏といった感じで、やや暑かったが、風があるのでそこまで体力を消耗する事は無さそうだ。まぁ要するに旅日和の天候であった。

 また、その道中、多少の戦闘はあったが、それらはフォルスとシンシアが血気盛んに挑み、蹴散らしていた。

 今もその真っ最中である。俺とローグさんは手を貸さず、少し引いてそれを眺めるという感じだ。

 まぁこれはローグさんによる最後の訓練であり、卒業試験的な意味合いのモノでもあるのだ。

 ここ最近のフォルスの太刀筋は迷いがあったが、今日は思い切りよく振るえているようだ。彼の中で何かが変わったのだろう。

 戦闘が終わると、フォルスは意気揚々としながら、俺とローグさんの所へとやって来た。シンシアも駆け寄ってくる。

 

「ローグさん……今のはどんな感じでしょうか?」

「成長したな、フォルス。まだまだだが、今までで一番良かったぞ」

「ありがとうございます」

 

 続いてフォルスは俺に視線を向けた。

 

「ジュライさんはどうですか?」

 

 俺は正直に言った。

 

「う~ん、微妙。というか、全然ダメ」

「ええ!?」

「だって、何も考えずに前進突撃ばっかじゃん。結構いい攻撃も貰ってたし、動きに無駄も多いし。こいつらより強い敵出てきたら、死ぬよ、マジで。ゲームみたいに、死んだら教会行きで所持金半分になんてならないんだからさ。もう少し、戦略や体裁きというモノを考えた方が良い」

 

 ゲームの(くだり)はマジ話である。

 この世界じゃ、教会にそんな機能は無いらしいのだ。

 これはシンシアやローグさんに確認したので、恐らく間違いない筈だ。

 つまり、死んだら最後、ゲームオーバーのリアルドラクエ世界なのである。こわっ。蘇生魔法おぼえるまで、作戦は『いのちをだいじに』だ。

 

「フォルス、残念だったね。ローグさんより厳しいよ、ジュライさんは」と、シンシア。

「だが、彼の指摘は正しい。これからはジュライさんの言う事をちゃんと聞くんだぞ、フォルス」

 

 ローグさんは微笑むと、フォルスの肩にポンと手を置いた。

 

「はい、ローグさん」――

 

 と、まぁそんな感じで、俺達はエンドールへと向かって歩き続けたのである。

 

 

   [弐]

 

 

 トルネコが開通させた海底トンネルを潜り、エンドール領に入った俺達は野宿などをしながら徒歩で南西へと移動する。

 このトンネルが開通したお陰か、道中、様々な旅人達と俺達は擦れ違った。

 途切れることなく人々が行き交っているのである。

 この様子を見ると、トルネコがやった功績というのはかなりの偉業なのかもしれない。

 

(ゲームじゃただの通過点だったけど、こうやってリアルな影響を垣間見ると、アイツは凄い奴なのかもしれん。ボンモールとエンドールの戦争を止めさせたのもトルネコの功績だしな。ゲームだと常に馬車要員だったから、正直なんで導かれたのかわからんかったが、勇者をさりげなく導く役目を担ってるんだろう……という事にしておこう)

 

 そんな事を考えつつ、1日半ほどかけて進むと、石積みの強固な城塞に囲まれたエンドール王国がようやく姿を現した。

 見た感じかなり大きい。城塞の横幅は500メートル以上はありそうだ。

 高さも10メートルはあるんじゃないだろうか。

 ブランカなんかよりも、はるかに大きい街だ。

 そして、その城塞の奥には、西洋の城を思わせるエンドール城の大きな天守が、空を突くかのように伸びているのである。

 ゲームの知識で語ることが出来ないくらいのリアル王都であった。

 この人の往来にして、この街の規模だと相当な人口を有してるに違いない。

 まぁそれはさておき、エンドールの巨大な城塞へと辿り着いた俺達は、アーチ状の門を潜り、街の中へと足を踏み入れた。

 太陽の位置からすると、今は恐らく昼を過ぎた頃だろうか。

 道中何事もなく、夜になる前にエンドールへと到着できたので、一安心といったところだ。

 

(やっと着いたか。昨日の晩は野宿を一度経験したけど、世界樹の下と違って、あんまり気分のいいモノではなかったからな。今日は流石に宿屋で寝れるだろう)

 

