気が付くとそこは、荒廃し切った荒れ地の真っ只中だった。
「え…?」
思わず素っ頓狂な声が出てしまったが、こうなった経緯を考えたら無理もないと思いたい。
自分はつい先程まで、今日が休みなのをいいことにテレビで「仮面ライダーアウトサイダーズ」を見ていたはずだ。
なんで?どうして?
そんな疑問が自分の中で絶えない。
あまりにも突然すぎて、頭が状況を理解どころか現状の把握すらまともにできていない。
だって、自分は本当にテレビの前にずっといたから、外どころか玄関へすら向かっていないはずだ。
だから、自分はここにいるはずじゃない。
…ふと、ここが夢の世界であり、実は寝落ちてしまったのだ。
今回見てたアウトサイダーズでそんなことをするとは考えづらいが、長くアニメやゲームをしていた時に疲れて寝落ちしてしまったことが過去に何度かあるのだ。
今回も、きっとそうに違いない!
…という可能性に思い至ったので、自分の頬や顔を叩いてみることにした。
その際に、ここは夢などではなく現実であり、さっきまで居たところでは…という最悪の可能性が一瞬脳裏を過ぎったが、すぐにそれを切り捨てた。
まず普通に考えてそんなことは創作上だから有り得るのであって、まさか本当に起きるとは微塵も思ってなかったからだ。
「痛っ…あー…てことは……」
しかし、結果はいっそ無慈悲なくらい残酷に現状を突き付けてくる。
ここは夢の世界ではないのだと、確かめる前に真っ先に脳内で切り捨てた候補が浮かび上がり、今度はそれ以外の思い付いていた可能性が切り捨てられていく。まるで、これしかないのだと言わんばかりに。
「嘘だろ……こんなの、ただの失踪者じゃねえか…。」
グッズやコレクションの数々、家族、少ないが友人、など…今の状況をなんて言えばいいのだろうか。そもそもどうしてこうなったのかがわからないが…。
どうしたら助けてもらえるのだろうか。
…今頃、どうしているのだろうか。
警察が探しているのか、家族は…自分がいなくなったことに、悲しんでいるのだろうか。
…泣いて、いるのだろうか。
わからない、これっぽっちもわからない。
「……」
…考えてもかんがえても、堂々巡りで最初と一切変わらない。
なら、これは一回置いといて先に今いる場所の把握から行おう。
もし実は夢遊病みたいなもので自然に外に出ていただけなら、周りの人がいたり何かわかるものがあるはずだ。
そう考えて、ここまでずっと動けていなかった今いる場所から立ち上がって周囲を見渡した。
周辺はまるでいかにも教科書で見た戦争後です、という感じの瓦礫の山や焼け焦げた芝生しか見えない。
空は暗く、おそらく今は夜なのだろうか?
にしては、少し耳に意識を傾けると遠くから銃声のような大きい音と大きな声のようなものが聞こえてくる。
もしかして、ここは戦時中の昔の日本だったりするのだろうか…?
もしそうだとしたら、あまりにも危険だ。
なにせ自分は、今着ている部屋着の薄い服とショートパンツ以外何も持っていない。
こんな状態で襲われようものなら、瞬く間にハチの巣となることは容易に想像できる。
…いや、丸腰の現地人と見てもらえたら逆に保護対象となれるものなのか…?
……わからない。だがなんにせよ、こうしてのんびりと長居しているのはまずいかもしれない。
急ぐ…のはここら辺が全然わからないから気を付けながら進むために慎重に行くとして、まずは少し離れたところに見える建物の並んでいる場所なら──
「止まれ!貴様何者だ!」
ガシャガシャガシャッ!
突然、自分のそんな思考を断ち切るかのように物々しい音とともに威圧的かつ女性の声が聞こえてきた。
声の大きさや物音の近さから自分以外の誰か、というのはなさそうだ。考えうる限り最悪ではあるが。
間違いだと思いたい…というささやかな願いも込めつつゆっくりと振り返ると、無数の銃器がこちらに向けて構えられており、それを持っている人はみんな女っぽい顔と、うん?スカート…?あと頭の上のは何?
「えっ、せいふく…?銃…?なんで?」
「無駄口をはさむな!ここで何をしているのかにだけ答えろ!」
「っ…!」
ひっ…!?怖い怖いこわいこわい!!!!いやだもう逃げたい帰りたい!!!
第二の人生からいきなり死の危機に直面とかほんと洒落にならないって!!!もう嫌だ!!
