DQⅣ世界に、迷い込みて候   作:虚夢想

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Lv31 謁見の魔

 

 

   [壱]

 

 

 翌日の明け方、俺は少し早く目が覚めた為、サランの街を1人で散策することにした。

 部屋にはまだミネアとマーニャがいるが、2人は静かに寝息を立てていたので、起こさずにそっと出てきたのである。

 そんなわけで、今の俺は寝巻きの作務衣姿であった。

 そのせいか、やや肌寒い。だが眠気覚ましにはちょうどいい感じである。

 まぁそれはさておき、今は夜が明けてすぐの為、まだ若干、サランの街は薄暗かった。

 加えて、少し靄もあるので、全体的に水墨画のような街並みとなっている。

 しかし意外にも、人の姿はボチボチと見かけたのである。

 現実世界の日本なら、殆どの人が寝ている時間帯だが、この世界には電灯器具といった物がないので、基本的には日の出と共に、人々は動き始めるのだろう。

 早寝早起きで健康的な生活パターンである。

 また、一般人の他にも、サントハイムの紋章を抱いた兵士の姿や、一般の戦士達の姿もそれなりに見受けられた。

 兵士はともかく、戦士の数が思ったより多いので、もしかすると彼等は、街の警備でもしてるのかもしれない。

 まぁとりあえず、そんな物々しさもある朝の光景ではあったが、穏やかではあるので、ゆったりとした気分にはなれた。

 昨晩の疲れを癒すには、良い感じである。

 

 話は変わるが、昨晩は、マーニャとミネアがやたらと俺にモーションを掛けてくるので、ちょっと参ったところだ。

 夕食の後、2人とサランの酒場で飲んだのだが、それがイケなかったようである。

 2人共、結構飲んでたので、普段よりかなりオープンな感じになっていたからだ。

 しかも、酔ったミネアは物凄い積極的だったので、俺も少し面食らったのである。

 もしかすると、普段大人しい分、酒が入るとその反動が凄いのかもしれない。

 とはいえ、ミネアの新たな一面を見れたので、なかなか面白い夜であった。

 ちなみにだが、飲み代は男の俺が払っておいた。

 変に甲斐性を見せるつもりはないが、現代の日本社会で生きてきた俺は、女性にお金を払わせるのが悪い事のように洗脳されてるので、これはまぁ仕方がないところである。

 金額は3人分で20ゴールドであった。

 基準がわからんので、安いのか、高いのか、判断しかねるところだ。

 とまぁそんなわけで、俺達は酒場で飲んだ後、宿に戻ったわけだが……実はそこからが更に大変だったのである。

 なぜなら、酔った姉妹の相手がなかなか厄介だったからだ。

 目を閉じてと言われて、マーニャがキスをしてきたかと思えば、負けじとミネアも同じような事をしてくるのである。

 俺も調子に乗って、ミネアとキスした際に舌を入れたら、向こうもエスカレートして舌を絡ませ、抱き着いてくる始末であった。

 おまけに、マーニャはそれを見るなり、「ああ、ミネアずるい! 次は私の番よ!」と強引にディープキスしてくるのである。

 この時ばかりは俺も、(このまま行けば、3Pまで発展するかもな……ウッヒッヒッ)などとエロモード全開になりかけていた。

 だがしかし……そうはならなかったのである。

 なぜなら、途中から雲行きが怪しくなってきたからだ。

 なんと姉妹は、些細なやりとりから熱くなり、突然、喧嘩をおっ始めたのである。

 これはちょっと想定外の出来事であった。

 というわけで、その時のやり取りを一部紹介するとしよう。

 コレだ――

 

 ミネアは据わった目でマーニャを見据え、ビシッと指さした。

 

「そういえば、姉さん! 姉さんに言いたかった事があるのよ! 最初は応援するとか言っときながら、やっぱやめたってどういう事よ!」

「仕方ないじゃない! 好きになっちゃったんだから! アレは無しよ!」

「無しって何よ! 自分の言った事に責任持ちなさい!」

「そんな約束してないもんね。私が誰を好きになろうと勝手でしょ!」

 

 マーニャはそう言って、べーと舌を出した。

 