 街に入ると更に活気にあふれていた。至る所で喜怒哀楽の声が聞こえてくる。

 また、石畳の大通りには沢山の人々や馬車が行き交っていた。

 荷馬車なども沢山あり、倉庫や商店みたいな施設に荷下ろししている姿も見受けられる。中々の大都市ぶりであった。

 とはいえ、色んなモノが入り混じってるので、あんまりいい臭いはしなかったが……。

 まぁとりあえず、それについては考えないようにしとこう。

 ちなみにこのエンドール王国、さっきローグさんが言ってたが、世界有数の大国だそうだ。

 人・物・金が大量に行き交う経済大国でもあり、最近は長年敵対していた北東のボンモール王国とも雪解けし、その旺盛は飛ぶ鳥を落とす勢いとの事である。

 しかも今は、その雪解けとなった理由の行事が、長きに渡って執り行われているそうだ。

 それは勿論、あの両王家の婚姻の儀である。

 その名も百日婚というらしい。バカじゃなかろうか。

 

(しかし……まさかリアルでも長期結婚式をやってるとはな。国庫に余裕あんだな、大国なだけあって……まぁでもゲームと違って終わりはあるみたいだが……)

 

 ふとそんな事を考えながら大通りを歩いていると、ローグさんが俺に話しかけてきた。

 

「ジュライさん、シンシアとフォルスは初めてだが、貴方もエンドールは初めてか?」

「ええ、初めてですよ、リアルなのは」

「リ、リアル? まぁよくわからないが、初めてなら俺が案内しよう。どこか行きたいところはあるか? 宿屋ならすぐそこだが」

 

 ローグさんはそう言うと、前方の大通り脇に見える石造りの大きな建物を指さした。

 ちなみに、その建物には酒とベッドの絵が描かれた看板があった。

 どうやら宿屋と酒場が一緒のタイプのようだ。

 

「そうですね……ン?」

 

 するとそこで、とある人物の姿が視界に入ってきたのである。

 その人物は女性で、宿屋の向こうにある十字路付近にいた。

 橙色がかった衣服を身に纏っており、今は椅子に腰掛けているところだ。

 また女性の前には黒い毛氈の敷かれた簡易な机があり、その上には透き通るような水晶玉が置かれていた。

 もう見るからに『占いしま~す』といった風であった。

 

(お、いるやんか……たぶん、あれがリアルミネアだ。どんな顔してるんやろ、いっぺん見たろ)

 

 というわけで、俺はその女性を指さし、皆に言った。

 

「この大通りの先に占い師っぽい人いますよ。どうします?」

「あ、ホントだ」

「あの人が噂の占い師なんでしょうか?」

「そうかもしれんな」

「まぁそれはわからないけど、行ってみようか」

「ええ、行きましょう」

 

 程なくして俺達はその占い師の元へと到着した。

 で、結論から言うと、かなりの褐色美人だ。

 肩より長い紫色の髪はストレートにおろしている。

 あのイラストと同じように、十字を切った妙な頭飾りも装備していた。

 右肩を露出するあのドレス風の衣服もほぼ同じである。

 人種的には、ややペルシャ系ぽい感じだが、その美しさはゲーム通りといったところだ。

 まぁそれはさておき、俺達が机の前に来たところで、女性は微笑を携えながら優しく口を開いた。

 

「占いはいかがかしら? 10ゴールドで貴方の未来を見て差し上げましょう」

 

 フォルスはそこで俺に振り向いた。

 

「せっかくここまで来たんだ。占ってもらえよ、フォルス」

「そうですね。ではお願いします」

 

 フォルスはそう言うと女性に10ゴールド手渡した。

 女性はお金を受け取ると、水晶に手をかざした。

 

「では占って差し上げましょう。貴方の周りには……9つの光が見えます」

 

【はぁ!?】

 

 占ってる途中だったが、俺は思わず大きな声を上げてしまった。

 当たり前である。無視できない内容だったからだ。

 

(ふ、ふ、増えてる……え、なんで? なんで7つじゃないの? なんで?)

 

 脳内で自問自答してると、女性はキッと俺を睨んだ。

 

「お静かにッ! まだ占いの途中です」

「あ、はい、ごめんね。どうぞ、続けて」

 

 女性は咳払いすると、占いを再開した。

 

「オホン、では続けましょう。……まだ小さな光ですが、やがて導かれ、大きな光となり……えッ!?」

 

 すると女性は目を大きく見開きながら、ゆっくりと顔を上げ、フォルスに視線を向けたのであった。

 

「も、もしや……貴方は勇者様! 貴方を探していました。邪悪なるモノを倒せる力を秘めた貴方を! 私はミネアと申します。今は……」

 

 だがそこで、占いに待ったをかける者がいた。

 それは俺である。

 

【ちょいちょいちょいちょーい、ちょい待てぇ!】

 

 フォルスとシンシアとローグさんは、俺を見て少し困惑した表情であった。

 

「え? どうしたんですか急に……」

「ジュライさん、何か気になる事があったの?」

「どうしたんだ、ジュライさん」

 

