【完結】最終戦国武闘伝 〜バイオレット・ダークネス〜   作:無敵ざかり

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第三節 戦極大決戦

空が不自然に暗く覆われた。

 

「来たね。奴が降臨した。この混乱を利用して……」

 

オリジンの指揮官、解々皇帝《エンペラー・カイト》は、想定通りにその存在が降臨したことにほくそ笑む。

 

煉獄の極魔弾が復活させてしまったのは暗黒王の魂だけではなかった。

 

かつて世界を焼き尽くすほどの力を持っていた太陽の神が、煉獄の極魔弾によって世界に再臨する。

 

激しい怨念を伴って復活したその怨霊の名は超神星DEATH・ドラゲリオン。

 

「余こそが神たる存在。皆、皆々、朽ち果てよ!」

 

DEATH・ドラゲリオンが闇の波動を吐き出すと、大地は深くえぐれ、割れた。

 

「なんだ、あれは……!」

 

「なんと強大な……!」

 

「なんて闇のオーラだよ……」

 

「あんなのどうやって倒せばいいんだ……?」

 

超獣達が、そしてトドロキとベンケイが驚嘆の声を上げる。

 

「……私に考えがある」

 

アヴァラルドが一声発した。

 

 

 

 

「頼む!」

 

「力を貸してくれ!」

 

闇の波動が降り注ぐ中、トドロキ、ベンケイ、アヴァラルドにそう頼まれたのは、バルガの名を持つバルガレイズ・ドラゴンだった。

 

「もちろんだ! だがその前に、アヴァラルド公は霊騎……アーク・セラフィムであろう? 自然の超獣、特に、サムライの知人はいないか? 自然のサムライがいた方が、おそらく上手くいくのでな」

 

「…………いることには、いるが」

 

アヴァラルドは以前水文明から購入した端末で自然のサムライを呼び寄せた。

 

「ここは皆に任せ、我らは一旦この場を離れよう」

 

バルガレイズの呼び掛けに応じた三人は、前線を退いた。

 

 

 

 

「お招きいただき光栄です。バルガレイズ・ドラゴン様。そしてベンケイ様、トドロキ様……アヴァラルド」

 

霊騎キヨマサ・コムソーが呼びかけに応じて馳せ参じた。

 

「…………キヨマサ」

 

アヴァラルドが一拍、いや、数拍遅れてキヨマサの名を呼ぶ。

 

「そうか、知人とはこの者の事だったか……以前に試合で見た事がある。いや、我の記憶に一番残っているのは試合そのものより、試合の後のことだが……」

 

バルガレイズはとある光景を思い出していた。

 

「試合の後?」

 

「あの時……闘技場に(おごそ)かな笛の音が鳴り響く時、魔力の残り火が大地へと帰っていった……あれは見事なものだった」

 

「お褒めに預かり光栄です。しかしそれもアヴァラルドのおかげなのです」

 

「キヨマサ」

 

アヴァラルドが釘を刺すかのようにキヨマサの話に口を挟む。

 

「そうなの?」

 

トドロキは興味ありげといった様子でキヨマサにそう聞いた。

 

「ええ。何を隠そうこの笛は、私の笛の才能を見いだしたアヴァラルドから私のために頂いたものなのです。今でもよく覚えていますよ、あの日のことを」

 

「キヨマサ……!」

 

「なんでしょうか」

 

「私を美化するな。私を元にした作り話を語るのをやめろ」

 

「作り話ではありませんよ。全て本当のことです」

 

「前にも言ったが……その笛はな……お前がことある事に、いや、ことが無くても詩を()み……喋り、口が回るから……"これでもくわえて黙っていろ"と言う意味で渡したんだ」

 

「照れ隠しなどせずとも良いですよ。分かっていますから」

 

天蓋(てんがい)を被り、顔が隠れているにもかかわらず、キヨマサの表情はよく分かる。顔を隠している意味が無いのではないかと思うほどに。

 

