オリジナルウルトラマンとオリジナル主人公主体で、本作品は原作とは違い独自展開が入っています。
ある夜、一筋の流れ星が地球に降ってきた。
「あれは」
「あなた、あれって...」
一組の夫婦がそれを目撃する、その二人の傍には女の子がいた。
「流れ星...?」
その流れ星の中に何かの影が見えた。それを見て彼女は呟いた。
「あれは....お星様?」
そして流れ星は家族の頭上を過ぎり、近くの地表に落ちていった。
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それから数年後...ここはある海沿いの街・『海鳴市』海と山に恵まれた風光明媚な街である。
豊かな自然と都会の利便性を備えた住みやすい街で、人々も活気に満ちている。
その中の住宅街にある一角に、立派な邸宅が在った。晴れ晴れとした朝日がその邸宅の一つの部屋を照らし、部屋のカーテンよりその光が隙間より漏れていた。
その部屋の扉が開き、そこに車椅子の少女が入ってきた。
「あ...ふふ」
少女が眼を向け思わず嬉々として微笑みを浮かべつつ、車椅子で近づく。
そこにはベッドが一つ、その上に布団を被り寝ていると思われる人物に近づく。
「ほら、“リュウ兄ちゃん”。はよ起きて」
「う...ん」
布団を捲り上げ、起き上がったのは男。その人物は眠たげな眼を擦りつつ、少女に振り向いた。
「....おはよう、はやて」
起きた男...八神流星が、妹である少女八神はやてにそう静かで、優しい笑みを浮かべて朝の言葉を告げた。
「うん!おはよう、リュウ兄ちゃん」
彼女...はやても、嬉しそうにそう返した。この2人...まず少女の方だが、彼女は八神はやて、現在8歳。
栗色の髪のショートカット、赤の髪留めをそれぞれ付けた可愛らしい少女だ。
しかし脚が不自由な事も相まって、何処と無く儚げな雰囲気を醸し出している。
数年前両親を無くしているが、今は目の前の男...
見た目20代くらいだろう、髪が黒髪のショートヘアで前髪がクロスしている。
冷静な性格ではやてと話して朝食を行っている。
「はやての料理は本当に美味いな。俺が作るのよりも美味い」
「そんなことあらへん!リュウ兄ちゃんの作る料理が一番美味しいもん!毎日食べてたい」
「そうか?じゃあ今夜、はやてが食べたいもの作ってやろうか?」
「ホンマに?じゃあ、ハンバーグ!リュウ兄ちゃんの作るハンバーグ絶品や!」
流星が作ると言われてはやては彼が作る料理の中で、自分が好きなものをお願いした。
流星も「そうか」と笑みを浮かべ、はやての嬉しそうにする姿に自分も嬉しくなる。
するとはやては何かに気づいた。
「あ、でも、ハンバーグの材料ないかもしれへんよ?」
「ん?そうか。あ、そうだ。じゃあ一緒に買い物がてら今日は外出するか」
「ホンマ!?お仕事は?」
「今日は休みだよ」
「じゃあ!今日はわたしとデートしよ!」
「ああ」
「やったぁ!」
聞いてはやては無邪気に嬉しがり、流星は静かに微笑んだ。
歳の離れた仲の良い兄妹のほのぼのとした風景である。
家を出た流星は、はやてと共に海鳴市の中心部にある繫華街に来ていた。この日は天候も良き快晴、絶好のお出かけ日和。
娯楽施設が多く充実している分、人も多く車椅子で生活するはやて一人では難しい。
だが幸いにも流星がいるので、彼が手慣れたもので車椅子を押して彼女を上手くエスコートしてくれている。
その道中、アクセサリーショップに立ち寄り、はやてが綺麗な星の形のペンダントを見つける。
「わぁ、綺麗」
やはり女の子、こういうアクセサリーを好むものである。流星はそんなはやての様子に笑みを浮かべる。
「欲しいか?」
「え?あ...えっと....ええ、の?」
モジモジと尋ねるはやてに、流星は「気にするな」と頭を撫でてあげた。
「ああ、きっとはやてに似合う。...すみません、これください」
流星はすぐさま店員にペンダントを購入を告げる。購入後、直ぐにそれをプレゼントし、自分が彼女にそっと優しい手付きで首にかけてあげた。
「ありがとう!リュウ兄ちゃん!」
「どういたしまして」
流星は当たり前のことをしただけと彼女の頭を撫でてあげる。見ていた店員までも嬉しくなるぐらいな気持ちになる。
