【完結】最終戦国武闘伝 〜バイオレット・ダークネス〜   作:無敵ざかり

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第四節 スタークロス

再臨した絶望、破壊龍神ヘヴィ・デス・メタルの魔眼が光り輝き、ライジング・NEXの狂気を呼び覚ます。向かう先は、破滅のみ。

 

ライジング・NEXは、破壊龍神めがけて一直線に突っ込んでいった。

 

破壊龍神が光線をライジング・NEXに放った。

 

それが当たったライジング・NEXは、大地に向かって崩れ落ちていった。

 

しかし、ただではやられない。

 

彼の持つ神殺し(ゴッドスレイヤー)の力で、やがて破壊龍神も崩れ去る。

 

だが……

 

「バイオレンス・フュージョン!」

 

すぐに復活する破壊龍神。

 

「あと三回だ! 奴から感じ取れる魔力量から考えて、奴はあと二回復活する! あと三回倒さないと我らの勝利はないぞ!」

 

ボルシャリオが叫んだ。

 

NEXはライジングの力を解除することでボルシャック・NEXとして生還した。

 

「ぐっ……あと三回……だと……。私のサンバーストの力も、ライジングの力も、今はもう使えない……」

 

「弱っているところ悪いが……次は我らの相手をしてもらおうか」

 

「あの神……破壊龍神を倒せる程の存在。放っておいては危険だからな……」

 

NEXに、オリジン達が狙いを定める。

 

そこへ魔光大帝ネロ・グリフィスとフェルナンド、さらにヴァルアーサー率いる爆獣騎士団が到着した。

 

彼らは、破壊龍神を見た時、愕然(がくぜん)としていた。見ただけで感じる。こんな相手に、どうやったら勝てるのか? と。

 

ナイト達は足がすくみ動けずにいた。ネロ・グリフィスとヴァルアーサーを除いて。

 

「おお、ネロ・グリフィス。我らに手を貸すのだ。お前には我らに協力するしかない人質(りゆう)があるだろう?」

 

星狼王として超獣世界に潜伏し、戦国武闘会にも出場していたオリジンの斬り込み隊長、蒼狼王(せいろうおう)マスター・オブ・デスティニーが、そう語りかけた。

 

「…………断る!」

 

「……何? Ⅱ世がどうなってもいいのか?」

 

(世界中のみんなを、魔光が救うんだよ!)

 

ネロ・グリフィスはⅡ世の言葉を思い出していた。

 

そして思った。

 

今世界中の皆は危機に(ひん)している。だがオリジンに従わねば、Ⅱ世の命は……

 

Ⅱ世を殺され、ソウル・キャッチャーでも復活させられないくらい長期間遺体を持ち去られてしまえば……そうなってしまえば、Ⅱ世を復活させることはできない……

 

だが……

 

(世界中のみんなを、魔光が救うんだよ!)

 

救うどころか、今の私は世界中の皆に危害を加える側だ。

 

それでいいのか、それで……

 

 

 

 

…………否!

 

こんなことでは、Ⅱ世に顔向けできない!

 

世界中の皆を、魔光が救うのだ!

 

できるはずだ――

 

「ヴァルアーサー! ベター・トゥモローを撃て!」

 

ネロ・グリフィスが()える。

 

「はっ!」

 

「よりよい明日を――」

 

「魔弾 ベター・トゥモロー!」

 

魔弾を撃つ時に魔銃より吹き上がった羽を吸収して、パワーアップする。

 

ネロ・グリフィスの決意は固かった。

 

「見ていろ! これが私の答えだ!」

 

ネロ・グリフィスが、グリフォンのごとく破壊龍神に突撃する。

 

飛びかかるネロ・グリフィスを、破壊龍神の光線が瞬時に貫いた。

 

「た……大帝!?」

 

ヴァルアーサー達は驚きを隠せない。

 

「我らの……勝利を……希望を……頼ん……だぞ」

 

ネロ・グリフィスの力は、傷つくことで発動する。

 

その身を捧げるにまで至れば、その効果は、絶大。

 

ベター・トゥモローがもう一度発動する。

 

二色のマナが再び降り注ぎ、超獣に力を与える。

 

「大帝の思い……受け取りました! 爆裂剛刃!!」

 

ヴァルアーサーの力が、一時的に破壊龍神を上回る。

 

「喰らえぇぇ!!」

 

そのままの勢いで、ヴァルアーサーは連続攻撃を加え、最後の一撃で破壊龍神を撃破した!