「私を美化した間違った話を吹聴(ふいちょう)して回るのをやめろ。お前が行く先々で私のことが間違って伝わっているんだ……」

 

アヴァラルドは頭を抱える。

 

「間違ってなどございませんよ。本当のことです」

 

キヨマサは一切悪びれることなく答える。

悪意が全く感じられない。だからこそタチが悪い。

 

「別にいいじゃんかよ。変なアヴァラルド」

 

トドロキはアヴァラルドが困っている理由がわからないようだ。

 

「しょ……少年」

 

「ま、ご愁傷さまだな。そんなもんさ」

 

ベンケイは分かっているようだ。ただ、分かっていてもキヨマサを説得するつもりなどは毛頭ないようだが。

 

「……ドリームメイトよ」

 

アヴァラルドはベンケイの方を真っ直ぐに向いて話しかけた。

 

「なんだよ」

 

そう言いながら、ベンケイは羽をパタリとさせる

 

「意外と夢のないことを言うな……」

 

「うるさいよ」

 

 

 

 

「では、ご清聴ください。サンダール様からハーメルン・ダリア様へ、そして私へと伝わってきた……大地に眠る大いなる竜を目覚めさせる一曲を。」

 

キヨマサが笛を吹き始める。

 

「うむ、これなら上手くいくかもしれんな! 我が咆哮に答えよ! 行くぞぉ!」

 

バルガレイズの腕から黄色い閃光がほとばしり、まるで橋のように天へと伸びていく。

 

その橋を伝って隕石のような竜が飛来する。

 

「我こそは竜星なり!」

 

バルガレイズ・ドラゴンが竜星バルガライザーを呼び覚ました。

 

「いざ、出陣!」

 

バルガライザーが双剣を火山の火口目掛けて投げ飛ばす。

 

グルングルンと円を描いて高速回転する高速回転する双剣が火口の中に入り込んだ。

 

双剣を投げ込まれた火山が火を噴いた。

 

「今、我の目覚めの時!」

 

火山の火口から、紅き龍、バルガゲイザーが姿を現した。

 

「我らの力を見せる時! 現れよ!」

 

バルガゲイザーが更なるドラゴンを呼び出そうと力を貯めている時、そこへ、古の軍勢が攻め込んできた。

 

オリジンがアヴァラルドを目掛け斬りつけてくる。

 

アヴァラルドは杖のような形の魔銃でガードする。しかし……

 

「私の魔銃が……!?」

 

アヴァラルドの魔銃が壊れた。

 

「貸すよ」

 

トドロキがアヴァラルドに一つの魔導具を差し出した。

 

「オラ、魔導具いっぱい持ってるから」

 

「……これは、なんと言う名前の魔導具だ?」

 

「グローリーソード」

 

栄光(グローリー)か、悪くない」

 

「私が導こう! いや……魔導具のことは君の方が詳しいか……君に導かれるとしよう」

 

キヨマサも刀で戦闘に参加する。戦いとなると、キヨマサの表情は全く読めない。

 

「アヴァラルド、並びにトドロキよ」

 

戦いのさなか、何者かがアヴァラルドに声をかけた。二人は目前の敵を倒し、そして振り返る。

 

「魔光の……レオパルド様!?」

 

アヴァラルドは驚愕した。それが魔光神レオパルドⅡ世だったからだ。

 

「再びヴァルキリアス・ムサシになるがよい」

 

レオパルドⅡ世は威厳ある振る舞いで二人に語り掛ける。

 

「ヴァルキリアス・ムサシ……?」

 

「戦いを極める竜……そなたが、武闘会で華々しく形を変えた姿のことだ」

 

「あ、あの姿のことか……でも、オラ一人じゃ力不足っていうか……暗黒皇(ダーク・カイザー)と戦った時、ダメージを受けて元に戻っちゃったし……」

 

「ならば、二人で」

 

レオパルドⅡ世はアヴァラルドの持つグローリーソードに手をかざした。その手とグローリーソードが輝いていく。

 