い、いや、落ち着け…ここで変なことをすれば確実に撃たれてしまう、一旦落ち着こう。
ふー…、心の中で一息つきながらゆっくりと、しかしなるべく早く思考を回す。顎に手を当てて目を閉じて考えるフリも忘れずに。…いや本当に考えているからフリではないか。
めちゃくちゃ怖いし夢なら早く覚めて欲しい!覚めてくれよ!!
うぅ…ともかく、かなりまずいことになってしまった。
少なくとも、この様子では次余計なことを言えば命はないと考えるべきか…。正直もう凄く逃げたいが!
何をしているのか、については本当に何もしていないからそう答えるしかないのだが…
「……」
ちらっと目の前で銃を降ろさず返答を待つ天使みたいな輪っかを頭上に付けてる痛いコスプレみたいな女性の顔を見る。
あれ絶対生半可なことを言うと信じなさそうな目だなぁ…
隣にいるやつもなんか怖いし。というか、後ろに大勢似たようなのがいるな…。
だがここで変に奇をてらうとそれはそれで怪しまれそうだし、何より嘘をつき通せる自信がない。
ならば、ここは正々堂々と誠意を見せるしか…ない!
「いえ、何もしていないです。強いて言うならあっち側に避難しようと思っていたくらいです。」
「は?なら考えず即座に言えばいいだろ、考えてる動作してる時点でそれが嘘なことくらいお見通しだぞ」
「エ゛ッ!?」
は?は???なんで??
なんか嘘と思われてるんだけど??あれでダメならどう答えれば良かったんだよ!無理ゲーにも程があるだろ!いい加減にしろ!!
って叫びたいけど、こんな泣き言を言っても何も変わらない。
この話は終わってないんだ…。何か、なにか打開する手段を──
ドシュッ
「……え?」
何か大きい音が鳴って、それと同時に、うでが、あつくなるように──!!
「ああ、ああぁぁぁぁぁァァァァァッッッ!!!!!!」
痛い!!痛い痛い!!痛い痛い痛いいたいいたい!!!!!
腕が、腕が!!!
俺の左腕が!!血に!!!うああああああああ!!!!!
「おい、まだ発砲許可は出してないぞ」
「だってぇ、こんな簡単な質問だけでうじうじされるの時間のムダじゃないっすかぁ。早く済ませたいですよね?」
「…それはそうだが、もう少し手順というものをだな…」
「そういうのが回りくどいんですってば。…まだやることあるのに、時間かけてらんないっすよね?」
「……」
あ、あいつら、平気で発砲しやがった上に血が出てるのに、平然としてやがる…!!
まるで、当たり前のものを見るかのように!表情一つ変えねぇ…!!
頭いかれてやがるのか!?銃刀法違反はどうしたんだよ!!ここはアメリカなのか!!?
本当になんでだ????どうして????俺は何も悪いことしていないだろ!!
どうしてこんな目に合わなきゃならないんだ!!本当に意味がわからん!!
クソがッ!!まずい、本当にまずい!!どうにかして、ここを離れなきゃ…!!!
「くッ、そ…!!」
「おい、逃げるな!また撃たれたくなかったら大人しくしろ!!」
いやだいやだイヤダ!!!誰が止まるか!!!こんなところにいる方が危ないに決まってる!!
なんだよこの世界は!!!神も仏もいないってのか!!本当に死んじまう!!!
平気で銃なんか持ちやがって!!人に向けて発砲しやがって!!アメリカ人のがまだ理由付けるぞ!!
クソックソッ!!クソがッ!!!
バンッ
「動くなと言っているだろう!次は肩を撃つぞ!」
うぐっ…!!!!やろう、今度は右手を…!!
正直あまりにも痛すぎて今すぐにでも足を止めて手を確認したいが、今足を止めたら、間違いなく死ぬ…!
少しでも──
バンッ、バンッ
すこし、でも──!