「とてもお似合いですよ」
「ありがとうございます!」
「いいえ。それにしても素敵なお兄さんですね」
「はい!大好きです!」
「おいおい」
聞いている流星が少し恥ずかしそうに頬を掻く。
楽しい時間を過ごす二人。
「ホンマお出かけ楽しいやね。ね、リュウ兄ちゃん」
「そうだな」
「うん!」
その時、突然少し大きな揺れが街全体を襲った。
「きゃ!」
「はやて!」
思わぬ揺れに車椅子から落ちそうになる所、流星がいち早く抱き止めて事なきを得る。
だが揺れは少しずつ小さくなってきているが、まだ収まっていない。
周りも突然の揺れに酷く動揺して、不安が見える。
「リュウ兄ちゃん…」
はやても先ほどの楽しい感情が消えて、突然の地震に不安と恐れから流星にしがみついて離れないでいる。
「はやて、大丈夫だ。俺がついてる」
「うん…」
恐怖で彼女の身体が震えているのがわかる。流星は優しく抱き締めてあげた。
そこでようやく地震の揺れが収まった。人々は危険から脱したのだと安堵していた。
「はやて。もう揺れがなくなったみたいだ、もう大丈夫だぞ」
「ホンマに...?」
「ああ」
はやては不安げに辺りを見渡し、本当に揺れが収まったのだと理解した。
だがまだ怖いのか、流星から離れようとしない。
「リュウ兄ちゃん…お願い。もう少しこのままでいたいんやけど……だめ?」
「わかった。じゃあもう少しだけだぞ」
甘えん坊だと苦笑し困った妹だと思う流星だが、自分の腕をか弱く必死に掴んで離さないはやての手が未だ震えているのを感じる。
まだ怖いのだ。その恐れを自分などで癒せるのであれば、もう暫くこのままでいようと決める。
流星の腕の中、はやては先ほどまでの恐怖心が消えて、代わりに安心感が満ちていた。
「(リュウ兄ちゃんの暖かい…心地ええわ。ずっとこうしてたい…)」
「はやて、もう大丈夫だぞ。いつまでこうしてるんだ」
「もう少し…」
「ダメだ。もう終わりだ」
「うぅ~、はーい…」
名残惜しそうにしながら流星から離れるはやてであった。
ようやく落ち着き、此処等で帰宅することに。
家路へと向かう中、はやては首に掛けてある流星からプレゼントしてくれたペンダントを嬉しそうに見つめている。
その間、はやての車椅子を押している流星が、1人何かを考えている素振りをしていた。
「(…あの地震、一体…)」
「リュウ兄ちゃん?どないしたん?」
「ん?あ、ああ、何でもない」
先ほどの地震に対して、何かしらの違和感を抱いた流星。
だがはやてに呼び掛けられ、その意識を一旦頭の隅に追いやるのであった。いまはそんなのことよりも、大事なはやてとの時間を大切にせねばと帰路へと向かうのであった。
しかし平和な夜の海鳴市、しかしその街の傍にある山の底では巨大な影が蠢いていたことに誰も知らない。
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「ぐ...うぅ....く」
流星は夢にうなされていた。目の前で自分を見て、「生きて」「逃げろ」と言って2人の男女、しかし自分も何者かに連れ去られ何処かの場所で奴隷な生活を強いられる。
そして気づけば、何かの処置室にて自分を....。
「っ!!!」
そこで流星は思わず身体を起き出す、魘された所為か汗をかき息も荒い。
「はぁ!はぁ!....“また”、か。......ん?」
流星は何かの気配に気づき、ドアの方へと視線を向ける。
「あ、リュウ兄ちゃん!大丈夫!?魘されておったんよ」
「はやて...」
「また....“夢”...?」
「.....ああ」
流星の肯定にはやては悲しい表情を浮かべるも、彼女は流星の汗を拭う為にタオルを持ってきてくれた。
「はい、タオル...これで拭いてあげるな」
「いや、それくらい自分で....」
一人でやろうとするが、はやては頑として譲らずそのまま流星のTシャツを脱がせて、彼の身体に流れる汗を拭う。
彼女が脱がせた為に露になる流星の上半身だが、全体的に見事に引き締まり、常人では中々にできない無駄な脂肪のない筋肉質な肉体である。
だがその身体は所々、見るに堪えない傷跡が残されている。
「わたしに...やらせて」
「はやて....」