「いつもそうよ! 姉さんのせいで、何で私がこんな思いしなきゃいけないのよ!」

「ミネアは頭が固すぎなのよ。だから、恋愛に疎いのね」

「姉さんにだけは言われたくないわ! お金持ちの男と、見た目の良いチャラチャラした男が好きなんじゃなかったの! なんでジュライさんなのよ!」

「ちょっと、勝手に人の好みを決めつけないでよ! 私はジュライさんみたいな人が好みなの!」

 

 姉妹はそこで勢いよく立ち上がり、睨み合ったのである。

 なんとなくディスられてる気がしたが、取っ組み合いの喧嘩になりかけてたので、俺はそこで間に入る事にした。

 

「はいはい、熱くならない、熱くならない。喧嘩はダメだよ、2人共落ち着いて」

 

 と、その直後であった。

 マーニャが艶っぽく、俺に抱き着いてきたのである。

 

「もう……貴方がイケないのよ」

「ゴラァァァァ! 私のジュライさんから、離れなさい!」

 

 ミネアも負けじとマーニャを押し返しながら、俺に抱き着いてくる。

 

「なにするのよ!」

 

 するとマーニャは次に、俺の首に両手を回し、力強く抱き締めしてきたのだ。

 2人共、酔った勢いで力一杯抱き締めてくるので、首が締まって息苦しいくらいであった。

 というか、実際に窒息しかかっていた。

 酒の力、恐るべしである。

 

「ちょ……待って……く、苦しいから、マジ苦しいから! ちょっと待って!」――

 

 と、まぁこんな事があったのである。

 昨晩はそんなやり取りをしている内に、姉妹は寝てしまったので、それ以上の事は起きなかったが、いずれそういう関係になってしまいそうな気がする、今日この頃なのであった。

 しかも話はこれで終わらない。

 実は寝る前、俺が姉妹の衣服を着替えさせるハメになったからである。

 マーニャが、「もう寝るから、ジュライさんが着替えさせてちょうだい。その荷物の中に服はあるから」と言い出したのが事の発端であった。

 俺も着替えは抵抗があったので、最初は断ったのだが、あまりにもしつこいので負けてしまったのだ。

 というか、「着替えさせてくれないなら、今から大きな声で、ジュライさんのキスは、とろけちゃうくらいにすごいキスって、街中に言いまわるんだから」と、マーニャが脅迫めいた事を言い出したので、俺も観念したのである。

 この時のマーニャは目が据わっていたので、それをやりかねない雰囲気だった。

 困った話である。

 とはいうものの、内心喜んでいたのは秘密だ。イヤッホォォォ、ってなもんである。

 まぁそんなわけで、俺はマーニャの服を脱がし……といっても、八割方着てないようなもんだが、白いキャミソールワンピースに着替えさせる事になったのだ。

 その時、ブラを外して胸も見る事になったのだが、かなり形の良いバストであった。

 モミモミしながら、乳首を舌先で転がし、コリコリと弄りたくなったのは言うまでもない。

 だがしかし! 話はこれで終わらなかった。

 なぜならば、続いてミネアも、同じような事を言い出したからである。

 その為、俺はミネアの着替えまでさせられたのだ。

 嬉しいやら悲しいやらであった。

 ちょいと屈辱的な展開だが、姉妹の裸体を拝む絶好の機会をみすみす逃すわけにはいかないので、俺は内心ニヤニヤしつつ実行したのである。

 ミネアは酔っ払うとマーニャ並みに大胆になるので、今後もこういう事が起こりそうであった。これは嬉しい誤算だ。

 ちなみにミネアも、マーニャに負けず劣らず、形の良いふくよかな胸をしていた。

 全くもって、けしからん胸をした姉妹達である。

 お陰で、俺はその柔らかそうな褐色の胸の谷間に、顔を埋めたくなる衝動に駆られたが、後が怖いのでやめることにした。

 泥酔レイプなどと勘違いされると困るからである。

 交尾は双方の合意の元に行われるべきというのが、俺のポリシーだからだ。

 今までもそうであった。今後もそれは変わらない。

 本能で突っ走りたいところだが、そこは自制しておいたのである。

 まぁそれはともかく、なぜか知らないが、俺は姉妹にかなり好意を持たれてしまったようだ。

 惚れられたのか、遊ばれてるのかはわからんが、ま、それも一興だろう。

 俺も2人の事が嫌いではないので、近い将来、作戦名は『ガンガンやろうぜ』で、極大男根呪文(マラゾーマ)を行使する時が来るかもしれない。などという、不埒な事を考える俺なのであった。