「グローリーソードの力が……高まっていく!?」

 

今度はトドロキが驚愕した。

 

「グローリーソードは自然の魔導具なのに……光の超獣がなんでこんなことできるんだ!?」

 

「私にも、自然の力があるというだけだ。別なレオパルドと、繋がりがあってな」

 

レオパルドⅡ世は(おごそ)かに答える。輝きが納まった。

 

「さあ、これでその魔導具の力が引き出せたぞ。その魔導具を持つアヴァラルドならトドロキと融合できるだろう。極神の世のゴッド、ペガサス・レオパルドが魔刻の斬将らと戦った時代より……さらにその前の時代より存在する無垢なる力……その武器のことはこう呼ぶといい。"レオパルド・グローリーソード"と」

 

「そうか……力貸せよ、アヴァラルド」

 

「それはこっちのセリフだ。導くのでも導かれるのでもなく……共に戦おう。トドロキ」

 

「「グローリー! ボルテックス!」」

 

二人の声が重なり合う。

 

「……戦極竜ヴァルキリアス・ムサシ!」

 

アヴァラルドとトドロキが融合し、ヴァルキリアス・ムサシが再臨した。

 

「今こそ合戦の時!! 参るぞォォーーッッ!!」

 

DEATH・ドラゲリオン目掛けて突進していくヴァルキリアス・ムサシがそう叫ぶと、その体からマナのエネルギーが放出され、天へと昇って言った。

 

そして、様々な場所で戦っているサムライ達からも……

 

「燃えて落ちよ!」

 

「雷撃・稲妻斬り!」

 

戦場(いくさば)に駆けよう!」

 

「炎よ、我が師と共に!」

 

同様にマナのエネルギーが放出され、天へと昇って言った。

 

そしてその放出されたエネルギーには闘志が込もっていた。

 

エネルギーが上空で一点に集まっていく。

 

そして、サムライ達の闘う意志が、龍を司る存在を生み出す奇跡を起こす!

 

「現れよ!」

 

バルガゲイザーが火山の岩石をそのエネルギー目掛けて放り投げると、エネルギーがその岩石を依代(よりしろ)として、岩石が血肉となっていき、とある存在が顕現(けんげん)する。

 

余った岩石はその存在の鎧となった。

 

「遠い空の星……天翔ける星と共に」

 

今ここに、龍を司る存在が誕生した。

 

「我は超天星バルガライゾウ。何が目的だ? "我を従える"事か? それとも、"我に従う"のか?」

 

バルガライゾウの声が響き渡る。

 

キヨマサは堂々と、しかし穏やかに答える。

 

「我らと共に戦ってください。未だ冷めやらぬ、あの怨念を鎮めるために。」

 

DEATH・ドラゲリオンの放つ怨念により、多くの超獣達が衰弱し続けていた。

 

「"共に戦おう"……か。いいだろう」

 

バルガライゾウの背にキヨマサが騎乗する。

 

 

 

 

「おい、大丈夫か!」

 

「誰か戦える奴はいないのか……!」

 

地上の超獣達はDEATH・ドラゲリオンに痛手を追わされていた。

 

一方、DEATH・ドラゲリオンの降臨を予測していたオリジン達は防御に徹し、被害を最小限に留めていた。

 

「頼む……誰か、あの化け物を止めてくれ……」

 

「おい! あれを見ろ!」

 

一人の超獣が叫んだ。

 

空には、ヴァルキリアス・ムサシが、一直線にDEATH・ドラゲリオンに向かっていく姿があった。

 

二体はその力を激突させた。

 

「力は互角か……!」

 

ヴァルキリアス・ムサシの中のトドロキの精神は誰へ向けてでもなくそう言った。

 

「いや、トドロキ。奴に私達の力が衰弱させられているぞ!」

 

アヴァラルドの精神はヴァルキリアス・ムサシの力が弱りつつある事を指摘する。

 