流星の汗を拭き終わったが、はやては不安そうに流星の顔を見つめていた。
「リュウ兄ちゃん...」
「どうした」
「どこにも....行かへんよね...?」
「はやて....」
はやての眼は今にも涙が零れ落ちそうになるぐらい溢れていた。今にも壊れそうな、そんな儚げ姿のはやての頬をそっと触れて撫でてあげた。
「リュウ兄ちゃん...」
「大丈夫だ。俺は何処にも行かない」
「うん」
はやては思わず流星の胸に飛び込み、その小さな手で必死に抱きつくのであった。昼間の地震が起きた時と同じく彼女が震えているのが分かる。
「(はやてを決して、一人ぼっちにさせはしない...)」
その時、地震が起きた。
「リュウ兄ちゃん!地震が!!」
「ああ。だが今回のは昼間よりも大きい」
昼間よりも激しく揺れる。危険と思い、流星は思わずはやてを抱き上げて家を飛び出す。すると既に多くの近隣住民が、地震への恐れからか夜中だと言うのに皆外に出ている。
「皆地震で...?」
「多分だろうな....ん」
「リュウ兄ちゃん?」
その時、流星の眼が光り、彼の視界がまるで映画のスクリーンみたく切り替わる。そこには海鳴市傍の山の底が見え、しかもそこには巨大な生物が今にも地上へと出ようとしている様子であった。
それを見て流星は「まさかそんな、信じられない」と口に漏らす。はやては不安げに流星を見つめる。
「リュウ兄ちゃん...」
「っ...くる!」
「え...」
突如轟音と共に山の一部が爆発、多くの住民は異常なことに驚き怯えるが、それだけでは済まなかった。
なんと爆発し、巨大な穴が出来た箇所より、今まで聞いたことのない巨大な生物の雄叫びが聞こえたのだ。
其処より姿を見せたのは、泥土にまみれた岩山をイメージした背面のヒレ、皮膚は火山、岩石・泥土などの自然のような大地の怒りの化身らしさを表現した形をし、頭頂部の角と腕の角は前向きに曲がっている。
その存在、大地の怒りの化身とされる怪獣・凶猛怪獣 ギーストロン。
信じられないこの状況に多くの人々は動転して悲鳴を上げ、逃げ始める。
その中で、流星は静かに「怪獣...だと。バカな」っと呟いた。
「リュ、リュウ兄ちゃん…あ、あれ…」
「はやて、しっかり掴まっていろ!」
「え!う、うん!!」
今更車椅子を取ってくる時間はない。流星ははやてを抱き上げたまま、急いでこの場から逃げる。
ギーストロンはその間、山より降りて住宅地へと進行している。
その体長60mの巨体が歩くだけで住宅を一踏みにしてしまい、潰された所より火災が発生している。
逃げ惑い歩道を通り越して道路までも、逃げる人々で埋め尽くされる。
その中を流星は車椅子もなく、歩くこともできないはやて必死に抱きながら走っている。
「リュウ兄ちゃん!どこに行くん?!」
「病院だ!海鳴大学病院!!とりあえずそこだ!!しっかり掴まれ!!」
「うん!!」
はやては流星の言う通りに従い、ただひたすら彼に掴まって絶対に離れないようにしている。
未だギーストロンは依然として街を破壊し、人々は恐れ逃げ続けている。
その中を流星は全く疲れる様子が一切なく、処か足の速さが更に速くなって目的の安全と思う場所へと向かっている。
そして海鳴市の中でも大きな病院である、海鳴大学病院にたどり着く。
だが…。
「リュウ、兄ちゃん…」
「うそだろ...もうこんなに人が……」
はやてが驚きと信じられない気持ちと、不安で流星にか弱くも必死にしがみつく。
二人が見ているのは病院に多くの人々が殺到しており、そのすべてが怪我人や病院に避難を求める者たちで一杯であった。
「今朝はあんな、何てことない日常やったのに...……何で?何でこんな……」
「はやて……」
悲しみの涙を流すはやて、流星はそんな彼女を見つめ胸を痛める。
「流星さん!はやてちゃん!」
「あ!石田先生!」
彼女は石田幸恵。海鳴大学病院の医師で、八神はやての足の治療を担当していた主治医である。
治療以外のプライベートでも連絡を入れていた。はやてが通院してから、その交流は続いている。
当然流星とも良く懇意にしている。
そんな彼女が二人の傍まで駆け寄る。
「流星さん、はやてちゃんも良く無事で!」