 つーわけで長くなったが、話を戻そう。

 

   ✳

 

 サランの大通りを歩いていると、前方に、木製の大きな看板みたいな物が見えてきた。

 

(何だありゃ、でかい看板だな……ン? あれは……)

 

 すると意外にも、そこに仲間の姿があったのである。

 そこにいたのは、なんとクリフトであった。

 クリフトは今、険しい表情でその看板を眺めているところだ。

 というわけで、俺はクリフトのところへと向かった。

 

「おはよう、クリフト。朝早いんだな」

 

 クリフトはビクッとしながら、俺に振り返る。

 

「あ、ジュライさんでしたか。おはようございます」

 

 クリフトはそこで肩の力を抜いた。

 少し驚かせてしまったようだ。

 

「どうしたんだ、こんな朝早くに? 昨晩は寝れなかったのか?」

「いえ、違いますよ。朝の礼拝です。私は神官ですので、先程、そこの教会に行き、お祈りをしてきたところなんです。今日はいよいよ、サントハイム城に帰還することになるので、色々と祈願もしてまいりました」

 

 クリフトはそう言って、やや離れたところに見える塔のような教会を指さした。

 

「そういえば、クリフトは神官だったね。これは失礼な質問だったか」

「いえ、気になさらないでください。それより……これなんですが、どう思われますか?」

 

 クリフトは看板を指さした。

 看板には文字が幾つも書かれていたが、俺はその文字を読めないのでチンプンカンプンであった。

 

「悪いな、クリフト。俺、この世界の文字が読めないんだわ」

 

 クリフトは意外そうに俺を見る。

 

「え? そうなのですか。すいません、そうとは知らずに……」

「まぁいいよ。で、なんて書いてあるんだ?」

「ええっとですね……この掲示板には、こう書かれています。『サラン町長より、報告がございます。王様達がいなくなった事により、この国は日々、魔物への不安が増しています。よってこの度、サランの有志による自警団を結成しました。今後は自警団とサランに駐在するサントハイム兵士により、街を守っていきますのでご安心ください。それに伴い、自警団より忠告があります。最近、サントハイム城に魔物が棲みつきだしたので、極力近づかないようにしてください。自警団は街の外までは対応できませんので、よろしくお願いします』と……。もしかして、サントハイム城は魔物達に乗っ取られてしまったのでしょうか……」

 

 ゲームではバルザックが支配していたが、もう奴はいない。

 恐らく、別の何かが巣食ってるのだろう。

 

「……かもしれないな。やはり、城を長い間無人にしておくと、色々と弊害があるようだね。それに今のサントハイムは、国を統治できてない状況だから、何が起きていても不思議ではないよ」

「た、確かに……そうですよね。やはり、アリーナ様には旅に出ず、残って国を統治してもらった方が、良かったのでしょうか?」

 

 クリフトは不安げな表情で俺を見た。

 俺は頭を振る。

 

「アリーナとブライとクリフトだけじゃ、どの道、国家の運営は行き詰まるよ。人手が圧倒的に足りない。3人だけで、この広大な領土の管理と、国民の安全や財務の管理、それに加えて、正常な権力の行使ができるわけないからな。まぁこの掲示板の警告内容を聞いた感じだと、今は街の自治機能でなんとか持ちこたえてるみたいだから、暫くはこれで行くしかないんじゃないか」

「そうですね……しかし、長い間、このままにはできませんよね。国が乱れるわけですし……」

 

 クリフトの言うのもわからんではないが、皮肉にもこの世界は今、魔物の脅威によって逆に治安が保たれている面もある。

 普通、こんな無政府状態が長期間続いたならば、他国に攻め入られる可能性だって大いにあるからだ。

 それが起きていないという事は 魔物という共通の敵がいるからこそ、国家間対立が緩和されているのである。

 今はその状況を逆に利用するしかないだろう。

 