 

 

 

 

「…………フェルナンド」

 

ネロ・グリフィスが(かす)れるような声で話す。

 

「何で御座いましょう」

 

「魔弾ソウル・キャッチャーは残ってる……?」

 

「……全て撃ち尽くしております」

 

「だよね……生命は儚いねえ」

 

「儚いのは生命だけではございません。

死もまた……」

 

「そうか……そうだね……ねえ、眠ってもいいかな……すごく疲れたんだ」

 

「……かしこまりました……」

 

「お別れの前に、あの名前で私を呼んでくれないか」

 

「……クリム・ザスター様」

 

ネロ・グリフィスとは大帝として名乗っている名前であり、真の名前ではない。が、そのことを知るものは少ない。真の名前を知るフェルナンドは、ネロ・グリフィスの真の名前を呼んだ。

 

「……ありがとう。じゃあ、おやすみ……」

 

「はい……それでは、地獄の門が開く時まで……ごゆっくりお休みくださいませ」

 

「……ああ。後は任せたぞ、フェルナンドよ」

 

 

 

 

「バイオレンス・フュージョン!」

 

再び復活する破壊龍神。

 

「くっ……大帝が身を捧げるという一回きりの手段で倒したというのに……あと二回……どうやって倒せば……!」

 

ヴァルアーサーが悔しそうに吐露(とろ)する。

 

「ふはははははははっ! 貴様らはもう終わりだァッ!」

 

破壊龍神の攻撃はオリジンをも巻き込み始めた。

 

「くっ……(キリコ)達も標的にされましたか……!」

 

オリジンは、もはや、地上の超獣と戦っている場合ではなくなった。

 

神羅達は超獣達を守りたいところだが、サンダー・ムーンに、もうルナティック・ギャラクシーを使う魔力はない。

 

ボルシャリオが叫ぶ。

 

「武者! 今一度ボルフェウス・ヘヴンになるぞ! 私がウルフェウスの代理として武者と融合する!」

 

「了解だ!」

 

「「ボルテックス!」」

 

土壇場で再臨したボルフェウス。

 

「武者! 私ではウルフェウスの代わりにはなれない、短時間しか融合していられないだろう。」

 

「ならば、その短時間で最善を尽くすまで! サンダー・ムーン、杖を借りるぞ! 神羅奥義ルナティック・ギャラクシー!」

 

ボルフェウスがサンダー・ムーンの使った奥義ルナティック・ギャラクシーを発動。その光が、地上の超獣たちを守っていく。

 

そして、オリジンをも守っていく。

 

「……なぜ? なぜ我らをも守る?」

 

キリコはボルフェウスにそう問う。

 

「……お前たちとて、この世界を守りたいのではないか? 手を貸せ」

 

「確かに、超獣世界を守りたいのは我らとて同じ。一時休戦といきましょう」

 

地上の超獣達とオリジン達は一時共闘することになった。

 

「ここが正念場だ! 奮起せよ!」

 

今度は古の軍勢の聖霊王イカズチが、地上の超獣達も含めた皆を光で包み、力を与える。

 

「し……」

 

「師匠……」

 

バイオレンス・迅雷・ドラゴンと迅雷の精霊ホワイト・ヘヴンはイカズチを見つめる。

 

「私の愛する弟子達よ! 共に世界を守ろうではないか!」

 

「ちっ……分かったよ……俺達を裏切ったのを許すつもりはねーが……」

 

「やっぱり貴方(あなた)は……私達の……」

 

「「自慢の師匠」」

 

「なんだな……!」「なんですね……!」

 

 

 

 

「奮起せよ! 奮起せよ! 奮起せよ! 奮起せよ!」

 

「うるさいなぁー、そんなに何度も言わなくてもわかってるっての。パッパラパラッパ!」

 

そう言いながら、ベンケイは魔道具《JK(じゃんけん)兜パッパラ・ベンケイ》の力で大地にマナを与えていく。

 

すると、大地を通して伝わったマナが、超獣達の傷を癒していく。

 

戦いは続く。

 

 

 

 

大技の前触れか、破壊龍神が大きく息を吸い込み始めた。

 

「破壊龍神を止めなければ! しかしどうすればいい……」

 

「まだだ…………紫電………本当の戦いははここからだ…………! 闘志を……気力を……さらに高めるのだ……!」

 

シーザーが熱く鼓舞する。

 

「だが頼みの綱だったNEXも、爆獣のヴァルアーサーも、もう奴には勝てない! 勝てないのか……? もう奴には……拙者達がどう足掻こうとも……! いや、諦めるものか……! 何か……何か手は……!」

 

「一つだけ、あるにはある。だが失敗のリスクもある」

 

ボルシャリオがそうつぶやいた。

 

「リスク? それしか手は無いという口ぶりだな? ならば拙者達はそれに賭けるのみ! で、その手とは!?」

 

V(ボルテックス)同士を重ねるのだ。V(ボルテックス)V(ボルテックス)が合わさればX(クロス)、つまりX(エックス)……すなわち未知数となる……!」

 

未知数。それならば、破壊龍神を越えられる可能性はある。

 

ボルシャリオは続けて言う。

 

「四体融合……経験はないが、それに賭けるしかなさそうだ。だが私とラルックの力だけでは足りんな……VとVを重ねるには……いや? これは……私の体に満ちてゆくこの力は……そうか。この超天星の……星の力を合わせれば……! やるぞラルック!」

 

「了解でち!」

 

V(ボルテックス)と!」

 

V(ボルテックス)!」

 

「合わせてX(クロス!)