バババンッ
にげ、なきゃ───。
「こいつ、ヘイローもなしによくここまで走ったな…」
「案外しぶとかったっすね~…そんな大した距離じゃないっすけど。けどまあ、時間少し無駄にされた分の落とし前、きっちり払ってもらわなきゃっす」
しんぞういがい、ぜんぶ、うたれて───。
もう、からだ、うごかなくて…のども、かすった、か──
……
あいつら、おれをみて、わらって。いやがる…。
は、はは…ここまで、かな…。
「…そうだな。私たちは急いでいるしな。」
なんだか、あっけなかった、な…。
こんなことになるなら、もっと、あいたかったな…。
みれば、よかった…な…。
「…悪く思うな、生きるためだ。」
かめん、らい、だー───。
撃たれる直前、男の脳裏を駆け巡ったのは、直前まで見ていた仮面ライダーアウトサイダーズ。
そして、仮面ライダーシリーズ。……その内の、ダークライダーたち。
彼は、悪の仮面ライダーに強く憧れていた。
「私は……不滅だァァァァ!!!」
不気味に笑う天才のゲーム会社社長、不死身の仮面ライダーゲンム、ハイパー不滅ゲーマー。
「今日がお前たちの命日だ」
「フハハハハハ……!!」
いっそ絶望的なまでに進化を遂げ続けた、圧倒的スペックの仮面ライダーエボルト、ブラックホールフォーム。
「俺を受け入れろ。俺たちが一つになれば、最強のライダーになる。そうすれば、神崎優衣を救うことができるんだぞ?」
「俺は最早鏡の中の“幻”ではない…!オレは存在する!“最強のライダー”として…!!」
様々なルートで主人公たちに立ち塞がり、その持ち前の圧倒的戦闘センスで何度も苦しめ、…そして文字通り最強のライダーとして君臨した鏡の中の仮面ライダー、仮面ライダーリュウガ。
「…お前、喰われなきゃわからないらしいな」
<GAOH FORM>
電王4人とゼロノス相手に圧倒する驚異の実力を見せつけた神の列車の所有者、仮面ライダーガオウ。
「ここかァ…祭りの場所は…」
「本当に楽しいよなァ…!ライダーってのは…!!」
その破壊衝動と残虐さでライダーバトルを大いに荒らし回った、仮面ライダー王蛇。
他にもまだまだたくさんいるがそのすべてに共通して、みんなとても強く、そして悪のカリスマとも言うべき不思議な魅力が兼ね備えられていた。
…もし、自分にそんな力があったら。
彼らのような、圧倒的な力やカリスマがあれば。
こんなことにはならなかったのだろうか。
そう思うと、やるせない気持ちと悔しさ。そして、欲求が心の奥底から湧いてくる。
それは、無垢な小さい子どものような、何よりも純粋で美しい宝石のような、そんな願い。
叶わぬ願いだとしても、願いたくなってしまう。
もし、叶うのだとしたら───!!
「ちから、が──ほし、い──!」
こんな悪に負けない、悪の力を──!!
「ああ、いいぜ…!貸してやるよ。」
ドウンッッ!!!!
「うぐっ──!?」
「な!何が起こって──!!先輩!あれを!」
「……なっ!!?」
アリウス生たちは、一連の光景に驚愕した。
彼女たちの眼前には、瓦礫を背にして追い詰められた、先ほどまで心臓を除く全身を撃たれて息も絶えだえになっている、血まみれのヘイローもない男が力なく倒れているところ…のはずだった。
それに大きな変化があったのは、トドメを刺す直前のこと。
突如その男を中心として、空の暗雲すら飲み込まんとする程大きくそして濃い
銃器を構えていた隊長格の者も。
隣で控えていた副隊長的存在も、後方の隊員も。
全てに関係なく、風圧が襲う。
そしてその勢いが収まる直前、光の中でうっすらと見える黒い人影がゆっくりと立ち上がり、何か動作を始めたのか影が動き始める。
「変身」
この状況下では聞こえなくてもおかしくないはずの声の大きさや短い言葉なのにも関わらず、しかし彼女たちにはまるで隣で言われたかのようにしっかりと聞こえていた。
そして、男のいた場所にしてそこにあった光の柱が払われると同時にその姿を見せると、彼女たちはまたしても驚くことになる。
そこには瀕死の男などおらず、代わりにいたのは紫を基調とした銀も含む鎧を着た大男。
まるで蛇に睨まれているかのように無数の横線の仮面から紫に妖しく光り、腰のベルトのコブラ模様は、真っ直ぐとこちらを見据えている。
手には蛇の頭をそのまま模したような
「あぁ~……お前らかぁ?随分と楽しそうなことやってたのは……」
ベノバイザーを彼女たちに向けながら大男──仮面ライダー王蛇──は、ゆっくりと問いかけた。
「あ……っ」
「え…っ、う、そ…」
「つれねェことすんな…その祭りに、俺も混ぜてくれよ。なあ…?」
「う、うわあぁぁぁぁぁ!!!」
ズガガガガガガッ!!!
