不死身系転生者はガチャで正体がバレたのでギャグに走る 作:(´-`).。oO
冬木の特異点から帰還してすぐのこと、立花は真夜中の食堂にいた。
明かりが消えた食堂の椅子に腰掛けた立花は、ぼんやりとこれまでの人生を思い出していた。
「こんばんは、立花ちゃん」
背後から聞こえる声に、立花は思わず振り返った。
周囲に人がいるとは思ってもいなかったのだ。
人理修復に協力すると言った手前、弱った姿を見せようとも思っていなかった。
「身構えないでいいよ。
立花に話しかけた女性は、足音ひとつも立たない静かな足取りで立花へ近づく。
「さぁ、立花ちゃん。初対面でこんなこと言うのは怪しいかも知れないけど、私はいくらでもあなたの弱音を聞くし、秘密にするよ」
「……」
「あはは!そりゃいきなり言ってもそうなるよね〜、じゃあちょっと話そうか、紅茶とコーヒーどっちが好み?水でもいいけど」
「……お水でお願いします」
「はーい」
アーデと名乗った職員は、自分の分と立花の分の水をコップに注ぐと、それを持って立花の正面の席に座った。
「……立花、ってことは日本の人かな?日本、良いところだよねぇ。大判焼きも回転焼きも今川焼きも、あと御座候も美味しい!」
「……ふふ、全部一緒ですよ」
「これがわかるなら当たりみたいだね」
薄く笑った立花に、アーデは楽しそうに目を細めた。
「ほら、聞かせて、君の故郷の話を」
「────えっと、私が生まれたのは……」
彼女に乗せられて自らの生い立ちを話し始める立花。
時間が経つにつれ、その言葉には嗚咽が混じる。
最後には、立花のそれは言葉ではなく泣き声に変わった。
アーデは俯いた立花を抱きしめて、その頭を優しく撫でる。
「君の弱音は、全部私が聞くよ」
この日から、アーデは立花の友人となった。
そうして、数日を共に過ごした後のこと
「立花ちゃん!今日が召喚の日なんだって?これから人理修復を手伝ってくれる仲間がどんな人になるかはわからないけど、きっとどんな人でも頼りになるよ。頑張って!」
「アーデさん、ありがとう!行ってくる」
立花は召喚室へ赴き、ロマニから教えられた詠唱を唱えた。
すると、光輪が
「……サーヴァント、ルーラー。召喚に応じ馳せ参じた、真名は……あ」
「……アーデ、さん……?」
「…………」
「や、やぁ立花ちゃん!英霊召喚は今からかな!?せっかくだし私も見学していいかなぁ!?」
「いや、それで誤魔化せると思ってます!?」
「ダメかぁ……」
「ダメです」
がくりと項垂れた彼女の肩に、ダ・ヴィンチが背後から手を置いた。
「少し、事情聴取をしてもいいかな?」
「え〜っと、なんかの見間違いだってことで済ましてくれない?」
「貴重なリソースを割いて召喚したサーヴァントなんだ。見間違いでは済ませないね」
「そっかぁ…。それなら仕方ない。ほな……」
「雑なフェードアウトもさせないからね?」
彼女は静かに両膝を突いて項垂れた。
まるで、探偵映画のラストシーンの犯人のような絶望感を醸し出す彼女に、ダ・ヴィンチが問う。
「君はカルデアで職員として働きながら、その正体は受肉したサーヴァントだった、そういうことかな?」
「違う、私は生きてる。立花が召喚したのはきっと未来の私だ。だから、今を生きる同一人物の私が引き寄せられて融合した。……正確には、私が捨てた力が戻ってきた」
「力を、捨てた?」
「そうそう、戦いなんて飽き飽きだったんだ」
彼女は少しだけ目を伏せてそう言った。
立香には、そんな彼女を戦場に出すことが躊躇われた。
すると、そんな心情を知ってか知らずか、アーデは
「……まぁ、召喚されたからには全力を尽くすよ。面白おかしく、七つの特異点を乗り越えてやろうじゃないか!──立香ちゃん!」
「は、はい!」
「私を呼んだからには、大船に乗ったつもりで頼ってね!私、最強の自負があるから」
アーデは頼もしい笑顔で胸を張る。
「……尋問はさせてもらうよ?」
「──だめかぁ」
「ダメだねえ」
そして、やっぱり締まらない。
それがアーデというカルデア職員であり、サーヴァントの在り方だった。