 

「そこに星の力が加われば……」

 

「「SX(スタークロス)!!」」

 

紫電、ギャラクシー、シーザー、暗黒王の魂の四人が融合し……最強の戦士が生み出される!

 

生み出された最強の戦士は高らかに叫んだ!

 

「我が名は……いや、我らが名は、超星竜(グレイテスト・チャンピオン)バトル・ギャラクシー!」

 

〈溢れんばかりの力がみなぎりますね、紫電! きっとこれは、破壊龍神を上回るほどの力!〉

 

〈これ……が……四体……融合……か……〉

 

〈この暗黒王をも取り込むとは、その太刀筋、じっくりと見せてもらおうか〉

 

「我らの剣戟(けんげき)を受けてみよ! 破壊龍神!」

 

バトル・ギャラクシーが破壊龍神に渾身の一撃を浴びせた。その体がバラバラに打ち砕かれる。

 

「たった一撃で……だと……? だが、我は……我は……」

 

破壊龍神が崩れ落ちていく。

 

「バイオレンス・フュージョン!」

 

バラバラになった体が合わさり、傷が塞がれ、破壊龍神が再び空へ飛び上がる。

 

「我は何度でも蘇るぞォォ!」

 

「否! お前は既に四回倒されている……もう一度倒せばお前は復活できない! そして分かっているか? こちらの攻撃がまだ終わっていないということが。拙者の一番の得意技は……神速の二段切り! これで最後だ! 喰らえぇぇ! 拙者の一撃……いや、拙者達の一撃をォ! 極超銀河・弐連斬!!」

 

バトル・ギャラクシーの最後の一撃が、破壊龍神を今度こそ打ち倒した!

 

破壊龍神が落下し地に伏していく。衝撃が大地を揺るがし、土煙がもうもうと立ち上る。

 

魔力が尽き、もうバイオレンス・フュージョンによる復活はできず、破壊龍神は完全に倒された。

 

「やった……勝ったぞ! 我らの勝利だ!」

 

バトル・ギャラクシーは融合が解かれ、紫電とシーザーとギャラクシーと暗黒王の魂へと戻った。

 

その時だった。

 

シーザーが振るっていた超銀河銃(ギャラクシーガン)改め超銀河槍(ギャラクシースピア)と、ボルシャリオがもしものためにと持ってきていた超銀河剣(ギャラクシーブレード)が……超銀河兵器が、その強大な力が空の穴(裂け目)と反応したのか、破壊龍神が現れたのとはまた別の穴へと吸い込まれていった。

 

「あっ……!」

 

「待ってくれ……!」

 

紫電とシーザーが手を伸ばすも、それらを掴むことは出来ず、それらは空の穴へと吸い込まれていった。

 

さらに出来事は続く。破壊龍神の体から破壊龍神の魂が現れ、そして語り始めた。

 

「よくやった。超獣達よ」

 

その魂は、破壊龍神を(かたど)ったような姿をしていた。

 

「破壊龍神……? よくやった、とは?」

 

紫電が問いかける。

 

「暗黒王の遺志に取り憑かれたことによって、我はただ絶望を振りまこうとするだけの存在へと成り下がってしまった。暗黒王の意思と我の意思の相性が悪かったことが原因だ。暗黒王の目的は世界を破滅させ支配すること。我の目的は来たるべき時に世界を破壊することだからな。その二つは似ていながら大きく異なるものだ。世界の破滅は世界を存続させながら文明を滅ぼすこと、世界の破壊は世界そのものを壊してしまうことだからな。相性が悪かったゆえに、我は、絶望を振りまくためにいたずらに世界を破壊しようとする存在になってしまったのだ」

 

「そう……だったのか……道理で……私の中に封じ込められた……暗黒王と……何かが……違うと思った……」

 

シーザーはぼそぼそと語る。

 

〈やはりな。ただ我の遺志を宿しただけではああはならないと思ったぞ〉

 

「うむ。我も暗黒王も、本来絶望を振りまくだけの存在ではない。我は来たるべき時に世界を破壊する存在だ。いたずらに絶望を振りまく存在ではない」

 

「……世界を破壊など、拙者達がさせると思うか?」

 

「さあ、どうだろうな。いずれその時がくれば、我と全力で戦ってくれるか?」

 

「……できれば、戦国武闘会で戦いたいものだな。世界の破壊などを賭けずに」

 

「それは難しいな。我はそういう存在ではない。我は心躍る戦いとやらを味わえるような存在ではないのだから」

 

「さあ、どうだろうな。案外やってみたら楽しめるかもしれぬぞ?」

 