「ぐっ……! だったら、炎の紫電だ!」

 

「「シデン・ソウリュウザン!」」

 

炎の紫電が二体、DEATH・ドラゲリオンに立ち向かっていく。

 

しかし、DEATH・ドラゲリオンの闇の炎に飲み込まれ、消し飛んでしまった。

 

「共に行きましょう!」

 

「心得た」

 

バルガライゾウの上に騎乗したキヨマサがDEATH・ドラゲリオン目がけて飛んできた。

 

DEATH・ドラゲリオンがキヨマサ・コムソーを攻撃しようとした。

 

「オラ達が戦ってるうちに、キヨマサ達はこいつの怨念を(しず)めてくれ!」

 

ヴァルキリアス・ムサシが間に入って攻撃を食い止めて言った。

 

「かしこまりました。では、怨念をしずめる一曲……ご清聴ください」

 

バルガライゾウがキヨマサに竜の力を与え、キヨマサは笛を吹き始めた。

 

キヨマサの吹く笛の音に、竜の力が乗せられ、その波動が響き渡っていく。

 

闇を振り払う緑色の音色が、辺りにこだまする。

 

いつしか空には虹がかかっていた。

 

キヨマサが笛を吹くごとに、DEATH・ドラゲリオンの怨念がしずめられ、浄化されていく。

 

「お……おおぉぉ……」

 

その体の色が、(まと)う炎の色が、マナの色が、変わっていく。

 

怨霊DEATH・ドラゲリオンは浄化され、アポロヌス・ドラゲリオンの霊へと戻った。

 

「竜の力を感じる……」

 

それが、アポロヌスへと戻ったドラゲリオンの第一声だった。

 

「そうです、あなたの力の源だった竜の力です」

 

ドラゲリオンにキヨマサがそう告げた。

 

「この星の竜達は、今危機に陥っているのか?」

 

「はい。あなたの力が必要です」

 

「そうか……」

 

かつて、世界を竜のためだけのものにすべく、世界を極熱焦土へと変えようとしたドラゲリオンは、ゆっくりと腕を高くかかげた。

 

「ふんっ」

 

そしてマナのエネルギーをバルガライゾウに投げ渡した。

 

「余の力、託したぞ……」

 

「心得た」

 

ドラゲリオンはバルガライゾウに力を託すと、成仏していった。

 

辺りにはわずかな炎の熱気が残るのみであった。

 

「トドロキ……お前はすげぇよ……本当にすげぇ奴になったよ」

 

「やったのか……」

 

「やったあぁ! 化け物を倒したぞ!」

 

「あれ、トドロキ選手だよな!?」

 

「格好良すぎるぜ! 若すぎるルーキー! それから謎のドラゴン!」

 

ベンケイや超獣達は、強敵が去った事に喜ぶ。

 

「一番の功労者は、私なんですがね……」

 

キヨマサは少し不満げだった。

 

 

 

 

「集結せよ」

 

バルガライゾウが呼びかけると、各地から強大な竜達が呼び寄せられた。

 

バルガライゾウが輝きを放つと、竜達の体に力がみなぎった。

 

呼び寄せられた竜達の中には、スペル・デル・フィンの姿もあった。

 

「魔力を断ってやろう」

 

スペル・デル・フィンが呪文を封じる結界を展開する。

 

「おっと、ズルは許さないぜ」

 

しかし、アークを埋め込まれた百発人形マグナム、(せい)発人形マグナムによってスペル・デル・フィンは撃ち抜かれてしまった。

 

「デル・フィンッ!?」

 

一体の竜が叫んだ。

 

「この力が……破られる……!?」

 

その言葉を最後に、スペル・デル・フィンは動かなくなってしまった。呪文を封じる力は、失われた。

 

「素晴らしき世界は我らのものだ! 皆かかれー!」

 

オリジンは攻撃を続ける。

 

 

 

 

〈シーザーよ〉

 

「……!」

 

戦い続けるシーザーの中で、暗黒王の声がこだました。

 

シーザーは頭の中で言葉を念じる。

 

あなたは……まだ私の中にいたのか……

 

〈ああ。シデンにつけられた傷から、力は漏出(ろうしゅつ)したがな。我はまだこの体の中にとどまっている〉

 

何が……目的だ……?