「ちょうど良かった。石田先生、車椅子余ってませんか?はやてのは避難優先で、自宅に置き去りしてしまったので…」
「わかりました!少し待っててください!!」
彼女は直ぐに車椅子の用意のために動く。その間、大きな揺れがまた発生した。
この揺れはギーストロンが暴れている影響によるものである。
病院に避難している人々は怯え、悲鳴を上げている。
「きゃあ!!」
「もう嫌だ!!」
「こんなの映画だろ!!そうなんだろ!!」
「自衛隊はまだなの!!何のためにいるのよ!!」
「あんな馬鹿でかい化物、自衛隊でどうにかなるかよ!!」
阿鼻叫喚し、最早冷静でいるなど不可能である。
人々の様子にはやては怖がり、流星に縋る。
「リュウ兄ちゃん…」
「はやて……」
自分に不安な顔つきで流星を見つめるはやて。その間に外にいるギーストロンの大地揺るがす雄叫びが此処まで響いた。
「っ!!!リュウ兄ちゃん!!怖い!!怖いよぉ!!」
必死に流星に抱きつき、迫る恐怖から何とか逃れようと眼を閉じる。
「はやて.....」
胸が引き裂かれる気持ちになる。その時彼の脳裏に、あることを思い出す。
『私たちに何かあったら、はやてのことを守ってくれ....君を、信じているよ。今の君はもう他人じゃない、私たちの家族であり、はやての兄なんだから....』
「っ」
その脳裏に浮かんだ言葉に推され、流星は何かを決断する。そこへはやての為に用意してくれた車椅子を押して戻ってきた
「流星さん!車椅子です!lさぁはやてちゃんを....」
「....石田先生」
「はい」
「はやてのことを頼みます」
「え?!」
「リュウ兄ちゃん....?」
いきなり流星は何を言っているのかと驚く石田先生、はやても不安な顔は拭えず彼を見上げる。
しかし流星は確実に何かを決断した顔をしている。その証拠にはやてを車椅子に乗せて、彼女を石田先生に託した。
「流星さん!いきなり何を!」
「....やることがあるので、行ってきます」
「やることって!?この状況で何を言っているんですか!?」
「リュウ兄ちゃん....」
石田先生はこの状況で一体何をするのか、しかもはやてを自分に託してどうするんだと怒る。
はやてもそんな流星の腕にしがみつくが、流星がそっとその手を優しく両手で包み込み。
「はやて、必ず戻る。だから石田先生の言う事聞いてるんだ」
「......必ず、戻ってくる...?」
「ああ」
「うん....いってらっしゃい」
優しくも決意に満ちた笑みを浮かべて見せる。はやては悲しげな顔をしていたが、必死に押し殺して笑顔で送る。
流星はそのまま急ぐように、風を駆けるが如く病院から飛び出していく。
「流星さん...」
もう背中が見えなくなった流星を石田先生は心配そうにし、はやてももう見えなくなった流星のことを思う。
「リュウ兄ちゃん....」
ギーストロンが暴れ、美しい海鳴市の街が業火と黒煙に包まれる中、一組の家族が懸命に逃げている。
「桃子、皆、ちゃんと付いてきているな!」
「えぇ!士郎さん!!」
「恭也、美由奇!!」
「大丈夫だよ父さん!」
「私もなのはも大丈夫!!ね!」
「うん!!」
その家族は急ぎ、警察が緊急に指定した避難場所へと向かっている最中であった。父親の男性が妻や子供たちに逃げつつも安否確認をする。
姉に手を繋がる見た目はやてと同い年と思われる少女も、必死にその手を握り家族と共に逃げる。しかし息子である青年・恭也がギーストロンを方へ眼を向けると、此方へと睨み見つめる奴と目が合う。
「こっちを見ている!!」
「っ!!急げ!!」
息子の知らせに不味いと思い、父・士郎が家族に大声で叫ぶ。彼の言葉に家族は全力で走る、士郎は自身を最後尾に位置して走る。家族の誰かが途中倒れた場合すぐさま助けられる為である。
そんな逃げる一家をまるで楽しむかのように、獲物を追う狩りをしている気分でどんどん巨大な身体で迫るギーストロン。
そもそも向こうは60㎡の巨大生物、奴からすれば豆粒程度の小ささでしかない人間など直ぐに追い詰め踏み潰せる。
っとその時、なのはが躓き転んだ。
「きゃあ!!」
「なのは!!」
直ぐに姉の美由奇が起こすが、その数秒の間がギーストロンにとって有利なものとなった。
家族がなのはを助け起こす中、もうギーストロンがそこまで迫っていた。