「……世界を破壊すべき時が来るまで、その長き時の流れの中で気が変わることがあれば、考えてみよう……。さて、我もそろそろ帰る頃だろう。ではな」

 

そう言ったところで、破壊龍神の魂はふわりと浮かび穴の中に吸い込まれ、極神の時代へと帰っていった。

 

「……破壊龍神、いつかお主と試合をしてみたいものだ」

 

紫電は空に空いた穴に向かってぽつりと声をかけた。

 

 

 

 

紫電達と分離した暗黒王の魂がシーザーに語りかける。

 

「シーザーよ。我のためによく働いた」

 

「…………貴方のためでは……ないが……」

 

「そして武者と、その弟子紫電よ。我は何度でも蘇る。その事をゆめゆめ忘れるな。次に蘇る時は……新たなる神たる存在として、世界に破滅をもたらしてくれよう」

 

「……暗黒王」

 

紫電と武者はふわふわと浮かぶ暗黒王の魂を見つめる。

 

「さらばだ……面白かったぞ」

 

暗黒王の魂は地の底へと沈んで行った。

 

 

 

 

「「師匠」」

 

聖霊王イカズチは、バイオレンスとヘヴンに声をかけられて振り向いた。

 

「すまない」

 

「今更謝るのかよ。ずっと俺達を騙しておいて」

 

「……すまない」

 

「師匠、私達を拾って下さった時のこと、覚えていますか」

 

「ああ。忘れるわけもない」

 

「行き場のないガキだった俺達を拾って育ててくれたのはあんただ。あの時、なんで俺達を助けた?」

 

「……放っておけなかったのもあるが……現地民と深い関係になっておくことが、有利に働くという考えがあった……私達の関係は、嘘で偽物だった……だが、お前達は私にとって……この地上に一人潜伏する任務を与えられ、寂しさを感じていた私にとって、かけがえのない存在になっていった……だが、お前達は私を許せないだろう……お前達の私への愛は、憎しみに変わっただろう……」

 

「師匠……」

 

「おい」

 

「……」

 

「確かに俺は今、あんたを許せねえ。100発ぶん殴ってもまだ足りないくらいだ」

 

「バ、バイオレンス……師匠に向かって、何もそこまで言わなくても……」

 

「でもお前も、同じ気持ちだろ? ヘヴン」

 

「それは……」

 

「……」

 

「だけど間違えんなよ。俺達が共に過ごした日々は、嘘じゃない」

 

「……バイオレンス……!」

 

「そうですよ! 師匠が本当は敵だったとしても、これからまた戦うことになるとしても、私達が共に過ごした時間は消えません」

 

「うっ……うぅ……」

 

イカズチは涙を流した。

 

「それによ、許せなくたって愛していいんだよ。今許せなかったら愛しちゃいけないなんて決まりはないんだからな。許さないと愛するは両立できる。動機なんて、汚くてもいいんだぜ。最初から完璧に立派で綺麗な奴なんていないんだからよ」

 

「その通りです。始まりが偽りだったとしても、ずっと前から、私達の関係は本物ですよ。愛しています、師匠」

 

「お前達……!!」

 

イカズチの顔は、涙でぐしゃぐしゃになっていた。

 

「強くなったな……優しさでは既に、私を超えている」

 

「ははっ、あの師匠がボロ泣きしてら」

 

「師匠、いいんですよ。今は泣いて下さい」

 

「ヘヴン……バイオレンス……ううぅ……!」

 

 

 

 

紫電とShiddenが、向き合って言葉を交わす。

 

「一難去ったな」

 

「ああ……だが、我々は戦わねらばならぬ……」

 

「……そのようだな」

 

「いや、ちょっと待て」

 

「……ギーゼ? どうした」

 

名匠(めいしょう)ギーゼに呼び止められ、Shiddenが振り返る。

 

「どうやら俺たちは、別の世界に来ちまったらしい。」

 

端末を弄りながらギーゼは言う。

 

「別の世界……?」

 

Shiddenは首を傾げる。

 

「ああ、時空の裂け目を抜ける時に、俺達オリジンが元々居た世界ではなく、別世界のオリジンが元々居た世界に来たようだ。Shiddenが二人いたのも別に不思議な事じゃなくて、俺たちの世界のShiddenと、この世界の紫電がいただけってこと」

 

「つまりこの世界は、我らオリジン軍が取り戻そうとしている世界ではないということか」

 

「そゆこと」

 

 

 

 

「お前……生きていたか……どうやってその状態まで回復した?」

 

アレクセイがスペルギア・ファントムに問いかける。

 

「私も竜だからな。竜に力を与える、あのサムライの"超神星"……いや、"超天星"だったか? の影響だ。また会おう。次は前のようにはいかんぞ」

 

「どうかな。次も私が……私達が勝たせてもらうつもりだ」

 

その言葉に呼応するように、ガロウネイチャーが吠える。

 

 

 