 

〈この世界は我の獲物だ。それを奪おうとする古代の軍勢に一泡吹かせてやろうではないか。今の我にはこの体を動かす力すらないが……〉

 

シーザーに攻撃が襲いかかった。

 

〈上だ、シーザー〉

 

「そこかっ……!」

 

〈体を動かすことは出来なくとも、助言ぐらいはできるな〉

 

シーザーは念じる。

 

今は頼ろう……あなたのことも……

 

〈ああ、今のお前の力を見せてみるが良い〉

 

 

 

 

「オリジンの好きにさせてたまるかよ!」

 

「この世界は、俺達の世界だ!」

 

一万年以上に渡り戦いを繰り広げてきた超獣達は、ようやく掴み取った平和を守るため、古代の軍勢という驚異に立ち向かっていた。

 

 

 

 

三つの銀河魔導具によって進化したShidden、Shidden-Galaxyは、紫電に猛攻を仕掛ける。

 

水の銀河槍が紫電の鎧を貫く。火の銀河剣が兜を溶かす。

 

「ぐっ……」

 

紫電は魔導具シデン・レジェンドを振るい、炎の斬撃を飛ばす。

 

しかし、それは水の銀河槍と二つで一つ、一つで二つの自然の銀河弾に撃たれ、マナへと変換されてしまう。

 

「終わりだな! お前はShiddeに勝てねーよ!」

 

Shiddenと共に別世界から来たオリジンのサムライの名匠(めいしょう)イナバ・ギーゼは勝ちを確信する。

 

紫電にとどめを刺すべく、Shiddenが銀河剣を振り下ろした。

 

が……

 

紫電の魔導具、シデン・レジェンドが、銀河剣を受け止めていた。

 

「受け止めた! あの一撃を!」

 

そして、紫の電光を放つ。

 

「……何?」

 

紫の電光は紫電の体全体に(まと)われていく。

 

瞬間。Shiddenの目の前から、紫電が消えた。

 

そして、銀河魔導具は、弾き飛ばされていて、Shidden-GalaxyはShiddenの姿に戻っていた。

 

「なん……だと……」

 

「なんとか土壇場で……初めて成功した……紫電・三連斬!!」

 

紫電・三連斬。それは、紫電がずっとものにしようと鍛錬を重ねていた、前人未到の技。

 

紫電は一瞬のうちに、三連撃を叩き込んでいた。

 

「ウソだろ……俺達のShidden-Galaxyが破られた!?」

 

「……認めよう。そなたは強い。本当に強い……! だが、本当に強いのはこの我も、Volvalzark-Shidden-Doragon(ボルバルザーク シデン ドラゴン)も同じ!」

 

「決着と行こう……この一撃で、勝負を決めようではないか!」

 

「ああ……!」

 

紫電とShiddenは力を貯める。決着をつける渾身の一撃を放つために。

 

そして、双方の一撃が放たれる寸前――

 

その時だった。

 

世界の法則が乱れ、時の流れが交錯する!

 

超銀河弾(ギャラクシーショット)によって開いた穴の一つ、つまり、一つの時空の裂け目。それが変化し、戦国の時代と極神の時代を繋ぐタイムトンネルが開く!