王蛇が再び問いながら隊長に詰め寄ると、隊の後方にいた隊員が王蛇へ向けてあるだけの全力を振り絞ってにガトリング砲を乱射した。
並みの人間どころかヘイロー持ちですら避けねば危ないであろうその砲撃を、王蛇はベノバイザーで振り向くこともなく防ぐ。
「あっ、え、は……?」
「…なんだ、お前から遊んでくれるのか?いいぜ、かかってこいよ」
「っ…!全員、かかれぇ!!」
王蛇がターゲットを変えた瞬間、隊長が指示を飛ばし、隊の者全てが一斉に銃器を構えて襲い掛かる。
「あぁ…そうでなきゃなァ…!」
《ADVENT》
「~~~~!!!」
歓喜の声をあげつつ王蛇は1枚のカードを
その際にアドベントの音声が鳴り、すぐ後に隊の後方の地面から王蛇の契約モンスターであるベノスネーカーが表れて隊員を地面から出た際の衝撃を利用して宙に打ち上げ、その内の1人をガリッ!ボリッ!とヘイローごと捕食しだした。
『なっ!?』
「なん、だと…!!?」
「そ…そん、な…」
「…あん?普通の人間より硬いみたいだなぁ…?」
《ADVENT》《ADVENT》
「ーーーーー!!!」
「────!!!」
「ヒッ…!い、いやああああ!!!!」
通常であれば人ひとりなぞ丸飲みすら行っていたベノスネーカーだが、どうやらヘイロー持ちは勝手が違うようで、幾分かの咀嚼が必要な様子で少し食べづらそうにしていたようだった。
唖然としたり逃げ惑う隊員たちや絶望している副隊長を他所に、先ほどの咀嚼音からそう判断した王蛇は先程のベノスネーカーに加えてメタルゲラスとエビルダイバーという新たな契約モンスターを召喚し、適当に相手するように伝えると隊長の方へ振り返る。
しかし、その隊長は先程までの表情とは打って変わり、今にもはちきれんばかりの憤怒を以て王蛇へと向き直っていた。
「よくも…よくも、私の隊員を…!!」
「…ククッ、フハハハハハ!!」
「…何が、何がおかしい!!!?」
隊長の怒りに、王蛇はたまらず笑い出す。
それに隊長が更に怒りハンドガンを構えて突撃すると、王蛇はひとしきり笑った後に銃ごと隊長の腕を掴みあげた。
「クソッ、離せ──!!」
「何か勘違いしているようだなァ…これは、俺のせいじゃねぇ」
「あ…?」
「すぐ近くにいた…お前らが悪い」
「…ッッ!!ふざ、けるなぁぁ!!!!」
「にしても、なるほどなァ…てめえらがやけに硬い理由は、これにありそうだなァ…?」
「な…ッ!!?」
王蛇の暴論に更に激昂した隊長を見向きもせず、王蛇は隊長の頭上のヘイローに視線を向けてそう独り言を零す。
それに最悪の予感が瞬時によぎり全力で掴まれている腕を解こうと暴れるが、王蛇に力が入りづらい手首を掴まれているのもあって、振り解けないでいた。
「まあちょうどいい、お前らでどこまでやったら壊れるのか、試してやるよ…!」
そんな隊長に王蛇は顔を近づけ、顎をもう片方の手で支えながら怪しく笑い、そう死の宣告を告げたのだった──。
「マダム、ご報告します」
「つい先程、一時間ほど前に戦争が行われたと思わしき敷地内の一地点にて、腕や足がちぎれた状態の兵士たちが倒れている区画があるとの報告が入りました。」
「その辺りは血の匂いが特に濃く、また凄まじい惨状となっていて一部通路に支障が出ております。」
「…行ったものの目撃情報はありますか?」
「はい、どうやら全身に紫の鎧をまとった男の仕業とのことで、現在は最後に20分ほど前の北東地点辺りで目撃情報があったのが最後の情報となっています。」
「そうですか、ではその者をここへ連れてきなさい。私が話をします」
「はっ!」
・オリ主くん
アウトサイダーズ視聴中に転生してしまった…と思い込んでいる悪役系仮面ライダーを愛する変人。
生きれるといいね…
・仮面ライダー王蛇(浅倉威)
「自分を楽しませてくれる玩具」が勝手に壊れては困る。
なおその本人が気を失ってしまって話す機会が無かった。
・???
転移してしまった直接的な原因。
なお動機。
・現時点の時間軸→原作からおよそ10年前
感想とかくれると泣いて喜びます…!
また、リアルの都合で投稿がかなり不安定になってしまいます。そこは大変申し訳ありません。