 

「地上の超獣達よ! 我らは一度退く! だが(キリコ)達は必ずまた戻ってくる! その時を待っているがよい!」

 

オリジンも痛手を追ったため、一度撤退を宣言した。

 

「拙者達は次も負けんぞ! いつでもかかってくるがよい!」

 

そして、古代の軍勢は時空の裂け目の向こうへと姿を消した。

 

オリジン達の撤退により、アークは機能を停止・破損した。

 

「我は……何をしていたのだ……?」

 

ロマノフと戦っていたボルメテウス・サファイア・ドラゴンも、支配から開放された。

 

「フン……終わりか」

 

ロマノフとサファイア・ドラゴン。どちらが勝ってもおかしくない戦いだったが、サファイア・ドラゴンが正気に戻ったことにより、勝負は強制終了となった。

 

 

 

 

「一件落着したみたいだし、帰ろうぜ、Shidden。そして俺達の元いた世界を取り戻しに行こう」

 

名匠(めいしょう)イナバ・ギーゼがShiddenに言った。

 

「ああ……この世界のShidden……いや、紫電よ。我らは自分たちの世界に帰れば、その世界の地上の超獣達に戦いを挑むぞ。我らを止めなくていいのか?」

 

Shiddenは紫電の方へ振り返って聞いた。

 

「そちらの世界の事情に、拙者が手を出しすぎてしまうのもな……それに、そちらの世界にもいるはずだ。ギャラクシーが、ロマノフが、シーザーが。そちらの世界の地上の超獣達が勝つと信じているよ」

 

紫電は穏やかに、かつ自信ありげに答えた。

 

「そうか……なるほど。確かに……邪眼獣皇も、不滅の聖霊王もいる……皆、手強い相手だろう。だが、負けんぞ? 我も我らの勝利を信じている」

 

「少し……いいか?」

 

「どうした? シーザー」

 

「紫電……準備が……出来たら……決勝戦を……始めよう……」

 

シーザーが紫電に対しそう声をかけた。

 

「決勝戦? 決勝戦は、拙者と貴殿の戦いはもう終わって……」

 

「第百回戦国武闘会は…………まだ終わってはいない…………戦国武闘会の覇者はただ一人…………第百回の覇者は紫電ただ一人だよ。だが…………ここに紫電が二人いるではないか」

 

「「なるほどそうか……!」」

 

紫電とShiddenが笑みを浮かべた。

 

 

 

 

紫電達は戦国武闘会の闘技場へと向かった。

 

「へーえ……なかなかいい闘技場だな……あ、いや、地上の奴らが作ったにしては、な」

 

名匠(めいしょう)イナバ・ギーゼが感心しながら辺りを見回す。

 

実況の声が轟く。

 

「皆さんも知っての通り、第百回戦国武闘会の優勝者はただ一人。そう、ボルバルザーク・紫電・ドラゴン選手ただ一人! の、はずでしたが……なぜかここに、紫電・ドラゴン選手が二人存在しています!」

 

そう、ただ一人のはずの優勝者が、二人存在するなら、何が行われるか。

 

「そこで本人たちの希望もあり、戦国武闘会運営組織本部は……ボルバルザーク・紫電・ドラゴン選手とVolvalzark-Shidden-Doragon(ボルバルザーク・シデン・ドラゴン)選手による真の決勝戦を行うこととしました! 第百回戦国武闘会の真の優勝者が、今日ここに決定することとなるでしょう! 実況は(わたくし)、ミラクル・ショーが担当いたします!」

 

会場は暑いぐらいに盛りあがっている。

 

「さあ……行くぞ!! 今度こそ決着をつけよう!!」

 

紫電は愛用する魔導具《シデン・レジェンド》を握る。

 

「望むところだ!! さあ、試合を始めよう!!」

 

Shiddenも同じく魔導具《オリジナル・レジェンド》を手にしている。

 

「それでは! 試合開始です! デュエマ…………スタートオオォォーー!!」

 

「紫電・双竜斬!」

 

「オリジナル・レジェンド・スラッシュ!」

 

「紫電 VS Shidden! 最強VS最強! まさかまさかの対決! その火蓋が切って落とされたァ! 果たしてッ!! 勝つのはどちらなのかアァーーッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜エピローグ〜

 

地上の超獣達は古代の軍勢を全て撃退した。

 

そう思っていた。

 

地上に送り込まれたのは威力偵察部隊……つまり尖兵であり、古代の軍勢のほんの一部に過ぎなかったのだ。

 

そして、地上の超獣達と激突したのはその威力偵察部隊の半分。

 

威力偵察部隊は、戦闘部隊と記録・回収部隊の二つに分かれていた。

 

あの大群ですら、一部の、さらに半分に過ぎなかったのだ。

 

その数は、古の軍勢の本隊と比べるとあまりにも少ない。

 

始祖、オリジン。それはかつて世界の各地で暮らしていた超獣達。

 