 

時空の裂け目から、暗黒王の遺志を宿した破壊神が現れた。

 

その翼には暗黒王の悪意が宿る。

 

その牙には暗黒王の殺意が宿る。

 

その翼は絶対的な破壊の象徴。

 

最強最悪の神、ここに在り。

 

「我は破壊龍神!」

 

破壊龍神の放った光弾が、紫電達の周りに降り注ぐ。

 

一瞬のうちに大地は崩壊し、山は崩れ去った。

 

「終わりか……」

 

「全ては茶番だったんだ……何もかも……あんな奴に勝てるわけが……」

 

この破壊龍神なる神を止めなければ、世界は滅ぶ。

 

皆がそう確信した。

 

そして、止められないとも信じていた。

 

一部の超獣を除いて。

 

 

 

 

オリジンの指揮官、解々皇帝《エンペラー・カイト》は、さらなる混乱の到来を喜んだ。

 

「いいね。想定外の事態だが、これは好機だ……上手く利用すれば……!」

 

 

 

 

「な……なんだ……あの神は……!」

 

「新たな敵か……そして、オリジンの味方でもないようだな……躍るぞ……かつてない強敵を相手に、拙者の心が躍る!」

 

「汝もか……? 同じく、我の心も沸き立っているぞ!」

 

紫電とShiddenの心は(たかぶ)り熱くなっていた。

 

「勝つぞ……! 皆の士気を高めてくれよう!」

 

紫電は大きく息を吸い込むと高らかに叫んだ。

 

「皆に告ぐ! 未曾有(みぞう)の驚異……破壊龍神が襲来し、我らは極限の危機の(ふち)に立たされている! だが……武闘会は、第百回戦国武闘会はまだ終わってはいない! これは決勝戦をも超えた大決戦……戦極大決戦だ!! 勝つのは破壊龍神か……? 否! 勝つのは我らである! 皆の者! 魔導具、魔銃……様々な武器を手に取り、あるいは己の肉体を武器に、共に破壊龍神に立ち向かうのだ!」

 

「チャンピオンは……まだ諦めてないのか……」

 

「そうか……これは戦国武闘会の真の頂上決戦……」

 

「その決戦に、俺らも参加する権利があるんだったら……!」

 

「っしゃあぁ! やってやろうじゃねぇかぁぁ!」

 

紫電の言葉に、皆が闘志を取り戻していく。

 

超獣世界の住民が破壊龍神を見上げた時、空にはいつしか2つの月が現れていた。

 

「絶対的な破壊! 圧倒的な力! これこそが神たる証!!! 神の力をその目に焼き付けよ!!!!」

 

破壊龍神はその鵬翼(ほうよく)から一枚の羽根を抜き取り放り投げた。

 

「貴様らを闇に染めてくれる! 世界よ……絶望に包まれよ!」

 

羽根が大爆発を引き起こし、戦場が紅く染まる。

 

更に、禍々しき翼を持つ破壊龍神のその魔眼が光り輝き、対峙する者の狂気を呼び覚ます。向かう先は、破滅のみ。

 

破壊龍神の魔眼に狂気を呼び起こされ、自ら破滅へと向かう一人の超獣。

 

「来たな……貴様はもう終わりだ!」

 

破壊龍神が強烈な光線をその超獣目掛けて放った。

 

 

 

 

が……その超獣は、吹き飛ばされはしたものの、無事だった。

 

「間に合ったようだな……」

 

破壊龍神による滅亡の光を防いだのは、神羅の強力な結界だった。

 

神羅とは、究極とも呼べる力を持ちし存在達のこと。

 

神羅サンダー・ムーンは、神羅奥義ルナティック・ギャラクシーを発動し、超獣達に結界を(まと)わせていた。

 

(ラムーン)の力で強力な超獣、神羅の力が目覚めたのだ。

 

神羅のスカル・ムーンと、ブリザード・ムーン、トルネード・ムーンが道を切り開き、サンダー・ムーンが超獣達の破滅を防ぐ。

 

「絶対の勝利を約束しよう」

 

さらに、遅れてやってきた神羅、ドラグ・ムーンがそう宣言する。

 

しかし……

 

破壊龍神の出現は、古の軍勢にとって超獣世界を侵攻する絶好の機会となったのだった。

 

古の火の軍は、オリジンの驚異となりえるドラゴンに先手を打つため、火文明の都市に奇襲をかけ、火山要塞フォートレス・NEXを半壊にまで追い込んだ。

 