「なのは!!しっかり!!」
「あ...あぁ....」
母・桃子に言われるが、なのはにはもう恐怖で立ち上がる気力すらなくなっている。
「ダメだ!もうそこまで!」
「くそ!」
士郎は何とか家族だけでもと、身を挺して前に出る。妻である桃子は「士郎さん!!」と叫ぶが、彼は自分を犠牲にしてでも家族を何とかして逃がすつもりである。
だがギーストロンは目下にいる人間の家族を皆殺しにしようと、涎を垂らして見せる。
奴がとうとう雄叫びを上げて、その巨大な爪を家族に振り下ろす。
母と姉が、なのはだけでも守るように2人で覆い包む。恭也も父と共に盾になろうとしていた。
「お父さん!お母さん!お兄ちゃん!お姉ちゃん!やめて!!.....誰か、誰か!!助けて!!!」
そのなのはの言葉に呼応したかのように空より何かが高速で接近、ギーストロンを吹き飛ばした。
思わぬ一撃にギーストロンは昏倒してしまう中、助かった家族はなのはを除いて啞然とした顔をしている。
母と姉の間にいるなのはは、何事と家族たちが見上げている方向へ眼を向ける....そこには。
「巨人...?」
そこには赤・黒のツートンカラーの体色、腕や腹筋の筋肉がさりげなく主張されている無駄のない筋肉質な身体、胸部から肩にかけての金のプロテクター、吊り上がった形状の眼、頭部はウルトラマンダイナみたく前にトサカが迫り出している。
額にはクリスタル、頭頂部と側頭部左右対称にウルトラセブンとウルトラマンゼロのスラッガーに似た宇宙ブーメランが備え付けられている。
更に胸には星型の青いランプのような物がついており、両腕と左太ももに腕輪と枷、引きちぎられた鎖を身につけた赤き巨人はまるで家族を護るかのようにギーストロンと対峙する。
「ジュオ!」
その掛け声と共に拳法のような構えを見せ、そのままギーストロンに突撃する。漸く意識を取り戻すギーストロンであるが、赤き巨人は攻撃させる余裕など与えず、回し蹴りからの手刀突きを繰り出して奴を怯ませる。
「ジェア!!ジュアッ!!」
腹に正拳突き、踏み込んだ足と逆の手で逆突き、からの裏拳打ちを叩き込む。一撃一撃が重く凶猛と言わしめるギーストロンを圧倒する。
悶絶し腹を抱えて苦しむギーストロンの角を鷲掴み、そこからの膝蹴りをギーストロンの顔面目掛けて叩き込む。
その攻撃もまたクリーンヒット、顔面がめり込み奴の口の中の牙が全て砕ける。
そして鷲掴んでいる角をそのまま粉々に握り砕いた。
一切反撃も出来ず、もう戦意喪失してしまったギーストロンは海へと逃げるが、赤き巨人は逃がすつもりなどない。
「ジェア!!ジュウオオオオオオオっっ!!」
両腕を胸の前にクロスしてからエネルギーを溜めつつ、右腕を右斜め上、左腕を左斜め下へと位置してから両腕をL字に組む。
そこから深紅の色をした巨大なエネルギーの奔流が背を向けて逃げるギーストロンに直撃、奴の肉体は爆散した。
目の前でSF映画のような場面が繰り広げられたことに啞然とする士郎たち家族を余所に、赤き巨人はそのまま何事もなかったかのように「ジェエアアアっ!!」っと掛け声と共に飛び去っていくのであった。
「あれは...なんだ?」
「なんだったのかしら...」
「ありがとう………」
両親や兄姉たちはそんな様子の中、なのはだけは飛び去っていなくなった巨人に対して涙を流しながら笑みを浮かべて、お礼の言葉を口にするのであった。
外の騒ぎがだんだん落ち着いてきた事に気付き、病院から人々が出ていく。
ギーストロンが居なくなったのかと安堵している中、はやては浮かない顔をしている。
「……」
「はやてちゃん…」
流星が一向に戻ってきてない、不安で一杯で涙が溢れそうになる。
その時…。
「はやて」
「っ!!リュウ兄ちゃん!!」
流星が帰ってきた。彼女は急ぎ車椅子を走らせる、だが石田先生の制止を聞かず無理に走らせたせいで、車椅子が石ころを踏みバランスを崩して、はやては車椅子から転び落ちそうなる。
だが流星が速く彼女を受け止めた。はやては涙ぐみながら流星の無事な姿に歓喜する。
「リュウ兄ちゃん…お帰りなさいっ」
「ああ…ただいま」
この何の前触れもなく始まった物語。この時誰も彼が何者かはまだ知らない、はやてを除いて…。