「ま、クリフトの言う事は尤もだが……城の人間がすべて失踪するなんて前代未聞の出来事が起きたんだ。もうどうしようもないよ。まぁとはいえ……今はデスピサロという世界共通の敵がいるから、他国が攻めてくるなんて事はそうそうないだろう。多少の権力の空白があっても、今はまだなんとかなるかもよ。強いて言うなら、野盗や強盗による治安悪化だが、それはまぁ自警団でなんとかなるだろうしな。よって、今は我慢するしかないんじゃないか。ン?」

 

 するとクリフトは、不思議そうに俺を見ていたのである。

 

「あの……ジュライさんは、どこかの国に仕えておいでなのですか?」

「は? なんでだ?」

 

 ブライといいクリフトといい、妙な事を訊いてくる奴等だ。

 

「なんというか……私も時々ハッと気付かされることが多いので驚いてるんです。ジュライさんは、物事を広く見れているといいますか。それで、どこかの国で、王の補佐でもされていたのかと思いまして……」

「ンなわけないだろ。俺が言ってんのは一般論だよ」

「一般論じゃない気がしますけど……」

「そういう事にしておけばいいよ。さて……それじゃあ散歩中だから、俺は行くよ。また後でな」

「はい、では後ほど」――

 

 俺はその後、暫くサランの街を散策し、宿へと帰った。

 部屋に戻ると、姉妹は既に起きており、尚且つ、いつものコスチュームに着替え済みであった。

 というわけで、俺もそろそろ着替えるとしよう。

 まぁそれはさておき、俺はそこで姉妹に挨拶をした。

 

「おはよう、2人共。よく眠れた?」

 

 すると2人の様子が変だったのである。

 マーニャは気まずそうな感じだが、ミネアは顔を真っ赤にしていたのだ。

 ミネアはモジモジしながら俺の前に来る。

 

「あの……ジュライさん、昨晩はすみませんでした」

「え!? あ、ああ……その事か。別にいいよ、ちょっとびっくりしたけど。それと安心して。俺は2人に変な事は、一切してないからさ」

 

 するとミネアは、更にカァッと赤くなったのである。

 

「いえ、そ、そんな事は別に良いんです。ただ、なんとなく、失礼な事を沢山したような気がしたものですから……ゴメンナサイ」

「ゴメンね、ジュライさん。私も調子に乗り過ぎちゃったわ」

 

 マーニャはそう言って、ペロッと舌をだした。

 謝り方が対照的な2人であった。

 

「いいよ、気にしなくて。それに、俺もちょっと酔ってたから、2人に失礼な事をしたかもしれないしね。お互い様って事にしようか」

 

 姉妹はホッと安堵の息を吐いた。

 

「そう言って頂けると、有り難いです。朝起きたジュライさんが居なかったので、昨晩の事を気にされて、出ていかれたのかと思いました……それが不安だったのです」

 

 ミネアは変な方向に考えてしまったようだ。

 こういうのも、意外と可愛い一面である。

 

「そんな事を考えてたのか。あんな事で出て行くわけないだろ。ただの散歩だよ。それに昨晩はなかなか楽しかったしな。2人の可愛い一面も見れたし、なかなか面白い夜だったよ」

 

 俺がそう言うと、姉妹は恥ずかしそうに笑った。

 

「そう言ってもらえると嬉しいです。私も楽しかったですから」

「そうよね。私達の仲なんだし、これからも気にしないでいきましょ」

「だな。さて……それじゃあ、俺も旅支度をするかな。そしたら食事にでも行こうか」

「はい」――

 

 

   [弐]

 

 