地上に残ったわずかな超獣達の子孫が今の超獣たちである。

 

偵察部隊の約半数は、始祖の軍勢の本拠地へと密かに帰還していた。

 

「ご苦労だったね。スパイを連れて帰って来れたかい?」

 

「大多数のスパイの回収に成功いたしました!」

 

記録・回収部隊の隊長が明朗(めいろう)な声で答える。

 

「うん。君も分隊長達も……そして兵達も良い働きをしてくれたようだね」

 

「はい。ただし……紫電の回収には失敗致しました……」

 

「んー、ボルバルザークの血を引くあいつは折角なら欲しいと思ってたんだが……いくら紫電が前線にいるだろうからって戦闘部隊に回収させるのはやっぱり難しかったか……」

 

オリジンの指揮官はあごに指を当てて考える。

 

「まあいいか。あいつちゃんと"教育"されてなかったみたいだし。なんでアマテラスは一切の教育をせずにあいつを置いて帰ってきたんだろうねえ……」

 

「その点は……まったくもって疑問であります」

 

「確かにアマテラスに帰還命令を出したけど……でも教育できないならできないでその時連れて帰ってくるとかあるだろう……いくらボルバルザークが強力な超獣といえど、奴の隙を見て連れ帰って来ればいいだろうに……もっと詳細な命令を出すべきだったかなぁ。紫電は"オリジン"の事なんか全然知らないんだろうな……うん、もういいや。あいつは放っといていいよ」

 

「はっ!」

 

「しかし、"戦国武闘会"だったか……我らの調べた情報によれば、ミロクなる存在が発案したとか……あるいは、とある超獣が発案し、その考えがじわじわと広がりを見せつつあるところにミロクが介入したとか……起源ははっきりしない。そしてその後ミロクは正体を隠して戦国武闘会の主催者の座についたものの、なぜかすぐに行方をくらませ姿を消したらしいが……何者なのだろうな、ミロクなる存在は……まあいいか。そんなことより……次の侵攻の計画を練らなければな……試さなければ、変わらないからね」

 

解々皇帝(エンペラー・カイト)の異名を持つオリジンの指揮官、エンペラー・キリエは、次の作戦を考え始めた。

 

古代の軍勢の本当の侵攻が始まろうとしている。

 

その日までの時を刻むかのように、オリジンの古城"オリジナル・ハート"が脈動していた。

 

 

 

 

宇宙の果て。次元の穴のさらに奥にある地、"パンドラ・スペース"

 

ネロ・グリフィスⅡ世はそこにいた。

 

「いやあ、いくら名門魔光の当主の血を引くものといえど、こんな遠方の地だ。君達からすればぼ……私はよそ者どころではないだろう。そんな私を受け入れてくれたこと、日々感謝しているよ」

 

「勿体なきお言葉でございます。ネロ様」

 

一人の超獣が、魔光大帝Ⅱ世の事をそう呼ぶ。

 

「自分がネロって呼ばれるのはなんか変な感じだな……いつもⅡ世と呼ばれていてな、ネロと呼ばれたことはあまりなかったから」

 

「お気に(さわ)りましたか?」

 

「いや、とんでもない。好きに呼んでくれて構わないよ。それに、いずれ私が大帝になるのだからね。今にうちにネロと呼ばれることに慣れておくのも悪くない」

 

「……既にあなたが大帝ですが、ね」

 

消え入るような小さな声で、どこへともなくその超獣はささやいた。

 

「ん……何か言ったかい?」

 

「いえ、なんでもございません。なにぶんここは宇宙の果てであります故、近くを流星が通り過ぎる音がしばしば聞こえるのでございます。おそらく、それがネロ様のお耳に(さわ)ったのかと。流星の分際でネロ様に(たて)突くとは、全く無礼千番ですな」

 

「ははは……! そうか。しかし……流星か。ぜひ見てみたいものだ」

 

「流星鑑賞に適した場所を知っております。お望みとあらばすぐにでもご覧になれますよ」

 

「よし、そうしよう。案内してくれ、リヒャルト」

 

「かしこまりました。早速参るとしましょう」

 

「ああ、いや、今日は祈祷師(きとうし)ザビ・ミラと魔銃と魔弾についての話をする約束があった。約束だからな、そちらを優先しよう。流星は明日見ることにするよ」

 

「仰せのままに……して、魔銃と魔弾というのはやはり……」

 

「私がいつも持ち歩いているこれらの事だよ。これは私のもので……こっちは邪眼の祈祷師(きとうし)とやらより贈られたものだ。祈祷師(きとうし)といえば、()しくもザビ・ミラも祈祷師(きとうし)だな。……まあそんなことより、ほら見てくれ。よく磨き上げているから、曇り一つないだろう?」

 

「……このようにお大事にされているものをお見せ頂き、深く感謝致します。我らエイリアン、なんとお礼を申し上げていいやら……」

 