オリジンの侵攻は止まらない。

 

 

 

 

崩壊しかかる、とある洞窟の中――

 

「起きて、ドラゴンさん」

 

「あなたがいなきゃ始まらないよ」

 

「勝負をつけなきゃ終われないよ」

 

「さあ、行こう――ボルシャック・NEX」

 

竜の友、ルピア達の一人、ブレイブ・ルピアが、ボルシャック・NEXを呼び覚ました。

 

 

 

 

破壊龍神を見たシーザーの中の暗黒王は語る。

 

〈タイムトンネルを通って現れた破壊龍神……我の精神そのものではなく、我の遺志を宿しているな……かつてボルフェウス・ヘヴンに敗れた我の遺志を……だが、その目的は我とは違い、世界の破壊らしい〉

 

「世界の……破壊……」

 

〈世界の破壊は我にとっても不本意。我の目的は、世界を支配することだからな。貸せるだけの力は貸すぞ。シーザーよ〉

 

「感謝……する……」

 

 

 

 

「まだまだぁ!」

 

「竜族の力を見よ!」

 

「怒流牙は負けん! 負けはせんぞぉ!」

 

破壊龍神を食い止めるため、シデン・ギャラクシー、バルガライゾウ、ドルゲユキムラ率いる怒流牙十勇士は、自らの命を省みることなく、決死の総力戦を仕掛けるのだった。

 

「奴に隙ができたぞ!」

 

「今だ! ユキムラ!」

 

怒流牙十勇士の一人サルトビとボルシャリオがそう叫んだ。

 

「受けてみよ破壊龍神……! 怒流牙忍法 次元隠しの術!」

 

だが……

 

「微塵も効いていないだと!?」

 

この物語では書かれていない歴史の裏で、名のあるナイト達を退けたドルゲユキムラの次元隠しの術ですら、破壊龍神の前では意味をなさなかった。

 

「くっ……」

 

「滅びよォォォォ!」

 

破壊龍神が光線を放った。

 

光線のエネルギーで、大地がえぐれていく。そしてシデン・ギャラクシー達を襲う。

 

良ければ被害が拡大する。シデン達はそれを受け止めようとした。

 

「ぐうおおぉぉぉぉぉ!」

 

「怯むな! なんとかして耐えるんだ!」

 

「負けてぇ……たまるかあああぁぁぁぁ!」

 

シデン達はなんとかその攻撃を受け止めた。

 

だが、力を使い果たしてしまった。しばらくすれば力が回復するかもしれない。だが、破壊龍神が待ってくれるとは思えない……

 

もう、勝つ術はないのか。

 

 

 

 

そこにとある超獣が飛来した。

 

「心を交わし、心を重ね、友と共に戦おう!」

 

「貴殿は……!?」

 

「私はボルシャック・NEX!」

 

「か、感じる……可能性を感じるぞ……破壊龍神をも超える力の可能性を……君から……!」

 

ボルシャリオはここに来て差し込んだ光明に感謝した。

 

「ここは私に任せてもらおう!」

 

「いい……のか……やれる……のか……?」

 

シデンは戸惑いを見せる。

 

「任せるしかあるまい! 頼んだぞ!」

 

ボルシャリオは可能性にかけることを決断した。

 

「貴殿がそう言うのであれば……」

 

「賭けてみるか、その可能性とやらに」

 

「うむ……」

 

シデン達もそれに同意した。

 

力を使い果たした戦国武闘会の覇者達は、破壊龍神を倒せる唯一の存在、ボルシャック・NEXに最後の力を託すのだった。

 

「お受け取りください!」

 

会話を聞いていたキヨマサ・コムソーとバルガライゾウが、アポロヌス・ドラゲリオンの霊から受け取った力をボルシャック・NEXに渡した。

 

「止まれ! 破壊龍神!」

 

「今度は我らが相手だ!」

 

戦国武闘会の覇者を倒した破壊龍神を神羅達が食い止める。

 

その隙にボルシャック・NEXはファイアー・バード、そしてサムライ達との熱き絆によって力を乗りこなし、サンバースト・NEXへと進化し、戦いを挑むのだった!

