【完結】最終戦国武闘伝 〜バイオレット・ダークネス〜   作:無敵ざかり

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麺極太浮会(ギャグ回)

時は麺国……

 

戦争で国力を決する野蛮な時代は過ぎ去り、ラーメンで勝負を決める熱き(二重の意味で)時代が到来した!

 

麺極太浮会(めんごくぶとうかい)

 

それは世界中に存在する"ラーメン屋"が腕を競い、美味さ極まりし最強のラーメンを決める戦いである!

 

 

 

 

この時代にはいくつもの素晴らしいラーメン屋がある。

 

今日は、そのうちのいくつかを訪れてみるとしよう。

 

 

 

 

「ラッシャッセエェ-!!」

 

ここは、サムライのボル()テウス・武者・ドラゴンが店長、()ルシャック・大和・ドラゴンが副店長を務めるラーメン屋『大和魂』だ。

 

連日行列ができ、麺を茹で続けている厨房は、火文明にある灼熱ドゥル山脈のごとく、暑い。

 

一番人気は『大和タラコラーメン』だ。タラコが大胆に乗った、美味で芳醇な味わいのラーメンである。

 

これを毎日食べに来る客もいるが、しょっぱいタラコに負けないよう、スープも濃いめに作られているため、毎日食べるのは推奨されない。

 

「ヤマトタラコ5ニンマエェ-!!」

 

「ハイタラコ5ニンマエワカリヤシタァ-!!」

 

いつも忙しい大和魂だが、今はいつにも増して忙しい。

 

なぜか?

 

麺極太浮会(めんごくぶとうかい)が開催されているからである。

 

麺極太浮会(めんごくぶとうかい)は、参加している各ラーメン店が"いくら売り上げたか"が競われる。

 

そのため、それを理解している客は贔屓(ひいき)にしている店に連日足げく通う。そして素早く食べ終え、すぐに退店する。

 

そうする事で店の回転率を上げることができ、店の麺極太浮会(めんごくぶとうかい)でのランキング向上に貢献できるのだ。

 

「今日もお客さんの入りはいいが、油断はできないな……」

 

「ああ。麺極太浮会(めんごくぶとうかい)には、我らの弟子だって参加しているのだからな」

 

「そうだな……」

 

そう。大和も武者も、油断はできない。

 

かつて大和魂のバイトリーダーだった()ルバルザーク・紫麺(しめん)・ドラゴンは今は独立し、『紫麺魂(しめんだましい)』という店の店長をやっている。

 

魂という文字は『大和魂』からとったもの。

 

武者と大和から受け継いだものを大事にし、かつ自分だけのラーメンを作る。というのが、紫麺(しめん)の心構えである。

 

その紫麺(しめん)は、今や武者と大和にとっては、もはや弟子というだけではなく、良きライバルでもあるのだ。

 

 

 

 

次はナイトのラーメン屋を見てみよう。

 

ナイトのラーメン屋には様々な派閥がある。

 

旨光が経営する『旨光家』

 

邪麺が経営する『邪麺家』

 

麺雷が経営する『麺雷家』

 

麺牙が経営する『麺牙家』

 

ナイトのラーメンは、麺牙のナイトが浜辺の横に『浜辺家』という名前で店を構えたのが始まりと言われており、それ故に『横浜家系ラーメン』と呼ばれている。

 

ちなみに、『浜辺家』が名前を変えたのが、『麺牙家』である。

 

 

 

 

まずは旨光家に行ってみよう。

 

「いらっしゃい!」

 

さっそく目に入ってきたのは、店長の《()ロ・グリフィス》が忙しそうに、かつ流麗に優雅さを失わずも素早く、何本もの手で麺の湯切りをしている姿だった。

 

この店の一番人気は塩とんこつベースのラーメンに豆腐が入った、『塩と豆腐で支配しようラーメン』だ。

 

塩と豆腐の繊細で上品な味わいと、とんこつのパンチのある味わいが渾然一体となって、まさに聖魔合一な美味となるのだ。

 

また、一番人気ではないが、胃袋が破裂しそうな程にデカ盛りの『破裂をくれてやるラーメン』も人気だ。

 

これを頼んだ客は皆完食するというのだからすごい。

 

 

 

 

次は邪麺家に行ってみよう。

 

「……らっしゃい」

 

店長の《ロ()ノフⅠ世》は愛想は無いが腕は確かだ。

 

この店も当然美味いのだが、名物はベーシックなラーメンではなく、辛いラーメンだ。

 

一番人気は『(から)の時間だラーメン』である。程よい辛味が美味さを引き立てると評判なのだ。

 

しかし一番有名なのは『(から)の時間だラーメン』ではなく、『これを食べたら生きて帰れると思うなラーメン』だ。

 

その名の通り一口食べれば死を覚悟するほどに辛いラーメンで、食べきった者にはあの無愛想な店長が満面の笑みを見せてくれるという噂がある。実際は食べきってもそんなことは起きないらしいが。

 

 

 

 

続いて麺雷家に行ってみよう。

 

「いらっしゃい」

 

暖かく出迎えてくれたのは、店長の《ロ(メン)ツォ》だ。

 

この店の一番人気は『どこまで食えるか見ものだなラーメン』だ。

 

なんとこのメニューは、値段は少し高いが、家系ラーメンにも関わらず、替え玉ができるのだ。それも、何度でも!

 

さすがにスープがなくなったらおかわりを追加注文する必要があるが、麺はいくらでも替え玉できる。それがこのラーメンの魅力なのだ。もちろん、味も美味い!