「いやいや、かわりにザビ・ミラは超次元の力を持つ呪文の扱い方を教えてくれるそうだ。礼はそれで十分だよ。ではまたな、リヒャルト」

 

「このリヒャルト……再びネロ様にお会い出来る時を心待ちにしております。たとえ何年先になっても……」

 

「いや、明日会うだろう」

 

どこまでも広がる星空の下、二人の笑い声がこだました。

 

 

 

 

宇宙の果て、パンドラ・スペース。その中のどこか、青い霧が広がる空間。

 

辺り一面見渡しても他に誰一人居ない空間に、リヒャルトの姿があった。

 

「幻惑の青の力……流石だな」

 

「誰一人として、私達の存在には気づけませんよ。特にここ、パンドラ・スペースではね。ここには地上の魔術の見破り方を知る者がいませんから」

 

五色の道化師が、上空から現れた。

 

「大帝が落命し、Ⅱ世はここに軟禁状態だ。そして"穴"も空いた」

 

「あなたがエイリアンを煽り、超次元の穴を開けることにパンドラ・スペースの王を乗り気にさせてくれたのはいい後押しでしたよ」

 

ミロクの弟子、ニョライがサムライとナイトに与えた3つの魔導具、超銀河弾(ギャラクシーショット) HELL、超銀河剣(ギャラクシーブレード) THE FINAL、超銀河槍(ギャラクシースピア) THE ENDには次元に穴を開けるほどの力はなかった。だが、パンドラ・スペース側も同時に超獣世界へつながる穴を開けている最中だったため、2つの世界はつながってしまったのだった。

 

そう、超銀河弾(ギャラクシーショット)超銀河銃(ギャラクシーガン)だけでは"穴"を開けることは出来なかった。"それらだけ"では。

 

超銀河弾(ギャラクシーショット)超銀河銃(ギャラクシーガン)超銀河剣(ギャラクシーブレード)の力と、エイリアンの力の両方が同時に次元に干渉したことで、ようやく"穴"を開けることができたのですから」

 

エイリアンの力だけでも、"穴"を開けることは困難だった。

 

次元という壁を両側から強く叩いたことで、ついに"穴"が空いたのだ。

 

「"次元流の豪力(ジオ・バリバリ・ミランダ)"達はよくやってくれた。私達に踊らされているとも知らずに……いよいよお前の計画も最終段階だな、マルバス」

 

「極神戦争の時から機をうかがった甲斐があったというものですよ」

 

マルバスと呼ばれた超獣が、言葉の割にはあまり感慨深そうに見えない表情で答える。

 

「それだけではなく、王家に取り入るよりはるか昔から地上に潜り込んでいたのだろう? 忍耐強さでお前に叶うものはいないだろうな」

 

「私の強い所は、忍耐だけではありませんよ。すぐに"アルカディアス王家の力"を摘み取って差し上げますとも」

 

「アルカディアス騎士団(・ナイツ)……あれは我らにとって驚異になりうるからな。奴らがアルファディオスを使いこなせるようになる前に、早めに解体しておきたいところだ。大帝が不在の今こそ好機だな。そのうち全ては我々のもの……フフフ」

 

「ええ、すぐにそうなりますよ。油断しなければ、ね」

 

「スペル・デル・フィンには気をつけろよ。奴が歌い上げる時……その周辺では一切の呪文が封じられるという報告がある。あの光神龍は魔光や天雷と通じているようだが、幸いアルカディアス王家と直接のつながりは無いようだ。つまり聖鎧亜を滅ぼすための障害となる可能性は低いだろう。それは幸いだな」

 

デル・フィンは既に倒されてしまっているのだが、彼らはまだその事を知らなかった。

 

「その光神龍と戦いたくはありませんが……しかし歌に、呪文を封じる力ですか。"ナンバーナイン"制作の参考として見ておきたいですね」

 

"ナンバーナイン"

 

それが何を示すのか知る者は、地上にも、パンドラスペースにも、まだ誰もいない。

 

「しかしここの光景は、お前が操る力に似ているな。五色のマナが所々からあふれだし、混ざりあっている」

 

「おかげで良質なエネルギーを多く摂取出来ましたよ。それでは、またいつか地上で」

 

マルバスはふわりと飛び立ち、地上へと向かった。

 

「頼んだぞ、マルバス……いや、アルカクラウン……」

 

マルバス改めアルカクラウンは手を軽く振ってリヒャルトに応えた。

 

この二人に感情はない。

 

だが、仲間意識や信頼はあった。

 

盟友。

 

そう呼んでもおかしくない関係と言えるだろうか。

 

宇宙へと飛び立ったアルカクラウンは点より小さくなり、やがて見えなくなった。

 

"さて、Ⅱ世と明日流星を見に行くための準備をしておくか……"と、リヒャルトは考えた。

 