 朝食を終えた俺達は、魔法の鍵でしか入れない規制された区域の武器屋へと行き、そこで装備を整えた。

 そしてサントハイム城へと向かい、行軍を開始したのである。

 サントハイム城は、サランから馬車で15分程度のところにあった。

 平原の街道を東に進むと、すぐにサントハイム城の天守が見えてくる。

 御多分に漏れず、西洋型の城だ。

 ドイツの古城であるノイシュヴァンシュタイン城のような、青い屋根と白い壁が特徴の美しい城であった。

 今まで見てきた城の中では、一番上品な雰囲気である。

 この城が無人というのは、俄には信じられないところだ。

 ちなみにゲームでは、サランとそれなりに離れていた気がするが、この位置関係だと、アリーナが庭というのも納得できる距離である。

 だが、サントハイムの場合、大陸自体が縄張りなので、すべて庭みたいなモノだと思ったのは言うまでもない。

 まぁそれはさておき、程なくして俺達は、サントハイム城へと到着した。

 流石に近くに来ると、異様な気配が辺りから感じられる。

 当然、魔物のモノと思われる邪気も感じられた。が、数は少なそうであった。

 なぜなら、それほど沢山の霊的気配は感じないからだ。

 

(さて……ようやくサントハイム城まで来たな。サランの掲示板にも書いてあったが、城の中に何匹か魔物がいるのは間違いない。一体、どんな魔物が出てくるやら……ン?)

 

 ふとそんな事を考えていると、先頭を歩くアリーナは、王家の紋章が描かれた立派な玄関扉の前で立ち止まり、こちらに振り返った。

 

「ここがサントハイム城の入口よ。中に魔物が棲みついてるみたいだから、まずはそいつ等を追い出すの手伝って欲しいんだけど……良いかな?」

 

 仲間達は頷いた。

 

「わかってますよ、アリーナさん。皆で魔物討伐しましょう」と、フォルス。

「ありがとう、皆。じゃあ、行くわよ」――

 

 そして俺達は、サントハイム城の中へと足を踏み入れたのである。

 中に入った俺達は、周囲を警戒しながら通路を前に進む。

 城内は物音もなく静かであった。

 本当に人っ子一人いない感じである。

 まさにもぬけの殻といったところだ。

 とはいえ、魔物の気配は確実にするので、何もいないというわけでは無い。

 だが、かと言って、こちらに襲いかかってくる風でもなかった。

 恐らく、隠れて様子を見ているのだろう。

 そんな城内の通路を警戒しながら進んでゆくと、俺達はいつしか開けた場所に出たのである。

 どうやらエントランスホール的な場所のようだ。

 

(魔物はたぶん、この階には居ないな。俺達の侵入に魔物達も気付いてるはずだが……さて、どう出てくるか)

 

 と、そこで、先頭を進むアリーナが、前方に見える階段を指さしたのである。

 

「この階段を上ると、玉座がある謁見の間よ。魔物の親玉はそこにいるかもね。まずはそこに行ってみましょ」

 

 アリーナはそう言って階段を上がる。

 俺達もそれに続いた。

 程なくして、謁見の間へとやって来た俺達は、赤いカーペットの敷かれたフロアを奥へと進んでゆく。

 すると奥には、金色の玉座が左右に2脚置かれていたのである。

 但し、両方共に無人ではなかった。

 そこに腰掛ける何者かの姿があったのだ。

 霊気の感じから、まず間違いなく、それらは魔物であった。

 向かって左側の玉座には、オレンジ色の司祭帽子のようなモノを被り、その身に白いローブを纏う魔物が腰を下ろしていた。

 顔は人間みたいな造形だが、紫色の肌をしており、耳はエルフのように尖っていた。

 どこかで見たことがある魔物であった。

 対する右側には、フードを深く被り、漆黒のローブを纏う不気味な魔物が、静かに座していたのである。

 ちょっと得体のしれない魔物ではあったが、左の魔物の方が霊気は強かったので、恐らく、配下の魔物なのかもしれない。

 まぁそれはさておき、アリーナはそこで立ち止まり、魔物を指さしたのである。

 

「お前達が魔物の親玉ね! 私達の城を魔物の自由になんてさせないわ!」

 

 すると左側の魔物がニヤリと笑い、おどろおどろしい声を発したのであった。

 

【ほほう……そなたが前の持ち主であったか。これは失礼したな。まずは挨拶とゆこうか。ようこそアリーナ姫、よくぞ我が居城へ参られた。そして、そちらは勇者フォルスとその仲間達だな。我はデスピサロ四天王の一柱、エビルプリーストなり。クククッ、お前達を歓迎しようではないか】――

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