 3人は首を傾げている。

 まぁ無理もない。

 俺も逆の立場ならそうなっていただろう。

 だが、どうしても俺は物言いをつけたかったのだ。

 

【さっきから一体何なんですか、貴方は?】

 

 ミネアはやや怒ってる風だったが、俺は構わずに言った。

 

「なんなんだよ、その占いは! さっきの光の数おかしいだろ!」

「9つの光の事ですか? 何か問題でも?」

「多過ぎだろ! そこは7つだろが!」

「はぁ? 私の占いにケチつけるんですか。ちゃんと9つの光が見えたんです、私は!」

 

 ミネアは勢いよく立ち上がり、俺に食ってかかってきた。

 俺も負けじと返した。

 

「いいや! 光の数は7つだ! そこは譲れんわッ!」

「いいえ! 9つです!」

 

 俺達は睨みあった。

 

(チッ……くっそぉ……ちょいと可愛いからって調子に乗りやがって。しかし、なんで9つなんだよ。まさか、1つは俺じゃないだろうな。言っとくが、俺は勇者の旅に、最後まで付き合うつもりはねぇぞ……ン?)

 

 するとミネアはそこで腕を組み、小馬鹿にしたような笑みを浮かべたのである。

 

「貴方……どこの誰だか知りませんが、占いで私に張り合うつもりなのですか? そこまで言うのなら、貴方はさぞかし占いの腕はおありなんでしょうね。ふふふ」

 

 えらく挑戦的なミネアであった。

 多分、自分の得意分野に因縁つけられたので、プライド的に譲れないのだろう。

 ゲームでは見せない、新たな一面なのかもしれない。

 まぁそれはともかく……いいだろう。

 占い勝負をしてやろうじゃないか。

 

「ああ、俺も占いは得意だよ。なんなら、今から貴方の事を占ってあげようか?」

「へぇ……占い師の私にいい度胸してますね。是非とも占ってみてほしいモノです」

「よろしい、ならば占って進ぜよう」

 

 俺は目を閉じると適当に手印を結び、それっぽく空を仰いだ後、ミネアにお告げをしてやった。

 

「電波……受信完了……あなたの過去が見えました」

「へぇ、何が見えたのかしら」

 

 俺は瞼を開き、ミネアに悲しげな視線を向けた。

 ゲーム知識でちょいと脅かしてやろう。

 

「貴方はとても悲しい経験をしてきたのですね。俺には見えます。貴方は今……父の仇を討ちたいんですね」

「え!?」

 

 俺の言葉を聞き、やや狼狽(うろた)えていた。

 この反応を見る限り、これまでゲームのような人生を送って来たのだろう。

 それはさておき、俺は続けた。

 

「貴方の願いはいずれ叶うことでしょう。でも今、貴方の前には1つ難題があります」

「な、難題って……何?」

「貴方……金遣いが非常に荒い凄い姉がいますね。そして姉に非常に困ってますね」

「え?……い、いないわよ……そんな人」

 

 予想外の返答が来た。

 

(あれ……いないのか? でもなんか怪しいな。目が少し泳いでるし。この感じからすると、図星突かれて、ちょっと焦っているのかもしれない……ン?)

 

 と、その時だった。

 

【ねぇミネア、お金貸してくんない。もう少しで勝てそうなのよ】

 

 ミネアの背後から、はしたない格好をした綺麗な女性が姿を現したのである。

 髪型や顔や体型はミネアそっくりの美人だが、服装はモロであった。

 ビキニ水着のように胸は白いブラみたいなものを装着し、腰には赤いふんどしのような暖簾(のれん)が前後にぶら下がっている。

 ノーパンを期待したが、一応、暖簾の奥には白いパンツみたいなのを穿いてるので、プライベートゾーンは見る事が出来ないようだ。いらっしゃ~いと暖簾を掻き分けても行き止まりのようである。残念。

 と、まぁそんな出で立ちのエロい格好をした女が現れたのだ。

 十中八九、コイツがマーニャだろう。

 ミネアはその人物に向かい、アチャー(ノo`;)といわんばかりに、頭を押さえながら振り返った。

 

「なんでマーニャ姉さんが、この場面で出てくるのよ!」

「なんでって、別にいいじゃない。ねぇミネア、お金貸して」

「さっきあげたばっかじゃない。もう使ったの!?」

「もうちょっとで勝てそうなの、お願い! ね!」

 

 そんな姉妹のやり取りを見て、俺は思わず吹き出してしまった。

 そして俺はミネアに向かい、m9(^Д^)プギャーと言わんばかりに、指をさして底意地悪く笑ったのであった。

 その直後、ミネアの悔しそうな絶叫が、辺りに響いたのである。

 

【姉さんのバカァァァ!】と。

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