いずれこの執事は流星の名を持つ竜に討たれる事になるのだが、それはまた別のお話。

 

 

 

 

地上。

 

辺り一面が鮮やかなオレンジ色に染まる夕焼けの中、たたずむ竜の騎士がいた。

 

「"黄昏の邪眼"だな」

 

「黄昏は魔光だ……」

 

軽口を叩く赤い竜のサムライ、紫電の発言を、気高き竜の騎士ロマノフが訂正する。

 

「そう……だ……紫電……黄昏は魔光だ……」

 

「シーザー」

 

「そう……ですよね? ロマノフ様……」

 

「ああ……だが、その姿にはまだ見慣れんな、シーザー」

 

ロマノフが軽く笑う。

 

シーザーも微笑みで返した。

 

「実に、綺麗な夕日だな」

 

紫電の瞳や鎧を、オレンジ色の光が美しく彩っていた。

 

「終わりは美しい。それまでの出来事を感慨深く思い出させ、次なる始まりに心を高鳴らせてくれる。お前達、たまには小説でも読んでみたらどうだ?」

 

「えぇ、拙者は本はあまりなぁ〜。活字と向き合う集中力がないし……」

 

「私は……まず、読めない文字がたくさんあります……」

 

「だったらとことん付き合ってやる。ちょうど今一冊持っているからな。絵本作家で知られるヴィクトル・ユニゴーン氏は小説家でもあるのだ。面白いぞぉ?」

 

「ああ、聞いたことがある!」

 

「『理想はこの手で掴む』の……著者……だったような……」

 

一つの木を見ただけでは森の姿を知ることは出来ない。

 

一つの出来事を知っただけでは歴史を理解することは出来ない。

 

暗黒皇(ダーク・カイザー)グレイテスト・シーザーは死んだ事になっている。

 

"グレイテスト・シーザーではなくなったシーザー"が生きていることは、ほとんどの者が知らない。

 

この世界に住まうほとんどの者が知っているのは、"グレイテスト・シーザー"は世界を滅ぼしかねない超銀河弾(ギャラクシーショット)を放ち、それを止めようとしたシデン・ギャラクシーに斬り裂かれた、ということだけ。

 

後世ではシーザーは、世界を滅茶苦茶にし、古代の軍勢までをも呼び寄せ、その後の時代にも影響を与えてしまった存在として語られるのだろう。

 

"シーザー"を知る者は、ほとんどどこにもいないのだろう。

 

でも、それでもいい。

 

紫電達がシーザーを知っている。

 

その事をシーザーは知っている。

 

シーザーは、ここに生きているのだ。

 

その後、"グレイテスト・シーザー"の姿を見た者は誰もいなかった。

 

しかし、紫電のそばに、一人の超獣の姿があった。

 

その超獣がグレイテスト・シーザーだったことは、誰も知らない。紫電達一部の超獣を除いて。

 

写真を焼いて、記憶や思い出を物にして残すように――

 

紫電とシーザー達の歩みが、永遠に残りますように。

 

 

 

 

時は戦国……

 

戦争で国力を決する野蛮な時代は過ぎ去り、エンターテイメントで勝負を決める熱き時代が到来していた!

 

戦国武闘会。

 

それは世界中に住まう"超獣"が武を競い、最強の戦士を決める戦いである!

 

武闘会が何度も開催されていくうちに、超獣の戦い方は変化していった。

 

発掘された魔導具、《クロスギア》を操り戦う鎧武者、《サムライ》

 

呪文を込めた魔弾を魔銃を使って撃ち出し戦う騎士、《ナイト》

 

いつしか、戦国武闘会はこの二つの派閥による覇権争いの様相となっていった!

 

サムライにもナイトにも属さない者や、武闘会に興味を示さない者もいたが、多くの超獣は戦国武闘会にのめり込んでいった。

 

サムライやナイトに属する者は増加していった。

 

ナイトにはいくつもの派閥が生まれた。

黄昏の魔光。

滅殺の邪眼。

狡猾の氷河。

断罪の天雷。

……よく分からない爆獣。

 

ナイトは、所属する派閥の名前を含んだ名を持つ。

魔光大帝ネロ・グリフィス。

邪眼王ロマノフⅠ世。

氷河フランツⅠ世。

天雷の龍聖ロレンツォIV世。

……といったふうに。

 

しかし、どの派閥の名も持たないナイトがいた。表向きはカエサルと呼ばれる彼は、名をシーザーと言った。

魔光でも、邪眼でも、氷河でも、天雷でも、ましてや爆獣でもないとされ……

何家の何世なのかすら分からない。

 

だが、本来何者であるのかを、知る必要はない。

 

シーザーは暗黒凰でも、始祖でもない。シーザーはシーザーだ。

 

ゆえに、その超獣の名はただの"シーザー"なのだ。

 

今にも日が沈もうとしている。

 

戦国の世が、終わりを告げようとしていた。

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