 

二番人気は『麺にひれ伏せラーメン』だ。こちらは替え玉はできないが、『どこまで食えるか見ものだなラーメン』よりは少し安く、そしてかなり大盛りのメニュー。そう。麺雷家は麺をたっぷりと食べたい客に人気の店なのだ。

 

雑誌の取材に対して、店長のロ(メン)ツォは、とにかくお客にお腹いっぱいになって欲しいと思っていると語っている。

 

そう、この店は、ロ(メン)ツォのそんな思いによって成り立っているのだ。

 

 

 

 

さあ、今度は麺牙家に行ってみよう。

 

「いらっしゃーい!」

 

元気よく出迎えてくれたのは、店主の《ハイドロ・ビス()ルク》だ。

 

この店の一番人気は『全部乗せハリケーンラーメン』だ。

 

「おっ! 全部乗せだな! チャーシューをおまけしておくぞ!」

 

麺牙家は高いメニューを頼むと必ずこうしておまけを追加してくれる。それも結構な量を。だから『全部乗せハリケーンラーメン』は普通の『ハリケーンラーメン』よりも人気なのだ。最初からおまけも込みで考えられた値段なのかもしれないが、それでもお得感を感じる。さすが狡猾の麺牙。商売上手と言わざるを得ない。

 

さらに、一杯ラーメンを食べると、会計時にスタンプカードに一回スタンプを押してくれる。

 

「おっ! スタンプが10個たまったのだな! ではこれはサービスだ!」

 

次回来店時に10回スタンプが押されたスタンプカードと交換で、『すべてを洗い流すハイドロウーロン茶』をサービスしてくれるのだ。このサッパリとしたウーロン茶が濃いラーメンとよく合い、美味さを引き立てるのだ。

 

私は初めてこれを飲んで以来、以降この店に来た時は、スタンプが足りない時は毎回これを注文してしまう。そう。10回に1回サービスしたところで、残りの9回客が金を払って注文してくれるなら、かえって店は儲かる。そこまで計算してのことなのだ。いやはや、本当に麺牙は狡猾で商売上手だ。

 

 

 

 

さて、私が最近注目しているのは、『爆麺家』である。

 

店名に『家』とつくことからわかるように、ナイトがやっている店なのだが、屋台なのだ。

 

移動する店のため同じ場所にいてくれるわけではない。

 

出会うことができなければ、この店の味は味わえないのである。

 

『爆麺家』は店長の《ヴァル()ーサー》が一人で始めた店で、今は何人もの仲間達に囲まれている。移動する様はちょっとしたパレードのようである。

 

「はいよ! 『爆裂剛刃(ばくれつごうじん)ラーメン』お待ち!」

 

爆麺家のメニューは、屋台と言う都合上一つしかない。つまり、これが一番人気のメニューだ。

 

私が思うに、屋台にしか出せない味というものがある。

 

特に、寒い冬場に、冷たい風に吹かれながら熱いラーメンを食べる、というシチュエーションは、決して店舗を構えている店にはできないことである。

 

爆麺家のこれまた美味なラーメンを食べる時思ってしまうことは、この店の店長が十分な資金を稼いで店舗を構えたら、屋台でこのラーメンを食べることはできなくなるのだな。ということだ。

 

 

 

 

さあ、いよいよ、()ルバルザーク・紫麺(しめん)・ドラゴンが店長を務める『紫麺魂(しめんだましい)』に行ってみよう。

 

「おい押すな押すな!」

 

「ちゃんと並べよ、早く食いたい気持ちは分かるがな。ふふっ」

 

「す、すいやせぇ〜ん」

 

店の前には行列ができている。

 

私も並び、そしてついに入店できた。

 

「いらっしゃい!」

 

店長の紫麺(しめん)・ドラゴンが出迎えてくれた。

 

私は、一番人気の『紫麺(しめん)の衝撃ラーメン』を注文した。

 

「衝撃一丁!」

 

「はい衝撃一丁ー!」

 

少しして出てきた紫麺(しめん)の衝撃ラーメンは、なんとその名の通り、麺が紫色なのだ。

 

気をてらった色物ラーメン。そう思うかもしれない。しかし一度口に含んでみれば――

 

「うめぇぇぇ!」

 

「な? 言ったろ?」

 

近くの席で他の超獣達が騒いでいる。だが、初めて食べた時は、私も同じ気持ちになったものだ。

 

紫色の麺、それは、ただ見た目を派手にしただけではない。

 

店長の紫麺(しめん)・ドラゴンが、刃を素早く振るう時、それは紫色の電光をまとう。

 

その電光が小麦の成分に作用し、紫色になるのだ。

 

一瞬で二回斬る、"紫麺(しめん)・双竜斬"。

 

一回目で麺を生地から切り分け、二回目で細かな切れ目を入れる。

 

そうすることで、スープが絡みやすくなる。

 

紫色になるのは、それの副産物なのだ。

 

バイオレットカラーに染まった麺は、鶏がらと魚介のダブルスープによく馴染む。

 

紫麺(しめん)・ドラゴンにしかできない技で、このラーメンは成り立っているのだ。

 

最後に、上に乗せられたタラコをかじる。

 

『大和魂』の弟子であることを表す、誇らしいタラコだ。

 

 

 

 

実に美味かった。

 

雑誌記者である私は、これらの店とラーメンを採点しなければならないのだが、非常に悩ましい。

 

個人的には、どの店も応援したい。

 

麺極太浮会でどの店が勝つか、本当に見ものである。

 

 

 

 

※麺極太浮会は最終戦国武闘伝 〜バイオレット・ダークネス〜本編とは一切関係ありません。

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