 

「「「ぐっ……!」」」

 

神羅達が破壊龍神に弾き飛ばされる。

 

神羅の究極の力すら超えた神、破壊龍神は、狙いをNEXに定めた。

 

「絶望に包まれよ!」

 

「……絶望? どんな絶望があろうとも、希望を信じて戦うのみだ!!」

 

「笑わせるな! ふんぬあぁぁーっ!」

 

破壊龍神の放った光線がNEX目掛けて襲いかかる!

 

NEXは四本の剣をクロスさせて光線を受け止めた。

 

「くっ、うううっ……」

 

次第に押されていくNEX。

 

「滅びよ! 滅びよぉぉ!」

 

「断るッッ!」

 

NEXは、渾身の力でその光線を弾き返した!

 

「何ッ!? ぐっ……!」

 

光線が命中した破壊龍神は態勢を崩した。

 

「炎と共に燃え上がれ! 太陽の一撃! 喰らえッッ!」

 

NEXの剣が、破壊龍神を襲う!

 

「この我が……この我がァァァァ!」

 

NEXはさらなる一撃を加える! そして……!

 

「悪しき神を打ち砕く!」

 

サムライ達の思いを乗せたサンバースト・NEXの一撃が、破壊龍神を粉々に打ち砕いた!!

 

神をも凌駕(りょうが)する、まさに太陽の一撃!

 

「絆の勝利だ!」

 

勝利に湧く地上の超獣達。

 

歓喜し勢いづいた超獣達は、その勢いに身を任せ、古代の軍勢を押し返していく。

 

サンバースト・NEXの勝利によって、熾烈を極める地上連合軍の反撃。

 

NEXは太陽の力をさらに乗りこなし、サンバースト・NEXからライジングNEXへと進化した!

 

「太陽の輝きが……今ここに、奇跡を起こさん!」

 

オリジンを圧倒するライジング・NEX。

 

太陽色のオーラを(まと)った剣で次々にオリジンを切り伏せる。

 

「今一度問おう! そなた達の目的は何だ!」

 

ライジング・NEXとエンペラー・キリコが対峙する。

 

「超獣世界の制圧。地上の超獣達の殲滅……そして、超獣世界に封じられたオリジンの神を取り戻す事。それが、(キリコ)の目的です」

 

「そうか、悪いが……阻止させてもらおう!」

 

邪悪なるオリジンの神の復活を止めるため、究極進化したNEXが立ち向かう!

 

 

 

 

誰もが、古の軍勢をこのまま撃破できると信じていた。

 

 

 

 

「バイオレンス・フュージョン!」

 

なんと、破壊龍神の声が轟き……

 

倒したはずの破壊龍神が、復活した。

 

「我は……我は何度でも蘇るぞォォ!!」

 

掴んだはずの勝利が、まるで手の中から砂がこぼれ落ちるように消え去る。

 

絶望が、再臨した。

 

 

 

 

次回予告

 

「見ていろ! これが私の答えだ!」

 

ネロ・グリフィスが、ついに"答え"を出す!

 

V(ボルテックス)V(ボルテックス)が合わされば……未知数となる……!」

 

世界を守るための、未知数の方法とは!?

 

「合わせてX(クロス!)

 

心をクロスして勝利を掴め!

 

「我が名は……超星竜(グレイテスト・チャンピオン)バトル・ギャラクシー!」

 

バトル・ギャラクシーとは何者なのか!?

 

次回、最終回。《スタークロス》

 

「まだ終わってはいない…………」

 

完結は目前。終わりとは何か。最終決戦とは何か。この物語を締めくくる戦いは、平和と熱狂に包み込まれた一戦でなくてはならない。この物語は、戦国武闘会についての物語なのだから……!

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